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放置期間と大義名分

さて、FUTURES PRESSでも既報の通り、先月末には中部大阪商品取引所が、鶏卵・ゴム・アルミニウム・天然ゴム指数の先物市場を3月以降、順次廃止すると発表している。

この鶏卵といえば、昨年の夏だったか鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれた折には、一日の出来高もゼロで取組が僅か2枚の商品は取引所研究報告書提言であるところの、「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」という部分に合致しないのか?と当欄では疑問を呈しておいたが果たしてかなという感じか。

いずれも出来高がピーク時からわずか数%にとどまり、「市場としての役目は終った」と今更ながら判断したらしいが、ともあれこれで残る上場商品はオイルと昨年に上場させた金のみとなる。

小出しにするよりまだマシともいえるが、吸収合併した大阪商品取引所時代の3市場もやっと廃止対象というところで、この辺は東穀取が吸収合併した横浜商品取引所の引継ぎ上場商品も大義名分で一定保有期間?を経た後に廃棄処分へというお約束の構図であるか。

さて、同所は08年に関西商品取引所と共に大証とMOUを締結しており、その具体的な協力の一環として新商品に関する共同研究を開始すると同時に発表しているが、これより先にMOUを交わしているTOCOMなどは既に上場している金と白金に連動型のETFを上場意向と発表しており、この辺は金先物などと同様に二番煎じにならぬ目新しいモノが望まれるところである。


「碍務員」?

さて、今月は常用漢字の見直しを進める文化審議会の漢字小委員会などの報道もあって追加を望む漢字等について、日経紙の春秋欄等でもしばしば記事を見掛ける機会が多かった。特に希望が多い中でも長いこと議論されてきた、「障碍」などと使えるような「碍」等は確かに導入が急務だとも思われる。

ところで、漢字絡みでは先に住友生命保険が毎年の世相を表す「創作四字熟語」20周年を記念し、各年を最も象徴する優秀作品を発表しているが、ちなみに昨年のは千円高速で渋滞した現象に絡んで「遠奔千走」。過去の作品で面白いものには93年の低金利時の「利息三文」や94年の「株式凍死」等があったが、昨今からすれば当時はまだ今より夫々マシであったとなかなか笑えない。

こんな四字熟語ではないが、金融系では昔からある不名誉な創作モノに「害務員」等というのがある。証券業界なんぞは「シキリ」が朝から普通にあった時期でもありこれが多用されたものだが、それでもまだ新発のオイシイCBやら、IPOモノ等のアンコが補填用に割当られていた部分もあり或る程度はアメとムチで蓋をして来れたが、こと商品先物業界には一般的にこうした玉を扱う機会も無かった訳だから、かつてはムチばかりでそのまま「害務員」がイメージとして定着してしまった経緯もあろうか。

まあ、一部には自己のハナ替えでこうした玉も無かったわけではないが公に出来る玉でもなく、こんな末端でも考えてみればプライマリービジネス然りアンコ玉然りでインフラの部分こそ遜色のない時代になったとはいえ、こうした営業では箍をはめられていたというのは否めないか。

そうした意味では現場サイドからいえば「碍務員」だったか?ともあれ選択肢多様化に伴って多少は箍が緩むのか、はたまた融合の名の下にオイシイ部分を持っていかれてしまうだけなのかが注目されるところ。


まだまだ「ざる法」多数

さて、週初の日経紙などをパラパラと捲って見ていたら月曜日の法務欄には、未公表の重要な企業情報を使って株式を売買するインサイダー取引の摘発が相次いでいる旨の記事が大きく出ていたが、摘発で最も多いのはTOB絡みで09年は21事案のうち10事案を占めた模様。

まあ「相場に絶対は無い」などといわれる中で、確実に上がるのはこのTOBで逆に確実に下がるのは破綻とも言えるが、昨今はTOBも急増し10年前の10倍になっているのに加えて破綻から上場廃止になる数も急増しているという背景もあって、素地としてはオイシイこの双方に触れる機会が急増した分だけ好環境?になっている訳だ。

そうそう、インサイダー取引といえば直近では年末にジャスダック上場株を巡って一億円以上もの利益をあげた外資系生保の外務員が居た。余談だが、同外務員の上席にあたる人物と先日会った際にこの話題で盛り上がったのだが、彼は会社でこそ仲間は少なかったものの、ネットワークを駆使した営業で頭角を現していったらしく、これを犯罪までフルに活用し切ったパターンか。

それはさておき、証券取引等監視委員会は起訴された4,500万円の事例とは別に開設した口座で儲けた一億円以上の利益に関しては、所謂「2次情報受領者」扱いになる為に規制対象外から告発を断念した旨がいわれている。フィルターを挟んで抜けるなんとも単純な構図だが、政治資金規正法然りまだまだザル法の課題は多いなと。


金色のマッチ箱

さて、昨日の帝国データバンクの大型倒産速報は一気に5件もの掲載とその多さが目立ったが、其の中でも目を引いたのが(株)東京シティークラブの破産手続き開始決定の報であった。

(株)東京シティークラブというより「シティクラブ・オブ・東京」と言った方のが解り易い向きも居ると思うが、ちなみにバブル経済ピークの頃にあのカナダ大使館のビル内に設立された英国式のクラブに倣った会員制プライベートクラブである。会員制クラブを謳うところはこの頃にそこそこ増えたが、ココは当初他とは一線を画しそれなりの客層が多く揃っていたのが印象的であった。

まあ、此処は食事などはそのコストからすると失礼ながら普通以外の何物でもなくポイント寄与は全くなかったが、それでも立派な調度品に囲まれた落ち着いた空間はやはり他とは異質であったという事もあって、私もかつては打合せなどで何回も使ったものだが、昨年から既にメンバー間では不審視されており果たして年明け早々には休業体制に入っていた。

他の破綻モノが主役なだけについ見落としそうであったが、名門云々問わずこういった二次的、三次的なモノも当然といえば当然なのかなと。ともあれ紙屑に向かう会員権、年会費その他であるが一部には外国人経営陣がとんずらという話も出ている、そう考えると会員権ならぬ劣後債?とか含め何やら年末に破綻してしまった某証券会社に構図が酷似しているなあとフト思った瞬間である。


垣根が復活?

NYでは株式が3日間で500ドル超の下げとなり、日経平均も本日は一時10,500円割れとなるなど引続き世界的な株安の流れが継続、この辺は周知の通り先週にオバマ新政権が新たな金融規制案を発表したものに因るところが大きいが、取り敢えずは消化不良で一旦巻き戻しておこうというところか。

この規制案、1930年代の「グラス・スティーガル法」の復活かといわれ、銀行・証券の垣根を高くする派の元FRB議長のボルカー氏や国際競争力の観点から難色を示すガイトナー氏やらと取り沙汰されているが、夫々の立場もあれば素材も大きすぎるということもあり、ハードランディングしないよう均衡を探るのは容易であはるまい。

また、成長著しい中国経済に絡んでチャイナマネーへの影響も懸念される。ここ最近のGM傘下のサーブを一部買収した北京汽車や、フォード傘下のボルボ等を買収した吉利汽車等を取ってみてもその背景には米投資銀行の影がチラついているし、これから双方にカネが落ちる青写真を描いていた彼らに取って可也厄介な話だろう。

今後は詳細を巡って議会との調整もあろうが、何れにしても思惑で株式、商品その他マーケットが揺れる機会が増える可能性もあるだけにその成り行きには注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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