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稼ぎ頭の変遷

さて、三年前に当欄で「解り合えない解釈」として取り上げた事に、新日石が原油の価格変動リスク回避の為のヘッジ取引を巡って東京国税局から更正処分を受けた件があったが、先週同社はこの更正処分取り消しを求め東京地裁に提訴したと発表している。

当時も書いたが立場が違えばその目的も違うので会計処理と税務処理の差異を調整する解釈の均衡は困難極めると思うが、定着?している実務を狙っているわけでここは最大手としても業界を代表して簡単には引けないというところだろうか?

そういえば週末の日経紙財務面に同社09年の4-6期の連結経常利益は前年同期比5割減となった模様と出ていたが、主力の石油精製・販売事業では採算が悪化するばかり。そんなわけで同社は二酸化炭素の排出量が少ないLNGへの燃料転嫁を睨んで、遊休地をLNG基地に転換して同事業の拡大を急ぐ方針とか。

業界のそうした流れとしては昭和シェルにもそうした動きがあり、石油を上回る1,600億円の投資を太陽電池に振り向け、日経紙によれば5年後に実質利益の半分を太陽電池で稼ぐ計画という。

石油需要も先細りこうした大手各社も生き残りを賭け、その収益構造の変化がますます加速して来るのは間違いないか。


大証FXと新興市場の行方

さて、今週は一昨日から大阪証券取引所で国内証取としては初めてのFX市場「大証FX」が開設し取引が始まっている。取引所FXとしては東京金融取引所「くりっく365」に次ぐ2番目となるが、初日の取引高はこの「くりっく365」の2%であったという。

この大証もたしかシステム整備の調整やらで二度に亘る延長期間があったり、直前で関西地盤の岩井証券のドタキャンがあったりでバタバタだったが、今後の大手等の参入出揃いでこの方面への活路を見出せるかどうかポイントか。

また昨日はこの大証と小会社のジャスダック証券取引所が来年4月1日に合併する方向で最終調整している旨の報道もあったが、その後の展望としては同所が擁する「ヘラクレス」とこの「ジャスダック」を統合し新市場はジャスダックブランドを継承する模様とか。

この辺で思うのは結局、当初のホールディングスを設け市場を傘下にという形態を採るより合併という形態を採ろうかと見据えている所以なのかなと。取引所関係者の間には現況に則し新興市場は過多とする見方も多く、同所が台風の目となって更なる再編促進となるかどうか今後が注目される。


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本日の日経平均はアジア株高を背景にしたカバーもあって小幅ながら6日続伸となったが、その中でもやはり目立っていたのは先週末に上場したものの初日は買い注文殺到から値付かずで、漸く昨日公開価格の9,500円の2倍超となる19,100円で初値を付けたクックパッドだろうか。

三日目の本日は後場からストップ高に張り付いてまさに破竹の勢い、まあ話題性においてもこのクラスは昨年やはり当欄で取り上げたサニーサイドアップ以来ではないか。当時まさか?の初値公開価格割れから一転ストップ高の連発となった同社株の覚えからか斯様な人気となったのか、はたまた200%を超える成長率を買った格好なのだろうか。

昼休みに此処を見ているOLも多いがユーザーの殆どは女性、その増加率も半端ではなく食材の購入やら他に関しても女性陣のパワーは恐るべき影響力を秘めている。食関係の広告市場としては5,000億円を超える規模でありこうした点、まだ伸びしろは大きいだろう。

さてこのマザーズ含めた新興市場のアウトパフォームぶりがここ目立っていたが、七夕あたりをピークにスワップ絡みのショート説もあって一服。戻り急とはいっても山高ければ谷深しの返しなのだろうが、以前にも記したように底打ちからの反転期は先ず金融系、そしてこの新興市場がキー、高PER高PBRでも説得性のある成長企業を今後どれだけ誘致できるかが焦点か。


外国産に回帰?

この三連休の中日は「土用丑の日」であったが、猛暑に休日も重なり何処も老舗界隈ではそこそこの人出で盛況であった。この土用丑の日といえば昨年は、「街中の有名ドコロの老舗にはマトモ?な鰻を確保したい向きがズラリと行列を作っていた」と書いたのを思い出す。

記憶に新しいところで当時は有害物質混入やら、未だにモメている産地偽装の影響やらで中国産が極端に敬遠された経緯があったからに他ならないのだが、今年は景気悪化の影響で逆に国産の半値水準という中国産の引き合いが強くなっている現象が起きたという。

とにかく値段の安さの前にはどうにも敵わないというところだが、つい先日も本マグロが3割下がったとか和牛が約2割、はたまたマンゴーなんぞは4割も安くなったとか大手紙に出ていたが、これらの数万円クラスならともかく相対的に安価な鰻でも数百円の安さへ流れるものだなと改めて認識。

