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基準緩和と抜け穴

本日の日経平均は連休中の海外が高かったことから反発となったものの、その商いは閑散を極め、半日取引を除いた記録で出来高は9億420万株と08年12/25以来の10億株割れとなり、売買代金も5,008億円と03年5/27以来の低水準を記録することとなった。

さて経営統合準備を控えこんな商い減少にアタマを悩ます東証であるが、この打開策の一環なのか先週には上場基準を来年3月から大幅に緩和すると発表している。即ち現状で経常利益と税引き前利益が2期前1億円以上で直前期4億円以上等となっているものを、新基準では経常利益に限って2年間の総額とし、この水準を満たさなくても従来1,000億円以上必要であった時価総額が500億円以上見込めれば申請出来るようにするもの。

これまでこうした振興策で取り上げてきたものには、カネを注ぎ込んだ高速取引や先月から実施の前場取引時間延長などやってきたが、これで第三弾?か。今回予定されているものは上記の通りジャスダックまでいかずとも総合的には可也垣根の低いものとなっており、二部市場の存在が微妙になってくるが、統合後の二部市場不要論も出ていた折その布石か?とも取れなくもないか。

その辺は兎も角も、今回の基準緩和では直前が赤字とか減益傾向でも上場承認の道が開けるワケで悪く取ればまたこれで魑魅魍魎の質の会社が潜り込める可能性もあり、そうなると当然如何わしいアレンジャー等の暗躍の場も与えられる懸念もある。直近ではオリンパスが騒がしいが、今迄粉飾で消えていった企業など当該企業や悪徳ブローカーに矛先が向きあまり胴元の監督責任にスポットが当たらなかったが、この手が相次ぐようだとそろそろこの辺がクローズアップされてきてもおかしくはないか。


表に出るモノ出ないモノ

さてこの年の瀬に来ても駆け込み?でMBOモノが続々と出ている。本日ストップ高に張り付いている「ワオ・コーポレーション」は昨日にMBOを発表、また先週MBOを発表した「ホリプロ」も本日まで連日の急騰となっていたが、ワオ・コーポ共々MBO価格まではお約束の急騰というワケでホリプロの方は本日で急騰劇は終了し、以降はこの辺で価格は固定されようか。

このホリプロ、先の日経紙上ではかつてエンターテインメント企業が一流と認めてもらうには株式上場が必要だったが、自社の認知度も高まり目的を果たせた。他、コストをかける余裕がないという判断もあると述べていたが、芸能関係では先に「吉本興業」もMBOを実施している。

吉本興業といえば芸人のよからぬ関係がメディアを賑わせることがしばしばあったが、東証一部企業とて昨今のオリンパスのようにブローカー含めた闇世界が予想以上に食い込んでいる構図が明らかになっており、興行系も何かと闇世界との切っても切れない関係が取り沙汰される業界。オリンパスでは闇勢力への資金の流れは無かったと第三者委員会側は発表しているが、こう見ているといろいろな幕引きがあるものである。

オリンパスなど核心の部分が明らかにされていないと一部言われる中を今週は日経紙が同社の増資検討を報道していたが、東証による上場廃止か否かの結論も出ていない中でファイナンス報道がなされるというのも不思議な話だ。今年の原発事故などで情報操作されている実体がより広く知られることとなったが、都合に応じて報道構成されるオペはなくなることはないだろう。


買い支えの一年

本日の日経平均は辛うじて値段こそ小反発となっていたが、東証一部の出来高は11億6,946万株とこれは今年最低、売買代金は6,765億円と08年12月以来の低水準となった。リスクオフの動きから一ヶ月ぶりの安値水準で一段安の不安はあるものの、一方で日銀のETF購入観測もあり消化難の低迷が続いている。

さて、金融緩和策の一環として何度か取り上げたこの日銀ETF買い入れ政策もこれを開始してからほぼ1年が経過したが、最近は先月書いたようにこの買いが段々と細り市場への影響力も低下してきたとも報じられている。既に基金の購入総枠からして2012年末の期限まで「蓄え」がもつかと気をもむ向きも居るというが、上記の通りこんな商い薄のところへこの直接的な市場介入であるからまったくもって管理市場ともいえようか。

