224ページ目

大山鳴動鼠一匹

さて、今週は国内では月曜日の「金環日食」、そして翌日火曜日の「東京スカイツリー開業」と立て続けにビッグイベント?が並んだが、直近で世界規模のビッグイベントとなったのはやはりあのフェイスブックの上場だろうか。

注目された初値は42.05ドルと公募・売り出し価格の38ドルを約11%上回る水準となったものの、その後はズルズルと急落し物議を醸し出している。同社人気が波及する期待があったジンガやグルーポン等のSNS関連株も急落、フェイスブックのカラ売りは出来なくとも、日本でもジャスダックやマザーズなどの新興市場では先駆してこの関連で買われてきた手垢の付いた銘柄群がゴロゴロ、今週はこれらのカラ売りで軽く一回転が利く始末だった。

ところで史上最悪とまでいわれたこのIPO、上場初日に取引障害という失態を晒したナスダックが現況ヤリ玉に上がってはいるが、寧ろ主幹事のモルガンあたりの方がこれの主因のような気もする。日本でもそうだが初値形成は主幹事のカラーが結構出易く今回はまさにその通例通り、加えてディスクロの不透明さは今後も追求されて然るべきであろう。

踊らされて高値を掴みに行った向きも多かっただろうが、ちなみに以前にも触れた大統領選等の予想市場「イントレード」では同社初値を予想する取引も開始されていた。まあ斯様にトンだケチが付いたものの、曲がりなりにも初値での時価総額は約1,150億ドルとあのマクドナルドを上回るという水準、世界の株式市場が戦々恐々とした不安定な中でこんな超大型上場をこなしてしまうあたりも上記の派生モノと併せ改めて米株式市場の懐の深さをしみじみ感じる。


先物活躍の場?

さて、昨日の日経紙商品面には「コメ専門店、半数に」として街のコメ専門店減少が続いている旨が載っていたが、コメといえば東京穀物商品取引所の5/18のコメ5月限の受渡価格は、今後の端境期を控えコメ現物扱い業者が在庫確保を優先し先物市場での販売を手控える動きが広がったとの事で60キロ当たり17,940円と上場来の最高値を付けた。

そんな動きに先行して先々週の「eワラント」上昇率ランキングでは「コメ・2012年9月のコール4回」がトップとなっていたのを思い出した。個別の上場企業や日経平均等の指数に交じって個別の商品がランキングに出てくるのは一寸違和感さえ感じる光景だが、何でも素早く商品化するこの手の商品ならではと改めて実感する。

さて、このコメワラントについて当欄では「日経平均VI先物」開始の時に一寸触れたことがあったが、現在コール9月4本、プット9月3本、コール10月4本、プット10月3本の品揃え。メーケットメイクだから殆どは取ってくれ、あのパンクしたエルピーダでも破綻前にはけっこう遊ばせてくれたものだ。ところで、本家の商品オプションは今どうなっているのだろう?こんなワラントあたりに商いが集まるようになったらいよいよ世代交代か。


匠の集大成

本日は、今春開業の東京新名所の中では最後発となった「東京スカイツリー」が本日開業した。生憎の雨に見舞われたものの多くの人出で賑わったが、首都圏の地上デジタル放送を一手に担うこのツリー、武蔵にちなんでその高さは634メートルと電波塔としては世界最高という。

そんな世界最高のタワー、建設中から前を通る度に思ったのだが東京タワーの足元からするに此処の足元は心配になるくらい狭い。それで高さが東京タワ−の約2倍というから今更ながら現代の技術力の高さに関心、また本日の日経紙全面広告でも此処のエレベーターが紹介されていたが、「iPhone」よろしく唯一無二の技術を誇る企業群の集大成ともいえようか。この辺は併設のソラマチもまた然りで、此処には大手ゼネコンの人工海水製造技術を使った水族館が入り、その上でも大手複合機メーカーの製品が使われたプラネタリウムも入る。

