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遅れる石油系

先週末の日経紙一面を飾っていたのは「出光・昭シェル統合へ」と題して国内2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油が経営統合で基本合意の正式発表した旨の記事であった。2016年をめどに統合をめざすというが、両者の統合で元売り界では首位のJXに大きく迫ることになるという。

出光が昭和シェル買収を目指し交渉に入ったとやはり日経紙一面を飾ったのは昨年のクリスマスの頃だったと記憶するが、両社の統合は6年前に当欄でも「和製メジャーへの道」と題して取り上げた上記のJXの前身、新日本石油と新日鉱ホールディングス統合以来の大型再編となる。

斯様にこうした鉱業系と比較するに石油系は大手始めとしややペースが遅い感がしないでもないが、同時にまたこうした再編劇の過程で外資メジャーの日本撤退という構図も浮き彫りになっている。下流から国際競争激化を鑑み上流問題まで睨んでの将来のメジャーを目指す観点から大手中小含めた再編も未だ途上、残る関係各社の身の振り方が今後ますます注目される。


本体上場の真偽

さて、今週気になったニュースとしては火曜日に日経紙一面を飾っていた「サントリー上場検討」と題して、サントリーHDが早ければ2018年にも上場する検討に入った旨の報か。大型買収等で膨らんだ有利子負債を上場で調達した資金で圧縮し、新たな成長に向けた経営資源を確保するという。

仮に上場した場合、その時価総額はアサヒグループHDや、キリンHDを上回る3兆円規模になる見通し。そういえばこの後者のキリンHDとも同社はかつて経営統合話が出たものだったが、重なる思惑違いからコカコーラを抜くかとも言われたメジャー睨みの大型統合話は破談になってしまった経緯もあったなと思い出す。

とはいえサントリーといえば今から約2年前に清涼飲料部門のサントリー食品インターナショナルが上場を果たしているが、その時に当欄では末尾に「今回の上場は実によく考えたもので、本家のサントリーHDはやはりというか非上場のまま上場後の同社株式をなお約6割握り、同族ならではの自由度は確保という構図か。」と書いている。

あれから2年、コーポレートガバナンス元年といわれる今年にその本体の上場話が出てくるのは冒頭にある有利子負債圧縮という本題とは違う部分でも自然な流れともいえよう。とはいえ当のサントリー本体側はすかさず同日付でこの報道の事実を否定。「これは当社が発表したもの云々」までは常套句だが、続けて「当社が株式上場について検討に入った事実はありません。」とも続けており真偽のほどはというところだがはたして。


TPP大詰め

本日の日経紙商品面には「コメ先物、卸会社の取引拡大」と題して、大阪堂島商品取引所のコメ先物の売買高が6月まで5ヵ月連続で前年同月比プラスになるなどじわりと増えつつある旨が書かれていた。東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧など、大手コメ卸3社が同取引所の会員資格を取得するなど流通業者の取引拡大で先物も浸透しつつあるという。

この大阪堂島商品取引所といえば、先週に来月上旬に迎える試験上場期限延長を農林水産省に申請したばかりであるが、これで試験上場が始まってから2度目の延長である。上記の通り流通業者も先物が浸透しつつあるとはいえ、如何せん採算ラインを考えると未達で本上場というワケにはいかないのが現状だろうか。

とはいえ今まさにTPP協議が大詰めを迎え昨日からの閣僚会議の行方も注目されるところで、JAもこうした背景に挟まれ身の振り方が難しいところだろう。ただ市場は卸、生産者といったところの参加があってこそ先物価格も指標になり得、生産現場の利点も大きくなるのは事実である。


LMEX指数

本日の日経紙商品面には「国際商品、投機売り加速」と題して、米商品市場の投機筋による買い越し残高が金で1年7ヶ月ぶり、原油は3か月半ぶりの低水準となるなど投資ファンドの売り姿勢が鮮明になってきた旨が載っていた。

この辺に関しては先週も当欄で書いたようにドル高による割高感が直撃している格好になっているが、同紙の末尾にも書いてあるようにもう一つ中国経済の鈍化懸念もこれら相場の足を引っ張っており、同国が世界最大の消費国となっている銅などロンドン先物市場で投資ファンドは売り越しに転じている。

銅に限らずアルミも6年ぶりの安値圏にあり、こんな市況からLMEでは非鉄金属6品目で構成する「LME指数」は5月の直近高値から約2割下落し6年ぶりに安値更新している。この辺は東証の非鉄ポストにも影響を及ぼし昨日まで7営業日続落、お馴染みの別子などお約束の下落が続いているが、非鉄が軸の住友商事など商社株にも波及しておりどの辺で配当利回りが下落を止めてくるかこの辺もまた注目である。


隅田川花火大会・2015

先週末は東京の夏の風物詩、恒例の隅田川花火大会が開かれた。今年は第38回だがもうすっかり近くの東京スカイツリーとのコラボも見慣れた構図になり、その有難みも薄れてきたような感じもするが約96万3千人の見物客は天候に恵まれたとはいえ猛暑のなか2万発を超す花火に酔いしれていた。

さて序盤は兎も角も今年の各社の花火コンクールはなかなか楽しめた。一昨年の同コンクールが豪雨で中止に追い込まれたのは記憶に新しいが、個人的には昨年の株式会社イケブンの「WAVE!光でのグラデーション」に感動し、今年はやはりグラデーションを見せる物であったが昨年優勝した斎木煙火本店の「虹色の滝」が更に一段進化した格好で一際目を奪われた。

ここ数年当欄では、その技術は日進月歩で発色技術の向上には改めて感心と書いてきたが、毎年毎年色彩の向上が格段に進化している。東京三大花火大会でもこれと東京湾大華火祭は双璧で、もう一つの東京湾大華火祭りは来月に控えるがどういった進化系が登場するか今から楽しみである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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