とは言っても直近の日経紙あたりの調査では海外産に対する目は依然厳しいとの結果が出ている。外国産食品の購入回帰とはいっても、そこには食の安全を求める消費者のニーズに対応するというのが前提となるだろうか。


商取法違反からカネツ商事に2営業日業務停止等の行政処分

商品取引員であるカネツ商事株式会社(東京都中央区)に対して行った立入検査、報告徴収等の結果、商品取引所法(昭和25年法律第239号。以下「法」という。)に違反する行為等が認められたため、本日、行政処分を行った。

なお、処分の概要は下記のとおり。

▼商品取引員に対する行政処分について=農水・経産省

それに伴い当サイトから同社に対する資料請求リンクなどを業務停止処分明けまでは一旦解除。またランキングにおいても圏外対象に。


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強者連合

今週気になった出来事といえば、やはり週明けに各紙で大きく報じられたキリンとサントリーという食品大手同士が経営統合を進めているという報道か。これで戦後続いた大手4社体制が崩れコカ・コーラを抜く大手誕生としているが、さて合従連衡が同業界他社の再編を促す事になるや否や。

このサントリーといえば三年くらい前だったか、「社是転換」として従来の非上場大企業路線から上場へと踏み切った出光興産を書いた時にこの類としてサントリーを挙げた事を思い出したが、これもとうとう実質的にはれて上場という形を取った事になる。

強モノというパターンでは昨年の新日石と新日鉱HDの経営統合があるが、これらはその脆弱な部分がある収益構造や国際的競争を睨み将来のメジャーという観点から踏み切られたもので、そうした意味合いからは統合後売上高は互角になるという外資よりもその最終利益がかなり劣るというこれも似たようなパターンか。

今迄挙げてきたモノにはオーバーストアという構造的な問題から業績不振がトリガーとなって再編が進行したという部分が大半だが、08年12月期決算で最高益を達成した両社の統合は上記のオイル系のように予兆があったものが更に他業種に広がってきた表れともいえる。


思わぬ弊害?

本日も日経平均は辛うじて続伸、しかしここ直近は昨日も一部触れたように環境関連モノも9連敗していた日経平均に歩調を合わせて値崩れが酷かった。漸く一服ついて続伸しているこれらの指標格のGSユアサも、つい一ヶ月前の高値1,200円台から昨日はあわや約半値水準の600円台を示現、環境双璧?の明電舎も先月の600円台の高値から週明けは400円を割ろうという勢いと正に崩落であった。

しかし電池バブルだか環境バブルだかまあよく此処まで伸びたモノだとつくづく。そうそう、他に電池モノで三洋電なんぞも例外なく株価が必要以上?に上昇してしまってこのままTOBが上手く運ぶのだろうか?確かこの辺は昨年のクリスマス頃に当欄で取り上げた覚えがあるが、さんざんとG・Sがゴネたものの上場来初の赤字という背景もあって100円そこそこで合意というか妥協した経緯から今は200円の大台替りである。

折しも直近でG・Sは第二Qの最終益が65%増になったと発表、輝きを取り戻した勢いでまた何かゴネて来ないか失礼ながらそちらの方に興味が湧く。斯様に最近で放り上げに使われたテーマはレーザーレーサーやら新型インフルやらあるが、これら普段から優良株なら兎も角そうした部分では疑問府が付く。

だからこそカラ売りも膨らんで取組妙味も出て来るのだが、昔と違って最大に溜め込み拮抗したところで大量現引きから逆日歩責めとか、何しろ担ぐ特定筋も居ないし当局も早々に潰し?に入るので逆に連日の売買代金上位が後々仇になる部分の方が強い。老境に入った物はまた別の使い道も出てこようがさてどうなるか。


時価総額下克上

さすがに9連敗していたこともあって本日の日経平均は10日ぶりに自律反発であったが、直近まで元気印であった銘柄の戻りに期待する向きは多く、この辺の高下でまた業種内での時価総額も変遷してくるのだろうか。

この辺に関しては先月末の日経紙に時価総額、相次ぎ逆転と出ていたように、テーマ別に堅調組・苦戦組と売上規模で数倍違うもの同士の時価総額の逆転・肉薄する銘柄が数多出ている。

ざっと挙がっていたのは環境からはGSユアサとマツダ、食品や生活からは王将フードとロイヤルやファーストリテイリングと百貨店4社、そしてブックオフと丸善、固定客からはキーエンスと日立、近鉄とJR西日本等々がそれだが、そうそう春先には03年に実質国有化されてから初めてりそなHDの時価総額がメガバンクの一角のみずほFGを上回った事が話題になっていたのも思い出した。

時価総額もそれならこうした現象が賞与にも出ており、ダイヤモンドでは新日鉄の賞与を子会社の大阪製鐵が上回っていた事を珍事として取り上げられたりもしていた。こうしてみると株に限らず昨年の金と白金の逆転現象など、商品まで含めてこれらは世相を反映した期待や構造変遷の表れとつくづく感じる。


