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日本版恐怖心指数

さて、7月末には日経紙マーケット総合面で日経300先物の欄が消え、新たに配当指数先物が入るなどレイアウトが変わった旨を取り上げたことがあったが、先週末から「(日経平均VI)日経平均ボラティリティー・インデックス」の算出・公表が始まったことでこれまでの「IV(インプライド・ボラティリティー)」が消え、替わりに主要指標の欄にこれが新たに入ることとなった。

このIV、オプションに取り組んでいる向きならHVというよりやはり実際のトレードには外せない重要ツールだが、さしずめ米国では「恐怖心指数」ともいわれている「VIX(ボラティリティ・インデックス)」の日本版といったところか。同紙によれば従前のプット・コールの計4銘柄に限定してきたものから、新指数は対象銘柄を広げ限月も1限月から2限月に増やし制度の高い変動率の算出が可能になったという。

当のVIX指数は直近ではギリシャ財政問題懸念でもハネ上がったが、リーマンショックの時も安値でうろうろしていた水準からたしか4倍以上にもハネ上がったのが記憶に新しい。しかし指数から先物、そしてオプションが派生し、そのオプションを基に新しい指数が出来、更にはその指数のオプションまで米国では取引が可能だが、流石デリバティブ先進国である。

さてちょうどそんな折に、国際投信投資顧問がこの「VIX指数」を対象にしたETFを大証に年末頃上場する予定という報があった。同社がETFを設定するのは初めてというが、今後日本もどれだけ創造性をもってデリバティブ先進国に近づくことが出来るか?この辺も気になるところである。


商品先物ネット取引取扱い13社最新ランキングを更新

11月8日〜11月19日の期間で実施した「商品先物ネット取引データ&サービス内容アンケート調査(14社対象)」の結果を元に、各社のネット取引最新サービス内容を更新、ポイント評価基準に従い全13社のレーティング&ランキングを更新しました(1社は12月末にてサービス終了の為除外)。

▼商品先物ネット取引総合レーティング・ランキング(11/23現在)



尚、これまで通り各社のサービス内容・レーティングについては随時更新を行い、同時にランキングにも反映していきます。

各社の最新サービス内容をチェックしてみてください。


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10年9月末までの「電子取引に関する状況推移」を掲載

日本先物振興協会は2010年9月末までの「電子取引に関する状況推移」を掲載。

▼電子取引に関する状況推移(2010年9月末まで/PDF)

これによれば9月末時点では

全口座数   :42,472口座(証拠金の預託されている口座数)
電子取引口座数:27,704口座(証拠金の預託されている電子取引口座数)
有効口座数  : 9,570口座(建玉のある口座数)

となり口座数ベースでの電子取引口座比率は34.2%という状況。また預かりの電子取引比率は35.3%、売買高は30.5%、約定総代金は29.8%、受取手数料額は9.1%。


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何れに回帰?

本日の株式市場は続伸し、日経平均は実に約5ヶ月ぶりの10,000円台回復となった。今週も引続き各社の決算が続いている。この4-9月期の決算発表では増配や自社株買いに出る企業が目立つが、直近では一昨日のベストブライダルが大幅増配発表、またキッツは自社株買いの発表をしておりそれぞれストップ高や急反発と株価の方もこれらが好感されている。

ところでこれらの背景となっているのは特に顕著になってきたキャッシュフロー、一寸前なら所謂アクティビスト・ファンドがここぞとばかりにターゲットの企業探しに余念が無いだろうが、周知の通りいろいろな事件がありすっかり静かになってしまった。ただ、今日の日経紙の主要指標に見られる通り現状平均配当利回りは2%を越える水準、10年物国債利回りの1%そこそこと比較するにまあ一般論としては割安という評になるか。

FRBが追加の金融緩和に踏み切ってからというもの過剰流動性が商品や新興国など彼方此方に流れ込んでいるのは周知の通りだが、昨日書いたように商品など巻き戻しから一旦のコレクションが入っている。そうした流れで行き場の無い向きの一部が株式市場に流入するという構図も描かれ始めているが、はたしてこの増配機運でインカム狙いか国債利回りに寄せる格好狙いでキャピタル狙いが復活するか、

この辺に絡んでは昨日、日証協会長が定例記者会見で証券優遇税制延長の再考を述べていたが、マネーの流如何に係らずそうしたもの含めた受け皿も睨んでこうした税制面等でもまだまだ考えるべき点が幾つもあるし、こうした機運で会社側も資金采配が再度問われることになってくるか。


