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Red Devils

昨日の日経紙には、香川選手と日本の人材赤字なるタイトルが「経営の視点」に出ていたが、彼の所属する英の名門マンチェスター・ユナイテッドといえば周知の通り直近でニューヨーク証券取引所に上場を果たしている。注目の初値は14.05ドルとほぼ公開価格と同値となったがそれでも調達額は190億円近くになった計算だからやはり名門の貫禄である。

欧州各国リーグはファンを熱狂させるが、その裏ではイタリアやドイツ勢などの上場組は過去上場以降の采配を誤り何れも財務状況の悪化を引き起こしているというジンクス?のようなものがある。今回の静かな上場シーンもその辺が市場関係者の脳裏を過ぎったのかもしれないが、細かいところではオーナーのLBOやら種類株等の問題もよく聞くところ。

そんなマンUであるが、先週はあのジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドがクラブの全発行株式の1.9%を保有していることが分かったとロイターで報じられている。プライベートでは最近42歳年下の女性と3度目の結婚波話が報じられているソロス氏だが、クラブへ食指を動かしたのは今回が初めてではない。放映権が狙いとの噂もあるようだが、何れにしても上記の通り過去上場後に低迷したというジンクスを破れるかどうかファンならずともこの辺は気になるところ。


一先ず一歩

周知の通り先週は東京証券取引所グループが大証に対して実施したTOBが成立している。果たして買い付け上限を上回る応募があったことで撥ねられた株の還流懸念から先週のストップ安に続いて大証は本日も続落で年初来安値を更新となっていたが、何れにせよこれでまたひとつ「日本取引所グループ」への作業が進展することになった。

東証といえば先に挙げたシステムトラブルなど近年不祥事が相次いでいるが、これに限らず高速化の流れの裏では世界中でこれらに絡んだ事故も最近は多い。統合ではシステムや市場の一本化となった後に再度この手のトラブルが発生したら代替取引が利かなくなる脆さも持ち合わせることになるわけで、今後投資家を如何ほど誘致出来るかは統合メリットを生かしその技術を以ってこの辺に対する信頼をどれだけ築けるのかにかかってこよう。

またもうひとつ統合によって銀行よろしくメガ的な規模になるとはいえ、上場ベースでいえばかつての大証のウリであるデリバティブというステージで見れば、先週水曜日に触れたCMEなどからするにその時価総額は1割そこそこというところ。世界規模での再編劇では未だ未だ予測出来ない動きも水面下で進行していると思われるが、これに絡んだサプライズもまたあるや否やこの辺も併せて注目されようか。


絶てるかセール依存

街を見ると先月から続いていたある種の風物詩であるセールも秋物の登場で漸く終盤といった感じであるが、今年のそれは例年とは一寸違った風景であった。周知の通り三越伊勢丹がセールの開始時期を例年より約2週間遅らせ、東急百貨店からルミネまでこれに倣い、高島屋なんぞはセールを2段階に分ける変則形で対応した。

果たしてこの先陣を切った上記の三越伊勢丹は2.6%の減収、高島屋は2.9%の減収となるなど、大手4社が月初に発表した7月の売上高は軒並み前年割れに終る結果となり分散効果は共倒れという格好になっている。消費者行動を読み切れなかったとの指摘が相次ぎ、追随して折衷案を取ったところなどはこれに懲りて来年は先送りを止めるとしたところも出ている。

しかしセール時だけ消費が活発になる客層を考えるに、デフレが長期化したなかで近年セールの早期化や多発化の様式はこうした層の脳裏に刻み込まれ、そもそも通常価格に対する信頼などこれらの客層は既に持ち合わせていない。ホテルであれば稼働率の悪い時期に半値以下で客室を開放した時期があっても、回復期では全く同じ空間提供でもその倍の値でも予約は埋まるもので、この辺がアパレルとの違いである。

アパレル業界低迷の中でセールはまさに集客や売り上げの起爆剤になっているのは明白だが、それらを更新し続ける為に上記の早期化や多発化という後戻り出来ない環境は或る面麻薬のようなものである。そういった意味では今年はセールを抜本的に考え直すのに一石を投じたとも言われているが、麻薬を絶つ苦しみに双方耐えられるのかどうか?この辺は今後を見てみないとわからないが、家電よろしく業界の株価とも併せこの辺を見守りたいところ。


欧州デリバティブ事情

さて、既報の通り週明けには世界最大のデリバティブ取引所を運営するCME(シカゴ・マーカンタイル)グループがロンドンに欧州顧客向けのデリバティブ取引所を新設すべく英規制当局に申請した旨が報じられている。

ロンドンのデリバティブ取引所を巡っては、上記のCMEグループも取得に名乗りを上げていた昨年の香港取引所による非鉄のLME(ロンドン金属取引所)買収もあったが、このレースから離脱を余儀なくされ今回の独自路線に打って出たCMEの行動には、米国の厳しい規制を嫌う欧州金融機関に配慮した決定であることも報じられている。

