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縦割り行政崩壊期待

さて、今週一番気になった件といえば15付けの日経紙一面にも載っていた「総合取引所、13年までに」という政府の創設方針が固まった旨の記事だろうか。ホールディングス形式にし経営統合する案などを軸に検討する模様で、今年度中に具体的制度設計に着手するという。

再三論議されてきた商品取引所再編も焦眉の急で、折しも直近では中部大阪がTOCOMに市場移管の方向となっている。本命?より先にココがきたかという感じであるが、残る向きも結論を出すのは時間の問題だろう。

しかし、日経紙などでも先月だったか「正念場に立つ商品取引所」として厳しい環境の旨載っていたが、TOCOMと並んで載っていた東穀取などはやはり比較するにつけトップの感覚が違う。この総合取引所構想にしてもTOCOM社長は他との一体化を含む形態に拘らず議論に前向きな姿勢を見せる一方で、東穀取社長は「巨大な取引所になるのはいかがなものか、複数の取引所が競い合うほうがいい。」とコメントしている。

他にも一貫して売買高減少の原因を不招請勧誘禁止等規制強化に尽きるとするなど、一頃の一部取引員経営者と思想が重なる。数年前に「どうも農水系というのは取引所含めた諸々までいろいろな温床になっている感」と書いた記憶があるが、ココも中部大阪以上の迷走で悪しき官僚意識が足枷になって体質転換の遅れは否めない。

何れにせよ今後政務三役で議論が進められようが、漸く縦割り行政の悪しき構造が解消する時期が近づくと共に、様々な懸案解消に期待がかかる。


新値決め

本日のTOCOMでは各上場銘柄が一様に高く石油製品などもこの範疇であったが、これに関しては期近が他限月比で上げ幅を縮小していた。対スポットで裁定が利いていたもののクラックの拡大から割安感も薄れてきたことでリバランスなどあった模様か。

さて、このスポットといえば今月からJXグループなど新しい値決め方式がスタートしている。以前に当欄では同社傘下の新日本石油など製品の卸価格をスポットと共に先物へと連動させる市場連動制を導入の旨をコメントしたことがあったが、今月から先物は外されこのスポット価格に一本化されている。

結局のところベーシスの度重なる乖離やそうなった場合の鞘寄せが想像していたよりも緩慢であった部分が大きかったのか、市況が乱高下するなかマージン確保に苦労した経緯のある数社は、思うように転嫁出来なかった部分を踏まえ最低水準を高く設定してきている。余談だが本日も全面高の株式市場にあっても、これらJXやコスモ石などはマイナス圏の引けである。

ところでこうした元売りの一部要請もあって、再び先月には軽油の先物が復活した経緯があったワケだが、既にその翌月には大手筋が市場連動制でも先物からスポット一本化など先物は梯子を外された格好。もっともその軽油も本日の日中取引での出来高はわずかに期近で2枚にとどまり体をなしていないのが現状、先ずこの辺のリクイディティーを確保しないことには進展のしようもないだろう。


史上最短記録

本日の日経平均は小動きであったが、そんな中でヒッソリと上場廃止を迎えたのが東証マザーズの半導体装置メーカー、「エフオーアイ」であった。ご存知同社、上場申請書類に虚偽の決算情報を記載していた事件が発覚し、監理から整理ポスト入りし今回の日を迎えたというもの。

最終日の出来高は20,400株、ところで規模こそ全然違うがJALの時もそうであったように最終日の売買代金なるものどんな奇特な向きが買うのだろうかいつも疑問に思う。さてそれは兎も角、今迄いろいろと企業の上場廃止を挙げてきたものの今回驚いたのは、新規上場から半年そこそこで上場廃止になったその前例の無い早さだ。

通期決算の経験さえしないようなこんな?箱?は見た事がなく、その酷さに監査法人と企業にばかり矛先が向かうが、株主責任を被った投資家から見れば幹事証券や取引所にも応分の責任があろう。幹事証券は売ったら売りっぱなし、取引所は再三の通報にも重い腰を上げず「本格的に仕組まれたら見抜けない」と開き直るような話ではないだろう。

ただ難しいのは一方では新興市場活性化とのバランスという問題、汚れすぎている水も不正横行の栄養になってしまうが、水清くしてナントカともいう。正規ポスト?との兼ね合いもあるなか、目下新規開設の「東京AIM」も上場企業はゼロである。この辺についてはまた後で触れてみたい。


ワケあり下剋上

さて、先週末の日経紙にはイトーヨーカ堂が今月下旬から大手食品メーカーと協力してメーカー在庫の処分販売を定期化する旨の記事が載っていた。5月末の試験販売では主力大手が参加したが、今後は地方の有力メーカーなどにも幅広く商品提供を呼びかけるとしている。

大手不動産会社などが出資するブランド衣料のアウトレットなどはもう周知の通り確立されているが、この辺の食品等も長引く消費低迷で漸くポストPB?の形態構築に大手が動いてきた感じだ。

ワケありにもいろいろあるが、製品の所謂型落ちや食品などの不揃い物はスペック若しくは味など全く遜色の無いものなど札によってはほんとうに叩けるので旨みがある。反面、同じワケありでも不動産その他モロモロ、最後までその裏を知らない方がいいなどというモノも在り。蛇足ながら金融商品も一部は間違いなくワケありもモノ在りである。

しかし、今回のスーパー戦略などは試験的に始めたワケあり品販売が好調だったことに起因するものだが、最近ではワケあり品=割安との判断直結で思わず食指を動かしてしまう消費行動を読んでワケも無いのにワケありの一言を添えて普通の札で売る業者も多く見かける。こうなるとそうしたプレミアムが乗った分、適正なバリューは如何ほどかとなってくるのだが、その辺がまたワケありなのだろうか。


比価論

さて、今週は金がまたも史上最高値を塗りかえた。南欧危機がハンガリーに波及するとの懸念が広がった事がトリガーになって、ここへきてまた同コモディティーに資金が集まった動きという感じか。

一方で最高値更新したこの日のNY DOWは前場続落であったが、ここ急落した反動もあって123.49ドル高で終えた。さて、NY DOWといえばこれを金で除した「ダウ・金倍率」なる指標について先月半ばに日経紙が取り上げていたことがあった。この倍率は30〜40年の波で動くのが特徴で、資本の脆弱化を示し現状からの倍率反転は容易でないという。

ところで業界では昔から、この金とPGM系の比価や銀などメタル系同士の比価を以ってして割安やら割高やらと測ったりする光景があったものだが、一コモディティーから金融商品の色彩が急激に濃くなってきた近年では、こうして株式や通貨などとのレシオの方が彼方此方で多用されるようになってきた。

コモディティーというカテゴリーで金はよく一括りにされ、外貨準備として買われる事のないPGMほか、原油などとも同じステージで比較されるが、国籍が無い通貨の顔も持っており、寧ろ今後はその性質がますます金融色を帯びるのは自然な成り行きだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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