2010年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月8日(月)から11月19日(金)の期間で実施しております「2010年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果を日々こちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については8日(月)10:00までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):11/22現在 13社】

岡地、岡藤商事、セントラル商事、エース交易、エイチ・エス・フューチャーズ、コムテックス、岡安商事、ひまわり証券、北辰物産、フジトミ、日本ユニコム、ドットコモディティ、フジフューチャーズ

【アンケート未返答企業一覧 1社】

カネツ商事


国際通貨としての戦略

昨晩の海外商品は、まんべんなく全面安の商状。中国の金融引き締め観測がある上に、ドルが対ユーロで買われているのも嫌気され先駆していた金などは30ドル超安となり、連れて本日のTOCOMも全面安となっていた。

さてこの中国に金といえば、月曜日に少し触れた米資産運用会社ヴァン・エック・グローバルの最高投資責任者は今月、中国がインドに続き金準備を増やす国になる可能性があると述べている。

新興国の金準備については8月に一度触れた事があったが、中国の金準備は先に書いたように1,054トン、上記の米投資会社だけでなく中国商務省の機関紙「国債商報」上でも中国は金準備を大幅に拡大し、いずれ米国と同水準まで引き上げるべきとの見方を示している。

コストが1オンス約1,300ドルとして実行した場合、中国は2兆6,500億ドルに上る外貨準備の10%を費やすだけで現在の米国と同水準の金準備を構築できるというが、中国はこの金準備を引き上げる事でドル下落による衝撃を抑え、人民元の国際通貨たる地位を固める狙いもあるとの指摘も一部ある。国内のインフレが懸念される中、ますます同国の動向がキーとなってこようか。


納税者収支

さて、米もやはり決算シーズンだが、先週はビッグスリーが出揃っている。中でもGM(ゼネラルモーターズ)とフォード・モーターは、米国事業の黒字急増に加えてドル安も追い風になり、何れも20億ドル弱の純利益を確保しトヨタ自動車をはるか上回るものとなっていた。

さて、このGM(ゼネラルモーターズ)だが、注目の再上場が17日にプライシングが行われ同社株の取引は18日からNYとトロントの証券取引所で開始される見通しとなっている。この株式は楽天証券なども取り扱い開始となる模様だが、目下のところこのIPOは米企業としてはビザと並んで最大級規模の公開となる見通しである。

さて注目の価格は当初でこそ26ドルそこそこといわれていたものだが、直近の評では一株あたり最低30ドルに設定するという話も出てきている。GMへの500億ドルの救済資金で、納税者収支がトントンになるには同社の時価総額が700億ドル程度必要といわれているが、そんなことからますますこのIPO価格のレンジ変化が気になるところ。

ところで再上場狙いといえばこのGMに対しさしずめ国内では日航か。直近では希望退職者が目標にはるか届かず遂には整理解雇を決定したが、労組の反発は必至なことからこのままスンナリ事は運ばない筈で再建計画にも影響は必至。こちらは果たしてはれの再上場を見る事が出来るや否や。


旬商品

さて、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議に伴い、中国の国家発展改革委員会主任と先に会談した経済産業相によれば、対日輸出が滞っているレアアースについて同氏から近く適切に解決すると輸出正常化の方針を示されたことを明らかにしている。

レアアースについては上記の通り世界生産量の約97%を中国が占めているが、輸出規制や採掘制限に動き当局の税関検査や操業規制がきつくなっている事で高騰が続いているのは周知の通り。さて、このレアアースといえば、先月末から米資産運用会社ヴァン・エック・グローバルがレアアースなど戦略金属の生産者に投資するファンドを上場している。

マーケット・ベクターズ・レアアース/ストラテジック・メタルズETFは中国の姿勢がここ若干軟化した模様との報道が一部あったことで数パーセント安くなったようだが、正に旬なだけにヘッジの用含め投資資金を集めるのは想像に難くないか。

ところで今年のアタマには東証がレアメタルETFの上場を年内にも目指す方針である旨の報道があったが、その後の状況はどうなっているのだろう?海外モノやTOCOM連動型まで商品系は相次いで上場が続いたが、NYMEXあたりを見るにつけ機動性はまだまだという感じ。レアアースなどの一部は二ヶ月そこそこで10倍にも価格がハネ上がるだけに、こうした物こそ様々な商品の誘致が望まれる。