ところでLMEといえば、先月末には会員の反対票が0.76%にとどまりほぼ満場一致で香港取引所との統合が承認されたが、今後は従前の相対決済や倉庫事業なども絡んでいるだけにワラント操作?等々含めた所謂ムラ社会の商習慣がこのまま踏襲されるのかどうかも一部関係者には目下のところ注目されるところ。


相次ぐ金融スキャンダル

本日はVN指数が一時5%近く急落するなどベトナム株式市場が急落となっていたが、これは同国の大手銀行アジア商業銀行の創設者である大富豪が昨日に不正な経済活動を理由に逮捕され銀行株などが大幅下落したことによるもの。

金融界で著名だった氏の逮捕で動揺が広がった格好だが、これに限らず直近では金融界の暗部が明るみに出る報が多い。周知の通りもっと大きなところで今月は英スタンチャート銀行が対イランの不正取引を過去10年近く行い、数億ドルに上る手数料を得てきた件がマネーロンダリング防止法違反との報があり、同じマネーロンダリングでは英HSBCもメキシコを舞台に関与していたとの報もあった。

斯様に立て続けにシティがクーズアップされたが、そういえばLIBOR問題のバークレイズもまたシティであった。それは兎も角も挙がったところは新興国絡みが抜きん出ており、果たしてというかリスクの代償としての旨みは大きいというのはこちらの世界でも明白で、日本でも大手証券がファイナンス情報と引き換えにいろいろ商機を見出していたのが咎められている。儲け至上主義の露呈はある別な意図があるともいわれているが、ここまで伏せられてきた物が立て続けに表面化する動きは確かに陰謀説の類が組み立て易いか。


08年再来?

さて、ここ最近紙面を賑わせているものに穀物の高騰問題がある。これに関しては先に仏と米が世界的な天候異変で穀物など食料価格が上昇している問題への対応を協議するためG20による緊急会合招集の準備に入っているが、直近では先週末の日経紙に「穀物高、じわり食卓圧迫」として食用油の値上げが浸透、飲食店向けや店頭価格も上がり始め、小麦も値上がりしそうとの旨も書いてあった。

当然近年金融商品化が著しいコモデティー市場においては先にカゴではトウモロコシも大豆も史上最高値を付けているが、食料とエネルギーという二つの顔を持つトウモロコシなどは争奪戦の様相を呈し本日の日経夕刊でも「食料か 燃料か」と物議を醸し出している。ましてやここへ最近頻繁にチラつかせる機会が多くなってきた金融緩和政策では過剰流動性の波が再度作られており、ファンドも其れなりの商機を狙っているから尚更か。

さて冒頭の件だが、足元ではデフレ化著しいなかで正直何処まで原料コストの上昇分をそのまま製品価格に転嫁出来るかどうかは未知数というところ。本日の日経紙ではレアアースもあの手この手で世界中からかき集めている旨が書いてあったが、斯様に調達先を増やし必要量の安定確保を図るのは企業側の重要課題。この辺に関しては最近穀物に強い丸紅は先に米穀物商社ガビロンの買収を決めているが、従前の総花的経営からの同社の転向は競争激化もさることながらこの辺を睨んでの展開ともいえこの後に続くメジャー群の動向もまた注目されるところ。


投資セグメント

さて、今週は週初に上場している主要な商品取引員の2012年4-6月期の決算が出揃ったが、この期中の売買高が前年同期比で約2割の減少となった事がやはり手数料にも響き、果たして全社が最終赤字となっていた。この中には先に書いた東京商工リサーチの継続企業の前提注記企業もあるが、手数料の落ち込みを自己でカバーした向きもある等この辺は以前から見られる構図でもある。

恒常化している売買高減少によって取引員でもその事業内容の転換を図る向きが近年幾つか出てきているが、上場企業でも今やそのコードナンバーからはおよそ想像もつかないような事業内容に業態変更してしまっているところは幾つも出てきており、この辺は引き続き経営陣の手腕が注目されようか。

本業の落ち込みを自己でカバーしたりもともとのヘッジ事業からの派生がメインになってきた事例は何も取引員に限ったことでなく、一部上場の貴金属リサイクルや不動産事業を営む中外鉱業なども先物投資事業が今や最大の損益変動要因。ちなみに先週発表された同社の2012年4-6月期の連結最終損益は、この投資事業が足を引っ張り赤字転落となっている。

境界線が微妙ながらもヘッジに絡んだ取引で思わぬ利益が出てしまい国税と揉めた石油精製会社もある一方で上記のようなパターンもあるが、斯様に投資事業のセグメントをメインに据える向きはやはりブレも大きく、そのセグメントの巧拙如何で収益が大きく左右されるリスクが孕んでいるのは否めないところだろう。


復活と経済効果

さて、先週末の「東京湾大華火祭」が終ると一気にお盆モードに突入し、週明けから都内はさながらゴーストタウンのようになるが毎度束の間の喧騒の無い空間が平和でとても心地よい。ところで冒頭の花火大会だが昨年の中止から今年は都内各所で2年ぶりに復活するところが多く、おのおの夏の夜空を色鮮やかに染めた。

