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悪事の素地

昨日は金ETF人気から順調にその残高が積み上がっている旨を書いたが、金絡みではローカルなニュースで豊島区の「造幣東京博物館」から展示用の時価にして6,384万円という15キロの金の延べ棒を盗んだとして造幣局の職員が窃盗容疑で逮捕されたという報があった。

リースと称してレプリカを置かせオリジナルは質入れしたというが、しかし受け側も疑いもなくよく受け入れたものだと或る意味感心。他にも金絡みの犯罪では先々週にマカオからプライベートジェットを使って大量の金を密輸しようと試みた比較的大掛かりな例もあった。

金の密輸といえばたしか昨年の末だったか韓国から下関港に到着した活魚運搬車からも密輸しようとした金が見つかった件があったが、更にその前の関空で見つかった金密輸も同様に韓国からであったおぼえがある。付加価値税と関税還付、更に消費税狙いと悪知恵は尽きないが今後も増税の度にこの手の密輸事件が表面化してくる気配である。


金ETF熱

先週の株式市場は英国のEU(欧州連合)離脱懸念への不安から大きく揺れたが、こうした金融市場のリスク回避姿勢の対でファンドが逃避資金を金に振り向け、ニューヨーク証券取引所に上場する金ETFの代表銘柄SPDRゴールド・シェアの金保有残高は15日時点で900.75トンと、2013年10月上旬以来約2年8ヶ月ぶりに900トンを突破した旨が先週末の日経紙に出ていた。

この前週の段階でも保有残高は年初比で37%多く約881トンであったが、やはり増加傾向が続いている。加えてちょうど一週間前に当欄で「レジェンド復活」とした著名投資家のジョージ・ソロス氏の投資ファンドも上記SPDRのコールオプションを保有している事も判明しておりこの辺も価格頭打ち以降の残高減少に歯止めがかかっている所以だろうか。

最も旬な材料としてはやはり今週の国民投票が焦点ということになろうが、価格に関してはFRBの利上げ踏み切りを絡め踊り場とする見方も一部にある。ただ日銀や欧州のマイナス金利政策など世界的な低金利環境下で利回りの低下した国債の保有リスクが高まっている事も背景に残高漸増傾向はまだ当面継続される可能性も強いか。


変化する銀座玄関口

さて、今週はソニーが「ソニービル銀座」を17年3月末で全館の営業を終えた後にビルを取り壊し、その跡地を「銀座ソニーパーク」なるイベント広場にするとの発表があった。来る東京オリンピックを睨んで屋外のライブ会場や情報発信拠点として活用するという。

ソニービルといえばちょうど一年前に惜しまれつつ店を閉めた「マキシム・ド・パリ銀座」が思い出されるが、その上に入っていたソニープラザという名前も同社株式の売却が背景なのかいつの間にかプラザに変更となり、このあたりを境に心なしか自分の中にあるソニービル像は無くなっていたというのが正直なところ。

そんなワケで今回の全館営業終了もタイミング的に潮時という感で個人的にもマッチしたものだったが、この数寄屋橋地区も直近で「東急プラザ銀座」がオープン、またそこから至近距離にある「プランタン銀座」もマキシム・ド・パリ同様に本店とのフランチャイズ切れで年末には今の店舗を閉店する。

近年は新陳代謝が激しいこの界隈だが、今後は訪日客の増加を追い風に商業地としての価値を睨んでこの手の再開発プロジェクトもますます拍車がかかって来ることが予測されるか。


カカオ熱再び

本日の日経紙商品面には金とプラチナの価格差が再度拡大傾向にある旨が載っていたが、コモディティーといえばもう一つ、チョコレート原料のカカオ豆の国際価格の上昇にもマーケット面では触れており、昨日のロンドン市場の先物価格は一時1トン2,300ポンド台に達し4月下旬に付けた5年ぶりの高値圏に接近している旨も書かれていた。

主要生産地の南アフリカでの乾燥による出荷の落ち込みや、株式市場も戦々恐々としている英国のEU離脱懸念もポンド建取引の同商品には押し上げ要因となっているというが、生産国の禁輸措置やそれらに乗じたヘッジファンドのスクイズ等で30年振りの高値まで高騰した6年前の活況を彷彿させる。

一昔前には著名ショコラティエが食指を伸ばしたカカオの急騰が話題になったりしたものだが、昨今はコモディティーの金融商品化や新興国の需要拡大が品薄に拍車を掛けてきている。今年に入ってからは小笠原諸島産のカカオを使ったチョコレート開発に成功した報も出ていたが、本邦でもチョコレート生産のスタイルが変わってゆくのかどうかこの辺も興味深い。


