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阿鼻叫喚

週末には「歴史に残る異常値」として末尾に「阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。」としたが、果たしてネット系証券では目下オプション取引を中心とした?足?が続々と問題化している。先週発表しているところでは、松井証券が35億円の貸倒損失を計上、カブドットコム証券は39億円、マネックス証券は13億円の未収が発生している。また業界ではデリバティブに特化していたひまわり証券が早々にこの分野からの撤退を表明した。

証券各社もここから未収の回収で大変だろうが今回は投資家も地獄、なにしろ玉詰といっても受入証拠金範囲でのロスカットしか出来ないので、それをはるかに上回るプレミアムの暴騰ではロスカットもいたちごっこである。それこそ必要証拠金の10倍くらい一挙に入金して見合う具合で、殆どの投資家はもともとの証拠金使用率がこれ以上なワケだから受入がロスカット予定以下の口座のケースでは、脱出したくても刻々と値洗いマイナスが拡大してゆくのを何も出来ずに見ているしかないまさに阿鼻叫喚の状態であったと思う。

損失といえば、日曜日の日経紙にも今回の円暴騰でFX取引でもロスカットが続出し、わずか5分間で60万円の損失を被ったという話が載っていたが、オプションは週末にも書いたように最悪の場面に当たってしまったケースでは、たったピンでも4万円そこそこの証拠金でも1分間で100万円以上の損失も出せるのであり、それからすれば5分間で60万円程度の損失などまだまだかわいい?ものだ。

連休明けも東証と大証は揃って不測の事態が起こらない限り取引継続しているが、斯様にマーケットの事故も未曾有の事態となりつつあり、やはり各社としての対応は事実上取引停止に近いものとなる。既にオプションのショートに関しては建玉上限を数百枚からゼロとし、先物では従来の半減、またSPAN証拠金に対する掛け目は既に震災後アップさせていたが、これも更にアップさせるなどの措置が各社続々と取られている。

FXなど協調介入で相場急回復となったが、ロスカット後では時遅し。オプションも残存日数を考えればここからが面白い場面なのだが、上記のような措置でリカバーのチャンスまで暫くおあずけとなんとも厳しい終戦処理である。


歴史に残る異常値

さて、本日で東日本巨大地震からちょうど一週間が経過したが、あらゆるシーンにおいて今回の件は歴史に刻まれよう。この辺はマーケットにおいても当然そうであり、1995年4月に付けた史上最高値を一気に16年ぶりに更新した円相場も、株式市場でも昼に立て続けに2度もサーキトブレーカーが発動となった事態もまた然りであろう。

株式市場といえば、数ある前代未聞の事態でも今回のオプション市場の狂乱も間違いなく歴史に残ろう。事件?が起きたのが週初めのイブニングセッション、通常であればアウトものの4月物の7,000円プットは序盤以降から値を飛ばし午後8:43に105円を付けていたが、その1分後には踏み?が殺到し、なんと1,340円まで暴騰、あと踏んだら終いでその3分後にはたった90円まで今度は暴落、ショートしている向きは4万円ちょっとの証拠金がたった1分間で123万5千円ものマイナスになり、その3分後には逆に1万5千円のプラスになった計算である。

これに近い4月物の7,500円プットも午後8:43分に130円を付けていたが、その1分後にはやはり1,320円まで暴騰、その3分後にはたったの110円まで往って来いの暴落するなど同様な事態が起きた。しかし、行使価格の低い方の高値が高くなるなど何処を取っても理外の理、この暴騰時に合致した7,000円プットの111枚、そして7,500円プットの109枚の出来高に参加した向きは売り方、買い方いずれも忘れられない日となろう。

そんなワケでマーケットもある意味被災した向きが続出、一部証券会社など先物取引からの撤退を早々に表明していたが、斯様にもデリバティブ系は皮肉にも新システムでスピードも変わったところへこの辺の事情も考慮出来ないディスクロをやった官邸の失態と併せて、阪神大震災やリーマンショック時よりも一気に直撃された分、今後表面化して来る影響が懸念されるところ。


情報戦と恐怖心

週末の東日本巨大地震発生から数日経過したが、依然として計画停電や原発を巡って情報が交錯し被災地の混乱した様子が一日中報道されている。しかし原発はモノがモノだけにどう捉えたらよいのだろう?長い間原子力をエネルギー政策の柱に置き、その利用を享受してきた歴史の帰結という表現もあるが問題自体が大き過ぎて一言で表現するのは難しい。

