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IPOラッシュ

今月12月のIPOは14社、今年の新規上場が46社であるからまさに今月は上場ラッシュということになるが、直近のものなどミドリムシの研究開発を手掛けるベンチャー企業のユーグレナは先週上場から2日目にして公開価格の2.3倍となる初値形勢となったが、本日も2日連続のストップ高と破竹の勢い。

もう一つ、同様に先週上場を果たした地盤ネットも公開価格の約2倍で初値形成し本日で3日連続のストップ高とこちらも更に凄い勢いである。全般総嵩上げのなかでもこれだけ派手な動きをすれば目立つものだが、上記の今月モノの公募価格からの初値の上昇率は平均59%と可也のパフォーマンスとなっている。

ちょうど日経平均も大台回復し、個人の余力が上昇し回転が利き始めたおりでありタイミングの重要性をつくづく感じるといったところだが、昨今は銘柄や地域のバラエティ−が増え企業の若年化も復活歩調にあるという。一方ではそれだけ玉石混合ともいわれるが、確かにラッシュの後は煮え湯を飲まされる例が過去何度もあっただけに今後は選別眼が必要となろう。


年末の再編劇

さてこの年末にきたところで先週はNYSEユーロネクストの米ICE(インターコンチネンタル取引所)への身売りの方が入って来た。デリバティブに強い米ICEとの統合効果により同分野で規模が最大といわれるCME(シカゴマーカンタイル取引所)グループの牙城を崩そうとする動きとも報じられていたが、取引所といえば直近の成約例では今年夏の香港取引所によるLME(ロンドン金属取引所)の買収が記憶に新しい。

ダントツの知名度を誇る上に200年以上の歴史があるニューヨーク証券取引所を擁するNYSEであるが、売上高こそ米ICEの2倍以上軽く売り上げるもののその売上高営業利益率は直近のもので米ICEの3分の1にすぎなく、設立僅か数十年という新興勢?の傘下に入る下克上劇もこの辺の収益力を見るに自然な流れとも映る。

ところでこのNYSEユーロネクストといえば、かつて当欄でも取り上げたことがある通りドイツ取引所との統合話があったものだが、欧州委員会の壁が立ちはだかり立ち消えになった経緯がある。他にもシンガポール取引所の件や、LSE(ロンドン取引所)の件など国際間の物は国益が絡むだけになかなか難しいものもある。

そんな渦のなかで、本邦も東京証券取引所と大阪証券取引所がはれて経営統合となるが国際的な再編劇前の布石なのかどうか、先ずはこれで地盤強化なるや否やその行方を見守りたい。


百貨店ストラテジー

さて、巷の百貨店などついこの間までお歳暮商戦酣であったが矢継ぎ早に今や御節商戦が酣となっている。ミシュランガイド発売後とあって例年通りその関連店舗から出すモノには強気な値段が並ぶ光景は例年通りだが、今年は三代が楽しめる「家族型」と逆に少量ニーズを取り込んだ「個食型」の二極化もいわれている。

こうした商戦ではあの手この手で各店舗共に個性を競い合うが、お歳暮、御節の師走が過ぎると今度は早々に冬物セールのイベントが待ち構えている。ところでセールといえば今年は夏物のセールで大手各社が例年より遅らせる形を取った為に混乱をきたし、結果的に各社軒並み減収が顕著となり見事に空振りとなった経緯があるのは周知の通り。

そんなことからもう横並びで追随は懲り懲りとばかりに、夏の反省から大手どころは先送りの先陣を切ったところを除き冬物セール開始は例年通りという向きが大半を占めるが、百貨店側と共に夏物のセール先送りを仕掛けたとされている大手アパレルも冬物では年初からと平常通りの動きになる見込みで、やはり前にも書いたところである麻薬の如きセールの扱いは難しい。

デフレ長期化のなかでのアパレルの位置付け、家電と共に回復期でのホテル等との違いを前にも書いたが、冬の時代はまだ続くのか否か顧客利益と自己利益の天秤での試行錯誤はまだ終りそうにもない。


建前論と核心

昨日の日経紙、風速計では「大手主導の日証協に反旗?」としてネット系および中小証券が日証協の中に立ち上げた「個人投資家応援証券評議会」なるものが、大手の意向を反映した日証協運営体制への反旗ではないかと業界で波紋を呼んでいる旨が書かれていた。

