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酷似する構造・2

昨日の大手各紙では「さくらや」全店が閉鎖し64年の歴史に幕を下ろした旨の記事を見掛けたが、同じ約60年の歴史に幕といえば吉本興業も先に長きに亘る株式公開に終止符を打っている。斯様に先月は個人に馴染みのある企業が幾つかその長い歴史に終止符という事例があったが、話題性ではやはりその株式公開48年の歴史に幕を下ろした日本航空だろうか。

この日本航空、直近で09年04〜12月期連結決算を発表しているが、10年3月期通期営業赤字を2,500億円以上見込んでいたところ先の営業赤字が1,208億円で収まったので残りの期間を考慮しても意外?に赤字幅が最小限に収まっているとの解説もあった。まあ、それでも純損失は467億円と過去最悪、12年3月期に241億円の営業黒字の確保という再建計画の数字を前にそのハードルが高く聳え立つ。

この再建に投じられる公的資金は総額で一兆円近く、慢性的赤字が続き国債乱発の借金に依存しなければ立ちゆかない日本の財政と同じである。年金にしても最後まで渋るOB組を見るにつけ、今後の日本の社会保障構造と重なる部分など他に幾つも見受けられる。

昨日は「酷似する構造」として社会保障絡めてギリシャと日本の財政構造を書いたが、破綻した一企業ベースの比較で見ても一部紙の指摘にもあったように、斯様に同社と日本の財政事情がここでも重なってしまう部分があり、構造問題解決が焦眉の急を告げるなか、日本航空は稲盛会長、かたや日本は鳩山首相とそれぞれ今後の手腕が注目されている。


酷似する構造

本日の日経紙経済面では「マネー再びリスク回避」としてユーロ・新興国通貨から円・ドルへとの記事が出ていた。この辺はドイツのメルケル首相もユーロが導入以来の厳しい状況に直面していると直近のインタビューで語っている通りだが、このリスク回避に根ざした円高基調がこのまま続くかには不透明な面も残るとしている。

この辺を同紙では衆院選で民主党が大勝した昨年8月末時点と比較して、先週も当欄で取り上げたCDSプレミアム(5年物)が2倍に拡大している旨が書いてあった。政党といえばこのマネーのリスク回避のトリガーになったギリシャも昨年社会主義運動が勝利し社会保障の充実等を謳っていたものの、いざ政権をとるとその劣悪な財政事情に直面しこれらマニフェストが全く守れない状況になっているのが現状。

さて我が国の民主党、この経済面の隣の政治面の頁にはタイミングよくというか財源不足が指摘されるマニフェストを巡り、見直しが必要と思われる政策の調査結果が載っていたが、政党といい構造といいこれまたなんとも酷似しているではないか?

同紙に市場では「ギリシャの次は日本」との声もあるとしているが、斯様に考えてみるとこうしたギリシャの債務問題も対岸の火事的には片付けられまい。こうした声があながち単なる煽りに聞こえない恐さがこの一文には潜んでいる気もする。


破壊と創造-フランス大使館

さてもう月末だが、今月は某大使館に所用があってちょっと麻布界隈に出掛けた際、帰り掛けにフランス大使館(旧)にて開催されていた「NO MAN’S LAND」が延長開催されている事を思い出し、ちょうど近所ということもあって様子を見に行ってみた。

この「NO MAN’S LAND」、一部にご存知の向きも居ると思うが、昨年にフランス大使館が新庁舎へ移転した後の旧大使館をそのままフルに使い切ったコンテンポラリーアート展である。用が無ければ来る事はない大使館なので此処へ来たのは久し振りだが、早速エントランスが何やらTDLの某アトラクション風?に変身しており妙な期待が高まる。このイベントが延長開催されているのを知らない向きも多いのか人もマバラ、フレンドリーな女性に声を掛けられながら中へ。

