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非上場メリット

今日ではや二月も終るが、今月特に目立ったと感じるのはやはり上場企業のMBOの動きであろうか。中旬には紆余曲折あった幻冬舎もMBO成立の運びになったが、今月の新規モノではザッと挙げても、先ず上旬のワインのエノテカから始まってレンタル屋のCCC、引越しのアートコーポレーション、メッキの田中亜鉛鍍金と立て続けであり、今年に入ってからは合計で6社とこれは過去最多のケースではないか?

TOBの対象企業は当然ながら鞘寄せ急騰パターンが殆どで市場では次の候補探しに躍起になっているが、どれが来るか判らぬものより手っ取り早くとM&A助言会社などにも物色の矛先が向かっている。

それはともかくMBOの背景にはいろいろとその理由が考えられるもが、これは以前に業界のユニコムグループホールディングスを取り上げた時に書いた通りで、株価の長期低迷環境の中で資金調達の用と監査法人コスト等を天秤にかけるに無駄な部分も多く、他はやはり一部株主の鬱陶しさ?というのも大きい。まあ、単純に上場メリットよりも非上場メリットの方が大きいからに他ならないということだろう。

こうした動きに関して東証社長などは定例記者会見で「投資家を愚弄している」と苦言を呈していたが、上場承認したのも東証であるしあまり株価云々を持ち出すと薮蛇になりかねない。こうした動きも新陳代謝の一環と思い、IPOの誘致、サポート強化など課題があるのではないか。

そんなワケで、今年最初の当欄では最後に「今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」とコメントしたがやはり早くもそういった動きが加速、やはり上記の通り過去最多というのは確定で企業統治など今の構図を考えるに今後も親子上場の問題も加えてこうした動きが止ることはないと思われる。


2/27付で「フォーミュラ」情報画面をリニューアル

ドットコモディティは、2011年2月27日より取引ツール「フォーミュラ」内の情報画面をリニューアル。リニューアル後の価格情報やチャートは、Microsoft Silverlight導入により視認性や情報更新スピードが格段に向上、一歩進んだトレード情報に役立つ機能も新たに追加、とのこと。

▼取引ツール「フォーミュラ」情報画面リニューアルのお知らせ


■特徴・改善点

(1)国内相場表画面
・簡単に銘柄選択ができ、情報各種画面に為替情報を標準装備
・約定時間や最良気配枚数の表示も可能

(2)複数気配値画面
・お好みの銘柄・限月を簡単追加・3本気配合計や5本気配合計枚数も表示

(3)チャート画面
・ティック⇔分足⇔日足⇔週足⇔月足など1クリックで切り替え
・サーバーからのデータプッシュによる自動更新
・各種テクニカル分析や過去データもCSVで簡単取り込み

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遅々として進まず

さて、今週は郵政・金融担当相が閣議後会見にて一次産品の価格高騰は予断を許さない状況と説明、「総合取引所」を進める議論はより一段優先度が高まったと思うとの認識を示していたが、この辺に絡んでは先週末の日経紙経済面に「総合取引所」の在り方を検討する副大臣級の会合が約2ヶ月ぶりに再会した旨も載っていた。

「総合取引所」に関しては先に今国会への提出を断念する方針が伝えられ、12年の通常国会での関連法案の提出を目指すものの、調整が難航すればさらに遅れる可能性が指摘されている。もともと昨年末に公表した中間整理において両論併記になっていた段階で暗雲漂っていたわけだが、やはりというか農水がネックになっている模様であるしそれ以前に政治主導を謳うその政治そのものが混迷極めている状況では何とも厳しいところ。

内閣支持率が約20%程度と末期的な状況で、本日も農水政務官が農水相に辞表を提出したりと自壊作用の話題には事欠かないが、周りが斯様な状況であるから各取引所サイドも模様眺めに回っている感じで、既にまな板の鯉状態になっている取引所はともかく、外枠がハッキリしてこないことには各所も腹を括っての動きはなかなか取り辛いか。