インフレ輸出

さて、本日のTOCOMでは金の先物が実に1983年2月以来約27年9ヶ月ぶりの高値をつけた事が話題になっていた。しかしFRBが追加の金融緩和を決めてからというもの斯様に国際商品他の高騰が著しい。

金は上記の通りでいわずもがな史上最高値更新、ソフトものでは粗糖が30年ぶりの高値にコーヒーが13年ぶりの高値、穀物なども各々数年振りの高値等々、日経紙などでも頻繁にこうした個別の記事が目に付くようになってきた。

今は挙って輸出競争力を高める通貨安競争が言われているが、上記の高騰するコモディティーには2年ぶりの高値にまで上昇した原油先物などに象徴されるように、それらと一緒に厄介なインフレまで同時に輸出が始まっている。そうした弊害に目を瞑れるうちはいいが、今後訪れるであろう宴の後の戦後処理では、出口戦略から一気に6,000億ドル規模の追加量的緩和転換の必要性があったのかどうか非難が出てくるのは想像に難く無い。

一方で量的緩和といえば、日銀も今週からの国債買い取りを手始めに資産買い取りを順次始めることとなった。更に12月半ばからは日経平均やTOPIXに連動するETFやREITなども買い取りを始める方針となっているが、国債と違って額面償還など無いリスク商品へのオペは、市場歪曲論もさることながら仮に損失が出るようなことになればこれまた税金が充てられるという構図だ。

しかしなんというかこんな時世に、部分バブルにまたぞろ懐かしいPKOやPLOなどを彷彿させる政策が出てくるとは何とも複雑な気分である。


二度目の時間短縮

さて、東証取締役会の諮問機関「市場運営委員会」が本日10日に開かれ、複数の市場活性化策の提示の中でも取引時間の延長案は、昼休みを撤廃せず30分短縮することで決着する見通しとなった模様。

先に「昼休み廃止論」として当欄でも採り上げた事はあったが、結局この廃止案は見送り時間短縮で妥協を図るということになるか。この時間短縮という手段は今回が初めてではないが夜間と違って個人など動くかどうか微妙で、ちなみに20年近く前の30分短縮においては売買高の増加はみられなかった。そんなワケでこの妥協策で売買は増えるや否やだが、証券関係者のランチ時間が短くなるだけのような気がしないでもない。

ところでこの東証、今週は「日本無線」をTOBする「日清紡HD」関連の「アロカ」を「日立メディコ」がTOBする事が明らかにされ、昨日は「コンビ」が取締役会でMBOを決定と依然として撤退企業が後を絶たない。先の2010年4-9月期決算も前年同期比で減収減益であったと発表しているが、3年連続の減収減益で上場審査に懸念があるため10年度内の株式上場を断念する考えを既に明らかにしている。

これら含めた逆風の中で売買高増加が焦眉の急、少しでも売買機会の増加を狙い会員負担も短縮なら全廃よりも少なくて済むと気遣いを感じないでもないが、何れにしても会員へのコスト負担が掛かってくるのには変わりがない。当の会員もプライマリービジネスで一気に捲れる大手以外は前にも書いたように此処の上場に賭けている向きも多く、投資負担もこれで限界という向きも多い筈。幾つもの市場が単独で各々システム政策を敷くなどの光景は証券や商品など何処でも同じだなとつくづく。


通貨安競争のジレンマ

毎週のことながら今週こそ円が史上最高値更新といわれている外為市場だが、為替といえば厳戒態勢の中で行われているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)財務相会合では、先週末各国が輸出競争力を高めるために自国通貨を安くする所謂「通貨安競争」を回避することで合意、先のG20財務相・中央銀行総裁会議の合意内容の再確認となった。

この通貨安競争から所謂カネ余りの状態になり、10/20付で書いたようにそうしたマネーはインフレ資産や新興国などへ次々と流入しているワケだが、そのターゲットとなっている新興国の中でも先に粗糖高で沸くブラジルは海外からの債券投資に掛かる金融取引税の税率を4%から6%に引き上げると発表している。

既に一度引き上げ措置をしているので今回は再引き上げということになるが、気になるのはやはり好調だった投信関係だろうか。このブラジル関連投信の純資産残高は現在2兆円近くにものぼり前年同月の約3倍にも膨らんでいる。

この分のコスト転嫁を何処に持ってくるかだが、各社対応の差はあれ結局は投資家負担というところへ落ち着く。外貨資産運用においてのカントリーリスクが顕在化した例の一つだが、新興国モノでは投資家への情報伝達など一部乏しいだけに一般は常にこの辺に注意をはらう必要があろう。