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ETF成功の鍵

本日のTOCOM日中では円高圧力もあって冴えない金であったが、NY金は続伸し1月中旬以来の高値水準となっている。この金といえば直近ではあのソロス・ファンド・マネジメントが、第4・四半期に金連動型ETFのSPDRゴールド・トラストへの投資を倍増させたとの報もあったなと。

ところでこのSPDRなどのETF、国内でも最近は随分と種類が増えてきた事もあって、新興国や商品関連モノなども日々チェックする機会が増えてきたが、もちろん王道の指標系もそのクセの比較などもありこれらもチェックからは外せない存在。

そうした中には野村アセット等の指数系同様に上場してから比較的リクイディティがあるiシェアーズ日経225もあり、このブランドを展開するのは世界最大の資産運用会社、米ブラックロックであるが、ちょうど今週の日経紙にはこの米ブラックロックが日本での上場投信を強化する旨が出ていた。

同ブランドで展開するETFは世界の上場投信の48%の残高シェアを持ち、今後は国内証券取引所への上場商品を大幅に増やしてゆくとの事だが、現況ETFはフィーが安いという事から証券会社も乗り気でないのか販売に力を割いていない。この辺はなんだか商品先物のミニシリ−ズとも重なって見えるが、そんなわけで商品数が4倍に増えている一方で残高は逆に4割も減少しているという地盤沈下が目立つ。

先に商品先物連動型ETFが上場した際に、かたや消えていった新興国通貨連動型ETFについても触れたが、国内ETFは先ず機関投資家が要、如何にリクイディティを確保し運用エラーを減らすことが出来るかがキーだが、同社始めとした戦略が奏功してくれば可也面白いものになってこようか。

さて、こうした機運に鑑みて、新年度からはこうしたETF等も含めて、個別の相場についても時折具体的に触れてゆきたいとも考えている最中。


商取コミットメントライン?

先にJCCHから発表になった先月度の商品先物出来高は【FUTURES PRESS】でも既報の通り前月比12.2%減となったが、取引所別で前年同月比等で見てみると特に東穀取あたりの落込みが激しい。この東穀取といえば2/20付け日経紙にはビルや株を担保にした融資依頼の記事が載っていたが、その数日後には中部大阪商取が保有するJCCH株式の売却要請の旨が記事になっていた。

斯様に先月末に掛けては、相次ぐ投資家保護基金への支援要請が記事にされることが多くなり、この辺の事情から日経紙商品面やら社説やらで日本の商品取引所を危惧する旨の記事を見掛ける機会も多くなった。

貸し出し資金である代位弁済積立金は本来、会員の商取会社が破綻した際の投機家の担保を保証する資金だが、こうした事例が出て来るのも取引員の破綻やこうした商品取引所が資金調達難に陥っている現況ならではの光景といえよう。

そういえば資金繰りがどうにもならなくなり責準までツマんで日商協から過怠金制裁処分を受けたところもあったが、責準でなくともこんなところにこんな貸し出し枠があったのか!とあらためて知るケースも昨今多い。しかし、基金団体の貸し出し枠設定も「取引所が運営できなくなるのも先物市場の損失」との名目としているが、再編に向けたプロセスがあるのなら、こうした個別での動きなどワンクッション噛ませているところにまだまだ違和感を覚える部分も多い。


酷似する構造・2

昨日の大手各紙では「さくらや」全店が閉鎖し64年の歴史に幕を下ろした旨の記事を見掛けたが、同じ約60年の歴史に幕といえば吉本興業も先に長きに亘る株式公開に終止符を打っている。斯様に先月は個人に馴染みのある企業が幾つかその長い歴史に終止符という事例があったが、話題性ではやはりその株式公開48年の歴史に幕を下ろした日本航空だろうか。

この日本航空、直近で09年04〜12月期連結決算を発表しているが、10年3月期通期営業赤字を2,500億円以上見込んでいたところ先の営業赤字が1,208億円で収まったので残りの期間を考慮しても意外?に赤字幅が最小限に収まっているとの解説もあった。まあ、それでも純損失は467億円と過去最悪、12年3月期に241億円の営業黒字の確保という再建計画の数字を前にそのハードルが高く聳え立つ。

