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バブル期のノスタルジア

この週末にきて各紙で報道され目に付いたのが、日産が「シーマ」と「プレジデント」の生産を8月に終了するという記事か。なんでも衝突時の安全基準を満たさなくなる事や、今後はフラッグシップモデルを昨年モデルチェンジした「フーガ」に据える戦略などの理由らしい。

国産の類では「プレジデント」などトヨタの「センチュリー」と双璧で、両車ともここの近所にあるあのミシュランでも数年に亘って星を獲得している料亭「濱田家」近辺ではいまだによく待機しているのを見掛けるが、「シーマ」などその登場年度からバブル期の象徴とまで呼ばれたと一部紙では解説している。

さて、ここ最近の報でその姿を消すことになる事になったバブル期の象徴といえばこの車に限った事だけではなく、ホテルの「赤プリ」もその類だろうか。今の中年世代では学生の頃はクリスマスや記念日なんぞは此処などという向きも多かったと思うが、丹下氏の設計でこのロケーションの新館が取り壊しとはけっこう寝耳に水の話であった。

そういえば、車、ホテルとくれば、この赤プリから歩いて直ぐのところにあったブティック「ヴェルサーチ」もバブル期象徴のど真ん中であったが、これまた最近日本から撤退している。
斯様にバブルを象徴した物が一つまた一つと消えてゆくのは諸般の事情もあるのだろうが、各々に色々と思い出がある向きにはやはりとても寂しいものと言わざるを得ない。


本来の使命

本日の株式市場は辛うじて小反発となったが、メガバンク一部などは依然として新安値ツラとなるなど弱い展開で、日経平均が小反発する一方でTOPIXが年初来安値更新となる重さはこの辺を象徴しているともいえようか。

このメガバンクといえば、本日の日経紙経済面「金融を問う」には「メガ化」の理想と現実として損害保険業界と共に、巨大になったメガバンクの組織の内部融合や一体化がなお課題として立ちはだかる現状が載っていた。

ファイナンス関連でも現況BIS規制の絡みで増資合戦が繰り広げられているが、何やらこう競争力維持の為に既存株主などまったく視野に入っていないようにも取れる。資本増強も結構だが、今後はそれらに付随する弊害も勘案する場面が訪れるか。

みずほFGなんぞは今月、テレビ東京の女性記者との不倫?が広く国民へ暴露されてしまった過去を持つ某会長を含む三人がそろって退任する方針を固めたが、株主に対する増資理解だけではなく、上記紙にも書かれていた通り業績回復の裏で顧客の満足含め本来の使命は果たせているか再考すべきであろう。


国策土地転がし

本日も日経平均は半年振りに9,500円割れと大幅続落であったが、昨日の上海総合指数は3.5%高と大幅上昇で取引を終えた。これは上海市などが検討している個人住宅の固定資産税導入などの不動産取引抑制策が先送りされるとの観測が浮上したものに因るところが大きいとか。

斯様にこの市場にとっては上海万博なども拍車をかけ不動産は切っても切り離せない関係が出来上がっているが、国単位で見れば実際のところ北京もそうであったように大規模な公共事業を行うに連れて不動産の価値が高まり、政府による開発事業収益はこの北京や上記の上海など既に50%程度にまで及んでいると何処かで見掛けた記憶がある。

もともとの構図が、国有の流動化事業のようなものであり、仕手株の如く右肩上がりで回っているうちはいいがこれらの回転が止まった時が恐く、容易に想像がつくだろう。

ちょうど本日の日経紙には、あのエンロン株の空売りで一躍注目を浴びたニューヨークでヘッジファンドを運営するジム・チェイノス氏の今の標的として中国で不動産開発をしたり、建設資材を輸出したりする世界中の企業を挙げていたが、またも同氏の「先見の明」が証明されるかどうか見守りたい。


アパレル明暗

本日の株式市場はユーロへの警戒感が強く終日冴えない動きが継続されていたが、そんな中でも朝方から大量の買い物を集めてストップ高の比例配分とひとり異彩を放っていたのがレナウンであった。また、思惑からここ物色されていた同族のルックもこれで再度買い物を集める展開に。

ご存知、この休みの間に同社が中国の繊維大手である「山東如意集団」に対して第三者割当増資を実施し、山東如意集団が株式の約4割を取得、同社の傘下に入る見込みとなったのを好感した動きであるが、この通りにコトが運べば中国企業が東証一部上場企業を傘下に収める初のケースとなるのではないか。

この業界も構造的にキツイ。基幹ブランドを擁する同社などはその性格上長年百貨店と共存してきたが、この高い利益率の構図が崩れ最近のアパレルはファミリーセールやら特別招待やらではものすごい値札が付けられている様を見る度に在庫の恐さを改めて認識する。しかし此処もアクアスキュータムを手放し、ダーバンくらいしか記憶に残るブランドが無いが、これで復活劇なるや否や。

日本企業に限らず今やボルボや、ハマーも中国傘下。実しやかに云われる人民元切り上げなど現実のものとなれば、一段と海外株式など手当てし易くなり中国企業のこうした動きがより一層顕著になるのは想像に難くないか。


中部大阪商品取引所解散報道

さて、今週一番気になった話題はやはりFUTURES PRESSカウボーイも既報の通り、「中部大阪商品取引所」が来年1月末をめどに解散する方針を固めたという一部報道であろうか。 これを示唆するかのように奇しくも日経紙商品面では「正念場に立つ 商品取引所」として一昨日からその厳しい現状について書かれていたが、そんな中での解散報道であった。

ところでこの報道に関して当の中部大阪商品取引所は早速プレスリリースをHP上に出してきているが、まあ臨時理事会は来週であるし「そのような内容を決定した事実はありません。」というこのプレスリリース自体はとりたてて騒ぐほどおかしなものではないだろう。
何れにしてもこの辺は3/10付け当欄「報道と企業のポーズ」でコメントしている件の通りか。

閑話休題。中部大阪商品取引所についてはもう何度も触れて来たが、ここ数年をザッと振り返ってみると株式会社化構想、遅きに失した矢継ぎ早な失敗商品の上場廃止、証券取引所とのMOU締結、本部ビル売却や直近では保有するJCCH株式の売却と絵に描いたような一通りの行動であった。またその間には金人気のお零れ狙いで起死回生を賭けた中途半端な金市場の創設などあったものの、このときも当欄では「必要性は?」と疑問を呈していたが、やはり他のパイを奪う単純発想では成功する素地が薄いのである。

大阪商品取引所と合併してから迷走3年、果たして解散する事になるのか否か06年8月の当欄ではこの件について「弱者連合論は未だ他にも最悪なところがあり〜目的が何かがハッキリしていないと全般希薄になってしまう懸念がある」とコメントしていた。
ところで、先週は新生銀行とあおぞら銀行が昨年決めた合併計画の見送りを正式発表したが、市場に追い立てられた消去法的な弱者連合が当初より上手くいかない典型を表したようなこの事例、商品取引所もこれがトリガーとなり一気に再編スピードが速まるのかどうか注目である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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