さて昨日の金環日食では経済効果にも触れたが、このスカイツリー擁する墨田区ではそれを年間880億円と弾いている。いままで下町の観光地といえば浅草が定番であったが墨田区はその浅草のある台東区の小売業売上高の半分くらいであった。既に此処は開業前から新たな人の流れを生み出していたが、上記の経済効果を鑑みその構図が一変してくるかどうかこの辺も注目される。


金環日食

本日は周知の通りで金環日食。当初は首都圏の天候が懸念されたものの、雲は薄く7時前後から近所の東証隣の鎧橋には人が集まり、蛎殻町界隈の取引員の屋上でも三脚をセッテシングしてなんとかこの瞬間を捉えようとする人々が見られた。なにせこれが首都圏で見られるのは173年ぶり、今回のように国内の広範囲で見ることの出来る機会は300年後というからちょっとしたお祭りである。

さて観察には日食グラスということだが、週末は大手家電量販店から書店に至るまで全て売り切れの札。ちなみにこうした関連グッズの売り上げやら観測ツアーやら諸々でその経済効果は合計160億円前後という試算も出ていたが、数分間のショーでこれほどの額が弾き出されるのも凄い。

経済効果といえば市場のアノマリーはどうだろう?過去23回の金環日食や皆既日食があった日の株式市場は前日比プラスが6割、金環日食のあった3回は全てプラスという。ただもっとスパンを広げてみると日食の前後1ヶ月の株価は総じてマイナス、年でいえば87年のブラックマンデーや09年のリーマン・ショック後の暴落という出来事もありその取り方次第といったところ。何れにしても滅多に無い出来事だけに、諸々良い方向に作用するのを祈りたいところだ。


投機かヘッジか

国内の前3月期決算発表もピークを過ぎたが、なにぶん地合いが悪過ぎてそこそこの決算でも多くの個別は売られる始末という相場が今週は続いている。そんな地合を作った一因にJPモルガンがあるが、周知の通り突如としてデリバティブ取引で20億ドルの評価損が出たとの発表に金融系は動揺し東証でも個別で数銘柄は可也の影響が出ていた。

この取引はCDSに絡んだものといわれているが、ロイターではその裏付けとなる現物債市場の発展で同社がヘッジの再構築を迫られスワップの上にスワップを重ねる取引を行ってポジションの構造が複雑化し1つのスワップの利益で別のスワップの損失を穴埋め出来ないリスクが高まっていたというなんともデリバティブらしい話。膨張して動けなくなったところを餌食にされたというが、この辺は株の仕手崩れさながらである。

この一件が何ともタイミングが悪いというか、金融機関による自己勘定取引とその他の投機的な取引を原則的に禁止する所謂「ボルカールール」に絡んだ議論を再燃させている。渦中のモルガンはヘッジだと強調する一方で、米大統領などこの問題について改革が重要な理由がまさに示されたとして米金融規制改革の必要性を改めて強調しているが、当のルール詳細が確定していないことには結論を出すのは困難極める。

しかしこと金融系は立場が違えば言い分も違う。そういえば国内でも大手石油会社が原油に絡んだヘッジ取引で更正処分を出した国税庁とヤリ合っていたことも数年前にあったのを思い出したが、ルール解釈を巡って広義ではこれもその部類だろう。明確なルール未確定のものは得てして最後は政治力がキーになってくる。


4/5-5/6実施ユーザーアンケート調査結果公開

ドットコモディティは、2012年4月5日(木)から5月6日(日)までに同社ユーザー向けに行ったアンケート調査の結果を公開。公開された調査項目は年代・性別・取引経験・コモディティ取引の割合・投資し金額・利用中のサービス・人気銘柄・これから取引してみたい銘柄など。

