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脱経験則

先の日曜日付けの日経朝刊一面には、「脱デフレ 生みの苦しみ」として、15年にわたる日本の長期デフレに転機が来た旨が載っていた。それ以降も「物価考」として一面に連載されているが、確かに文中にもあったようにバブル崩壊後の世代はデフレが常態化していた経緯もあり昨今のスポット的な値上がりには釈然としない感もあろう。

当初は大規模な金融緩和にもかかわらず物価の上昇が顕著でなかったことでやはり我が国のデフレの根深さを憂う気運もあったが、例えば本日のキューピーの23年ぶりのジャム価格値上げに見られるようにアベノミクスの影響からここジワジワと忘れられていた物価高の足音が聞こえてきた感もある。

とはいえ賃金の同時上昇も満遍なくという構図でもなく、この辺は防衛の意味でもデフレからインフレ局面での株式有効性を利用しない手はない。物価目標達成の為に中央銀行が何処までその節度を逸脱?できるかが焦点となろうが、個々の投資においては上記過去15年の経験則にとらわれない行動が肝要だろうか。


東証大証統合

いつも通り株式のコードを叩けば本日は何処も彼処も主市場が東証表示となり先週までとは違った光景が展開しているが、周知の通り本日から東京証券取引所と大阪証券取引所が現物市場を統合し、東証の上場企業数は計3,423社とこれまでの世界7位から3位に浮上することになった。

一部懸念されたシステムトラブルもなく上記の通りこれで大証はその現物株取引の134年の歴史に幕を下ろすことになったが、近年経費削減で重複上場を廃止する企業が目立っていたのをみるにきれいな一本化となりこうした部分は朗報だろう。この辺は企業に限った事ではなくこのシステム統合で年約85億円の経費が削減出来る計算になるというが、これを売買システム進化に注ぎ取引所間競争を有利にしたい意向という。

一方で新興企業にとっては1部・2部へ昇格する為の条件など違うままであったり、またこの辺は上場廃止基準など取っても同様で、従前のマザーズとジャクダックではそのハードルにやや違いが出てくるということになるがこの辺は影響が出てくるのかどうか一寸未知数か。

しかし、北浜銘柄の中には優等生に交じって1部も2部も独特の抜群の仕手性を持った銘柄があり上げでも下げでも取らせてくれた思い出深いモノがいくつもあった。東証統合でそんな毒っぽさ?も抜けてしまうのかどうかだが、兎も角次のステップとしてはいよいよ来年のデリバティブ統合がありこれに向けて着々といったところだろう。


コミュニティー・パワー色々

今週はなんといっても連日の猛暑となっているが、この影響で東電始めとした8つの電力会社の管内電力需要は連日の最高更新となっている模様。ところで電力といえば発電ビジネス等に参入する「コミュニティー・パワー」に関する動きがこのところ彼方此方で散見される。

事業資金のうち何割かを、期間5年で目標利回りを1〜2%という市民ファンドで募集したところなどは応募が殺到したというが、そういえば4月には山形のクラゲで有名な水族館が「クラゲドリーム債」なるミニ公募債を募集したところ、募集開始からわずか20分で3億円分が完売となった旨の報道も思い出した。

ところで債券ついでの余談になるが、基金運用の為に為替相場に連動した仕組み債を購入した関西の某市は、その後の相場外れでリスク説明不十分とした訴訟を起こすほど評価損があったものの昨今のアベノミクス効果でこれが解消、訴訟も取り下げたというがこちらは何ともご都合主義な感は否めない。

それはともかく話は戻るが、地元企業や地元市民、自治体のそれぞれの思いが受け皿となるこうしたコミュニティー・パワーの台頭等が、結果として地方経済停滞を打破する切欠になるのならこの手の創造は非常に意義のあるものではないか。


アジア最多

本日の日経平均は、前場の100円以上高い場面から後場は一転200円近くまで下げる場面があって引けは小反落となっていたが、週明けなどは急反落で安値引け、昨日9日は急反発で一転しての高値引けなど依然として先物が市場を振り回している格好である。

こんな乱高下の展開が続き売買代金の減少もいわれているが、そんな中において指数連動型のETFの1〜6月の売買代金は約10兆円と前年同期比の4.3倍に上るなどこちらは売買が急増している。既にアジアでは最多になった旨の報道がされているが、この売買増加を牽引しているのがレバレッジ型やインバース型という点がなかなか面白い。

さてETFといえば既に欧米では桁違いな商いが築かれているが、米の量的金融緩和の縮小観測を背景にした個人投資家等の売却で先月は過去最大の120億ドル弱の資金がETFから流出したという。こちらはいわずもがなコモディティも株式同様に発達しており金など既に大きな影響力を持っているが、本日の日経紙の東証社長インタビューではETF上場を増やし海外機関投資家資金を取り込みたいとしている。

出ては消えとならぬようリクイディティ確保など課題はあろうが、NISAと絡めてのマーケティングも彼方此方言われだしておりコスト論より先ずは普及で今後の進展度合いを注視しておきたい。


補完から表舞台へ

本日の日経紙商品面には「東商取の先物商品 夜間取引が最高に」として先週末の夜間取引が16万1,245枚となり、2009年5月の夜間取引開始以来の最高になった旨の記事が載っていた。売買高は6月の1日平均の3.7倍に達したというが、取引時間中の5日夜に発表された米雇用統計を受けてFXと共に金などの取引も膨らんだ模様。

2年ほど前に、「〜ETNのように取引形態の多様化と併せ、金融取引のグローバル化はジワジワと個人レベルまで浸透しつつある現れか。ところで夜間取引といえば一足先に昨年からスタートしているTOCOMの夜間取引はどんな状況になっているのだろうか?」とコメントしたことがあったが環境変化と共に伸びたというところか。

さて夜間といえば株式等も「PTS取引」が活況である。先にも書いた通り今年の1〜3月の売買代金は7兆円を超えて四半期で過去最高を更新、もう一つ金融取引所の「くりっく株365」も数年前から夜間は活況と聞く。活況とはいえ銘柄によっては板の薄いモノなどはさすがにまだ値が飛んだりもするが、先にも書いたPTS取引の刻み値などはこちらが一歩国際標準化しており、これら含めもはやサブ市場等という一昔前のイメージではなくなっているのはいうまでもない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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