この再建に投じられる公的資金は総額で一兆円近く、慢性的赤字が続き国債乱発の借金に依存しなければ立ちゆかない日本の財政と同じである。年金にしても最後まで渋るOB組を見るにつけ、今後の日本の社会保障構造と重なる部分など他に幾つも見受けられる。

昨日は「酷似する構造」として社会保障絡めてギリシャと日本の財政構造を書いたが、破綻した一企業ベースの比較で見ても一部紙の指摘にもあったように、斯様に同社と日本の財政事情がここでも重なってしまう部分があり、構造問題解決が焦眉の急を告げるなか、日本航空は稲盛会長、かたや日本は鳩山首相とそれぞれ今後の手腕が注目されている。


酷似する構造

本日の日経紙経済面では「マネー再びリスク回避」としてユーロ・新興国通貨から円・ドルへとの記事が出ていた。この辺はドイツのメルケル首相もユーロが導入以来の厳しい状況に直面していると直近のインタビューで語っている通りだが、このリスク回避に根ざした円高基調がこのまま続くかには不透明な面も残るとしている。

この辺を同紙では衆院選で民主党が大勝した昨年8月末時点と比較して、先週も当欄で取り上げたCDSプレミアム(5年物)が2倍に拡大している旨が書いてあった。政党といえばこのマネーのリスク回避のトリガーになったギリシャも昨年社会主義運動が勝利し社会保障の充実等を謳っていたものの、いざ政権をとるとその劣悪な財政事情に直面しこれらマニフェストが全く守れない状況になっているのが現状。

さて我が国の民主党、この経済面の隣の政治面の頁にはタイミングよくというか財源不足が指摘されるマニフェストを巡り、見直しが必要と思われる政策の調査結果が載っていたが、政党といい構造といいこれまたなんとも酷似しているではないか?

同紙に市場では「ギリシャの次は日本」との声もあるとしているが、斯様に考えてみるとこうしたギリシャの債務問題も対岸の火事的には片付けられまい。こうした声があながち単なる煽りに聞こえない恐さがこの一文には潜んでいる気もする。


破壊と創造-フランス大使館

さてもう月末だが、今月は某大使館に所用があってちょっと麻布界隈に出掛けた際、帰り掛けにフランス大使館(旧)にて開催されていた「NO MAN’S LAND」が延長開催されている事を思い出し、ちょうど近所ということもあって様子を見に行ってみた。

この「NO MAN’S LAND」、一部にご存知の向きも居ると思うが、昨年にフランス大使館が新庁舎へ移転した後の旧大使館をそのままフルに使い切ったコンテンポラリーアート展である。用が無ければ来る事はない大使館なので此処へ来たのは久し振りだが、早速エントランスが何やらTDLの某アトラクション風?に変身しており妙な期待が高まる。このイベントが延長開催されているのを知らない向きも多いのか人もマバラ、フレンドリーな女性に声を掛けられながら中へ。

ここを抜けて目に飛び込んで来るのはパーキングに停めてあるフランスならではのプジョーだが、路面から続くピンクのペインティングがベタベタと車体にも。それを横目に(メタル製の)折り紙風飛行機が突き刺さった路面を歩き建物へ。これに参加したアーティストは約70組だそうだが、真面目に執務が執り行われていたと思われる部屋が大量の紙屑にバスケットゴールや、はたまた金ピカなデコレートやら雑木林に変身していたり、粘土で被い尽くされたキッチンや階段の壁には何かのメッセージなのか?鼻血?なる文字のネオンが怪しく灯っていたりで、想像以上になかなか面白かった。

そんな斬新でユニークな創作もさることながら、国を代表する大使館だけにそもそもこの敷地自体が聖域であり、加えて普段ではまず見る事自体が不可能な歴史的建造物の金庫や、その他厳重な施錠機能が施されたシークレットルームなどワケ有の部屋まで殆ど全てを見ることが出来る機会というのは一般にはそうそう無いだろう。

そんなワケで、そうせ全て破壊するのだから其の前にこんな創造をという文化的且つ奔放な発想と行動に感心であった。
と、ここまで書いて年明け早々に当欄で「欧州流のIR」というタイトルでカレンダーの話を取り上げてコメントしたのを思い出した。さて果たして日本の役所などこんなイベントが出来るであろうか?

少しはお手本にするくらいの器量が欲しいものである。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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