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新値決め

本日のTOCOMでは各上場銘柄が一様に高く石油製品などもこの範疇であったが、これに関しては期近が他限月比で上げ幅を縮小していた。対スポットで裁定が利いていたもののクラックの拡大から割安感も薄れてきたことでリバランスなどあった模様か。

さて、このスポットといえば今月からJXグループなど新しい値決め方式がスタートしている。以前に当欄では同社傘下の新日本石油など製品の卸価格をスポットと共に先物へと連動させる市場連動制を導入の旨をコメントしたことがあったが、今月から先物は外されこのスポット価格に一本化されている。

結局のところベーシスの度重なる乖離やそうなった場合の鞘寄せが想像していたよりも緩慢であった部分が大きかったのか、市況が乱高下するなかマージン確保に苦労した経緯のある数社は、思うように転嫁出来なかった部分を踏まえ最低水準を高く設定してきている。余談だが本日も全面高の株式市場にあっても、これらJXやコスモ石などはマイナス圏の引けである。

ところでこうした元売りの一部要請もあって、再び先月には軽油の先物が復活した経緯があったワケだが、既にその翌月には大手筋が市場連動制でも先物からスポット一本化など先物は梯子を外された格好。もっともその軽油も本日の日中取引での出来高はわずかに期近で2枚にとどまり体をなしていないのが現状、先ずこの辺のリクイディティーを確保しないことには進展のしようもないだろう。


史上最短記録

本日の日経平均は小動きであったが、そんな中でヒッソリと上場廃止を迎えたのが東証マザーズの半導体装置メーカー、「エフオーアイ」であった。ご存知同社、上場申請書類に虚偽の決算情報を記載していた事件が発覚し、監理から整理ポスト入りし今回の日を迎えたというもの。

最終日の出来高は20,400株、ところで規模こそ全然違うがJALの時もそうであったように最終日の売買代金なるものどんな奇特な向きが買うのだろうかいつも疑問に思う。さてそれは兎も角、今迄いろいろと企業の上場廃止を挙げてきたものの今回驚いたのは、新規上場から半年そこそこで上場廃止になったその前例の無い早さだ。

通期決算の経験さえしないようなこんな?箱?は見た事がなく、その酷さに監査法人と企業にばかり矛先が向かうが、株主責任を被った投資家から見れば幹事証券や取引所にも応分の責任があろう。幹事証券は売ったら売りっぱなし、取引所は再三の通報にも重い腰を上げず「本格的に仕組まれたら見抜けない」と開き直るような話ではないだろう。

ただ難しいのは一方では新興市場活性化とのバランスという問題、汚れすぎている水も不正横行の栄養になってしまうが、水清くしてナントカともいう。正規ポスト?との兼ね合いもあるなか、目下新規開設の「東京AIM」も上場企業はゼロである。この辺についてはまた後で触れてみたい。


ワケあり下剋上

さて、先週末の日経紙にはイトーヨーカ堂が今月下旬から大手食品メーカーと協力してメーカー在庫の処分販売を定期化する旨の記事が載っていた。5月末の試験販売では主力大手が参加したが、今後は地方の有力メーカーなどにも幅広く商品提供を呼びかけるとしている。

大手不動産会社などが出資するブランド衣料のアウトレットなどはもう周知の通り確立されているが、この辺の食品等も長引く消費低迷で漸くポストPB?の形態構築に大手が動いてきた感じだ。

ワケありにもいろいろあるが、製品の所謂型落ちや食品などの不揃い物はスペック若しくは味など全く遜色の無いものなど札によってはほんとうに叩けるので旨みがある。反面、同じワケありでも不動産その他モロモロ、最後までその裏を知らない方がいいなどというモノも在り。蛇足ながら金融商品も一部は間違いなくワケありもモノ在りである。

しかし、今回のスーパー戦略などは試験的に始めたワケあり品販売が好調だったことに起因するものだが、最近ではワケあり品=割安との判断直結で思わず食指を動かしてしまう消費行動を読んでワケも無いのにワケありの一言を添えて普通の札で売る業者も多く見かける。こうなるとそうしたプレミアムが乗った分、適正なバリューは如何ほどかとなってくるのだが、その辺がまたワケありなのだろうか。