このところ書いてきた通りこの数週の間に世界の取引所はさながら風雲急を告げるような再編の構えを見せているが、そんな中で数年前に日本に歩み寄ったNYSEなどはゴタゴタの中で疎遠になってしまっている。諸外国の開拓も進められず共同歩調も取れない土壌を作っている行政の責任は重いと言わざるを得ないだろう。


ランチトレード

さて大証が「J-GATE」を稼動させ昼休みを廃止してから2週間が経過しようとしている。大証によれば、最初の週に売買された従来の昼休み時間帯のデリバティブ商品は5営業日合計で22万2,627単位とこの間に総出来高の7.4%にとどまった模様。

この昼休み廃止に関しては2/8付けの日経紙「まちかど」欄で、「ランチトレード」に期待として証券会社が会社員などの個人投資家が昼食時間中に携帯電話などで売買する「ランチタイムトレード」を当て込んでいる旨が書かれていた。昼休み中に先物が取引されれば、中国・上海市場などの動きを反映し易くなり後場の現物株も先物の影響を受け、現物・先物とも注文が増えるとの皮算用があるらしい。

しかしここ最近のマーケットは中東情勢を睨んでボラが出てきたとはいえ、まだまだ海外頼みで先物は独自でのトレンドを描きにくくなっているのは否めないところ。そんな事情で裁定抜きもより狭くなっているところへ、一般の個人がランチタイムに飛び込んで小遣い稼ぎをするのは容易ではあるまい。

それでもなんとか先物を知って貰おうと個人へ応援キャンペーンの類は各社いろいろと工夫している。一部の証券会社は期間限定で昼食時間帯の売買手数料ゼロを検討したり、キャッシュバックあり、ロスカット口座を導入したりと顧客争奪戦が活発になっているが、これが奏功して本当にリクイディティの一端を担うようになったらそこからが真の商機であると思う。


ご当地ETF登場

本日は、名証などが東海地域の主要50社の株価指数に連動するETF「MAXIS S&P東海上場投信」通称・東海ETFを上場した。このETFについては3日に当欄でも一寸触れたが、生憎の悪地合の中での登場とあって寄り天となってしまったものの、ブランド力のある自動車関連など含むだけあって売買代金は8億6千万円となかなかの商いを集めた。

地域貢献を謳い文句に「ご当地ファンド」なるものはこの中部地区でもトヨタグループファンドなどを始めとし全国に幾つもあったが、対象企業の所在地を限定し、地元企業の株価に連動するという所謂「ご当地ETF」というのは日本では初めてのタイプか。

さて名証といえば、先週末の日経紙「まちかど」欄で低迷続きの名古屋銘柄がにわかに活況との件が出ていた。昨年一年間の名証指数は10%安に沈んでいたが、ここにきてトヨタが業績予想を上方修正し自動車関連銘柄が買われたことが背景となり名証一部地元株指数は昨年末から14%上昇し、福岡(7%)、札幌(6%)を上回る伸びという。03年4月から07年7月の株高局面でも名証指数は2.6倍と日経平均の2.4倍を上回り、景気回復が鮮明になるほど、名古屋銘柄は上振れるという。

最近では数あるETFの中でも、コモディティーものなど突飛高したり息の長い上げ相場を演出しているものも出てきており上記の件と絡めなかなか侮れない部分がある。このETFは上記「ご当地ファンド」のように地銀などの販売網が存在しないだけにどの程度盛り上がるか未知数だが、ご当地モノの今後を示す試金石となるか注目したい。


拡大する再編の波

さて一週間前の月曜日には、週末にかけて入ってきたNYSE(ニューヨーク証券取引所)を擁するNYSEユーロネクストと欧州大手のドイツ取引所の合併協議の件を取り上げたが、先週末にはPTS(私設取引システム)大手の米BATS・グローバル・マーケッツが同業の欧州最大手チャイエックス・ヨーロッパを買収するとの報が飛び込んできた。

ところでこの上記のチャイエックスといえば、当欄でも昨年触れた通りで野村ホールディングスが34%出資している。国内を見れば同所の1月の売買代金が2,100億円と前月比で2倍に増えており、このPTS自体は7社合計でも5,300億円と前月比24%増と3ヶ月連続で過去最高を更新している。

