融合する伝統工芸

さて長月に入っているが、先月は三越で恒例のワールドウォッチフェアが開催されていた。各ブランドが威信をかけて最新鋭モデルを発表する場は「バーゼルワールド」や「ジュネーブサロン」等があるが、特別なバイヤーや顧客が参加者層というこれらと違って此処は気軽に目の保養?が出来る点がいい。

今年楽しみにしていたのが、以前当欄で柴田是真の蒔絵の技術に触れた時にコメントした「ショパール」の漆と蒔絵シリーズの新作。今年は創業150周年ということを記念して、昨年の「五行説」シリーズに加えて「空・土・水」を象徴する3タイプが追加となっている。この中では唯一「土」がトロピックな雰囲気を醸し出しており、「和」のテイスト満載なほかの物とは違った個性を放っていたのがとても印象的であった。

そういえば今年の「ジュネーブサロン」では、「ヴァンクリーフ&アーペル」が新作モデルとして日本の漆作家が手掛けた蒔絵をダイアルに用いる「ミッドナイトエクストラオーディナリージャパニーズラッカー」を計5モデル出しているが、どうみてもこれらのモデルにインスパイアされている感がする。

一方日本からは、水晶時計開発に成功したとの当時の新聞記事をそのまま文字盤に再現した「SEIKO」のモデルが展示されてあったが、何れにしても様々な形でこうした一流ブランドに融合している日本技術の誇りのようなものも感じられこうした点は今後も顕著になってくるだろうか。


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