AIリポート

本日の日経紙金融面には「AIで調査リポート」と題して、カブドットコム証券がフィンテックベンチャー企業と共同で上場企業の調査リポートをAIで1分以内に作成するシステムを開発するとした旨が載っており、今夏にも個人投資家がスマホ等で見られるようにする計画という。

アナリストリポートに関しては当欄でも昨年末に、GSAMが証券会社から送られてくる膨大なアナリストリポートを全てAIで解析し投資判断の変更を高確率で予測する旨を書いていたが、早くもリポートそのものをAIに投げる試みが展開されている。

ちなみに対象銘柄は大手証券のアナリスト等が作成している所謂コア系の大型というワケではなく、彼らがカバーしていない中小型銘柄を対象にするという。企業訪問でもアナリストがカバーしていない企業対象に足で稼ぎ珠玉の発掘をするファンドマネージャーの存在があるが、機敏なアクションが求められるセクターだけにこの手の試みは要注目である。


レジェンド復活?

週明けの日経平均は英国のEU(欧州連合)離脱問題への警戒感の高まりや円高から大幅に3日続落となった。これとは対照的に金価格はこの英国のEU(欧州連合)離脱を巡る懸念から1週間で相場の上げ幅は5%に達し、国際価格の指標となるニューヨーク市場先物相場は約3週間ぶりの高値まで上昇してきている。

この金といえば先週は著名投資家のジョージ・ソロス氏のソロス・ファンド・マネジメントが株式を売却する一方で金都金鉱会社の株式を購入したとの一部海外紙の報道が伝わり、当日前場の株式市場では別子こと住友金属鉱山株が日経平均への寄与度トップに躍り出る場面もあった。

とはいえ証券各社では総じて慎重、みずほ証券は買い推奨継続しているものの大和証券はJOCに関連する追加損失計上リスク等から目標価格を引き下げ、UBS証券はPERやROEなどが同業他社より割高として投資判断をニュートラルからセルに格下げしており、早速本日の下げで往って来いとなっている。

結局、不透明な金属市況をどれだけ織り込んでいるかというところだろうが、この辺の個別株はともかくもレジェンドプレーヤーの復活は何かを意味しているや否や。今後EU離脱を巡る英国国民投票含めた数々の政治イベントを控えこの辺の思惑は一段と募りそうである。


二強

今週の日経紙・一目均衡では「規制が呼んだ先物活況」と題したものがあったが、新興国の需要拡大が牽引した資源ブームが終わり原油相場は急落したものの、相場環境の激変に関係なくCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やICE(インターコンチネンタル取引所)など欧米の原油先物売買は急増を続けている旨が書かれていた。

言うまでもなく上記二強は世界首位を争う存在となっているが、NYMEXを買収したCMEは規制を切っ掛けに店頭デリバティブが取引所先物に移行する先物化を商機とし24時間売買システムのグローベックスが売り、ICEは欧米アジアに広がるグローバルな取引網と精算拠点を展開し500超の原油関連商品を上場する電子売買特化が売りである。

そうした背景もあって同紙によれば昨年の両者の売買高は原油相場が史上最高値を記録した2008年を9割も上回り、今年も先月までCMEが前年同期比で34%増、ICEが同17%増加と相場に左右されがちな本邦とは状況を異にしている。

そんなワケで昨今デリバティブが価格を形成する近年において、商社などサイバーで先駆する両者無しに取引は成り立たないのが現実。翻って東京市場、上記の状況にあるとはいえETN組成が奏功しその間接効果が寄与しているが規模拡大に今後どう向き合ってゆくのか欧米を見据えつつ課題は山積みである。


消えゆく種目

さて、運動会も一巡といった今日この頃ある待合室でママ友らしきが運動会議論に花を咲かせているのに居合わせたが、やはり近年話題になっている「ピラミッド」などの所謂組体操に関していろいろ思うところがある模様だった。

この組体操といえばやはり運動会の終盤に行われる花形種目のイメージが強いものだが、周知の通り危険性が問われ今年の都内では組体操を外し集団のマスゲームに変更する学校が急増した模様。達成感や連帯感を養う教育効果は保てますよといったところだが、当の児童や父兄も賛否両論が尽きない。