今思えば当初でこそ数年前の出始めには限られた参加者の中でリクイディティーリスクなどが指摘されていたものだが、着実に伸びつつあるなと。国内だけ見ても上記の通り売買代金が過去最高を記録したとはいえ、この7社合計でも市場全体の株式売買の2%程度に過ぎないことから今後の伸びしろは大きいとされ、今後海外を後追いする可能性も出てきた。

ところで国内はさて置き、もともと今回のNYSEとドイツ取引所の合併の背景には近年の規制緩和からこうした新興の電子取引システムが台頭し、NYSEの上場銘柄が他市場で売買されるケースが目立ってきたことも一因。本来のマザーマーケットがデリバティブ等に軸足を移し始めたのを商機と見て一気に攻勢をかけてきたという感じで、こうした新興勢力と既存の取引所との覇権争いが活発になる中でこのPTSにも再編の波が広がってきた気配である。


2/18より海先での取扱市場・銘柄を拡充(7銘柄)

ドットコモディティは、2011年2月18日(金)より海外先物の取扱銘柄を拡充。ICE USからCoffee C Futures、Sugar No.11 Futures、Cocoa Futures、Cotton No.2 Futuresの4銘柄、ICE EUROPEからBrent Crude Futures、WTI Crude Futures、Gas Oil Futures、Brent/WTI Spreadの3銘柄と計7銘柄を追加。

▼2/18より海先での取扱市場・銘柄を拡充(7銘柄)=ドットコモディティ


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J−GATE稼動

さて、今週の新しいものとしては大証の新売買システム「J−GATE」が稼動の運びとなり、併せて昼休みも廃止となっている。この「J−GATE」は注文処理の所要時間が従来の20分の1まで短縮、1秒間の処理件数が従来の15倍となる12,000件となる。初日の廃止した昼休みの時間帯の売買高は18,826枚であった模様だが、一部証券会社の中にはシステム不具合から障害が出た模様だ。

今回変わった取引ルールとしては、既にTOCOMなどではお馴染みな(FAS)・(FAK)・(FOK)などの執行条件が付加されるほか、ミニの限月増加、OPの呼値縮小等があるが、寄り前や引けの付け合せも変更になった。従来の発注時間の早さによって優先度に差が付かないルールから、新システムは発注が早いほど約定し易い時間優先原則を導入、当然高性能システムを擁する大手証券などが有利になるワケで、中堅証券などは大証での自己売買から撤退するとの声も聞かれる。

先月に中堅証券上場6社が発表した2010年4-12月期決算速報では、最終損益は4社が赤字、2社が前年同期比で大幅減益であると報じられている。黒字の2社でも純利益がそれぞれ大幅減となっており、膨大なITコスト対策もまた新たな悩みの種か。

一方、個人としても東証のアローヘッド稼動後の弊害?と同様に1ティック狙いのトレードは困難になろうか。上記執行条件の(FAK)や(FOK)等の入り具合では瞬時に板の景色が様変わりするであろうし、初日のイブニングなど見ていても一部では板がスカスカになる局面があり思わぬ値が出ないとは限らないだろう。

今回の新システムは立会場時代の名残ともいえる複雑な取引ルールを撤廃、グローバル標準の新売買システムのメリット拡大が謳い文句だが、今後も昼休み廃止に続いて夏場にはデリバティブのイブニングも現行から更に延長が予定されている。更なる攻めのサービス戦略が奏功することになるかどうか今後も引続き注目してゆきたい。


対日M&A

さて、今週に内閣府が発表した2010年の日本のGDP実額は、年間を通じて初めて中国の名目GDPを下回った。1968年以来、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済規模を保ってきたが、とうとうその座を中国に明け渡した格好になった。

このGDPは既に大方予想されていた事だが済成長はやはり著しい。GDP逆転だけでなく斯様な背景で拡張するチャイナマネーも近年日本株投資の他、企業買収等へ振り向けられている。年末には中国系と見られる2つの投資ファンドが、日本の所謂「01銘柄」等を始めとした一部上場85社で10位以内の大株主となっていた事が判明している。