比価論

さて、今週は金がまたも史上最高値を塗りかえた。南欧危機がハンガリーに波及するとの懸念が広がった事がトリガーになって、ここへきてまた同コモディティーに資金が集まった動きという感じか。

一方で最高値更新したこの日のNY DOWは前場続落であったが、ここ急落した反動もあって123.49ドル高で終えた。さて、NY DOWといえばこれを金で除した「ダウ・金倍率」なる指標について先月半ばに日経紙が取り上げていたことがあった。この倍率は30〜40年の波で動くのが特徴で、資本の脆弱化を示し現状からの倍率反転は容易でないという。

ところで業界では昔から、この金とPGM系の比価や銀などメタル系同士の比価を以ってして割安やら割高やらと測ったりする光景があったものだが、一コモディティーから金融商品の色彩が急激に濃くなってきた近年では、こうして株式や通貨などとのレシオの方が彼方此方で多用されるようになってきた。

コモディティーというカテゴリーで金はよく一括りにされ、外貨準備として買われる事のないPGMほか、原油などとも同じステージで比較されるが、国籍が無い通貨の顔も持っており、寧ろ今後はその性質がますます金融色を帯びるのは自然な成り行きだろう。


消去法的

周知の通り、民主・国民新両党連立の菅内閣が発足の運びとなった。早速各識者や経済界トップからは次々に要望が出されているが、まあ毎度布陣をみる度にホントにこの国の首相はコロコロと変り長続きしないなとつくづく。

政治の話にはあまり触れたくないが、マニフェスト破りから新首相決定のプロセスまで野党時代に散々非難していた項目をそっくり見事に再現している様を見るに付け、政治不信がまた一層浸透し、国民を納得させるのは極めてシンプルながらもう黙って結果を出すことくらいしか残っていないだろうなと。

ところでこれらを受けてマーケットの方はどうだろうか?よくいわれるアノマリーでは新首相誕生直後では株価が上昇し易いとされ、今回も「閑散に売り無し」の「閑散」を「菅さん」に置き換えた相場格言の造語が市場関係者にも飛び交った。個別でもまたこれらを買う動きがあったり、相場誘導の舌禍?がある氏だけに一時は円売りもあった模様だが、この円の基調も結局は消去法的要因といわれて久しい。

この円相場同様に長続きしない首相誕生の背景も消去法的な要因ばかりというのもなんとも情けないものだが、まあ問題山積みのこの期の発足なので市場参加者が為にするという意味ではいろいろとまた使い道もあるかもしれないなと。


構造変化と商機

さて、けっこう洒落ていていろいろな用途?に使われてもいた仏ルモンド紙が経営建て直しの為に近く大幅な増資を実施し、60年近くにわたり記者会が筆頭株主として経営権を握ってきた歴史に終止符が打たれることになった旨の報道があった。

この新聞業界を巡っては別にルモンドでなくとも米調査機関などのメディア経営幹部を対象とした調査では、インターネットなどの伸長の裏返しで今後新たな収入源を確保できない場合は業界も10年以内に経営が立ちゆかなくなると現状半数の回答者が答えている。

一方では、本日の日経紙には米ダウ・ジョーンズCEOでウォール・ストリート・ジャーナル発行人のコメントがあり、新聞記事有料化-iPadで加速-などとあった。ところで昨日あたりから渋谷のHMVが8月中旬にも閉鎖することが明らかになっていたが、音楽業界もiPodが登場した時はいろいろと物議を醸し出したのは記憶に新しい。

上記のウォール・ストリート・ジャーナルなどは経済モノに強みを持つなどカラーがハッキリしていて有料化で成功したパターンと思うが、どれを軸にし共存共栄を図るか。電気自動車然り、無煙煙草然りで、この業界も商機入り乱れまた構図が変わってくるのは必至か。


悲観の中に?

