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ドルから金?

先週末の日経紙夕刊一面では、「金 見て飾って使って」と題して延べ棒や宝飾品イメージの強い金が、スターウォーズのキャクターをあしらった小判や、30キロの鉄アレイ工芸品としてさまざまな形で輝いている旨が載っていた。

個人的にこの手の品はどうしても重さで見てしまうので随分強気な値だなという感しかないのだがそれは兎も角、この金といえば米国景気の回復の遅れを示す指標が相次ぎ利上げ時期が遠のくとの見方が強まり、金利が付かない金の買い材料となって週明けのNY先物が3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,230ドルを上回った旨も本日の日経紙に出ている。

原油の活況を横目に今一つの盛り上がり難が続いていた金であったが、こんな状況からかどうか連休明けから登場した東京ゴールドスポット100の出来高も上場来最多を記録するようになってきたという。更にETFなど組成品絡めて盛り上がりが継続波及してくるかどうか見守っておきたい。


吸い上げ副作用

週明けの日経平均は、欧米金利の上昇など海外不安が後退し投資家心理が改善したことで大幅続伸となった。とはいえ前場84.20円高のうちKDDIや値嵩のファーストリテイリング2銘柄で値上がり寄与は30.54円、一方の値下がり寄与もファナック1銘柄で27.09円となるなど依然としてこうした高寄与度銘柄の影響が強い。

ところでこの高寄与度銘柄のファナックだが、近年変動率の上昇がよく言われるようになってきた。これが顕著になってきたのは日銀が異次元緩和を導入した時期にほぼリンクしており、背景には日銀によるETF買いで株式が吸い上げられ結果リクディティー低下の弊害がいわれている。

実際この手の株にしては日中の板がスカスカになっている事も珍しく無くなってきたが、これに限らずMSCI絡みで買いあさったモノも数年前とは比べ物にならないくらい板が大きく乖離してしまったのも多くなっている。見た目には吸い上げた物の保有者はETF運用会社とはいえ、実質は日銀であり既に大量保有報告レベルに達している。

この辺は当欄でも昨年10月に、公的機関が大株主に登場するケースでは日本版スチュワードシップコードに絡んで矛盾する部分も出てくると書いた事があった。倫理的な部分以外でもこんなリクイディティー低下を逆利用し鞘を抜こうとする輩が増えてくれば更に一般への弊害も出てきそうな気がするが、この辺は実際の弊害が広がって来るまで議論は強まってこないか。


間接効果

さて、今週の日経紙商品面の多面鏡の項では「連動型投資、売買押上げ」と題して、低迷が続いている商品先物市場においても近年のETFやETN絡みの影響によって、原油の1〜4月の売買高が前年同期比で約4倍に達するなど商品によっては飛躍的な伸びを見せ主役級に成長している旨が書かれていた。 

この辺に関しては既に3月の当欄でも「ETN活況」と題して野村グループの日経・TOCOM原油ダブル・ブルETNを取り上げたことがあったが、同ETNの発行口数は先月末で昨年末比36倍にも膨れ上がっている。実際に私は何度も利用した事があるが、リクイディティーも申し分なくとにかく使い勝手が良くて、保有株式のヘッジ等でも存分にその役割を果たしてくれた。

当初この手のTOCOM連動型は原油に先駆けて5年ほど前に金が登場していたが、こちらの出来高は後発組と比べてもなかなか盛り上がらなかった経緯があるが、それだけにこの原油はまさに大ヒットという感が強く、今後製品など枝葉を伸ばした物が登場し同様な商いに繋がればますます選択肢が増えてくるとの期待がいやでも膨らむ。

取引所としてもこういったETFやETNなどの金融商品は商品先物への間接投資という構図になる為に当然ながらこうした相乗効果が生まれることになるが、いずれにしても売買高が約20年ぶりの低水準に落ち込んでいる市場にとっての証券マネーの取り込みはまさに救世主的な存在と言えるだろうか。


外食業界模様

さて、一昨日は日本マクドナルドが調達先工場による消費期限切れ肉使用や、商品への異物混入で大きく傷ついた信頼の回復を図るべく、母親がメニューの安全性について議論し店舗や加工工場などを確認する「ママズ・プロジェクト」なるものを開始すると発表している。

同社といえば度々当欄でも取り上げてきたが、株式市場では先週に同社の時価総額が「すかいらーく」に抜かれた事が話題になっていた。これはすかいらーくがMBOによって上場を廃止する以前の2006年9月以来、約8年8ヶ月ぶりの事だという。もともとこのMBOは業績低迷に因るものであったが、再上場後は主力のガスト好調から快進撃が続いている。

まさに今の外食業界の明暗図が如実に表れた現象ともいえるが、本日の日経MJもフロント特集が「常連2割の乱」と題して牛丼値上げに踏み切った各社の裏で客離れが顕著になっている旨が載っており、外食業界におけるマーケティングの巧拙が今後明確化してくるだろうか。


PGM爬行色

本日の日経紙商品面では「パラジウム1割高」と題して、パラジウムのニューヨーク先物価格が直近安値の3月下旬と比べて1割高くなり2ヶ月ぶりの高値を付けてきている旨が載っていた。1日公表の米新車販売台数が4月としては10年ぶりの高水準となった事でガソリン車向けの需要増加を見込んで買われたもの。

パラジウムに関してはつい最近まで生産国である南アのスト終結やら同国通貨のランド安を追い風に供給が順調に進んでいる上に、米国の利上げ観測も燻っている事を背景に軟調相場が長引くという観測が一般的であったものだがやはり先は読み辛い。通貨に絡んでの現地の減産棚上げやもう一つの生産国ロシアの動向もあり様々な角度から推測が要求される。

一方で同じPGM系でもディーゼル車に多く使われるプラチナは消費の中心である欧州景気の先行き不透明感から買い手控えられて年初比で5%安い現状。こちらも低迷長期化が言われ長らく金に対して下鞘久しいが斯様に同族でも爬行色が出てきた。株式市場でもこの辺が顕著になってくるのかどうか併せて注視しておきたいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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