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大口目線

さて、一昨日に取り上げた通りで連休明けから東京証券取引所では呼び値変更第二弾として、「TOPIX100」に採用されている銘柄を対象に5,000円以下の銘柄の刻み値が0.5円、また1,000円以下は0.1円に縮小されている。

この辺は昨日の日経紙にも出ていたが、10銭単位に変更になった中では(みずほFG)が売買代金が130%へ、50銭単位に変更になった中では(ニコン)が同155%等に増えた模様。ただ当然ながらこのニコンと双璧の(キャノン)など見るにボラが非常に小さくなったのが目立つ。

当の東証ではCEOが「価格改善効果の恩恵が、幅広い層の投資家に及ぶ」と強調、投資家の利便性が向上し中長期的な市場活性化につながるとの考えのようだが、前述したように「幅広い層の投資家」ではなくて「機関投資家やヘッジファンド層」へ恩恵ではないか?順番待ち時間が短縮された裏で値幅が稼げなくなったデイトレ組など改善というより改悪のイメージが強い。

ともあれ胴元が機関投資家目線で決めてしまった事だから、こうした銘柄は早々に諦め個別では同じ低位でも呼び値変更対象外のモノが蒸し返しで物色される場面も見られた。ところでこうなるとこれはこれで幕間繋ぎで選好されてきた新興市場や二部への関心が一段と強まり、意外に暫くはこちらの循環物色が続く地合いになるかもしれない。


値決め変更


さて、ウクライナでのマレーシア航空機撃墜やイスラエルのガザ地区侵攻の地政学リスクへの警戒感が再度台頭してここまた金へ関心が向かっているが、金といえば先週末の日経紙に「金値決め 初の変更」としてロンドン市場で100年近く続いてきた金融機関同士が電話会議で価格を決める現行の仕組みから、第三者が設定する方式に改める見通しになった旨が出ていた。

この辺に関しては、先にドイツ銀行の商品事業縮小に伴っての値決め撤退発表を背景にした銀の値決めについての変更案が先行して報道されていたが、金の方もこのドイツ銀行の値決め撤退に加えて英銀バークレイズの金指標価格操作問題が発覚しその価格設定を巡る不透明さが指摘されていた背景がある。

市場の信頼回復を急ぐ狙いがあるとみられる今回の見直しだが、コモディティーの金融商品化へ伴いその取引形態も多様化しそれに絡む不正も横行、値決めではないがLMEも倉庫ファイナンスなる取引が横行しそれに伴う規制強化がこれまで多数浮上してきた経緯がある。この値決め全面的見直しも含めコモディティー系は取引慣行にもいろいろと影響が出そうである。


刻み値変更第二弾

今年のあたまには「TOPIX100」採用銘柄のうち株価が3,000円超の銘柄対象に刻み値が引き下げられ値嵩の板など見慣れない光景が展開されたが、投資家には周知の通りで連休明けの本日からこの第二弾として、「TOPIX100」に採用されている銘柄で且つ株価が5,000円以下の銘柄の刻み値が0.5円、1,000円以下は0.1円に縮小されている。

FXが主流の向きや株式でもPTS等中心にしている向きは違和感という意味ではあまり抵抗なく入れるだろうが、低位から値嵩まで本日から変わった板を見るに板読みしていたデイトレ組にはなんとも無意味な銭単位の数字がズラリと並ぶ異様な光景になった。

異様といえば、価格の似ている者同士で例えば日経平均高寄与度銘柄の京セラは同時にこのTOPIX100採用であるために5,000円近くの株価ながら末尾50銭ずつの歩みになるが、同じ225採用でもTOPIX100に入っていない同様な価格帯のTDKは従前通り刻み値が5円単位で、これを機に両社の変動幅には大きく差が出ることになる。

何れにせよそんなワケでこれらの対象銘柄は本日より板読みがほとんど不可能になり、構造的に値幅が稼げないことで短期目的の用からは除外されることになるか。本日始まったばかりだが総じてこれだけ見れば個人の利便性は低下、プログラム売買にはやや有利というところで機関投資寄りという感だが暫く様子を見てみよう。


旧北浜モノ

さて、昨日で日本取引所グループが傘下の東京証券取引所と大阪取引所の現物株部門を統合してちょうど1年が経過した。この統合、大阪から約1,100社を引き継いだが特にここまで大証単独モノにその統合効果は顕著で、昨日の日経紙にも「日本取引所、現物株統合1年」と題しその辺が載っていた。

その知名度から統合効果の前評判が高かった王将フードサービスなど、同紙によれば統合1年間の1日平均売買高は統合前に比べて2.9倍にまで増えた模様で、他に名村造船所も元々ファンドの買い集めなどで独特の動きが人気だったものだが、これまた売買高は統合前に比べて2.2倍にまで増えた旨が載っていた。

また上記のような一部に限らず二部銘柄を取ってみても、昔の北浜銘柄らしく通好みの仕手モノが多数ありこれらは一部モノまでいかなくともそれなりに物色機会も格段に増え、取組を作れるものは相場を楽しめる期間も明らかに旧大証時代より長いものになってきた感がある。

斯様に現物株の方はまずまずといったところだが、今後はやはりもう一つのデリバティブが焦点か。世界規模でみるとどうしても後れを取っているのは否めず、此処をどう舵取りしてゆくのかが課題になってこようか。


PGM系シフト

本日の日経マネー&インベストメントには「貴金属投資 金以外に裾野」として、分散投資先として買われてきた金の人気が一巡し、その金に向かっていた資金が価格の高騰するプラチナやパラジウム等に流入し、先物やETFの売買高がにわかに増えてきた旨が載っていた。

なるほどNY市場ではポルトガル大手行絡めた金融不安への警戒感が一先ず後退し指標の先物価格は約1か月ぶりの安値水準まで急落、昨日の東商取も一時同様に約1か月ぶりの安値水準まで売られている反面PGM系は堅調持続している。

また、本日のETF市場を見ても三菱UFJ信託の純パラジウムが年初来高値を更新、同シリーズの純プラチナも年初来高値まであと少しのところまで来ている。ただ何度も指摘しているが同じ原資産でもETFSモノはコモディティーの種類が多い割に商いが薄い状況がここ数年続いている。原資産そのものの市場規模が相対的に小さいだけにこの辺は課題だろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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