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煽られた?若冲人気

さて、今週は東京都美術館で開催されていた「生誕300年記念 若冲展」が大盛況のうちに終了となった。チケットを買うまでに1時間近く、入場まで3時間以上という日が続き列の途中には水分補給所が設けられ果ては看護師まで列を巡回するという異様な光景まで見られた展は、結局約44万6千人の入場者を記録し1日あたりのそれも同館展覧会で過去最高だったという。

しかしいつの間に若冲はこんな人気が出たのだろう?たしかに重要文化財である鹿苑寺大書院障壁画始め、総額30億円はくだらないという誰でも何所かで一度は目にしたことがあるであろう最高傑作「動植綵絵」30幅等々、初期から晩年の大作が一堂に会する展だけに関心も向かおうがそれにしても異常な動員数だ。

私個人的には若冲に関してはこんな騒がれる以前から注目しており、当欄でも2008年8月に国立博物館で開催された展に出掛けた旨の事を書いているが、当時は直ぐに入館出来てじっくりと作品を楽しむことが出来たものだ。おそらくはTVやメディアが散々煽ったせいで、ニワカ若冲ファンが増殖した影響も大きいのだろう。

ところで、この東京都美術館からほど近くにある「国立西洋美術館」だが、周知の通り世界遺産に登録されることになった旨が先週報じられている。都内では初めての世界文化遺産の誕生だが、二度の見送りを経て三度目の正直となっただけに早くも多くの人でこちらも賑わっており若冲展が幕を閉じても上野の賑わいはこれからも継続しそうだ。


東急カラー

昨日の日経紙には「雑貨満載、江戸切子の箱」と題して、今年3月に銀座にお目見えした東急不動産の商業施設である「東急プラザ銀座」について書かれていたが、ちょうど界隈に所用があった都合で私も過日このビルを一寸覗いてきた。

階層毎にテーマを設けた作りだが総じて東急色が強く、かつてルミネや丸井が出来た時同様やはりこの界隈と違うカラーを感じた。東京初進出の店も誘致したようだがテナント以外では屋上の「KIRICO TERRACE」も印象的。TVや新聞では斬新さを称える向きが多かったが、既に三越銀座オープン時に屋上テラスは売りでありウッドデッキからの芝生広場と草木広がる植栽スペースを設けた三越の方がより銀座上空で四季を感じる点でコンセプトには合っているか。

ところで上層階には約4400平方メートルという都内最大のロッテ免税店が入っているが、エスカレーターで上がって来るとこのフロアだけまだ開業準備中かと勘違いするくらい人けの無さを感じた。ともあれ今17年3月期ではこの東急プラザ銀座が業績へ寄与し東急不動産は最高益更新見通しというが、思惑通りの初年度売上高を達成出来るかどうか今後の動向に注目である。


取引所視野

さて本日は一服となったものの、昨日の株式市場ではトレイダーズホールディングスがストップ高まで買われ、全市場中の値上がり率ランキングトップとなっていたが、業界からはマネーパートナーズやマネースクエア等も揃って続伸していた。

後者は週明けの日経産業紙でビットコインに関する法的な位置付けを明確にする資金決済法改正案が月内に国会で成立する見通しとされ、その新規参入を狙う最右翼の関連企業としてマネーパートナーズのゆくゆく取引所運営も等と同紙で取り上げられていた事が刺激材料になったもの。

また日経の夕刊でもスイスのツーク市が、7月から住民登録料の支払いに国や地方自治体としては世界で初めてビットコインを使えるようにする旨も載っていたが、マイナス金利に因る銀行決済手数料にも言及しており昨今の時事背景も絡め予想以上に汎用加速の片鱗も読み取れる。


新興アノマリー?

さて、先週末の日経紙マーケット面には「格言通り?新興株急落」と題して、春先から急騰した東証マザーズ指数の先導役であった創薬ベンチャ−のそーせいグループ株が25%下げ、連れて指数も急落した旨が載っていた。特にマザーズ市場の5月は成績が悪く「セルインメイ」によく当て嵌まる事で今年も格言が使われ易いか。

ところでマザーズの代名詞ともいわれるそーせい株だが、JASDAQ-TOP20のETFでいえばかつてのガンホー株のような存在になりつつあるといったところで、それもそのはずその時価総額はマザーズ指数の約2割に達するなど銘柄別で最大な事に他ならない。ガンホーは実に5割(ETF)に達したが、これも新高値を更新如何では当然占有率も変化してくる。