また中国企業による日本企業のM&Aも増加、平成22年の件数は年末の段階で前年度比約42%増の37件、ここ4年で2.2倍になった旨が報じられている。これに関連した件では2/12付け日経紙夕刊一面で、中国の大手会計事務所「信永中和」が日本に会計監査の拠点を設置する旨が報じられていたが、こうした中国系の監査法人が国内に設置されるのは初めてという。

日本企業の対中投資等のサポートもあるだろうが、この辺の動きは当然上記のような対日M&Aを睨んでのものだろう。積極化するチャイナマネーの旺盛な海外投資意欲を受けて、この手のグローバルな会計ネットワークが今後広がる可能性があると同紙では指摘しているが、ファンドの動向等併せてますます目が離せない。


ショコラの波

さて、昨日はご存知「バレンタインデー」であったが、今年は平日にあたり職場等においては義理?が発生するぶん例年アテの少ない殿方も束の間のイベント気分に浸れたと思うが、この平日になるのは3年ぶりのこと。

こうしたイベントものと絡めて必ず登場する行動ファイナンス理論だが、ちなみにこのバレンタインデーではここ20年間バレンタインデー当日の日経平均株価は71%の高い確立で上昇し、直近10年間では全て値上りしているという。なるほど昨日も日経平均は上昇し昨年4月30日以来、約9ヶ月半ぶりとなる高値水準で取引を終了している。これでまた一つ実績?が追加されたことになるか。

それはともかくチョコ系といえばここ近年は欧州著名店の日本進出が著しく感じられる。昨年はデフレがいわれる中を所謂売れ線だったのは高級チョコばかりであったが、今年はこれに更に拍車が掛かっておりマーケティングも応分のものになってきている。「サロン・デュ・ショコラ」などもそうだが、この辺はバレンタイン云々ではなく文化の相互理解の観点からも益々発展しそうな感もある。

ところでこれら原料のカカオといえば昨年はヘッジファンドのスクイズ観測等から暴騰するわ、今年は有力生産国の禁輸措置で先物が約30年ぶりの高値水準に達するなどで話題には事欠かないが、今後も先物、製品いずれの世界でもまだまだ熱いシーンが見られそうな気配だ。


メガ取引所

さて、先週末にかけて飛び込んできたビッグニュースといえばNYSE(ニューヨーク証券取引所)を擁するNYSEユーロネクストと、欧州大手のドイツ取引所が合併に向けて協議に入ったとの報道だろうか。また、ロンドン証券取引所とカナダのトロント取引所を擁するTMXグループも合併で合意と発表している。

この両者(NYSEユーロネクストとドイツ取引所)の縁談話といえばかつて2008年に一度破談になった経緯があるが、時を経てその環境も新興国市場の台頭に危機感を共有し、使い勝手のよい市場作りやコスト削減効果で地盤沈下を避けようと焦眉の急を告げるものに変わったということなのだろう。

その辺をベースに何れのパターンも特化が鮮明となっている。NYSEユーロネクストとドイツ取引所のケースではデリバティブ取引ではCME(米シカゴ・マーカンタイル取引所)グループと双璧の世界最大級のグループになる。また、ロンドン証券取引所とカナダのトロント取引所のケースでは、もともと世界の代表的な鉱山が多数上場していることから鉱山セクターにおいては圧倒的な強みを持つ取引所となる事か。

さて、斯様にプライドを捨てて国を超えた合併提携が進んでいるが、国内はどうだろうか?東証など数年前にはこのNYSEとの業務提携の話があった記憶があるが、今回の件で東証の社長は国内外取引所との提携については「東証は常にオープン」としながらも「今すぐというのはなかなか難しい」と述べている。この東証社長が言うように文化や価値観、国家体制が違うこともあるのだろうが、この狭い庭で今まで幾つか淘汰があったにせよ取引所が5つも存在しているのはやはり外から見れば奇異に映る。