▼4/5-5/6実施ユーザーアンケート調査結果公開



続きを読む

東穀取農産物指数公表中止

昨日は東京穀物商品取引所が、農産物の値動きを総合的に示す「東穀農産物指数」の公表を今月末までで中止するとの発表があった。同所の凋落と共に上場商品の廃止が進み指数の役割が果たせなくなったとの事だがこの公表が開始されたのが2008年、当時の10商品からすれば直近も構成銘柄であるアラビカコーヒーの廃止が決まるなど商品半減ではやむなしだろう。

この指数、東穀取側では「〜世界ではじめての日本仕様の農産物指数で、金融商品の運用機関の方々などに指数を積極的に利用していただくことで、新たな資産運用ニーズに応えるツール云々〜」と謳ってあるが、およそ国内の商品先物で「世界ではじめての〜〜」と謳う類で軌道に乗って成功した例が如何ほどあるだろうか?

この指数も構成状況を見るに近年とてもベンチマークになるような代物ではなかったし、相次ぐ上場商品廃止の経緯からもっと早くに消えていてもおかしくはなかった。しかし指数の類は育て方によっては無限の可能性が広がり活性化の起爆剤に充分成り得るモノだが、この農産物に限らずTOCOMの方でも指数は凋落、もう時遅しかもだがこの辺は他から早急に学ぶ必要があったのはいうまでもないか。


復活モノ

さて決算酣といったところだが、前週末に出揃った注目の自動車業界は日産の営業利益がトヨタを上回ったというのが話題になっていた。連結決算の開示開始以来始めての事というがまあ日産の方が海外生産比率が高い点で為替への抵抗力が光ったというところだろうか。

ところでその日産、先の日曜日付け大手紙ではTV東京系番組の広告にてハイブリッドで復活した「シーマ」が取り上げられていた。このシーマに関してはちょうど2年前に「バブル期のノスタルジア」と題してこのシーマが生産終了される旨を書いたことがあったが、当時フラッグシップモデルをチェンジ云々と言っていた割に意外にも早い復活劇である。

そういえばこの時に消え行くバブル期の象徴として一緒に載せていた「ヴェルサーチ」も昨年暮れには有楽町の新生阪急に復活をしている。この世代の娯楽系の復活劇は前からあったが、やはりこの手の消費系を掘り起こしてくる辺り未だ実感はないものの先週書いた高額消費復活の芽はあるのか。


オーバーストア

週末に飛び込んできたニュースのなかでやはり目立ったのは、ビックカメラによるコジマの買収か。今迄も業界内では小粒のM&Aが粛々と行われてきたが、いよいよ本丸へ切り込んだ業界上位同士による再編劇にステージが変わってきた感じだ。

この家電業界に関しては当欄では既に今から4年前に「消費パイ縮小」と題して、「家電量販店も構造的にはいずれオーバーストア、この業種もまた再編が吹き荒れるか。」と末尾にコメントしていたが、あれからテレビを巡る環境やら何やらでこの辺でまた大きなウネリが出て当時のコメントが現実化してきたというところだろう。

再編といえばこんな家電業界と並んで飲料業界もまた最近は騒がしい。サッポロやダイドー、UCC等が相次いで海外戦略を睨んでM&Aを進めているが、つい先週にはアサヒが味の素から1,000億円以上をつぎ込んであのカルピスを買収、3位以下がある意味混戦状態であったがこれでこの業界も再編が吹き荒れるのであろうか?

ところで当のコジマ、本日は66円安と週末のストップ高がウソのような往って来いの急落、希薄化が嫌気されてのものなのは明白だが、それにしても何とも単純というか短絡的な一連の動きである。今回は第3者割当の形を取ったワケだが、これがTOBなんぞであったらこれはまた相場的には展開が可也違っていた筈、直近ではアスクルもヤフーに割当増資し急落するなど株主も買収形態に一喜一憂と振り回されるが、まあ結局企業の都合が最優先されたといったところか。