日本取引所グループは傘下の大証が来る次期売買システムの稼働に合わせマザース先物を上場する予定で、同社株にもこれに先駆けて先回り買い等も入っていたとの指摘も一部あるが、これに続くミクシィやサイバーダイン等々時価総額上位10社で全体の半分近くを占めることになる。225と違って個別の規模が異なるだけに、一方で裁定のオペなどどうやっていくのか今後も興味深いところである。


ストームライダー千秋楽

さて、今週はTDSの「ストームライダー」が惜しまれつつ週明けに運営終了となった。これは周知の通り17年春に映画「ファインディング・ニモ」シリーズの世界を舞台にした新アトラクションがオープンする事に因るもの。

これは開園当初からあるアトラクションで一発のキャパの大きさから何時でも乗れる印象だったことで合間を埋めるのにちょうどよく、私も此処のラウンジから使い勝手のよさでよく使ったものだったが、やはり消えるとなると最終公演の整理配布券は開演から7分で終了し、最終日は実にインディージョーンズの前くらいまで4時間近くの行列が出来ていたようだ。

ホテルオークラの時よろしくこちらも一部ファンが1,000件以上の署名を集めオリエンタルランドに嘆願書を送っていたそうだ。とはいえここ数年にわたる立て続けの強気の値上げで「夢の国」のスクラップアンドビルドは必須というところだが、2017年3月期の市場コンセンサスを大幅に下回る慎重予想を覆す一助になる事が出来るか否か値上げ巧者の腕が試される。


電力先物模擬取引

昨日の日経紙春秋では、東京商品取引所が商社や電力各社と電力先物の模擬取引を今月下旬から始める旨を取り上げていたが、これは先月の電力小売りの全面自由化を受け卸売市場で電力取引が盛んになった後の価格変動に対するリスクヘッジニーズ需要を見越してのもの。

ナスダック開発した電力取引システムを試験的に導入するようだが、欧米の後追いという格好でのスタートとなる。その欧米では電力先物の上場後に現物取引も活発になったという経緯から現物取引導入も視野に入れる模様。

同所では今年度中の電力先物上場を目指すというが、この期に及んでも文中には先物はマネーゲームが過熱する恐れがある等のくだりもあった。電力といえば発電用燃料としてLNG等の存在もあるが、同市場の成長で派生的にこれらの市場拡大にも発展してゆく可能性がありこうした偏見の是正も込めて必要不可欠な産業インフラに育ってもらいたいものだ。


特A急増

昨日の日経紙夕刊一面には「ご当地米 新顔続々」と題して、2016年産のコメが農林水産省のリストに726銘柄載り、新顔を15年産に比べて33%多い32銘柄に達するなど新銘柄が続々誕生している旨が出ていた。

米といえば個人的にはいつも決まったところから直接購入しているが、派生的に来る案内では毎回何かしら新しい銘柄がありワイン並みに詳細な解説が付いている。減反政策が始まった後に量から質への転換を後押しする目的でスタートした5段階判定の食味ランキングでは、最高評価の特Aが昨年産は46となりこれは過去最高水準という。

かつての新興ブランド米もこれによって今やメジャーの仲間入りを果たしている経緯があるが、コメ離れがいわれる昨今高評価急増が独り歩きしている感も否めない。当の農林水産省は今年の生産目標を需要予測を大きく下回る目標と定めたが、TPP等も絡めての生産戦略など各所の思惑が複雑に絡み合う構図か。


新興サイダー

週明けの日経平均はザラバで200円以上高い場面があったが、そんな中で終日ストップ安気配から比例配分でひときわ目立っていたのがマザーズ市場のALBERT株か。これは周知の通り同社の元会長が同社株を保有する親族らに業績予想下方修正を公表前に伝え損失回避させていた疑いがある事でこのインサイダー容疑が嫌気されてのもの。

明らかな下落を確信しての取引でインサイダーでは空売りをかけるのと同ケースとなろうが、過去には破綻準備中に周辺から漏れた情報で個別貸借銘柄の空売りが横行し、比較的最近ではファイナンス実施のヒアリングから漏れた情報で対象銘柄の空売りが大規模に行われた件が問題になって情報伝達者も行政処分や刑事罰対象となった経緯がある。

金融商品取引法違反といえば直近ではもう一つ、インサイダー取引ではないものの東京地検特捜部がジャスダック市場の夢の街創造委員会の創業者を2年前に同社株を相場操縦した疑いで任意事情聴取している事も報じられている。双方共に新興市場だが、昨年日本取引所は上場時審査厳格化等を打ち出している。果たして上場後のセカンダリーにおいても新興モノもこうした問題は起こり得るが、当事者意識に委ねる次第であり完全な防止策は無いか。