そんな自主性に乏しいゆえ日足が連続性のないコマを連日描くというのも納得できるが、この辺は来年も市場関係者の課題になろう。自主性の乏しさといえば日銀もどうしたいのか全く見えない一年であったが、出資証券も本日は38,000円台まで沈み年初来安値を更新となっているあたりがこれを象徴しているともいえる。


次々去る指導(独裁)者

さて、この年の瀬の昼前にいきなり入ってきたニュースには周知の通り北朝鮮総書記の報があり早速号外も出ていた。もともと昨今の欧州格下げ懸念でリスクオフムードが広がっていたものだったが、この報でウォンは急落、韓国総合株価指数も同様に急落となっていた。

一方、コモディティーの方は金が殆ど反応無しというより寧ろ弱含みと金氏で金買い喚起はならずといったところ。そうそう、コモディティーといえば先月に国際フォーラムで講演したジム・ロジャーズ氏は訪中時の話題でミャンマーやスリランカと共にこの北朝鮮の将来性のことについて触れていたなと。

ところでリスクオフから日経平均も後場一段安でスタートとなったが、そんなマーケットの中で早速急騰したのは「豊和工業」と「石川製作所」あたりか。双方後場寄りから北朝鮮の報で防衛関連ということで急騰していたが、面白いのは既にこれら先月から不気味に出来高が膨らんでいたという点。

そうそうこんな現象ではもう一つ、本日ストップ高と急騰していた「重松製作所」もこのパターン、一昔前の話になるがあの忌まわしい地下鉄サリン事件の直前に異常に出来高が膨らんだ経緯もあったなと。はて、たまたま偶然か否かだが株式市場には時々こんな不思議も起こり得る。


今年の漢字と商機

さて、今週は日本漢字能力検定協会の2011年の世相を1字で表す恒例の「今年の漢字」が、「絆」と決まったと発表された。これは今年で17回目になるがちなみに2位は「災」、3位は「震」、4位は「波」、5位は「助」と続きやはり今年は東日本大震災に大きく傾斜したものとなった。

さてこの「絆」だが、デパートなど今年の年末商戦は家族や知人との「絆」につながりを感じることが出来る商品が好調に推移しているという。また、この「絆」関連では改めて東日本大震災を境に未婚男女に高まっている絆意識に商機の期待がかかり、株式市場では全施設形態を持つ結婚式オペレーター「エスクリ」がこの冴えないマーケットの中で、一人気を吐き昨日も年初来高値を更新している。

予てよりこの年末は自粛ムードの反動などもあって都内のホテルなどは強気の高額プランなどが続々と出ているが、上記の百貨店なども震災後に大切な人とのつながりの象徴として高額宝飾品の伸びが著しいといい、また家族や大切な人と過ごすなら御節も奮発ということで都内主力店ではこれも前年比2ケタ増のペースで予約が入っており高額品ほど好調という。

まあ気分転換の常套手段としての行動心理で高額消費はしばしばいわれるが、こうした気分一新の次に消費者はどう動くのか、消費持続力の試金石としてもリバウンド需要後が注目される。


今年最大規模

本日は先週に日興アセットの対として一寸触れたネクソンがはれて上場となった。日経紙等にも再度堂々の全面広告が載っていたが、注目の初値は公開価格に対してわずか0.5%高でアッサリ寄り付きあと揉み合い、モタついていたものの売買代金では東証一部でトップとなった。これで資金を吸い取られたの如く本日は2桁銘柄が活況で、もはや幅というより率で勝負といった商いがマーケットでは主流となっていた。

この株自体は先にも書いたように日興アセットの2倍の吸収額と今年最大規模の案件な上に、グローバルオファリングということもあって派手な値動きはあまり想定されていなかったが、一方でパッシブファンドの買い需要他、投信の組み入れ期待も一部には出ている模様でこの辺は改めて一部直接上場の箔を認識させる。

