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短冊の願い

先週あたりから各所では短冊に思い思いの願いを書き込む姿が彼方此方で見られたが、ご存知本日は七夕。例年この期には入谷で朝顔市が開催され、またライトダウンなども各所で行われるがこの辺は今年も粛々と。

さて、この慣れ親しんだ行事についてカルピスがアンケートを実施したところによると、織姫と彦星の関係を夫婦と認識していた向きがわずかに21%だったとの結果であったとか。これが七夕生まれの人対象に行った調査というから一寸残念な気もするが、今はそんなものなのかもしれない。

ところで上記のライトダウンは損保ジャパンDIY生命も参加したというが、生保といえば昨日は年金型保険における相続税と所得税を課税する所謂二重課税訴訟において、最高裁が違法との判断を下し国が逆転敗訴となった旨の記事が各紙で見られた。

今迄長きに亘って課税されてきたこのケースがこれで覆されたのは驚きだが、過払い請求でノンバンク業界も一気に斜陽となったように、改めて最高裁の絶対的な力を感じる。しかし二重課税なんぞは証券系でも当然の如く行われているが、他にも定期預金利息など幅広い金融商品の課税見直しに影響が及ぶ可能性があり今後注目、恣意的な物が正されるのは胸がすく思いだが、近年司法も方向が少し変わってきたなと感じる。


金融愚策

昨日は東京都内にて、台湾系証券会社などが日本企業向けの説明会を行った模様だが、約80社が参加し近く日本企業も上場する見通しが明らかにされたり、参加した他のベンチャー企業も資金調達し易い日本以外での上場を検討する旨のコメントも見掛けた。

さて、このベンチャー企業や出資といえばつい最近は日証協が今月下旬から導入を目指している新たな規制案が思い浮かぶ。すなわち有価証券の引き受けに関する協会規則に「上場前に個人投資家に自己株式を販売した企業については、原則として新規上場の引き受けを禁止する」という項目を追加しようというもの。 始めこれを日経紙で見掛けた時はなんとも短絡的だなと思っていたら、果たしてかな上場企業トップ始め各界の識者などから可也の反対票を集めた模様だ。

当の日証協では、この目的の一部でもある未公開株問題等を以って個人に消費者センターなどが「日証協の規則でこうした行為は禁じられている」と説明できるようになれば抑制力になる。としているが、この適用除外項目にしても曖昧で水際にて「この例外規定があるから問題ない」と言われてしまえば全く意味を為さないのではないか。

本来の健全なマネーまで逃げ出してしまうという愚策?では、先のドイツ空売り規制で唐突にこれを打ち出したメルケル首相が金融界から顰蹙を買った一件が思い出されるが、まあ、これに比べれば日証協は自主規制団体とはいえ全証券会社が加入しているのを考えれば再考が求められようか。


異常国債依存度

本日の日経紙クイックサーベイには、日本の財政に不安を感じるとした向きが97%に上っている旨が載っていた。ただ足元ではむしろ「安全資産」との認識から国債への資金流入が続き、金利は低下基調にある中、すぐに日本国債が暴落することは考えにくいとの見方が多いとか。

この辺は月初にやはり同紙一面に載っていたように、国内投資家による日本国債の保有比率は今年3月末で95%超えとなり2006年3月末以来の高水準になったとの旨がその辺を物語っているが、利回りの低水準でさながら国債バブルとの見方も当然多い。

そういえば先の郵政官営化への逆戻りにおいて郵貯限度額引き上げ論もあったが、真っ先に想像されたのは国債との絡みか。銀行も然り、確かに企業の資金需要の低迷というのがあり、仮にあったとしても焦付き懸念が付き纏う中で国債へ流れるというのも否めないが、
この残高は普通に見れば可也怖い部分がある。

しかしながら中には過度に不安視する必要は無いとの見方も多く見掛け、今の状況が不変ならばまた話は別なものの、もうじきに団塊世代年金受給も本格化する。仕手株なんぞと同様に考えるのはどうかと思うが、この手のファイナンスの如く回っているうちはいいものの金融機関等影響を考えれば崩れ出した場合の構図がやはり怖いところでもある。


