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仕手系ミニバブル

さて、本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、出来高累計帯ほか昨日は騰落レシオも大発会以来の120超となっていただけにモタつくのも自然なところか。ただ、個別では今週目立った点といえば低位仕手系の乱舞で商いの回転が非常によく効いたということだろうか?

仕手系といえばもともとは兜町をかつて一世風靡した某氏が久し振りに動きだしたとの煽りで大証銘柄が腕に覚えのある一部個人を惹き付けていたが、その後全員参加型の復興関連が順次立ち上がり、今週はその流れで橋梁、その次が海運、倉庫とテーマに乗って順番に個人好みの飛び付き易い銘柄が乱舞、株式投資から遠ざかっていた個人投資家がにわかに戻り始め裾野が広がってきた様相を呈している。

個人投資家といえば日経紙のマーケット面で、個人の投資意欲鈍るとして信用取引残高がリーマン・ショック後の最低水準を更新し、約8年7ヶ月ぶりの低水準まで減少している旨が乗っていたのが先週18日。また、20日付けの同紙には個人投資家が4週連続で売り越しとも出ていたが、いつもながらこの辺のこうした日経紙の報道は目先底入れの指標になるが果たして今回もといった感もある。

このなかで直近アッという間に株価3倍増超したのは日本橋梁や宮越HDのような非貸借モノがズラリ、規制の入らない分メチャクチャやれるというところだろうが、今週の相場は貸借モノも株不足を背景に駒井ハルテック然り共栄タンカー然りでなかなか面白い相場を演出してくれた。貸借モノは当局がすかさず規制を発動する経緯から、これでは相場も一日天下との認識が定着していた分この手のモノはカラ売りを誘導し易くなっていたワケだが、漸く逆にそれをテコにするエネルギーが出て来たとも取れこの分野のミニバブル再来に今後一寸期待したい感もある。


所詮泥鰌に笊

さて、昨日日経夕刊一面には消費税6%分不足と出ていたが、同紙以外でも最近この手の見出しがやたらと目に付くようになった。増税に向けて下地作りに余念がないといった感じだが、官僚クラスの増税行脚もなにかこう茶番にしか映らない気がしてならない。

そもそも何故にこの時期かという疑問は各方面から出てきて当然といえようが、だいたいそれ以前に公約の反故が甚だしい。以前に触れた年金の段階的引上げにしてもそうだしこんな姑息な下地作りをやる前に、以前にも書いたように歳出が悪の巣窟なワケだからここから手を付けるのが筋だろう。

もとはといえば増税以前に責められるべきはこちらの方といったところだが、結局政権を執れば既得権とべったりといういい事例、削減一つとっても民間企業のような血の滲むような努力が出来るワケでもなしといったところか。


春節消費

本日の日経平均は戻り売りに遭いながらも僅かに締まったが、そんな中で本日はイラン制裁の思惑などもあって業種別上昇率トップとなったのは海運セクター。懐かしいこのポストの仕手株群が急騰となったが、反面昨日まで2日連続のストップ高となった東天紅は利食い売りに急反落となっていた。

さてこの東天紅、確かにPBRは僅かに0.5と安いことは安かったワケだが昨日までの突如の急騰は、中国の旧正月である「春節」休暇の中国人観光局への期待が囃されてのものとか。安易といえば安易だがなんでもテコにしてしまうのが今の相場、ところでこの春節に絡んでは百貨店も先週末などレイアウトや案内を明らかにソレ向きに変更しているのが目立った。

欧州債務危機くすぶる中を欧米人に代わって各方面活路を見出す先はやはりまだ中国。百貨店レイアウトで思い出したが、ことファッション業界などの力の入れようは欧州ブランド中心に半端でないらしい。バブル期を代表したブランドが日本撤退する一方で中国戦略を拡大していたのは記憶に新しいが、そのうちこれらのテイストもシノワズリ系に傾斜した形で日本再上陸などということがあるかもしれない。


一罰百戒に出来ない事情

さまざまなところが注目していたオリンパスの上場問題であったが、先週末には東証の自主規制法人の臨時理事会が「投資家の判断に重大な影響を与えたとはいえない」と判断し監理銘柄に指定した同社株の上場を維持すると発表、これを受けた本日の同社株は材料出尽くし感が強いながらもお約束の反発となっていた。

重大な判断という部分に関して日経紙には「粉飾は巨額だったが、オリンパスは事業規模が大きいため、投資家に利益水準や業績の傾向を大きく見誤らせたとまではいえない」と載っていたが、近年のライブドアなどを持ち出して考えるにやはり上記の言葉に集約されているだろうか。両者を比較するになんとも釈然としない向きが多いとは思うが、つまり結局は利害関係者の構図が大きく異なったということに尽きると思う。

オリンパスは世界に誇る日本のブランドで金融機関始めとして錚々たる面子が大株主になっている一方で、ライブドアは切り捨て易い?小粒株主の構図。「投資家保護」を謳ってはいても一罰百戒の上場廃止で個人が泣く以外に然程厄介な問題にはならなかったワケだがオリンパスを上場廃止にしてしまうと利害が絡む機関投資家の後処理?も厄介だし、ついでに言えば東証も大商いしてくれる銘柄を減らすことにもなる。

しかしこれでお墨付きとばかりに今後、ラインを超えない粉飾はOKとこれと同様のスキームでインチキやるところも出て来てもおかしくはないだろう。また今回の件では核心の部分が闇に葬られ上場廃止基準の抵触を上手く避ける素地が作られたとの指摘も依然燻るが、こうした天下り組織と癒着する国家権力と穿った見方を避けるにはやはり東証の誰が見ても同一な基準の明確化が必要だろうし、また今回の件の代償?として今後監督責任含め一層監視される厳しさも増そうか。


相違点

昨晩の米株式は良好な経済指標や企業業績を受けて買われ12,500ドル台へと続伸、これは昨年7月末以来約半年ぶりの高値である。またこの辺は欧州株式も同じ歩調となっており、特にDAXなどは順調に値を伸ばしている。

昨年はトリプルAに君臨した米国債格下げショックがあったものの、米国株は昨年年間で約5.5%の上昇と3年連続でプラス、DAXも昨年のボトムを見れば約20%高と悲壮感は感じられない。欧州危機後、ユーロ諸国間の金利差拡大によってドイツなど実質金利はマイナスとなりドイツの内需とインフレ率の押し上げが言われている。マイナス金利といえば米も同様で、どうやらこれらが両者の株に寄与した格好にもなっているか。

ところでトリプルAの格下げといえばかつて上げの起点になっており、1986年のオーストラリア等は典型であったが、その後の1998年の日本も然程影響されずにその後は上げ相場に移行していった。これら踏まえて昨年騒ぎの最中そういった論調はあったのだが果たして株式、ドル、そして米国債揃って一寸したトリプル高となった。

そんな中で現況日本株は出遅れがいわれて久しいが、この辺は上記の通りマイナス金利と実質高金利との違いも大きいだろう。この辺はいわずもがなデフレ選好の日銀政策が方向転換しない限り解決し辛い問題といってもよいだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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