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3000ドルは通過点?

本日の日経紙グローバル市場面では「金高騰、予想引き上げ続々」と題し、金(ゴールド)が今月に初めて3000ドルの大台を突破した後もトランプ米政権や地政学リスク、中央銀行による買いなどを背景に主要金融機関が年内の価格予想の上方修正に動いている旨の記事があった。金ETFは過去4年間にわたり純流出が続いていたが、今年に入り純流入に転じているあたりも投資マネー流入の一端を示すものだ。

同紙では年内の価格予想を引き上げた金融機関とその理由が出ていたが、3000ドル突破後にいち早く3500ドルのシナリオも打ち出したマッコーリーなどは地政学リスクと共に財政赤字を挙げるが、トランプ政権を巡っては大規模な減税策に伴う財政問題も懸念されており財政赤字が拡大しドルの価値が下がるとの見方から価値が目減りしない金への注目度が上がるのもうなずける。

他にゴールドマン・サックスは冒頭のETF流入と並び中銀の買いを挙げていたが、この中央銀行の旺盛な買いも過去10年以上続いていて、22年以降は3年連続で年間1000トンを超えて昨年も上昇を牽引したのは中銀の買いが主因だった。中国の中央銀行など今年2月、4ヵ月連続で金保有を拡大させているが、こうした中銀買いは今年1月には約18トンを買い入れている。

中間選挙に向けて成果を急ぐトランプ大統領の予測不能な政策如何で一部の新興国など今後はいつ自国に経済制裁が下るかと戦々恐々の中にあって、外貨準備をドルから金にシフトさせる動きは自然な流れで斯様な動きが今後も価格に寄与し続けるのは想像に難くないか。


読売333指数始動

本日から読売新聞社が提供する株価指数「読売333」の算出が始まった。これは日本の株式市場から主要銘柄として選んだ333銘柄で構成される新しい株価指数で、初日の終値は35,507.74円であった。この指数だがその算出方法が最大の特長で、この読売333は「等ウェート型」を採用し各銘柄の値動きの比率を足し合わせたものを全銘柄の333で割る算出方法となり値動きの平均値を示すもの。

これにより大企業や特定企業の動向に左右されにくい点や、時価総額が小さくても成長性の高い銘柄の値動きを捉え易く中小型の伸びも取り込める点が特徴で、実際に東証プライム市場のみならずスタンダード市場やグロース市場の銘柄も含まれ地方企業や新興企業が含まれている事にも注目だ。こういった等ウェートを採用する株価指数は日本では初めてであると思うが、海外では既にS&P500イコール・ウェイト型指数などがある。

ちょうど直近では米市場全体を牽引してきた所謂“マグニフィセントセブン”はエヌビディア株の下落やテスラ株の往って来いなどが重なったこともあり高値からの下落率が先週には20%を超え弱気相場入りしている。時価総額加重平均型では上記のような主力の特定銘柄が与える影響が高くなるが、イコール・ウェイト型ならこうしたことを回避出来る。

この指数の始動で早速26日(水)には「eMAXIS Slim 国内株式(読売333)」が設定される予定で、これはNISAの成長投資枠の対象ファンドにもなっており信託報酬率も低めの設定になっている。目下のところ人気の矛先は付和雷同的にオルカンやS&P500一辺倒と喧伝されているが、斯様な新商品の登場も含め新たな指数の始動で日本企業への投資を見直すきっかけにもなる事も期待したい。


優待熱再び

今月初めの当欄で株主還元の流れを取り上げた際にトヨタ自動車が初めて株主優待制度を導入した旨も書いていたが、しばらく優待廃止の流れに傾いていたマーケットも昨年は優待新設企業数が131社にのぼり、5年ぶりに優待廃止企業数の85社を上回った旨が先週の日経紙に出ていた。東証による市場改革に加え、新NISAの導入で個人株主を取り込む思惑も背景にしてこの導入企業数も7年ぶりの多さとなっている。

株価の方も市場で突飛高する銘柄は優待拡充などのニュースが出た銘柄が最近は特に目に付く。直近では昨日にストップ高まで駆け上がったグロース市場のバリューゴルフは株主優待制度の拡充を発表しており、先週は株主優待の再導入を公表したプライム市場の学究社も急伸し上場来高値をも更新してきている。そういえば昨年は人気タルト店のチャージギフトを優待で導入し急騰した企業もあったのを思い出す。