総じてゲーム系など同業は本日軟調推移であったものの、一昔前と比べるに東証一部もこうした業種が幅を利かせるなどほんとうに景色の一部が変わった感がする。そうそうゲーム系といえばもう一つ、海外でも本日は米ジンガがナスダック市場に上場の運びとなる。こちらも前評判では初値設定が低めとも言われていたがさてどうなるか、その辺も含めアイテム課金という形態が今後どういった歩みをしてゆくのか興味深いところでもある。


1/16よりロスカット制度を導入へ

エース交易がサービス展開する「エースCXオンライン」では2012年1月16日の日中取引より「ロスカット制度」を導入へ。有効比率の計算は10分ごとに行い、有効比率がロスカット基準である40%以下になった場合、未成立の注文(決済注文を含む)が全て取り消され、全ての建玉の決済注文(ロスカット注文)が自動的に発注。なお、ロスカット注文は、マーケット・オーダー(MO-FaK)で繰返し発注。

▼1/16よりロスカット制度を導入へ
▼ロスカット規程


▼ロスカット制度の導入について

商品先物取引は投資資金額以上の取引を行うため、急激に相場が変動した場合に大きな損失を被ることがあります。その損失を一定水準で抑えることを目的に、エースCXオンラインでは、平成24年1月16日、日中取引より「ロスカット制度」を導入いたします。
ロスカット制度の導入にあたっては、FX等で一般化しているように、リスク管理において非常に有効な手段であるため、お客様にはより安心してお取引に参加して頂けるようになります。 ロスカット規定についてはこちらをご覧ください。

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短期も長期も

本日の日経紙一面にはヘッジファンドの2011年の平均的な運用成績が、リーマン・ショックに見舞われた08年以来、3年ぶりのマイナスとなるなど欧州危機を受け運用が世界的に振るわない旨が載っていた。運用成績を指数化した「ヘッジファンド総合指数」なるものも出ていたが、しかし今年は大手から著名ファンドまで清算も相次ぎ苦戦続きである。

さて、同紙夕刊一面には同じ運用でもこのヘッジファンドとはガラリと毛色が変わって運用成績次第で受給額が変わる日本版401k(確定拠出年金)の加入者のうち、今年9月末の時点で元本割れに陥っている人の割合が約6割にのぼることも載っていた。この手は確定給付年金のように運用低迷による不足分を企業が補填する物と異なり将来の受給額減少に直結するわけで気になる向きもあろう。

マーケットではヘッジファンドが駆使するHFTのような今が旬?の投資の一方で、その対にある長期投資家や個人投資家がいかに共存してゆくかが論点になっているものの、運用成績は共倒れの様相。著名ヘッジファンドのように参加する向きが限られるような顧客層と違い、パブリックな401kなど裾野が広くゴールが退職時などはるか先とはいえ主力のディフェンシブ物が数十年ぶりの安値に続々と沈む昨今では機運の変化さえ出てもおかしくは無いか。


政府と胴元の姿勢

先週末の総会で政府税制調査会は2012年度税制改正大綱を決定,日経紙でも消費増税控え「場当たり」と出ていた通り各所で小手先見直しの寄せ集めで政治戦略の欠けるものであったのは否めない。暫く消費増税と社会保障の一体の改革など議論されてきたものだが、この消費税などそもそも一昨年の衆院選でのマニフェストには4年間消費税の話はしないと明記されていたものが舌の根も乾かぬうちに不退転の増税というから呆れる。

さてもう一つ、税制といえば金融系で最近気になったのは2013年12月末で期限が切れる証券優遇税制を延長しない方針であると首相が述べていることか。周知の通りもともとこれは株価低迷などへの対策として導入されたものだが、個別でも主力の株価が数十年ぶりの安値水準に低迷し売買代金も約8年ぶりの低水準まで落ち込んでいるこの期にこんな表明をするのは、税収にしか興味が無いというか単純に相場系には全く疎いということなのだろう。