週明け本日は仏首相がユーロ安容認の発言をしたことや、ハンガリー財政事情が悪化している報道などを背景に同国国債などを保有する欧州金融機関への懸念が広がったこともあってユーロが対円で急落、先月25日の安値を更新する水準まで売られた。

ドルもまた対円で急落、前週末の米雇用統計の結果で民間部門の伸びが低かったことが背景にあるが、このドルに対してもユーロは4年3ヶ月ぶりに1.18ドル台に下落となった。コモディティーで著名なジム・ロジャーズ氏などは内部腐食が続きいずれユーロは完全に消滅するだろう等との見方を示すなど斯様にこの通貨は満身創痍の状況である。

しかし何処の世界でも「人気」というのは面白いものだ。少し前までは石油代金の支払いをイランなどユーロで求めたり、当欄でもスーパーモデルのジゼル・ブンチェンがギャラをユーロで要求等という噂が出たり映画のワンシーンでワケありのデリバリーをドル以外で求める場面が度々登場したりとコメントしたこともあったなと思い出す。

まあ、もともと国際競争力はもとより経済力も違うものを単一為替で括ってしまうところに無理がある部分は否めないところであるが、それでも数回は基調転換があろう。こんな雰囲気で新興国も積極投資から転換などと謳われているが、こういった事が喧伝されているうちにいざ蓋を開けてみたらそれらの国に先を越されていたなどという可能性もまた秘めている。


リヤドロ展

さて、過日は京王プラザホテルへ所用で出掛けたが、打ち合わせの後にちょうどホテルとのコラボで「リヤドロミュージアム展」を開催していたので暫しこれを鑑賞。此処では絶版の「バラ園」や「シンデレラ」などの大作は写真でしか見た事が無かったので、間近でこれらを見る事が出来たのに一寸感激。

他、1957年の「GOING FOR A WALK」や、同年の「VANITY」などに見られるチュールのプリーツが、既にこの時代複雑なレース編みの技術を駆使し表現されていたのにはやはりこのブランドならではの重みを感じた。

リヤドロといえば上記のように宮廷の貴婦人などのイメージが強いが、「子どもの情景」シリーズなどを見ていると、78年の「ブランコ遊びの少女達」などにも見られるように、ほんとうにその表情には艶がある。同社の「雛人形」などには以前当欄で触れた事があるが、先月の「こどもの日」にも先駆けて「五月人形」の広告をあちこちで見掛け、近年人気があるのも頷ける。

ところでこの五月人形、今年は現代風にアレンジしたモノが人気だとかで「スワロフスキー」をあしらったものあれば、金価格の上昇で純金製かぶとも俄かに人気があったとか。歴女ブームなどもあって伝統にもモードの波だが、この手との共存など構図も近年変わってきたなとつくづく感じる。


各所のCDS動向

昨日の米株式は大幅続落、メキシコ湾原油流出事故での「トップキル」なる封じ込め作戦が失敗に終った旨の報道が相次ぎ、BPのADRが15%急落するなど足を引っ張った。また同社のCDSも5年物が71bp拡大して173bpとなり、賠償責任の思惑など巡って米ハリバートンやトランスオーシャンなどもCDSスプレッドが拡大した経緯がある。

さてこのCDSについては昨年から当欄でもさまざまなシーンで取り上げているが、直近では日経紙あたりでも毎日公表している代表的指数「アイ・トラックス・ジャパン」が先週は170を越えて昨年11月のドバイショックの水準をも上回る場面が見られた。

リスクを回避するプロテクションを買う動きは個別銘柄でもそうで、中国でのストライキ勃発の影響で損失額が1日あたり30億円以上にもなったホンダのCDSなど中旬から上昇、この他の自動車株ではトヤタや日産などもこれらの上昇の後には株価も直近で新安値更新となっている。他、高格付け銘柄でもユーロ急落の影響でソニーやシャープなどの料率が上昇となっている。

ECBの総裁などはCDSの投機手段としての活用を止めるべきであるなどの考えを示しているが、現状社債との連動性もネガティブベーシス取引などの絡みで存在し、これらの動きから個別でも拡大解釈するならファイナンス事情への影響なども懸念されるところでもある。