ディスクロ透明化

さて、今週は3月期決算企業の株主総会がピークを迎えた。集中日としては一昨日であったが、分散化が進んだ結果昨年よりも234社少なく1,087社が開催。週初には株主数では国内最多となった第一生命も初体験、そこそこ手厳しい洗礼を受けた。

今迄と毛色が違う点としては今年から1億円以上の報酬をもらった役員の氏名や金額を有価証券報告書に記載することが義務付けられ、総会でも明らかにするかどうかが焦点になっていたが、この辺は諸外国とは勝手が違うだけになんともいえない。

また、同時に義務付けられた議決権行使結果の開示もある意味おもしろい。可決でもその中身まで晒されるのだから、本来の安定株主を除いた一般の部分の圧力も無視出来ない可也の効果はあろうか。

ところで思うのは、斯様に形態が変わっても例年送られてくる株主総会の通知だけは形式通りで変化に乏しい。かつてのような委任状争奪戦なども無く、シャンシャンと言われた時代から総会屋や外資系ファンド勢もすっかりおとなしくなり、漸く総会が本来の透明性を増しても今度は本来の個人株主が行動を起こす事例が増えまた新たな緊張感が芽生える。まだまだこんな総会通知一つ取っても改善すべき点は多いのではないだろうか。


ジャンク通貨?

さて、本日はカレンシーショップの前を通った際に、トルコリラやメキシコペソなど東京金融取引所で上場延期となっている通貨は今どんな感じなのだろうとふと思ったが、そういえば先週一部大手紙がイラク通貨でトラブル急増と取り上げていた。

こういったマイナー通貨のイラクディナールなどを斡旋するブローカーは前から居たものだが、当時からその流通相場を見れば何れビジネス?が横行してトラブルも多発するだろうなと思っていた矢先、果たしてかなという印象。

まあ、上記のカレンシーショップの外貨宅配サービスにおいてもさすがにイラクディナールの扱いは無く、その辺もブローカー暗躍の素地に加担していると思うが、戦争を経て相場が約2,000分の1にもなった通貨はやはり監理ポスト?これを求めるのは整理ポスト入りした一桁株を買うようなもので、減資(デノミ)でもしたらその程度によっては本当にジャンクになろう。

M&Aから未公開株までいろいろなブローカー(アレンジャー)が居るが、連中の行動を見ていると次に何が流行る?かが見えて来る。投資(投機)の選択肢が急速に広まってきているだけに、益々自己防衛の重要性がクローズアップされよう。


銀行も社債も

本日の日経紙には、東京都が主導し、企業の社債を束ねた金融商品で2件目の元本割れが出ることが確定した旨が出ていた。これは所謂広域CBOと呼ばれるモノで、みずほグループが07年に「エクセレント・コラボレーション」の名で証券化商品として発行した総額約160億年のモノとか。

これは東京都知事が、単独では社債が発行できない中小企業でも無担保・無保証で資本市場から資金調達出来るように提唱した所謂「債券市場構想」に沿ってスタートしたものだが、そういえば昨年のちょうど今頃にもこの広域CBOが元本割れを起こし約130億円を棄損した旨も同紙で見た記憶がある。

背景には中小企業の経営が悪化し返済が見込みを下回った為だが、「エクセレント・コラボレーション」なる名称が今となってはなんとも寂しい。もともと半ば自治体がお墨付きを与えているようなものだけに元本割れに納得がいかない向きもあろうが、東京都といえば「新銀行東京」を見ればこれらの共通点として審査の脆さが連想されよう。

そういった点と共にこの手は組成上の都合もいろいろとある場合が多く、この辺も与信の甘さに一役買った部分があるのは否めないだろうか。上記の銀行と共にアイデア自体は否定できないが、昨今東証での新興企業破綻事件に見られるように審査の重要性を考えさせられる事例である。


地盤沈下の足音

本日の日経紙には韓国政府が市場整備による商品取引の活性化を通じ資産運用など国内の金融ビジネスを発展させることを意識して、15年の商品専門の取引所設立を視野に、対象商品を段階的に広げてゆく旨の記事を見掛けた。