株価もゲーム化

連休を挟みその後もズルズルと冴えない株式市場であるが、そんな中でも今週特に崩落がキツかったのはやはりSNSセクターだろうか?例の「コンガチャ問題」から今週はソーシャルゲーム界の双璧グリーとディー・エヌ・エーはじめとして関連株が崩落、本日こそ目先の灰汁抜けで自律反発とはなっているものの、両者ストップ安の週明けなんぞはココだけで時価総額が約2,000億円も消えた計算になるからこれは酷い。

消費者庁では問題になっている「コンプリートガチャ」なる仕組みが所謂景品表示法に抵触する可能性があるということであるが、課金システムを巡っては以前より段階的な規制懸念が散々言われて来ただけに、ここまで折に触れ出る悪材料で押してもなお逆に好業績を理由に買いが入ってきた市場の方に意外感があるというのが正直な感想か。

確かにこの手はユーザーをハメる?射幸性やら中毒性の高さが収益のキーとなってくるワケだが、広義ではパチンコなんぞもそうだしそう考えているとこの辺もいろいろと政治力の影がチラつくというものだ。急成長モノの出る杭は打たれるといったところだろうが、お上の規制モノも他を見てみれば医療から投資、食品関係まで果たして誰が見ても整合性のあるものは如何ほどあるだろうか?


高額消費回復

さて、昨日終了となったが三越本店で開催されていた「芸術と自然のふれあい・ガレ&ドーム展」へと今年も足を運んできた。たまに開催される此の展は、著名美術館で展示されるくらいのクラスもたまに出て来るが何れも裏面や底など裸で見ることが出来る割に大々的な宣伝をしていない分、鑑賞客もマバラでゆっくりと見る事が出来るのがいい。

今回比較的目に留まったのが1889年のパリ万国博覧会に出品されていたものと同系の透明クリスタルのトンボ文花瓶、1900年前後の深海文花瓶、それに仏ナンシー派美術館に現在収蔵されている物と同型の花形ランプの台座付きの物等であった。

ところで思えば3年ぐらい前は2,000万円超クラスが幾つか出ていたものだったが、今回の展示はそこそこレアものでも1,000万円程度で熱心なコレクターにとっては全体的に食指が動く?価格設定となっていた。事実ここ数日で上記のうち2点は既に売約済みの札、うちパンフレットの表紙にもなっていた1点は購入した顧客が直ぐに手元に引きたいとの事でその姿は既に無かった。

昨今高額消費が回復傾向にあるという記事を彼方此方で見掛けるが、こうして身近なところでこんな現象を見るにつけこの辺が改めて実感されるものだ。


人材草刈り場

さて、昨日の末尾では政府の無策に絡めて東電やエルピーダ破綻にも少し触れたが、エルピーダといえば本日の日経紙企業面には「ライバル対決、米に軍配」として破綻した同社が米マイクロン・テクノロジーを支援企業に決めた旨が出ていた。

今回の同社の入札劇では一次入札においてホニーキャピタルなる中国系ファンドが参入して来た事で一時はまたも技術流出懸念が囁かれたものだが、結局は元サヤというか元々互いに歩み寄っていたマイクロンに落ち着き一応の安堵感漂うところ。これで技術融合しサムスン追撃ともいわれているが、DRAMに限らずこの韓国勢などこのところ水面下で日本の技術者に引き合い合戦が進行している旨も一部では報じられている。

先にも書いたように直近で発表された日本の家電メーカーの赤は大手三社で2兆円近くにも上るなか、リストラなど雇用環境悪化を受けてその手の素地は十分である。そういえば当欄で2年前に「お家芸の技術力」のタイトルで優秀な技術者が他国の優遇を求めて日本を離れる裏にはその評価というか地位の低さが起因している部分もあるのではないかと書いたことがあった。

企業の事情も絡んでくるので一口にインセンティブの国際標準を考慮するのも難題だが、そうこうしている間にも様々な形で粛々と技術力が狙われている。何処かで歯止めが掛かる流れに変わるのかどうかその行方を見守りたい。