同評議会の議長はマネックス証券社長だが、同評議会参加については「主たる顧客基盤を個人投資家とする証券会社という評議会の性格付けに適った証券会社に集まってもらいたく、参加証券会社を一定の基準で絞り込むことも大事なことだと考えている。」としている。

となれば大手・銀行系は事実上参加が難しい狭き門?となってくるが、その議題にしてもファイナンスの実施に絡む問題点など大手のプライマリービジネス等の核心に触れる部分が多く真っ向から論議ということになると仮に大手と議論の場を設けても個人投資家の視点からすれば当然の如く大手には分が悪い。

他にもアップティック・ルールの是正まで含めた議論まで範囲は広いが、相場も年内に年初来高値を抜くかどうかまでにわかに熱くなってきているおり、市場活性化の使命を背負う日証協が均衡点を見出せるかその采配が今後注目されるところ。


在庫豊富の調達難?

政権交代を囃してこのところ円安・ドル高が進んでいることもあって、国内の商品先物全体の値動きを示す日経・東工取商品指数は昨日には4月中旬以来約8ヶ月ぶりの高水準となった。本日も続騰となっており商品高の好感から商社株や別子こと住友鉱も高いがこれを含む非鉄系もこのところ堅調が目立つポスト。

この非鉄といえばLMEで決める地金価格にメーカーなどが運賃や手数料を加味するプレミアムが高水準になっている旨を日経産業紙で見掛けた。アルミ地金等の国際在庫は過去最高水準ながらLME指定倉庫からの引出予定量昨年末の10倍以上に増加し、地金を取り出しの煩雑さと相俟って出回りが品不足になっているという。

LMEといえば当欄でも度々取り上げた通りけっこう驚きな値で香港取引所が買収手続きを終えたところであるが、参加する多くの金融機関は地金購入と併せ先物に絡めて利鞘を稼ぎ系列の所有倉庫に保管というパターンが定番、彼ら主力勢は買収前の大株主であった向きが多く買収後も尚影響力があるところなど先ずは円滑さを狙う香港側の目先の試練となってくるか。


オセロ衆院選

第46回衆院選が16日投票、即日開票されたが果たしてというか自公合せ320越えで圧勝し3年一寸で自民党が政権奪回ということになる。民主は公示前の約四分の一に落ち込む歴史的な惨敗ということだが、想定された通知表としてはこんなものだろう。

ところで今回の投票率だが、日経の推計では59.26%前後と1996年の小選挙区比例代表並立制導入後の最低だった96年の56.65%を下回る最低水準見通しという。もともと今回は衆目の一致するところで所謂熱狂型でなかったのは当然なところだが、やはり以前書いたこの手の先物創設などの動き等あればこんな時代こそ非関心層に対する効果がけっこうあるのではないかと思う。

さてそんなマーケットに絡みでは、民主バブルの時には株式市場では子育て関連株が軒並み急騰したのが記憶に新しいが、今回も自民圧勝を織り込む形で不動産やら建設、電力株が急騰してきたものだが、90年以降の歴代首相の株価パフォーマンスでは安倍氏がトップということもあり開票結果が出ても尚週明けの市場で東電が更にストップ高となるあたりにこの辺の人気を再認識させられる。

ただ、何れこんな個別でもバブルがはじけ期待プレミアム分がカラ売り筋の恰好のターゲットになってくるのは想像に難くないが、これは政策も同様なこと。どの程度が現実的に可能になってくるのか株価と共にその舵取りを一喜一憂で見てゆくことになろう。


City of Gold

さて、昨日の日経CNBCでは「知られざる黄金の都 ドバイ・中東から2013年金市場を展望する」として中東の金融センターとして、様々な分野でその存在感を増しているドバイの金を絡めた金融事情が放映されていた。

冒頭では私の知人もCAをしている「エミレーツ航空」などの紹介と共に、今のところ世界一の超高層ビルであのアルマーニホテルが入る「ブルイジュハリーファ」等が出てきたが、思わず昨年の映画、ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルなどが思い出される映像である。