この構想としては、先ず12年1月に韓国取引所(KRX)傘下に金の現物市場を開設、取引実績を積み上げながら市場認知度を高め14年をメドに農産物や原油、石油などへと対象を拡大してゆくという。

ところでアジアでは先週にシンガポールも開設準備中の同国マーカンタイル取引所(SMX)が原油相場の国際指標WTIなど3品目の取引を8月から開始する旨も出ていたが、WTIと北海ブレントがアジアの取引所に上場されるのは初めてのことである。また、4月中旬には既存のSICOMにてロブスタコーヒーの先物が上場されているが、ロブスタといえば東穀で上場されているそれはほとんどM・Mで既にその意味を為していない。

斯様にアジア圏近隣では着々と新規モノの構想が進行しているが、対照的に勢いをすっかり失っている国内商品取引所がいやでも懸念される。足元では原燃料の大部分を輸入に依存するその体質から価格ヘッジの場を整備するのが急務といわれてはいるが、逆に地盤沈下の足音がヒタヒタと迫っているのが実情である。


葉をかいて根を断つ?

本日の日経紙には国内社債市場において、ノンバンク銘柄に対する選別が強まっている旨が載っていた。この手の社債といえば直近では武富士などが414億円のユーロ建て転換社債型新株予約権付社債の繰上げ償還を乗り切ったばかりであるが、スプレッド縮小の気配は感じられない状況とか。

さて、この消費者金融業界、改正貸金業法が完全施行となってそろそろ一週間が経過しようとしているが、なんでも総量規制では現状利用者の約半数もの利用者がこれに抵触してしまうとか。そうなるとやはり需要の矛先は一部ヤミ金紛いのところへ向けられ、また厄介な問題が出てくるのは想像に難くない。

一部として同紙にはノンバンクの中でもクレジットカード会社のように規制強化の影響が比較的小さい企業の社債では逆に強い需要がある旨も書いてあったが、このカードも楽観視は出来ない。ショッピング枠など総量規制の対象外という部分が狙われ、この枠を使った不正換金需要が早くもビジネス化しているとか。

政府としても激変緩和措置なるものを設けているようだが、本来のセーフティーネットの役割を持たせるとしたらこれは現状不可能といってもいいくらい難しい問題か。消費者保護のもと「葉をかいて根を断つ」のような小さい事ではないものの、利用者と共に業者の縮小も避けられないし、そうなれば過払い請求の構図もまた変わってくる。

何れにしても商品業界と何処か似ているこの業界、暫くはお上の意向に従いその経過を見るしかないか。


関連銘柄諸々

本日の日経平均は薄商いの中を続落し、3営業日ぶりに1万円の大台を割ったが、先駆した銘柄中心に週明けに人民元弾力化から一斉高となった中国関連銘柄もはや売り物に押される展開が続いた。

この中には海運株もあるが、バルチック指数がもう何週間も続落となっている中で週明けに急騰を演じた主力大手など短期ではいい売り場を提供したともいえるか。この辺と同様なものとしては海運と双璧の商社株などもこの部類で、懸念材料を内包する中での反発は結局往って来いとなってしまっている。

斯様に株式は中国関連探しもまた一段と選別色の強いものになってゆくだろうが、一方で商品の方は人民元弾力化からの元上昇で中国の輸入増加に繋がるものの、むしろ現地工場のコスト増など中長期的な影響を指摘する声が多く、上げ幅は抑えられる見通しと日経紙では指摘している。

ところでこの同じ紙面にはガーリックフレークの価格が先月比で2割以上上昇した旨が載っていたが、「食べるラー油」ブームなどで引き合いが強く専門商社も必要量をなかなか手当て出来ないという。大蒜投機については昨年末に触れた事があったが、幕間繋ぎとしてはまだまだこの手が健在である。


