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国外流出加速?

本日の日経紙で目に留まったのは景気指標の頁で、09年度の国内ベンチャーキャピタルによる新興企業への投資額は3年連続の減少で、08年度の1,366億円の半分程度に止まり、国内ベンチャーキャピタル投資の低迷が深刻な旨が載っていた。

ベンチャーキャピタル絡みというと、IPO機運の盛り上がりがすっかり廃れてしまい取引所でも少子高齢化?が進んでいる記事も見掛けた事があるが、こうした環境その他の件を背景に上場予備軍も海外へ活路を見出す向きも。そういえば直近では未上場組からクリック証券が韓国のKOSDAQに上場申請したばかりだなと思い出す。

このクリック証券も元を辿れば上場子会社を幾つか有するGMO系であったが、こうした子会社の問題に関しても金融庁は子会社上場のあり方の検討を例の報酬開示と並行して求めている。しかし東証側としては、上記の通りベンチャーに勢いがない現状では企業内ベンチャーなどに期待するほかなく、上場子会社を過度に規制するのは不適切といった意見が大勢を占めた模様。

新興企業もVCマネーも国外流出する兆候が気懸かりとはしているが、こうした上場子会社の規制とかその上場以前のIPO基準とか、はたまたもう少し末端ではFXやらCFD規制云々、監督する側も臨機応変に規制の手綱をコントロールしないとこうした流出の問題は根本的にはなかなか収まらないのではないかとも思う。


人気の分れ目

さて、昨日の日経紙には2009年度の東京証券取引所におけるETFの売買代金が1兆9,534億円と前年度に比べて14.7%減った旨が載っていたが、この減少は4年連続でなかなか取引の裾野が広がっていない模様。

このETFについては度々触れ、最近はその増殖ぶりから先月末に「〜こんなペースからすると今年はETFの品揃えが100銘柄の大台を超えるのはほぼ確実だろう〜」としたが、この時にコメントしたETFセキュリティーズ物は一気に14本の上場であったものの、その売買代金は合計でもたしか1,000万円に満たなかった憶えがある。

その後も時折見ているが銘柄によっては出来申さずの日があったりでなかなかパッとしないものが目立つが、同じコモディティー物でも一方では先週27年ぶりの高値に沸いている金関係ETFなどは活況。金価格連動型はここ数億円の売買代金で推移しているし、SPDRゴールド・シェアなども同様にここ数億円の売買代金で推移しているなど前述の商品とは桁違いである。

同紙によれば米国を中心に海外ではETFの一日の売買代金が平均で7兆円弱に達するという。上記の個別で見れば格差としてはこのくらいのものになるであろうが、金融商品はリクイディティーを確保し活況を呈するものと笛吹けど躍らずなものが実にハッキリしてしまう。ETFに限らずワラントその他もなかなか面白いものだが、リクイディティーが付いて来ないのがなんとも歯痒い感がある。


先物市場も席巻

今週はたしか一昨日だったか日経紙夕刊一面にて、2009年の商品先物取引所別の売買高ランキングで中国・上海先物取引所が前年の6位から一気に首位に躍り出て、前年は1位であったNYMEXをも上回るなど大きく躍進している旨が一面に出ていた。

また、さしずめ日本の東穀取にあたる穀物系を上場する大連商品取引所は昨年同様に2位をキープ、そしてトップに躍り出た上海商品取引所は日本のTOCOMに当たろうかというところだが、さてそのTOCOMは順位を昨年の10位から11位に下げて2000年以降初めてベスト10から転落していたという。

ちなみに同取引所は、平成21年度の取引高が年間で計2,803万2,662枚となり、前年度より24.7%減少したことを今週に発表している。社長曰く、国際的な取引の沈静化の影響が大きかったのが理由としているが、そんな言い訳を尻目に新興国の存在感が一段と増してきた構図である。

目下のところ中国は商いの大半が個人投資家といわれ、その生い立ちが日本と似ているような気もするが、証券市場の方もマル信がつい最近解禁になったばかり。まだ海外マネーの全面解禁とはいかないがバブルを交え?今後の急拡大は想像に難くないか。


春の消耗戦

本日は吉野家の前を通った際に、朝から何気にいつもより店が活況を呈していたようにも見えたが、なるほど本日から13日まで通常価格から業界最安値という旨が店頭のポスターに告知されていた。

この牛丼というか吉野家については当欄ではちょうど一年前の4月にも触れた事があったが、牛丼業界では昨年にすき家が初めて業界最安値を実現、その後に松屋も値下げに踏み切ったものの、肉の違いか吉野家は値下げに踏み切れず苦戦した経緯がある。

さてそんなわけで今回の起死回生を狙った値下げ作戦なのだろうが、その直後にスタンバイしていたかのようにすき家と松屋も更に安い価格帯のキャンペーンを打ち出してきた。これで業界最安値を謳えるのはわずかに数日となってしまうが、なにやら昨年のSBI証券と楽天証券の手数料引き下げ競争を髣髴させる出来事だ。

折しも昨日は同社の2010年2月期の連結最終赤字があのBSE問題当時を上回り過去最悪との見通しも出ているが、なんとも痛々しい消耗戦である。素人考えだが肉が違うなら価格ではなくもう少し素材の優位性というか品質を謳う戦略もオプションとしてはあったのではとも思う。

この辺はファストフード界では例えばマクドナルドも低価格で右往左往した時期があったが、ここ直近は一部高級?化が奏功している。ちょっと昔の話になるが、かつては吉野家も赤坂に高級路線店を出した事があったが逆にこんな時代、ファンにはウケると思うのだが。


再編途上

さて、新年度入りした先週は多くの企業が一斉に入社式を開いたが、1日以降の大手紙でも合併や統合などで誕生した新会社の全面広告などもまた数多く目に付く。

株式市場でもこれらのうち石油業界では二社統合組のJXホールディングスが上場、また保険業界では二社統合組のNKSJホールディングスも新規上場を果たした他、三社統合組のMS&ADインシュアランスグループホールディングスも誕生した。

斯様に一部では破談が相次ぐ一方で合意に至った統合組が新しい出発をしたわけだが、上記のJXホールディングスはこれで国内シェア3割強となったものの、内需縮小などで経営環境は不透明だ。保険にしても内需型のこの市場の特性として世界景気回復の恩恵を受け辛いとされ、市場の頭打ち感とも相俟って収益の成長性は必ずしも楽観できるものではない。統合をテコに上流部門強化や再編メリットをどの程度活かせるかが問われ、株価も今後それらを織り込んでゆくことになるか。

そうそう、大阪証券取引所もこの新年度入りにジャスダック証券取引所を吸収合併したが、他の国内新興市場にしても新規上場はもとより取引自体が低迷している現状下、こちらもまだまだ再編の芽があるといえようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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