デリバティブ性悪論

日曜日の日経紙特集では、検証・グローバル危機としてレバレッジの話がいろいろな視点で書かれていたが、そういえば週末にはガイトナー米財務長官が、金融危機の一因となった複雑な仕組みのデリバティブを扱うG・SやJPモルガンなど大手ディーラーに対する監視を大幅に強化するよう求めたばかり。

本来はこうした主力のプロがヘッジを掛けるからこそ市場からアラームも感じ取れるのだが、結局は過剰流動性と共にデリバティブを複雑に埋め込んだレバレッジの増殖が雪崩れのトリガーになった部分もあろうし、権限一任とか使う方の不備も問題があろう。

クラッシュした後は何時もの事ながら警告論が生かせなかったとか、デリバティブ性悪論が彼方此方で喧伝されその当たり先も規制という方向へ靡いてしまうもので、昔もバブル崩壊後などボロボロになりつつあるとき時の政府が先物手数料を倍にしたり、最近ではカラ売り規制なるものが台頭したりと記憶にあるが、リスク回避という本来の手段を雁字搦めにしてしまう事がはたして市場に取って健全な措置なのか熟考が望まれるところだろう。


一元化への道

本日の日経紙社説で目に留まったのは、金融・商品の監督一元化を急げという旨。商品先物取引法の成立から商品と金融の市場融合が進む中で消費者保護を徹底するには、監督体制も旧来の縦割り行政から脱し一元化を急ぐべきとする記事であった。

不招請勧誘問題に関しては以前から業界側では、取引所理事長がトラブル防止に努めるから導入は回避してくれとか、主力取引員トップなどもこれが導入されれば「業」としての経営は成り立たなくなる等を言い続けて来たが、パイの論理の提言もあって規制当局がやはりここ有識者に耳を傾けて来た影響は大きいだろう。

また昨今でもいETFやらワラントやら原資産のリンクを立てて証券系としてもコモディティーへの進出著しいが、これらも法整備からもっと進化してくるのは想像に難くない。仮にではあるが、一元化実現が現実味を帯びてくるのは先ずこうした市場間の競争がもっと熾烈を極めてきた時ではないかとも思う。

誰もが思っている事なのでこうした一元化など意見が出てくるのは至極当然なのだが、現状のところ政府内部の力関係の変遷は知る由も無いし、外圧から繰るのか上記の通り内部から競争という前段階を踏んでくるのかその成り行きが注目される。


必要性は?

本日は、中部大阪商品取引所では低迷する鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれている模様。中部といえば今年春先からたしかアルミニウムやTSR20、そして軽油を順次休止していた筈だが、失礼ながらこの類の鶏卵も一括りにイメージしていた部分があったので未だ相場が立っていたかと改めて認識した。

しかし、活性化と簡単に言うもののはたして建設的な展望はあるのだろうか?そもそも前回の中部大阪商品取引所研究会報告書では「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」とする提言があったが、現状で一日の出来高がゼロ、全体の取組がたったの2枚という商品はこれらに合致しないのか。

さてもう一つ上記のニーズのある新規商品になるのかどうか此処は既報の通り今秋に金先物上場を狙っている。TOCOMとまた商品が被るものの取引単位は標準とミニとの間を取り、取引手法は板寄せにするとかだが、はて指定倉庫も同じでもう一つ金市場を作る絶対的な必要性はあるのだろうか?

この辺はまた後述したいが、此処も上場企業含めて取引員や一般会員の脱退も相次いでいる折、先に発表された決算は3億900万円の赤字を計上。取引拡大で財務基盤強化との目論みだろうが、新規上場含めてその成功の是非が注目されるところ。


経済危機と風物詩

本日はご存知の通り七夕、今年も何時もと変わりなくやってきたという感じだが、日本橋界隈も思い思いの浴衣姿の接客業の方々が暑さの中ホンの清涼感を添えていた。

この時期はちょうど下町の風物詩である入谷の朝顔市が始まったり、田中貴金属では恒例の貴金属の短冊が飾られたりとそうした機運も盛り上がってくるものだが、そういえばちょうど一年前の本日は洞爺湖サミットが開催されていたなと。地球温暖化について考え行動する切っ掛けにとし数時間のライトダウンなどやったものだがあれから一年、今年は高速1,000円乗り放題とやらで道路大渋滞の弊害を誘発しエコの論議は何処へ?

その辺はともかくこの七夕も終るといよいよ花火大会なんぞも始まるが、今年の場合は昨今の経済危機の影響で企業などからの協賛金の確保が難しくなり、全国規模で中止になるケースが広がっているという。

辛うじて開催するにしても従前より規模を縮小したりとかえって質の低下から荒涼感も出てこようというものだが、この辺はまだ元気な一部富裕層を絡めて何かアイデアもありそうなものだが。何れにしろ経済危機の影響が夏の風物詩まで蝕んでしまうというのは実に残念な事である。