個人投資家の重視項目では配当に次いで優待も大きな割合を占める結果が出ており、「株主優待利回り」に着目する向きも新NISA導入後は大きく増加してきている。私個人も様々な企業の優待を享受しているが、配当をはるかに上回る“美味しい企業”は意外に多いと実感している。また企業側としても配当に比べてコストがそれほどかからず株価の下支え効果も考慮すればコスパの良い施策ということがいえるか。

廃止企業も一定数あるのにみられる通りで株主間の平等性を厳密には確保できないという構図もあるものの、近年の政策保有株解消が進むなかで安定株主としての個人の確保もまた重要性を帯びてきている。3月期企業の権利確定も迫ってきているが、上記の新NISA導入後の個人投資家と企業側の思惑とがうまくマッチしているこの“高コスパ”の施策は今後また活発化してくるのは想像に難くないか。


春闘2025

先週は今年の春闘で大企業が労組に回答を示す山場となる集中回答日を迎えていたが、自動車や電機などお約束のように満額回答が相次いだ。ザッと挙げても電機大手では日立製作所、NEC、富士通が満額回答、賃上げ相場をけん引してきた自動車ではトヨタ自動車が5連続の満額回答となった他、トヨタグループのデンソー、アイシンなども集中回答日を待たずに満額回答の結果となっている。

また外食や流通の労組が集まるUAゼンセンも満額回答がズラリと並び、昨年に過去最高の賃上げを行った牛丼チェーンすき家のゼンショーHDは定期昇給を合せた平均で11.2%の賃上げで妥結したほか、すかいらーくHDは定期昇給も合せて満額の回答、2014年に再上場した同社だがこの再上場以来最高水準の賃上げとなり、株価の方も本日は3000円の大台を超えて上場来高値を更新してきている。

さてこの大手の賃上げの動きが中小に波及するのか否かだが、中小企業の賃上げの状況は価格転嫁を進めて賃上げが出来ている企業と、コストが上昇しても価格転嫁出来ず賃上げ原資がなく破綻する企業があるなど二極化の様相という。実際に帝国データバンクの調査によれば高い賃金を求め他社に移られて従業員不足から破綻する従業員退職型倒産は昨年過去最高になった模様だ。

この集中回答日に併せ石破総理は政府と経済界、労働団体と共に政労使会議に臨み、今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け政策を総動員すると強調し述べていたが、この辺に絡んでは中小企業がうまく価格転嫁出来るよう発注側の大企業が受注側の中小企業と協議せずに取引価格を決めることを禁止する「下請け法改正案」の閣議決定など、これらも後押しするかどうか期待したいところだ。


国策に売り無し

さて、先週の日経紙投資面ではトランプ政権誕生後の株価騰落率が出ていたが、首位のディー・エヌ・エーや2位のバンダイナムコHDは共に新作ゲームが好調、バンダイナムコHDは先週には上場来高値を更新する高騰を見せている。上場来高値更新といえば他にもベストテンでは5位のコナミGや7位のサンリオ、そして8位の任天堂これらどれも揃って先月に上場来高値を更新してきており総じてこれらIP株の強さが際立っている。

ディールと称した関税政策の“脅し”を株式市場は嫌気しているが、そういった不確実性の悪地合いのなかでもこうした影響を受けにくい特にこの手のIPモノにマネーが流入しているのが見て取れる。こうした地合いの下では従来は薬品とか食品などディフェンシブが回避先として買われたものだが、このランキングを見ると下落率ベストテンにはこの手の薬品株も目立つ。

考えてみればこれらIP株はそもそもインフレ耐性が強くファンビジネスは節約志向とはほぼ無縁、ゲームやアニメーションなどコンテンツの本質的な価値は数字などで理論的に説明が出来ず定量化のようなことが困難なので価格転嫁も他に比べて容易というメリットも持ち合わせる点が強みだ。

政府の骨太の方針の中ではコンテンツ産業を支持する新たなクールジャパン戦略を組み込んでいるが、この辺に絡んでは昨年後半に経団連がコンテンツ関連事業への政府予算の強化とコンテンツ省の設置を要請するなど国策としてサポートされつつある。「国策に売り無し」の相場格言を思い出すが、今後これらも新たなディフェンシブ銘柄として市場を牽引してゆく可能性に期待したいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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