また、当欄では先週の7日に「高速取引と規制」として、最優先の矛先を海外勢に絞込み個人は蚊帳の外で蔑ろにされている旨を書いたが、その二日後の9日には日経紙夕刊で大和総研の専務理事もこの高速取引を個人投資家にとっては近寄りがたい存在とし、超ハイテクとローテクの共存を如何に図りその中でいかに個人投資家の使い勝手の良い市場を提供していくかが最重要テーマの一つとしている。

この税制然り取引所運営然り個人に主眼を置いたものへ回帰するにはやはりお上の意識改革が焦眉の急、現状の陣営を見ていると心許なく産経とFNNの合同世論調査では内閣不支持率が51.6%と初めて支持と不支持が逆転、一方で東証は依然として海外投資家サマ様で海外向けに「Evolving Japan」なる広報誌を本日創刊しているようだが、内からの促進で対処療法の形しか取れない事から離脱できるのは何時のことになるのだろう。


12/12付でスマホ対応版(最適化)「オアシス」提供開始

岡地は、2011年12月12日よりスマートフォン(iPhone、Android)版オアシスの提供を開始(サイト最適化)。対応機種は、iPhone(iOS4以上)、Android(Android2.2以上)。

▼岡地オンライン取引「オアシス」、スマートフォン対応版リリース!



岡地オンライン取引「オアシス」、スマートフォン対応版リリース!

弊社オンライン取引「オアシス」をご愛顧頂きありがとうございます。

ここ最近の急速なスマートフォンの普及に対して、多くのお客様からご要望を頂いておりましたスマートフォン(iPhone、Android)版オアシスを、いよいよ12月12日よりスタートします。

スマートフォン版オアシスは、パソコン版と同様にリアルタイムで変動する値段を確認しながら注文の発注が出来る仕組みとなっております。チャートも気配値もリアルタイムで変動するので、皆さまの売買チャンスを逃がしません。

面倒なアプリのインストールは必要ありませんし、すでに携帯版オアシスをご利用の皆様はいつも通りオアシスにアクセスしていただくだけでスマートフォン版オアシスに接続されます。

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12月よりスマートフォン版「東穀アプリ」提供開始

東京穀物商品取引所は、スマートフォンアプリ「東穀アプリ」を提供開始。“フェーズ1”では上場商品の価格やチャート(5分ディレイ)、市況ニュース(時事通信社提供)、外国為替情報などを配信します。また、”フェーズ2”では、帳票(取引参加者別取引高・取組高、取引内訳表)や日経平均株価情報が閲覧可能になる予定。

▼東穀アプリの提供開始について(PDF)
▼iTunesStoreからダウンロード:東穀アプリ(無料)



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貴重な逸品

さて、年末に近づくと各所で鑑賞欲を擽る催しものが多くなってくるものだが、過日は「神と幽玄のかたち」と題して三井家伝来の重要文化財でもある能面と能装束の数々を展示している三井記念美術館へ。

同美術館には昨年の年明けに行った「柴田是新の漆×絵」展以来のことであるが、これと同様に此処は普段なかなかお目にかかれない貴重なお宝がたまに出てくるから見逃せない。もともと「旧金剛宗家伝来能面」そのもの何れもその価値は計り知れないが、タイトルにある「神々のかたち」でも翁面の一つ「稲尉」など能好きでもなかなか観たことがないものもあった。

また「幽玄のかたち」ではやはり女面が素晴らしく、特に今回は室町時代の孫次郎作といわれる妻の面影を面に写したという伝承がある「ヲモカゲ」を直に観ることが出来たのにはとても感動。昨年のオルセー美術館展2010に出ていたアンリ・ルソーの「蛇使いの女」もそうだが、日頃より写真で見て憧れていたものの実物を観た時の思いはなんともいえないものがある。

ところで先に開催されたコンテの「ジパング展」で観た山本太郎氏の「隅田川」などまさに能楽からのインスピレーションであるが、能面は極めて人間的ないろいろな表情や超人間的な力を角度や光の強弱によって変わる微妙な変化を狙って巧みに造形化し固有の高い芸術性を有するとされているゆえこうしてさまざまな方面にも分岐し人を惹きつけてやまないのだろうとも思う。