その辺は兎も角も中盤、中東で金が売れる理由としてイスラム金融は金利を禁止とか、豊島氏談では嫌米債なる商品まで存在するという伝統的な米国嫌いというのがあったが、そういえば上記のような理由で、かつてトヨタが発行したスクーク等も思い出される。またもう一つ、女性に認められるアセットは宝飾品のみというのもあったが、この宝飾といえば年に一度開催されるという「ドバイ・インターナショナル・ジュエリーウィーク」の様子も初めて見たが、さしずめ「バーゼルワールド」の中東版といったところか。

他にもドバイ商品取引所やDMCC系のドバイ金商品取引所なども出てきたが、あのドバイ・ショックからはや3年、こうした金や原油のようなコモディティー始め今後も金融センターとしてその存在感がどの程度影響してくるのか目が離せない。


茶房へ転身

昨日は、株式投資において個人投資家の昨今の環境が証券会社のディーラーとほぼ遜色ないレベルまできているのではないかとしたが、その後に中小の規模縮小とも相俟ってとしたようにディーリング事業を残しながら細々とやってきたところも近年店じまいするところが加速してきている。

兜町界隈の景色が変わってきたところはもう既に書いてきた通りであるが、もう少し先に足を延ばし日本橋中心地へきてもその辺は一緒である。上記の件と絡めて最近印象的なのは目下のところやはり高島屋周辺地域の再開発の下で昨年喫茶店を出した赤木屋証券だろうか。

赤木屋といえば自己で業界でも有名な存在であったが、株式のみならず商品においても一頃はTOCOMの会員になるなど精力的であったのが思い出されるが、ココも年内に廃業が決定している。以前にも書いた十字屋といい赤木屋といい、新興勢の新規参入がある裏で粛々とこうした老舗が消えゆくのは時代の流れとはいえ寂しい限り。


損して得取れ

内外共に重要日程を控えているだけに、昨日も本日も株式市場は約1ヶ月ぶりの薄商いとなり、日経平均も凪のように小動きになってしまっているが、こんなときはどうしても日計り売買など主流になってくる。そうなると先にも書いた各社の手数料の引き下げなどジワリと有難みが増してくるが、松井証券は来年からこの日計りのマル信金利と手数料をゼロにするサービスの開始を先に発表している。

1注文の取引金額が300万以上が対象だが、はロングのみならずショートに関しても金利がゼロになる点などユニークである。現状で今年4-9月の日本株売買代金の16%強を個人が占め、うち過半はデイトレーダーなどが手掛ける信用取引とのデータが先の日経紙に出ていた通りさすがにそういった状況になるとこの手の層は無視出来ない存在となり多少場口銭が持ち出しになってもこうしたところで先手を打つのは自然な流れか。

ところでデイトレーダーの台頭といえば余談ながら併せて昨今も依然として摘発が相次いでいる。最近では7月のジェイプロジェクト株の仮装売買、9月の黒崎播磨株の仮装売買、また直近では1先月にも十六銀行株の仮装売買でそれぞれデイトレーダーが課徴金納付命令勧告を出されている等々。

まあその辺は兎も角も、しかしここまで来るともう個人も証券会社のディーラーとほぼ遜色ない水準まで来ているのではないか。想定元本など自己賄いとなるものの、中小の規模縮小とも相俟って腕に覚えのある向きなど今後も増殖傾向になるのは想像に難くないか。


12/2 ゴールドフェスタ開催レポートを掲載

2012年12月2日(日)に東京・品川 コクヨホールでゴールドフェスタ運営事務局主催の『ゴールドフェスティバル2012』を開催しました。当日は投資家・一般生活者・スペシャリスト・メディア・関係者などで300名以上の参加者となりました。

▼TOKYO GOLD FESTIVAL2012:開催レポート(2012/12/2、品川 コクヨホール)



【登壇&参加ゲスト26名】
池水雄一さん、亀井幸一郎さん、豊島逸夫さん、森田隆大さん、江連裕子さん、安原ゆかりさん、芥田知至さん、岡崎良介さん、菊川弘之さん、郷右近要さん、小菅努さん、小針秀夫さん、近藤雅世さん、東海林勇行さん、鈴木一穂さん、津金眞理子さん、手塚 宏二さん、新村直弘さん、深野康彦さん、本間裕さん、森成俊さん、櫻井彩子さん、坂本耕治さん、古江俊規さん、吉田哲さん、石川順一さん

