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業界と当局

来年からの新しいNISA(少額投資非課税制度)の「成長投資枠」で投資出来る第1弾が発表されているが、昨日の日経紙金融経済面にはこの選定基準を巡って詳細なその条件面などが厳しすぎるなどとして運用業界と金融庁との間で不協和音が生じている旨の記事が出ていた。

この中でも信託期間や毎月分配型など約款変更や追加などを施せば条件をクリア出来る状態になるものもあるが、除外商品を金融庁の条件に合うように作り替えるのが難しいモノとして挙げられるのがデリバティブ系か。侃侃諤諤の末にヘッジ目的に限定したデリバティブ使用の旨を約款に記載すれば条件を満たすことになった模様だが、デリバティブは現場で携わった人間でしか理解出来ない投機の解釈があるだけに何とももどかしい。

今後も上記のように約款を変更するなどして条件を満たしたファンドを毎月追加してゆくはこびとなるが、現場と当局の解釈を巡る温度差をどう縮めてゆくかも課題か。いずれにせよ新生NISAの厳しいとされる「ふるい」が投信の選別を今後加速させることになってゆくのかどうか、この先も注視してゆきたい。


LGBTとマーケティング

先週の当欄ではLGBT等の性的少数者に配慮するダイバーシティへの関心が高まる中、物議を醸し出したジェンダーレストイレ等を取り上げたが、今月は性的マイノリティへの理解を促す「LGBT理解増進法」が成立し23日に施行されている。この手では国際的に日本の取り組みの遅れが指摘されており、更に理解を広げる事が必要とされている。

折しも今月は、今から54年前のちょうど今日(27日)にLGBTが集っていたNYのバーに不当な踏み込み捜査を警察が客と衝突した事件を起源としたLGBTQの権利向上を目指す「LGBTQプライド月間」とされる。先進国の米ではNYでパレードが開催されたが、国内でも各所でこの月間にちなんだマーケティングがなされている模様だ。

ところでマーケティングといえば米では小売り大手のターゲットやバドワイザーを販売するアンハイザー・ブッシュ等がLGBTを象徴するレインボーをテーマにした商品販売や、広告にトランスジェンダーのインフルエンサーを起用したところ、それぞれ保守層による不買運動が広がり株価の急落から時価総額を大きく飛ばすハメになっている。

こうした分野はコア層の分布にも注意しなければばらないが、支持層と保守層に挟まれ「あちらを立てればこちらが立たず」となんとも難しい。先に破綻したシリコンバレーバンク始めとした連鎖破綻然り、SNSが恐ろしいほど進化し顧客の行動が急速に動く環境下では企業も改めて顧客戦略を練り直す必要がありそうだ。


捻れの賛否

今週は株主総会がピークを迎えるが、先週もいくつか注目された株主総会が執り行われた。21日は香港のオアシスマネジメントと創業家の対立が続くフジテックの株主総会があったが、前会長側が株主提案した社外取締役の推薦が否決された。またこの翌日22日には先週の当欄でも取り上げた日本証券金融の株主総会があったが、ストラテジックキャピタル側の提案はいずれも否決されている。

そしてこれと同じ22日に執り行われたコスモエネルギーHDの株主総会ではシティインデックスイレブンズの買い増しに備えた買収防衛策発動の是非を諮る議案が可決している。ココが注目されたのがその採決手法で、大株主であるシティ側を除外して採決をとる方式であるMOM(マジョリティーオブマイノリティー)という特別な手法を今回用いた点である。

これと同じパターンで記憶にあるのが東証スタンダード上場の東京機械が一昨年の買収防衛策導入時に実施した時の光景か。この時も最高裁まで争った結果認められたものだったが、今回も同様にシティ側が訴えた資本主義にあるまじき株主平等の原則に反するとの意見もあながち間違いではなく一般株主の利益保護をどこまで盾に出来るのかどうか賛否両論あろう。

今回の買収防衛策を巡っては米議決権行使会社のグラスルイスやISSも反対推奨しており、総会後に提出された臨時報告書によればMOMを用いなければ否決されていた賛成率であった事も判明している。経産省が取りまとめ中のM&Aに関する新たな指針の案ではこのMOMによる買収防衛策の発動は非常に限定的で例外的な場合に限られるとしているが、今後の日本の上場企業のコーポレートガバナンスを占う上でもこれらの事例は試金石となろうか。


株主優待廃止と創設

先日JTより株主優待品が届いた。同社にはこれまで長年にわたりレトルトカレーやカップ麺、魚沼産コシヒカリ等の自社商品を送っていただいていたが、残念なことに今回が最後の優待となる。これに伴い年末には優待事務局も閉局となるが、既に昨年にプレスリリースの通り株主への公平な利益還元の在り方という観点から廃止の決定に至った模様だ。

まあ確かに大株主級の法人などからすれば小口の株主に優待品を配るのは不平等だということになるワケだが、此処に限らずオリックス等も人気だった(ふるさと納税)ならぬ(ふるさと優待)を廃止するなどプライムの大手どころの廃止が近年目立つ。とはいえこのJT然りオリックス然り両社共に優待廃止と同時に増配を発表している。

当欄では昨年秋頃に「還元の在り方」と題し、「今後は企業側も還元の軸足が配当や自社株買いに移ってゆく動きが顕著化するかどうかこの辺の動向は注目しておきたい。」と書いていたが、4月以降に本決算を発表したプライム市場の企業で増配した企業は5割近くにのぼり、日経紙集計でも予想配当額は過去最大更新の見込みで、自社株買い計画の公表も過去最高に迫るペースという。

一方でグロース市場などの新興勢の中には株主優待を創設、または復活させる向きが目立つ。しかしこちらもまた東証絡みで再編により上場基準も厳しくなったことで何処も株価が欲しいところだが、機関投資家の資金が入ってくるのが限定的な中小型株では個人投資家の存在が大きくIRも重要になって来るというもの。再編を打ち出した当初は代わり映えのない市場と散々揶揄されたものだが、その景色が今まさに変わりつつある。


何でもジェンダーレス?

さて、某所でジェンダーレストイレなるモノを初めて見たが、一昨日の日経紙夕刊には「公共トイレにも「多様性」の波」と題し女性や社会的弱者、LGBTなどの性的少数者に配慮するダイバーシティーへの関心が高まるなか、今年4月に開業した東急歌舞伎町タワーの誰もが使えるというフレコミの所謂「ジェンダーレストイレ」が多様性に配慮しようと逆に画一的になってしまったことで対立の構図を招き炎上騒ぎとなった旨の記事があった。

この末尾には「多様性の時代とはいえトイレには改善すべき課題がまだまだ残っているようです。」とあったが、個人的には男女の区別が求められるこのトイレや浴室などの場所と、そうでない男女の区別が求められない場所とのジェンダー差別問題は分けて考えるのを前提としないとこの手の炎上は今後も起こり得ると思う。

トイレといえば日本は設備機能や清潔性など世界一を誇りココはインバウンドの外国人も多く訪れる場所だけに何とも残念な事態なワケだが、しかしトイレに限らず最近は運動会にまでジェンダーレスに重きを置いて本末転倒な例も出ているようだ。先の東京五輪でもトランスジェンダー選手は公平か?と物議を醸し出した一件もあったが、画一的に処理出来るほど簡単な問題ではないだけに各所でのリスクマネジメントが要になってくるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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