東京湾大華火祭ではやはり他とは玉のサイズの違いが鮮明、ちょうど時期的に酣だったこともあってオリンピックの五輪を鮮明な色で立て続けに打ち上げたのは圧巻であった。しかし近年この色彩やデザインも進化激しい感があり、先月末の「隅田川花火大会」では従来無かったようなパステル調の色彩がコンクールで多用されたり、話題だったパンダや天の川まで縦横無尽であった。

この隅田川花火大会だが昨年は追悼や復興をテーマにしたものが多かった訳だが、今年の復活組も被災地からの招待や被災地産品販売等復興を後押しするものがやはり目立つ。またこれら含め消費を盛り上げる花火大会の復活は経済への波及効果も大きく、東京湾大華火祭のそれは70億円規模と推計されている。これだけでも束の間のイベントとしては、あの金環日食の半分近くになる計算だからその経済効果はやはり大きいといえよう。


アルゴの暴走

昨日のNY外国為替市場ではユーロが対ドルで4日ぶりに上昇となったが、このユーロといえば先週はスイスフランに対して一時5ヶ月ぶりの高値近辺まで急上昇する一件があった。これはRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)証券のトレーダーが引き起こした取引ミスによるものという。

この辺はロイターによれば電子取引プラットフォーム「EBS」でミスが発生し、他の銀行のコンピューターによるアルゴリズム取引が誘発されたことでこの急上昇がもたらされた模様。顧客資産に影響は全く出ていないとしながらも同証券の損益等について公表は無いが、金融市場ではつい最近米マーケットメーカーであるナイト・キャピタルの取引ミスで150銘柄の株価が乱高下する事態が発生したばかり。

RBS証券の財務基盤は兎も角として、このナイトに至ってはたった数十分でその屋台骨を揺るがす規模を飛ばした模様であるからやはりこの手の金融事件は異様と言われても仕方なしだろう。SECやCFTCは高速取引の実態把握に乗り出している模様だが、先にも書いたように初期段階より念には念を入れたシステムや取引でもこの膨張したマネーやアルゴリズムの前に完璧という言葉は存在しなく何れまたこの手は出て来ようか。


ロンドンオリンピック閉幕

第30回夏季オリンピック・ロンドン大会が閉幕した。閉会式も開会式同様にそこそこ素晴らしかったが、今大会の日本勢の結果は金メダルが7個、前述したようにJOCが獲得目標としていた15〜18個の半分以下に終ったものの、獲得総数は37個を取ったアテネ大会を上回る38個と史上最多となった。

しかし毎回感じるが技の進化は末恐ろしいほどで、内村選手に沸いた体操競技ではオランダのゾンダーランド選手の鉄棒など個人的に圧巻であった。彼の一つの技でも少し前などかつては成功するのが五分五分で演技に組むかどうか躊躇していた技を、開始直後から立て続けに3回連続させるという超離れ業を見せてくれた。かつての塚原選手がムーンサルトを発表してから40年、技も既に未曾有の領域に入ってきた感がある。

一方で組織委員会が絡む政策には、広くスポンサー企業も含めおよそ健全なスポーツの精神というかイメージには遠いグレーな部分も一部露呈されているが、巨額なカネが動くだけになかなかクリーンとはいかないか。

さて金メダルに話は戻るが、今大会の金メダル重量は夏季五輪史上最も重く先の北京大会の約2倍、また近年の相場高騰を映して価格も先の北京大会の約2.6倍に跳ね上がった模様だ。しかし、JOCも獲得目標を挙げるのもいいが、他国に比べるに日本の控え含めた選手への対応の特異性を見るに、日本の金メダルが獲得目標以下という原因がこの辺に無いともいえないのではないか?


業界初の上場

さて、今週目に留まったイベントのひとつに海外市場でのIPOがあったが、日本のパチンコホール大手のダイナムジャパンホールディングスの香港証券取引所への上場がそれである。注目の初値は公募価格仮条件の下限で決まっていたこともあって公募価格と同値の14香港ドルとなったが、注目はパチンコホール運営会社の上場自体が国内外で初めてというところだろう。

これで思い出すのが、かつて上場を目論んだ同じパチンコホール運営大手のピーアークである。今から数年前にたしか日興が主幹事でジャスダックに上場する準備が整っていたものの、三店方式換金システムの合法性の部分が引っ掛かって投資家保護が見出せないとして上場が叶わなかった経緯がある。

それが今回の香港証券取引所に上場が叶いしかもGEMでなくメインボードへの上場というから、関係者としてはさながら取引員が初の株式公開を果たした時のような興奮を覚えたに違いない。グレーゾーンという色の濃淡が大きく変わることは無いと思うが、おりしも規制強化の流れの中で同時に参加人口減もいわれる業界、いずれにしてもこの香港証券取引所への上場が、こうしたグレーゾーンが絡む業界を巡る制度論に一石を投じるのかどうか今後注目されよう。