【後援】
東京工業品取引所、東京証券取引所、大阪証券取引所、CMEグループ、日本商品先物振興協会

【協賛】
三菱マテリアル、三菱UFJ信託銀行、ドットコモディティ、IGマーケッツ証券、豊商事、東岳証券、楽天証券

【メディア協力】
日経マネー、ラジオNIKKEI、日経CNBC、TwellV(トゥエルビ)

昨日までに開催レポートが各種上がって参りましたので、登壇者のブログなどと併せてこちらでもご紹介させていただきます。

▼事務局公式レポート:「TOKYO GOLD FESTIVAL2012開催レポート」

▼ラジオNIKKEI:「東京ゴールドフェスティバル音声レポート」

▼ゴールドフェスタ公式Facebook:「フォトギャラリー1(ロゴ入り)」

▼グッドウェイ:「TOKYO GOLD FESTIVAL2012取材レポート」

▼豊島逸夫氏ブログ:「円買いエネルギー急増」(12/3付)

▼亀井幸一郎氏ブログ:「初のゴールド・フェスタ盛会で終了」(12/3付)

▼池水雄一氏ブログ:「TokyoGoldFestival2012」(12/5付)

▼手塚宏二氏:「ゴールドフェス、盛況のうちに終了!」


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強者の論理

さて日曜日の日経紙「そこが知りたい」では、高級ブランド、再編の行方は?と題してブルガリCEOが出ていたが、LVMHによるこのブルガリ買収の時は昨年の春頃だったかその株価と共にこの案件はけっこう話題になったのを思い出す。

ところでこの記事が出ていた日の日経紙のそのあとの項には、奇しくもエルメスのボックスやネクタイで作られたクリスマスツリーが載った全面広告が派手に二面も載っていたが、このエルメスもまたLVMHが取り込みを狙って?いるブランドなのは周知の通り。近年内紛?の噂も囁かれドライな世界だけにこれが利用される可能性もあるか。

これに絡んでここまで伝えられているところでは、エルメス側は頑なにLVMHの株式取得に反発している模様だが市場拡大下ではやはり資本がモノを言う世界、そういった構図もあって何れなんらかの答えは出てこようか。

そういえばちょうどこのブルガリが身売り?とも云われていたこの時期には同等の大型規模案件で日立子会社の米ウエスタン・デジタルへの売却、そしてもう一つテルモの米カリディアンBCTの買収話も同時に舞い込んできたのが思い出される。こんな垣根を越えた買収によってM&Aもクロスボーダーが今後主流にといわれ始めたものだが、水面下ではまだまだこんな形態で進行中の意外な案件もあろうしまだまだ再編劇には注目である。


新指数算出・公表

今週は週初より配当込みの日経平均の値動きを示す「日経平均トータルリターン・インデックス」と、日経平均が先行きどれくらい大きく変動するかを示す先物の価格を指数化した「日経平均ボラティリティー・インデックス先物指数」なる新しい2つの指数が算出・公表されている。前者は配当を含めた投資の成果を測る指標として有効で、後者は常に満期が1ヶ月先になる先物取引があると仮定、限月をまたぐような投資の評価がし易くなるという利点が狙いという。

もう一つ、株式関係の新指数と共に同じ日からコモディティ関連でも日経・東工取商品指数と日経・東工取サブ所品指数の値動きを対象にした新指数が出ている。即ち、「レバレッ指数」と「インバース指数」がそれで、前者は前日比の変化率が対称指数の2倍となり、後者は逆の動きになるというもの。

このレバレッジ型やインバース型などは既に株式の方ではお馴染みのもので、既にETFなどは先月の当欄で書いたように大手ネット証券の「ETFランキング」にて「日経平均レバレッジ」が1位に輝くなど今年登場の新顔ながら非常に人気の出ているものである。

既に商品指数は鳴り物入りで登場したものの、消えていった経緯があるがこんなレバレッジものを出してくるあたりやはり今の株価指数系の人気に肖るというところだろうか。当然ながらこの次の展開としてはETF組成など枝葉になってくるだろうが、現状TOCOMモノの連動型の商いは見ての通りでこれら今後の扱いがまた課題となってくるだろうか。