456ページ目

システムの影響力

さて、お盆休みが終われば取引参加者も市場に復帰し商いも増えるだろうかという淡い期待に反し、概ね今週も株式市場は薄商いの日々が続いている。というワケで依然先物が主導する展開が続いているが、先週末の株式市場ではランチタイムの225先物が急速に下げ幅を縮小する場面があった。

これは上海総合指数が一時約6%の急騰となったことに反応したものであるが、報道されているようにこれは光大証券なる会員が引き起こした誤発注によるもの。当然売買再開後には同社はストップ安となっているが、つい最近にもジェイコム株誤発注事件で東京高裁の判決を不服とし最高裁に上告したみずほ証券を彷彿させるような出来事である。

しかし一会員の誤発注とはいえ時価総額がトップの企業群が軒並みストップ高まで値を付けてしまうあたりもまた凄い。もともと個人比率が日本の倍くらいある新興市場のようなマーケットとはいえこうした点含めてA株市場の特異な構造をあらためて感じる。

ともあれ報道では人為的な操作ミスは見当たらなかったとしているが、この事件後に同社は更に国債でも誤発注を起こしておりやはりシステム管理の問題が浮き彫りにされた格好。システムトラブルは何処でも起こり得る問題ながら今や一会員が国際市場をも動かす影響力がありこの辺は対岸の火事というわけにはいかないだろう。


何方付かず

昨日はコメ先物について触れたが、コモディティー絡みでは引続き本日の日経紙「迫真」にてCMEグループと東京商品取引所の話が載っていた。このシステム更新に関しては今月の上旬にもJPX絡めて触れた事があったが、これらを巡っての各所の思惑が交錯している模様である。

報道された単純な時系列で見ると、CMEの最高経営責任者と東商取社長とのトップ会談が為されたのちにJPXが具体的な仮条件金額の提案をしたような感触だが、国の方向性が掴みきれないだけに東商取側も思惑が交錯し未だ天秤が続いているような感触である。

斯様に未だに総合取引所構想をどう構築してゆくのか明確な枠が定まらないが、海外とてこの辺は同じで本邦の青写真が今ひとつ読めないというのが正直なところだろう。CMEとてアジア事業の強化を掲げているだけに本邦も天秤にかけている一方でマーケットのアジア含めた国際競争力への影響も考慮すべきだろうか。


再挑戦

本日の日経紙社説には原子力機構ともう一つ、「コメ先物は農家にも役立つ」としてコメ先物についても触れてあった。2011年8月に上場したこのコメ先物、ご存知政府は試験的な上場期間を2015年8月まであと2年延ばすことを先に正式発表している。

この商品だけ移管した大阪堂島商品取引所はもともと本上場を目指していたものの、ここでも指摘されているように取引が少なく試験期間の延長を申請するのがやっとというところであった。取引を増やすしなかいと同紙でも謳っているが、主力の金やエネルギーを除いてはどれも大商いとは言い難い状況で相対的に同商品をどう捉えるかというところか。

またその構図だが当初から一貫して反対姿勢の全中含めた関係各所の抵抗は今回も想像に難くないが思えばこのコメ先物、初回のボツから民主時代の産物で上場したようなものだったが、自民党返り咲きの今所謂外側からの政策も併せどういった行方になるのかこの辺もまた見守りたいところ。


資本増強無き資金還流

本日の日経紙朝刊法務面では「第三者割当増資 6割減」と題して、上場企業の第三者割当増資が金融商品取引法を使って不公正ファイナンスの排除を強化した結果、2012年までの3年間で約6割減少した旨が載っていた。

ここでは初めて偽計容疑適用となったかつてジャスダックに上場していたペイントハウスが一例として取り上げてあったが、これ以降でもその典型で記憶に新しいやはり同市場にあったトランスデジタルやら、東証二部にあった旧ユニオン光学等含め新興市場中心にその手の事例は山ほどあった。

ちょうどこの時はこの手のビジネス?が一番盛んな時で、ドロップアウトした外務員等がにわかアレンジャーとなってまるでその辺のアナリストの如く足繁く次期(箱)候補の企業に訪問を繰り返していた光景が思い出される。

種明かしをすれば単純な錬金術なのだが、投資事業組合から新株発行スキーム、東証のTDnetまでフルに活用しさっさと仕上げてしまう様は怪しいファイナンスに慣れていない旧経営陣から嵌められた投資家まで格好の受け皿にされ真の被害者だったと察するが、上場企業でなくとも今は消えてしまった未上場の某取引員まで箱にされた事例があった。

冒頭の通りこの手が減少してきたのもこれまた時代の流れだろうが、錬金で抜かれた資金は明るみになっているより遥かに膨大と推測される。


肌感覚

さて、今週はTOCOMの金先物が概ね週明けから堅調推移となっている。エネルギー系など他も総じてしっかりとなっているが先週の中国7月貿易統計が予想を上回る等、経済指標が景気回復を示すものとの見方もあってサマーバケーションで参加者が限られ板の薄いところへ散発的に買いが入っている模様だ。

コモディティーといえばこのところ米国の量的緩和縮小観測でマネーが市場から流出しているとの観測が燻り、一人気を吐く原油を除いては金を中心にヘッジファンドもめっきりロングの手が鳴りを潜めていたものだが、株式等を横睨みしながらこの辺が織り込まれてきたか否か今暫らく方向感を確認といったところだろうか。

ところで、この金の低迷期でもあった4−6月の輸出量は財務省貿易統計によれば29.8トンとなり、1−3月のそれに比べて4割減ったという。輸出から輸入を差し引いた流出量も4−6月は前期比で6割減少し価格の下落で国内消費者の金購入意欲が強まったとの見方があるが、金購入意欲といえばちなみに中国では今年上半期の金の消費量が前年同期比53.7%増の706トンに拡大したことが明らかにされている。

上半期だけで昨年通年の消費量に匹敵しており、世界的に売りが優勢となった金の受け皿としてやはり存在感を示した感じだ。金市場に沸く中国を特集した日経CNBCの放映を見たのは確か3年前だったと思うが、中銀と共に個人レベルでも肌感覚で食指を動かしている行動形態は当時から些かの変化もないようだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

9

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30