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改正金商法成立

昨日はアジアの取引所関係に少し触れたが、本邦では先週の衆院本会議で株式や金融先物、商品などを一括して取引できる総合取引所の実現に向けた制度整備を盛り込んだ改正金融商品取引法が与党などの賛成多数で可決、成立の運びとなっている。

これで漸く「ベルリンの壁」ではないが、上場商品によって担当官庁が金融庁やら経産省、農林省と分かれていたものの一元化が現実味を帯びてくることとなった。既に従前の3省庁による検討チームが動いてはいるが今後損益通算など税制面も含めて課題は満載、先に香港が買ったLMEよろしく株主関係への課題も控えており行政の所謂本気度も問われてくるおり紆余曲折も考えられる。

印象的だったのは日経紙で見掛けた「商品取引は文化が違う」とし、合併するには心理的な壁を乗り越える必要もありそうだと書いてあった項。確かに同じコモディティーを商いこそしてはいるものの、商社や証券の人から見れば商品界は特異に映るしまたその逆も然りだろうか。ただ何れの文化に鞘寄せ?しなくてはならないかはもう明白でそうした面での資質も今後問われてくることになろう。


アジア指標?

本日の日経紙国際面には、豪英BHPビリトンや英豪リオ・ティントなど資源大手が世界最大の鉄鋼生産国である中国での需要減少が響き、鉄鉱石の日本向け輸出価格を約2年半ぶりの安値水準まで引き下げるとの旨が載っていた。

斯様に世界経済を牽引してきた中国の需要の伸び悩みが上記のような価格形成含め各方面に影響を与えているが、国際価格への影響力といえばこの中国は8月に内モンゴル自治区で生産業者が出資する形でレアアースの現物取引所を設立、また年内に上海で原油先物を上場する方針と先に報じられている。

この原油の消費国といえば中国は世界第二位となっているが、ちなみにこの原油先物では対象が中東産原油で、デリバリーも視野に入れWTIやブレントなどに匹敵する指標を作り、アジア価格形成で主導権を握りたい考えとも過日の同紙に出ていた。

この辺に関して当欄では二年前にも「もう一つの世界指標」として、非鉄を上場している上海先物取引所などが前年の売買高が世界一となり、既に本家のLMEにも影響を与え始めた旨の報道を書いたことがあったが、アジアもこうした方面で本格的に競合戦のスタートとなるか。


取得目的

週末に入ってきたニュースに飲食店チェーンの東証一部「コロワイド」が、来月にも焼肉チェーン牛角などを展開する「レックスホールディングス」の株式66%をデット・エクイティ・スワップなどによって取得し、完全子会社化で傘下におさめると発表していた件があった。

このレックスHDといえばMBOによって2007年にジャスダック市場から姿を消して久しいが、先の11年12月期でも債務超過に陥っておりなかなか厳しい情勢が続いていた模様。日経紙では「居酒屋以外を強化」とのタイトルで居酒屋の不振店を焼肉店等に転換することも検討とも出ていたが、一部では逆境下の焼肉系に収益期待との見方に疑問を呈する向きも多い。

この辺に関しては傘下に抱える1,000店以上もの外食店のなかでも近年成長著しいブランドも抱えており実際のところこれらが狙いとの噂も出ている。余談だがこんな構図でふと思い浮かんだのが、ジャスダック「澤田ホールディングス」によるかつてのオリエント貿易の買収か。当時も体力が弱り始めていた業界の取引員買収を訝しがる向きも居たが、その裏では傘下の外為ドットコム狙いとの声も一部にあったものだった。

あれから数年、エイチ・エス・フューチャーズに社名変更した同社だったが明日を以って主たる業務である商品先物取引業を廃止する運びとなっている。


冴えない低PBRモノの裏

さて、昨日は冴えない株式市場下では仕手系が乱舞との件を冒頭で触れたが、昨日のジーンズメイトと共に今週比較的派手に乱高下していたものにシャープがある。これも元々はルネサスや東電のようにマトモ?な株だったのだが、彼ら同様に経営不安から米S&Pや米ムーディーズが立て続けに短期格付けや長期格付けを投機的水準に格下げし後は貸借を読みながらの需給戦となっている。

ところで、これらエレクトロニクス産業等については今週の日経紙「一目均衡」でもその辺に触れていた。その冒頭では日本企業は多すぎるライバルとの国内予選でヘトヘトになり、世界に出ていく気力に欠けたとあるが今やあらゆる業界でその辺の清算を急いでいる。直近の古河スカイと住友軽金属工業が来年に経営統合するとの報などもそんなところだろうが兎に角メーカーが多過ぎる感は今更ながらである。

この両者の場合経営統合で年間100億〜150億円のコスト削減との合併効果の見通しを出しているが、比較的大型同士の統合はパナソニック等見るになかなか効果が見えてこない。またこの統合比率も住友軽金属1に対して古河スカイ0.346という事で当時の理論価格70円そこそこの試算から発表直後には住友軽金属が売られたが、BPS90円を超える同社もまたその株主もこれは忸怩たる思いだろう。

一頃のバリュー系は膠着相場下や立上がりで強さを見せていたものだが、最近は逆に低PBRの物ほど売られ方がきついようにも感じる。根底には成長性への疑問符があるのだろうが、上記のようなケース等も想定し相場が織り込みつつあるのだろうか?「一目均衡」文中の米経営学者の「凡庸な企業同士が漠然と一緒になっても規模の大きい凡庸な企業ができるだけ」といった言葉が印象的である。


専業の厳しさ

本日も日経平均は先物主導で売られ5日続落、こんな地合い下では派手に乱高下する仕手系も幾つか出てくるがさしずめ直近ではジーンズ中心のカジュアルチェーン、ジーンズメイト株か。1ヵ月の間に100円そこそこから600円超まで急騰を演じたものの、先週末から一転して連日のストップ安の後もここ数日未だ終戦処理が続いているといった感じである。

ところでジーンズといえば、先月末にはあの「エドウィン」グループが投資の失敗を隠すために不正経理を繰り返していた疑いがあることが発覚したとの報道があった。証券やら為替デリバティブやらと詳細は諸説あるが、近年の業界の厳しさを反映してこのエドウィンと共に和製の双璧であった「ボブソン」に至っては民事再生申請するも再建のメドが立たずにとうとう破綻している。

安値合戦の標的にされた余波でジワジワ浸食が進行してきた格好だが、思えばちょうど3年前にユニクロが1,000円を切る価格帯のジーンズを打ち出し、その後にイオン、ダイエー、西友が800円台を、更にはドンキが600円台を出すなど証券会社の手数料並みに安価の売出し合戦を繰り広げていたものだ。

大手がやはり本腰を入れてくると専業はコスト面で対抗出来得る筈もなくやはりきついワケで、そんな逆境の中でこんな事件発覚を見るとまさに弱り目に祟り目といった感だが、他の業界でもこれと同様の環境のものは多業種に亘っておりまだまだ予断を許さない状況である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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