放射性物質放出に絡む、無数にある不安情報やコメントを真に受けて恐怖心から外出も控えているのだろうが街に出てみれば心なしか人も少ない。SSではガソリンありませんの札が並び、コンビニやスーパーでは保存の利く食品や生活必需品が見事に棚から消えたままの一方で、生鮮物が大量に買い手の付かない様子は何時もの通りだなとつくづく。

こんな行動は日本人独特だろうと思ったが、動けるうちがチャンスとばかりに、早々に日本を発った外国人の知人も多数。おそらくではあるが、仏大使館あたりの影響が大と思うがまあ国土の広さを考えるとあながち笑えない部分もある。しかし大使館関係は兎に角ネットワークというか流石いろいろ長けているなと。

しかしこんな未曾有の事態でも、義援金詐欺とか何れデッドストックになる生活用品などに法外な値札を付ける商売が横行するなど何時も通りの商機と捉える輩が居るのはほんとうに情けない。おそらく今後出て来るのはバイアグラよろしく「ヨウ素剤」の類だろう。経済停滞の長期化が言われる一方、こんな部分の経済活性は国難を如実に物語る。


Black Friday

先ず、このたびの地震および津波の被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

なんといっても直近の話題は上記の通り、引け間際のマーケットも直撃した観測史上初の「東日本巨大地震」である。個人的には「備えあれば憂い無し」とはいうものの、数年前に用意した防災グッズも埃を被り非常食等の賞味期限切れと共にリスクに備える感覚が薄れてきたタイミングでの不意打ち?で、まさに「天災は忘れた頃にやってくる」といったところか。

しかし戦後生まれなど、間近に「有事」を経験していない世代など、テロやデモ含めて今迄の対岸の火事的概念が一気に無くなった瞬間ではなかっただろうか。未曾有の事態だけに早速というか地震発生から数時間後には、東京23区内の停電決定とか、損壊した某石油施設からの有毒物質に注意とか、怖いモノでは原発関係の不安を煽るような実しやかなメールがいろいろなところからひっきりなしに届く。加えて報道関係でもこんな情報社会の世の中、いざ有事になると呆れるくらいにディスクロが遅く且つ不正確なのが歯痒いところ。

一方では、毎度お決まりで携帯が機能しなくなる中、活躍したのがFacebook等か。欧米始めそれこそ世界中の知人から安否を気遣う声が届いたが、瞬く間にこちらの状況が詳細に満遍なく伝えることが出来るなど本当に便利な時代になったものだと改めて実感。先の京大カンニング事件を当欄で取り上げた時にネットは「諸刃の剣」としたが、まさに使いようだなと。

ところで相場関係もさっそく各方面が集まって各々市場展望を展開しているが、所詮はイマジネーションの世界。阪神大震災の時の憶えでまたデリバティブはもとより個別でも震災関連がお決まりで物色されているが、原発問題が案じられるなど既に銭金の問題も超越している有事。世界中から続々と支援が寄せられている最中だが、関係者各位共々これらに感謝しつつ一刻も早い復旧を祈りたい。


危機から生まれる技術革新・2

さて、今週は乱高下の株式市場の中で途中個別物色された物には住友精化等があったが、3/8付日経紙にも載っていた通り、同社は東京大学教授と共同研究で温暖化ガスの二酸化炭素を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発したことが背景となっていた。ちょうど今はこの記事の直ぐ隣に載っていたように、原油高騰が最大のリスクとされている中、石油系合成樹脂の代替期待の思惑が出た格好となった模様だ。

しかし、最近はこの手の新技術開発発表の報道がやけに目立つ。先週末の日経紙一面では住友電工がリチウムイオンに代えて価格が約十分の一と安価なナトリウムのイオンを使う新型の蓄電池を開発したと報じており、また同日の企業面ではレアアースの価格上昇により代替技術への関心が高まる中、戸田工業が東北大学との共同研究でレアアースを使わない磁石材料の大量合成に成功したと報じられていた。

このレアアース関連については、先月も芝浦工大が微生物を使って効率よく回収する技術を開発した件や、日立金属やDOWAホールディングスについても同様の件で書いたが、これと並行して一方ではこの素材自体を使わない上記のような新技術も既に成功するなど更にその次のステージまで捉えておりまさに日進月歩の感である。

一昨年の6月には「危機から生まれる技術革新」のタイトルで各企業の巨額な先行投資の模様を書いた事があったが、このときも書いたように今迄環境の変化を拝啓とした危機における産業界の崩壊の度に、何らかのそれを乗り切る革新的技術の普及でそれらを克服してきた経緯があるが、そうした一端が上記のような報道に感じられ、M&A熱も高まるなか各企業が立ち止まっていない安心感を覚える瞬間である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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