プチぜいたく

さて今年も早いものでGWが終了したが、中日の日経紙には「GW、近場でプチぜいたく」と題して前半の3連休は小売・外食産業等の店頭ではちょっといいものを楽しむハレの日消費が目当ての客でにぎわった旨が載っていた。

世間では中日に休みを取って最大10連続休暇等の報道も多かったが、そのまま連休の日並びでも無いので昨年より遠出等はし難かったのも背景にあろうか。上記の通り成城石井始めとしたスーパーで高価格帯が売れ百貨店もまた然りであったというが、ホテル等も一寸覗けば一目瞭然である。

私は所用でニューオータニに後半行ったのだが、一寸優雅なブランチといったところか遅めの時間帯にも関わらずブュッフェを展開しているレストランは何所もほぼ満席に近い状態で、GWに合せ早くもオープンしたガーデンプールも老若男女で幅広い年齢層でごった返していた。とはいえこの連休消費で停滞している消費が一気に循環に向かうのかどうか、客層も絞られている感もありこの辺は不透明か。


カネで魂?

さて、大手不動産各社が決算たけなわで本日は引け後に三菱地所の決算があった。16年3月期の連結経常利益は前期比8.8%増の1448億円と従来予想の1300億円を上回り減益予想から一転して増益着地、17年3月期も前期比3.6%増の1500億円に伸びる見通しとなっていた。

ところで三菱地所といえば先月の日経紙「私の履歴書」は同社名誉顧問だったが、終盤では買収した米ロックフェラーについても触れていた。バブルの当時は東京23区の地価合計額がアメリカ全土の地価合計額と並ぶ狂乱ぶりで、同社の買収もジャパンンマネーが米国の魂を買ったと物議を醸し出したものだ。

そういえば昨年の夏頃だったか「ニッポンの過去問」なるTV番組でバブル時代の様々な出来事をランダムに紹介していたのを思い出したが、その中でこの地所の買収劇も出てきた。他にもソニーがコロンビア映画を約6,000億円で買収した件や、安田火災がゴッホの「ひまわり」を約58億円で購入した話も出てきたがバブルが過去のものとなった今、当時の裏側を当事者が回顧しているのがまた感慨深い。


AI運用

昨日の日経夕刊の一面には「運用 人工知能が台頭」と題し、昨今囲碁などのゲームや産業ロボットなどで注目を集めるAIの活用が、株式や債券などを対象にプログラムに基づく運用に加えAIが自動的に運用するファンドも台頭するなど世界の金融市場でコンピューターを活用した運用が活発になっている旨が載っていた。

このAIに関しては当欄でも今年に入ってから二度ほど取り上げ、フィンテック系に関しては昨年末にGSAMがアナリストリポートを全てAIで解析する旨なども書いたが、同紙によればAIファンドやCTA等を含むコンピューター運用型のファンドは年初から3ヵ月の成績が業界全体がマイナスとなっているなかプラスを記録する好調さという。

国内でも三菱UFJ信託が自動でAIが運用するファンドをはじめて組成した旨が報じられているが、シミュレーションでは好調な成績という。同社は「金の果実」シリーズを手掛け幅広く浸透した経緯があるが、この分野の黎明期の参入でETFに続き軌道に乗るかどうかこの辺は興味深い。


軌道

この連休中に海外では金の国際価格が上昇し、指標となるニューヨーク先物価格はほぼ1年3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,300ドル台を付けていた。先の米雇用統計もNFP(非農業部門雇用者数)の伸びが予想を大きく下回り、6月利上げ観測が大きく後退するなどドル安が進行し易い環境で代替資産とされる金にマネーが流入している構図となっている。

ところでこの金といえばTOCOMの金限日取引「東京ゴールドスポット100」が先週末で上場から1年を迎えている。同取引については度々当欄でも取り上げ「限日好調」と題して挙げた前回の昨年10月末時点では建玉が初めて7万枚を超えた旨を書いたが、それも先月末では先物標準と肩を並べる8万5千枚超えまで膨らんできた。

これが軌道に乗りつつあることで同所は年度内に白金でも限日取引を導入する方針ということだが、次期取引システム移行時の金オプション取引の商品設計変更等も併せ近年の原油に厚みが増している援軍が効いているうちに次の主力を育てる事が出来るかどうか引き続き今後に注目である。