就活消耗戦

さて、昨日付けの日経紙には今年4月入社の新入社員を対象に実施したアンケート調査で、入社した会社が「第一志望だった」と答えた人は前の年より15.5ポイント少ない41.9%と、三人に一人が第三志望以下の会社に入っており、リーマン・ショック後の就職活動の厳しさが改めて浮き彫りになった旨が載っていた。

しかし就活と一言でいってもいまや学生も企業も消耗戦の様相ともいえるか。枠?の関係もあっての絞込みその他では、人事部意外からでも何らかの形でかり出され現場の方がかなりおろそかになっている弊害も起きており、学生側としても講義欠席などこの就活に伴う行動で可也犠牲になっている部分は多い。

考えてみれば大卒という肩書きだけの為に出もしない講義に費用を払っているといえば大袈裟だが、就活行動だけを見れば学生も企業も本末転倒になっている部分は昨今かなり見受けられる。

先週末の日経紙マーケット総合面でも就活に「株式ゲーム」などと出ていたが、立場的見地から企業の方としても学生が講義を欠席せざるをえない面接や企業セミナーの類を平日実施から少し他にシフトするなどの工夫があってもいいのではないか。


利上げより切り上げ

周知の通り昨日から各紙にて中国人民銀行が08年7月から事実上、ドルに固定してきた人民元相場の変動を再度認め小幅で緩やかな元相場の切り上げを再開する方針であると報じられた。

本日から弾力化することになった改革であるが、もともとその時期についてはが5月の北京での米中戦略経済対話か、来週からカナダで始まるG20・首脳会議前のタイミングといわれていたのでほぼ予測通りのタイミングである。

何れにしてもG20首脳会議を前に打ち出してきたこの政策、「外圧に屈した」との印象を払拭する意味で先手を打った感が強いが、先手といえば全然話しは違うが上海万博を前に物議を醸し出した公式PRソングのパクリ疑惑が盛り上がる中、突如として万博実行委員会から楽曲使用申請が為された一件が余談ながら思い出される。

それは兎も角その変動幅は対ドルで年内3%以内の見方が大勢でこれまた下馬評通り、この程度であれば経済への影響は限定的となろうが、ホットマネーの流入からまたぞろバブルやらインフレの懸念は燻ぶる。ただこの辺は経済先進国入りにはある程度の洗礼も避けては通れず程度問題だろうか。

そういえば株式などたしか前回05年7月の制度改正で約2%切り上がった後には、人民元建て資産の関係でH株相場が上がった経緯があった。また為替なども前回はアジア圏通貨ということで円が買われたが、今回はどの程度反応するのか、何れにしても今後のオペレーションとマーケットに注目である。


縦割り行政崩壊期待

さて、今週一番気になった件といえば15付けの日経紙一面にも載っていた「総合取引所、13年までに」という政府の創設方針が固まった旨の記事だろうか。ホールディングス形式にし経営統合する案などを軸に検討する模様で、今年度中に具体的制度設計に着手するという。

再三論議されてきた商品取引所再編も焦眉の急で、折しも直近では中部大阪がTOCOMに市場移管の方向となっている。本命?より先にココがきたかという感じであるが、残る向きも結論を出すのは時間の問題だろう。

しかし、日経紙などでも先月だったか「正念場に立つ商品取引所」として厳しい環境の旨載っていたが、TOCOMと並んで載っていた東穀取などはやはり比較するにつけトップの感覚が違う。この総合取引所構想にしてもTOCOM社長は他との一体化を含む形態に拘らず議論に前向きな姿勢を見せる一方で、東穀取社長は「巨大な取引所になるのはいかがなものか、複数の取引所が競い合うほうがいい。」とコメントしている。

他にも一貫して売買高減少の原因を不招請勧誘禁止等規制強化に尽きるとするなど、一頃の一部取引員経営者と思想が重なる。数年前に「どうも農水系というのは取引所含めた諸々までいろいろな温床になっている感」と書いた記憶があるが、ココも中部大阪以上の迷走で悪しき官僚意識が足枷になって体質転換の遅れは否めない。

何れにせよ今後政務三役で議論が進められようが、漸く縦割り行政の悪しき構造が解消する時期が近づくと共に、様々な懸案解消に期待がかかる。