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金融愚策

昨日は東京都内にて、台湾系証券会社などが日本企業向けの説明会を行った模様だが、約80社が参加し近く日本企業も上場する見通しが明らかにされたり、参加した他のベンチャー企業も資金調達し易い日本以外での上場を検討する旨のコメントも見掛けた。

さて、このベンチャー企業や出資といえばつい最近は日証協が今月下旬から導入を目指している新たな規制案が思い浮かぶ。すなわち有価証券の引き受けに関する協会規則に「上場前に個人投資家に自己株式を販売した企業については、原則として新規上場の引き受けを禁止する」という項目を追加しようというもの。 始めこれを日経紙で見掛けた時はなんとも短絡的だなと思っていたら、果たしてかな上場企業トップ始め各界の識者などから可也の反対票を集めた模様だ。

当の日証協では、この目的の一部でもある未公開株問題等を以って個人に消費者センターなどが「日証協の規則でこうした行為は禁じられている」と説明できるようになれば抑制力になる。としているが、この適用除外項目にしても曖昧で水際にて「この例外規定があるから問題ない」と言われてしまえば全く意味を為さないのではないか。

本来の健全なマネーまで逃げ出してしまうという愚策?では、先のドイツ空売り規制で唐突にこれを打ち出したメルケル首相が金融界から顰蹙を買った一件が思い出されるが、まあ、これに比べれば日証協は自主規制団体とはいえ全証券会社が加入しているのを考えれば再考が求められようか。


異常国債依存度

本日の日経紙クイックサーベイには、日本の財政に不安を感じるとした向きが97%に上っている旨が載っていた。ただ足元ではむしろ「安全資産」との認識から国債への資金流入が続き、金利は低下基調にある中、すぐに日本国債が暴落することは考えにくいとの見方が多いとか。

この辺は月初にやはり同紙一面に載っていたように、国内投資家による日本国債の保有比率は今年3月末で95%超えとなり2006年3月末以来の高水準になったとの旨がその辺を物語っているが、利回りの低水準でさながら国債バブルとの見方も当然多い。

そういえば先の郵政官営化への逆戻りにおいて郵貯限度額引き上げ論もあったが、真っ先に想像されたのは国債との絡みか。銀行も然り、確かに企業の資金需要の低迷というのがあり、仮にあったとしても焦付き懸念が付き纏う中で国債へ流れるというのも否めないが、
この残高は普通に見れば可也怖い部分がある。

しかしながら中には過度に不安視する必要は無いとの見方も多く見掛け、今の状況が不変ならばまた話は別なものの、もうじきに団塊世代年金受給も本格化する。仕手株なんぞと同様に考えるのはどうかと思うが、この手のファイナンスの如く回っているうちはいいものの金融機関等影響を考えれば崩れ出した場合の構図がやはり怖いところでもある。


ディスクロ透明化

さて、今週は3月期決算企業の株主総会がピークを迎えた。集中日としては一昨日であったが、分散化が進んだ結果昨年よりも234社少なく1,087社が開催。週初には株主数では国内最多となった第一生命も初体験、そこそこ手厳しい洗礼を受けた。

今迄と毛色が違う点としては今年から1億円以上の報酬をもらった役員の氏名や金額を有価証券報告書に記載することが義務付けられ、総会でも明らかにするかどうかが焦点になっていたが、この辺は諸外国とは勝手が違うだけになんともいえない。

また、同時に義務付けられた議決権行使結果の開示もある意味おもしろい。可決でもその中身まで晒されるのだから、本来の安定株主を除いた一般の部分の圧力も無視出来ない可也の効果はあろうか。

ところで思うのは、斯様に形態が変わっても例年送られてくる株主総会の通知だけは形式通りで変化に乏しい。かつてのような委任状争奪戦なども無く、シャンシャンと言われた時代から総会屋や外資系ファンド勢もすっかりおとなしくなり、漸く総会が本来の透明性を増しても今度は本来の個人株主が行動を起こす事例が増えまた新たな緊張感が芽生える。まだまだこんな総会通知一つ取っても改善すべき点は多いのではないだろうか。


ジャンク通貨?

さて、本日はカレンシーショップの前を通った際に、トルコリラやメキシコペソなど東京金融取引所で上場延期となっている通貨は今どんな感じなのだろうとふと思ったが、そういえば先週一部大手紙がイラク通貨でトラブル急増と取り上げていた。

こういったマイナー通貨のイラクディナールなどを斡旋するブローカーは前から居たものだが、当時からその流通相場を見れば何れビジネス?が横行してトラブルも多発するだろうなと思っていた矢先、果たしてかなという印象。

まあ、上記のカレンシーショップの外貨宅配サービスにおいてもさすがにイラクディナールの扱いは無く、その辺もブローカー暗躍の素地に加担していると思うが、戦争を経て相場が約2,000分の1にもなった通貨はやはり監理ポスト?これを求めるのは整理ポスト入りした一桁株を買うようなもので、減資(デノミ)でもしたらその程度によっては本当にジャンクになろう。

M&Aから未公開株までいろいろなブローカー(アレンジャー)が居るが、連中の行動を見ていると次に何が流行る?かが見えて来る。投資(投機)の選択肢が急速に広まってきているだけに、益々自己防衛の重要性がクローズアップされよう。


銀行も社債も

本日の日経紙には、東京都が主導し、企業の社債を束ねた金融商品で2件目の元本割れが出ることが確定した旨が出ていた。これは所謂広域CBOと呼ばれるモノで、みずほグループが07年に「エクセレント・コラボレーション」の名で証券化商品として発行した総額約160億年のモノとか。

これは東京都知事が、単独では社債が発行できない中小企業でも無担保・無保証で資本市場から資金調達出来るように提唱した所謂「債券市場構想」に沿ってスタートしたものだが、そういえば昨年のちょうど今頃にもこの広域CBOが元本割れを起こし約130億円を棄損した旨も同紙で見た記憶がある。

背景には中小企業の経営が悪化し返済が見込みを下回った為だが、「エクセレント・コラボレーション」なる名称が今となってはなんとも寂しい。もともと半ば自治体がお墨付きを与えているようなものだけに元本割れに納得がいかない向きもあろうが、東京都といえば「新銀行東京」を見ればこれらの共通点として審査の脆さが連想されよう。

そういった点と共にこの手は組成上の都合もいろいろとある場合が多く、この辺も与信の甘さに一役買った部分があるのは否めないだろうか。上記の銀行と共にアイデア自体は否定できないが、昨今東証での新興企業破綻事件に見られるように審査の重要性を考えさせられる事例である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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