ここを抜けて目に飛び込んで来るのはパーキングに停めてあるフランスならではのプジョーだが、路面から続くピンクのペインティングがベタベタと車体にも。それを横目に(メタル製の)折り紙風飛行機が突き刺さった路面を歩き建物へ。これに参加したアーティストは約70組だそうだが、真面目に執務が執り行われていたと思われる部屋が大量の紙屑にバスケットゴールや、はたまた金ピカなデコレートやら雑木林に変身していたり、粘土で被い尽くされたキッチンや階段の壁には何かのメッセージなのか?鼻血?なる文字のネオンが怪しく灯っていたりで、想像以上になかなか面白かった。

そんな斬新でユニークな創作もさることながら、国を代表する大使館だけにそもそもこの敷地自体が聖域であり、加えて普段ではまず見る事自体が不可能な歴史的建造物の金庫や、その他厳重な施錠機能が施されたシークレットルームなどワケ有の部屋まで殆ど全てを見ることが出来る機会というのは一般にはそうそう無いだろう。

そんなワケで、そうせ全て破壊するのだから其の前にこんな創造をという文化的且つ奔放な発想と行動に感心であった。
と、ここまで書いて年明け早々に当欄で「欧州流のIR」というタイトルでカレンダーの話を取り上げてコメントしたのを思い出した。さて果たして日本の役所などこんなイベントが出来るであろうか?

少しはお手本にするくらいの器量が欲しいものである。


CDSに見る日本のレピュテーション

本日の株式市場では今日24日の米公聴会に社長が出席するトヨタが続落となっていたのが目立った。なんでもこの公聴会、宣誓証言で偽りの答弁が発覚した場合、偽証罪に問われることもあるというから穏やかでない。誠心誠意お話したいと日本を発った社長だが、謝罪の文化が違うだけに日本流では通用しなさそうな雰囲気もある。

このトヨタ、CDS市場では今月に入ってからプレミアムが100ポイントを超え、こうした問題を受けてかなど代表的指数の値が昨年のあのドバイ・ショック以来の高水準に達している。ちなみに本日も同社のそれはワイド化し、再度の100ポイント超えを示現である。

しかし上記の通り、キャッシュリッチと長年言われてきたトヨタが100ポイント超えのプレミアムでは実に日本のソブリンをも上回るという異常事態?この日本ソブリンとて件のPIIGS財政悪化に対する危機感が強まった影響でワイド化してきたものだが、日本の象徴ともいわれている代表企業が、いまやリコールの嵐では共倒れという感もある。

週末だったか日経の大機小機で、このグローバル企業であるトヨタのリコール問題や日本航空の破綻やらで日本のレピュテーションが急速に傷付きつつある旨が書いてあった記憶があるが、CDS市場からもこうした負の連鎖が起きており日経平均との絡みにおいても日本、そしてその代表企業の行方が注目される。


SOと平成の脱税王

さて、平成22年3月期決算から一億円以上の報酬を受け取った上場企業役員の個人名と金額の公表を義務付ける金融庁の方針に経済界が反発を強めているらしいが、この報酬額の中にはSO(ストックオプション)なども当然含まれてくる。

ところでこのSOだが、最近特に目立つのはこれで得た所得の申告漏れやら隠蔽やらといった事が明るみになる事例である。ここ一週間でもクレディ・スイスの社員や元部長から始まって、医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソンの元代表、また昨日の日経紙にはシティバンクの元幹部がこれで脱税と在日外資系がゾロゾロ出て来る。

問題になった外資系でなくとも日本企業でもSOといえば全株主にSOを付与した企業があったり、業界でもFX会社がこれを付与している企業が幾つか、そういえば商品取引員でも取締役にこれを付与したところが数年前にあったなとも思い出すものだ。

SO行使の税金に関しては証券外務員試験でもよく出題される事例だが、この連中あちこちのPBに飛ばし巧みに遣り繰りした努力も買うが、それを掴んだ国税もなかなか手強いなと。折しも今は確定申告の真っ最中、しかしまあこの確定申告を呼び掛ける一国の首相は贈与税不払い問題で国会追求され、また某幹事長も然り、まったくこれでは税金を真面目に収めるのもバカバカしくなってくるというものだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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