しかし素朴な疑問ではるか昔からあったこの組体操だが、危険性が謳われるなら何故今までこれほどまでに世間が騒がなかったのだろうか?近年の児童がこれに対応出来ないほど体が付いてこれなくなったのか、はたまた責任問題が厳しく問われるようになった昨今の学校側の防衛姿勢なのか、そのうち騎馬戦までもがターゲットにされるのかどうか波及が気になるところである。


シルク再興

さて、昨日の日経紙には「絹の街再興 市民が紡ぐ」と題して世界遺産の富岡製糸場がある群馬県富岡市で、市民にカイコを育ててもらう取り組みが始まった旨の記事があったが、将来的には生産者を確保しその生産量が落ち込む富岡シルクの存続につなげたい考えという。

希望者には飼育キットを無料で配布するとしているが、養蚕業が戦後に再度のピークを迎える頃など小学校の夏休みの宿題にもカイコを育てて自由研究の課題にもしたものだったのが思い出される。それがいつしか新興国に押されかつて上場していた前橋乾繭や横浜生糸も消えてしまったのもまた感慨深い。

シルクといえば当欄でもちょうど一年前に取り上げた際の末尾に「富岡製糸場が日本の近代化遺産で初の世界遺産登録となった。衰退してしまった養蚕農家も、こうした将来の私達の生活をも変える可能性を秘めている技術応用をもってもう一度世界遺産と共に立て直す大きなキッカケになるかもしれなく今後も期待したいところだ。」と書いていたが、こうした取り組みも一助に繋がるのかどうか今後も見守りたいところ。


日銀REIT

先週末の日経紙マーケット面には「さえぬ日銀大株主銘柄」と題して、ここ横這いの続いている東証REIT指数を横目に日銀が発行済み投資口の5%以上を保有する12銘柄の値動きが精彩を欠いている旨が載っていた。

一般的にREITは創設初期の投資口価格の低い時期からエントリーする向きの配当期待商品色が強いが、日銀のそれはETFよろしく残存購入枠の解釈で足元を見られ易く下支え効果が効いていないという側面や、やはり当欄でも度々指摘してきた吸い上げによるリクイディティーの問題が背景にもなっているようだ。

来週には日銀金融政策決定会合を控えはたして更なるマイナス金利拡大があるや否やだが、長期国債利回りに過去のスプレッド水準を上乗せして求めた期待利回りをベースにしても伸び悩み感が否めない点も一部で指摘されてきているだけに、これまで同様の軌跡となるかどうか上記含めてこの辺は不透明である。


三度目の正直?

本日の日経平均も円買い株売りの構図が継続され大幅続落となったが、昨日は同様の商状の中にあってGMOテックやアドウェイズ等のポストが朝方から大量の買い物を集め、後者など昨日のストップ高に続いて本日も二日連続でストップ高まで買われるなど破竹の勢いとなっている。

この辺は周知の通りスマホ向け無料通信アプリを手掛けるLINEが来月にも東京証券取引所に上場すると複数のメディアに報じられた事に因る関連株物色なワケだが、このLINEといえばこれまで数年前の急成長時期から度々年場観測が出ては消えといった肩透かしを辿ってきた経緯がある。

当欄でも一年前くらいに「兆超え再び」と題して取り上げた時の関連銘柄の乱舞が再度上記のように見られたものだったが、当時は末尾で時価総額1兆円超え云々の観測を書いていたものの今回は6,000億円規模に半減、関連銘柄含めさすがにお茶も三杯目になると出涸らし色が濃くなる。とはいえ規模的にはやはり今年最大となるだけに注目のIPOとなるのは間違いのないところか。


回復過程

さて、本日の日経平均はストップロスの円買いの影響もあって急反落となっていたが、昨日までは17,000大台を約一か月ぶりに回復していた。またコモディティーの方も原油が約7ヶ月ぶりに1バレル50ドル大台まで回復するなど国際商品も総じて底入れをうかがう展開に変ってきている。

それに伴って国際商品指数のロイター・コア・コモディティーCRB指数は先週時点で2月に付けた14年ぶりの低水準より2割高く年初来の高水準になっているが、これらを背景に上記の原油で投資比率の引き上げを図るなど、コモディティーで運用する投資ファンドも商品市場に続々回帰してきている模様だ。

新興国の個人消費を支えに世界需要が回復していることもあって今年度の需要見通しが相次ぎ上方修正され国際需給の均衡観測も浮上しているというが、個別毎の需給は異なりロケーション別には為替も絡むだけに全般は立ち直り途上にあっても落とし穴がある可能性は大きいといえようか。