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資源メジャーと市況

本日の株式市場は重要日程を控えてまたも膠着状態であったが、その中でもここしっかり推移なのは海運系か。海運といえばやはり穀物などのコモディティー同様に落とせないのがBDI(バルチック海運指数)で、週末も前日比190ポイント高の3506ポイントと急伸、この辺の連日の年初来高値がこれらのポストを刺激しているのは明らかだろう。

そういえばここ最近の日経紙各面などには日本郵船や商船三井の社長インタビューが載っているのを見掛けたが、昨日記を見れば実際の海上輸送量でいえば鉄鉱石は09年に前年比7%増えてリーマン・ショック前を抜いているらしい。まあ、数年前に当欄でこのバルチック海運指数に触れた当時は、実に10000ポイント超の史上最高値更新などというのを考えれば確かに伸びしろも期待出来そうなものである。

ところで輸送量が増えたという上記の鉄鉱石、世界の海上輸送の要となるのは当然ながら中国だが、今期大幅値上げが予測されている中、低コストのものを法外な値段に引上げようとしていると資源メジャーへの見方は厳しい。折しも昨日の日経社説など、現物市場で売買する鉄鉱石の価格は今年度の国内鉄鋼各社契約価格より9割高いと指摘され、資源高による景気失速に警戒を怠るなとしている。

こうした資源モノの物色など海運ポストの動意からさて次は商社関係などとその連想がいわれそうなものだが、それ以前にそういえば以前触れた豪州での鉄鉱石先物等この辺はどうなっているのだろう?資源メジャーへのM&Aも上記の経緯もあって中国大手が食指を伸ばしているし、取引所創設やM&Aもこうした事態に鑑み経済に支障をきたさないような整備が望まれるところだ。


フランス人の和食に日本人のフレンチ?

さて、ちょうど一週間前にはあの「ミシュランガイド、京都・大阪版」で三ツ星を獲得した店が食中毒を出し営業停止になったとの報があったがそれは兎も角、ミシュランといえば今月頭の2010年フランス版でジョエル・ロブション氏が初めて手掛けた本格日本料理店が一つ星を獲得したと発表されている。

日本の食材やサービスに大きな関心を持ってきたロブション氏が、外国人の味覚にも合う「正統的日本料理」を目指した店との事だが、正統的日本料理が如何ほど外国人の味覚に合うのか淡い疑問の残る中、フランス人の日本料理店が星を取るなどブランドバリューはやはり健在だなとこちらの威力に感心。

ただ、よく考えてみればこれよりも前に、あの平松氏が手掛ける「ひらまつ」パリ店なんぞはこのミシュランの星を開店早々に獲得しており、これも似たようなものかとも思ったが本場の敵陣?で星を取っている分、更にこちらは凄いなとあらためて感心。

しかし、欧州へ出掛けた際など空港でブロンド女性が寿司を握っている姿を見るなど、斯様に昨今はこの寿司など今や世界の誰もが知る日本食も多くなったが、ある国や場所によっては本来の料理とあまりにもかけ離れたモノが受け入れられて定着してしまっている部分も多く目にするにつけなんとも複雑な思いになることも多い。

ブームの負の側面とみてよいのかどうかいろいろと意見が分かれようが、食もイメージアップにかかわるひとつの重要な文化だけに、これらの取り組みは課題ともいえようか。


報道と企業のポーズ

本日の日経平均はメジャーSQを控えて身動きが取れず今年最小の日中値幅と膠着相場であったが、そんな中で目立っていたのは今朝大手各紙が挙って載せたところの、CSKホールディングス傘下のコスモ証券を同社に売却する方向で最終調整していると報道された岩井証券の急反発であった。

さて、これに対して当の岩井証券側はホームページでも早速「決定を行った事実はない」とのコメントを発表。こうした買収関係はもとよりこの手の「当社として発表したものであはりません。」というお約束のコメントは、決算シーズンなど期の見通しや決算予想など新聞各紙の報道に対して各社何処も上記のように対応してくることが多く見られる。

適宜開示が行われるまで独自で知り得た情報はディスクロのルールで開示出来ない決まりがあったと思うが、しかしながら決算数字やら統合比率やらそのスキームまでかなり詳細に報道されているのを見るとなんともポーズ的な色合いが濃いというか、果たして当の企業側が後に発表したものが寸分違わずであったりすると出来レースの感は拭いきれないのは自然なところだ。

ところで新聞記事においてこの手のよく見掛けるところの「関係者が語ったところによると」とか「関係者の情報によると」の関係者って誰なんでしょう?まあ、一連の行動が紛らわしく感じるにしても先取りするのが市場で、材料は都合のいいように使われるのが常だから別にいいのだが、ふとディスクロ過程に疑問を感じる時もある。


増殖するコモディティー系

先週末にはETF成功の鍵として、iシェアーズを展開する米ブラックロックが日本での上場投資を強化する旨の件にも触れたが、本日の日経紙経済面には英運用大手、ETFセキュリティーズが今月中旬をメドに国際商品価格に連動するETF14本を東京証券取引所に上場する旨が載っていた。

このETFセキュリティーズといえば、当欄でも昨年の8月に日本進出を果たしはれて貴金属やバスケットもの等が新たなところとして銘柄に加わった旨を書いたばかりだが、今回は一気に14本の上場というからなんともハイペースな感がある。

当初はこうしたコモディティー物がもの珍しく、直接的なフューチャーという形態から受益証券を手軽に売買できるという点に期待が膨らんだものだが、何というか人間勝手なものでこれだけ増殖ピッチが速いと商いが希薄化してこないかなどと早くも別な懸念も出て来る。

まあ先月など直近で通貨連動型の数種がリンク債の手当てに支障が生じる事態となり、スピード償還となった事などを目の当たりにしているだけに、この辺は余計にそう思ってしまう。兎も角、具体的にどんな顔触れが出て来るのか上場した段階でまた触れることにしよう。


増幅される新興国モノ

この休み中に日経紙経済面で目にしたのは、09年度にBRICs関連投信への資金流入額が公募投信全体の5割に達する見通しと出ていた件。これらの信託報酬は比較的高めなことから、価格変動リスクと共にこれらコストに見合う成績が得られるかに留意としている。

それにしても投信といえば昨今目立つのは所謂「通貨選択型」、本日も幾つかあったが新聞に大きくスペースを確保して広告するのは中小から大手まで挙ってこの手のパターンである。そういえば、一月末時点でこの手のモノの純資産残高は3兆円近くに迫る勢いであるというからなるほど凄い。

そんな資金の集まり具合からこれらの人気は想像に難くないが、既にマーケットでは投機筋がこれら多額の設定を見越しての買いを膨らませる行為も目立つと指摘されている。ただでさえ投信設定が上昇要因となっているところへこれらも加担し更に変動を大きくしているともいえようが、欧州始め信用不安波及がどの程度になるか不透明な中、高リスク資産への投資資金の安定性は如何ほどだろうか。

ハイ・イールド債やヘッジプレミアムやら手軽に代行とはいうものの、中身はヘッジというより残高シェアを伸ばしている「毎月分配型」なんぞも分配金を確保する為に其れなりのリスク資産で運用していることもあり、これらも併せて総合的に判断する余裕も持ちたいものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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