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狭義の独り勝ち

さて、週明けには東穀取が株式会社化した旨を書いたが、商品取引所ではこの東穀取に先駆けTOCOMが株式会社化してから今月で一年が経過した。一年前の当欄でもこのTOCOM株式会社化について触れたが、さてその後一年はどうであっただろう?

思えば株式会社化後の最大のイベントであった鳴り物入りで登場した新システム導入では稼動わずか数日でシステム障害が発生する失態を演じたのは記憶に新しいが、先週末には再びシステム障害が発生し今が旬な金の夜間取引を休止する事態になっていた。

5月のシステム障害時には東穀取にまで懸念の意を告げられるありさまであったが、折りしもこの当日は日経紙で社長が新システムを導入した成果は着実に出ている云々のコメントが載った日の障害勃発だからなんともバツが悪い。世界最速級の注文処理速度を武器にプロトレーダーの誘致を謳うのもよいが、これでは当の参加者も躊躇してしまうのは想像に難くない。

そういえば先月の日経紙にてTOCOMの社外取締役を務める前日銀総裁の福井氏が、商品市場縮小は日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ていると指摘していたがなるほど上手い表現である。曲がりなりにも国内商品取引所での取引高シェアは8割を超え、今後は排出量取引の絡みも出て来るだけに、こちらもいろいろと考察すべき点は多いだろう。


前厄にはいるTOPIX

本日の日経平均は買いが盛り上がらずも辛うじて3日続伸、TOPIXも連れて続伸となっていたが、さて平均はともかくこのTOPIX、先週末まで実に12営業日連続安となっていた。しかし考えてみればこの指数も算出と公表が始まってから今年ではや40年にもなる。

男でいえば来年は前厄?こちらも人間よろしく養生しないと徐々に体にガタが出てくる時期などというのは勿論冗談だが、タイミングよくこの12日連続安というのは前回の1992年3月(これまた前厄に近い)以来の過去最悪に並ぶ記録で、実に17年ぶりのこと。

思えばバブルに浮かれた89年なんぞは2900近くあったのが懐かしいかぎりだが、要所要所で機関投資家などにも運用を競う際のベンチマークとされたり、近年ではデリバティブの幅も広がって来ている。

そんなTOPIXであるが、東京証券取引所は来年6月をメドにこのTOPIXの先物をロンドン国際金融先物オプション取引所に上場することで同取引所の運営会社であるNYSEユーロネクストと基本合意したと先に報道があった。昨日は海外株連動のETFが活況な旨を書いたが、その裏で人気の陰りがいわれている日本株、さてこの先物では現物との裁定が絡んでくるがこの進出が吉と出るか凶と出るか今後の相場もまた見ものである。


益々広がる選択肢

本日の日経紙一面にはインド政府が発表した7-9月期のGDPが前年同期比で7.9%増加した旨が載っていた。4-6月期の同6.1%増を大幅に上回り堅調な内需に加え低迷が続いていた輸出も底入れしつつあり、政府内では今年度の成長率見通しの上方修正を示唆する声も出ていると同紙では謳っている。

インドといえば先に中央銀行がIMFから大量の保有金を購入したことでも話題になっていたが、そんな折にちょうど先週には野村アセットが設定したインドナショナル証券取引所に上場する代表的50銘柄で構成する「インドNIFTY指数」に連動するETFが東京証券取引所に始めて上場の運びになっている。

初日は基準価格の上回る100円ドタで引けたが上昇率は約4.1%、昨年7月に上場したブラジルETFの初日の上昇率約2.6%を上回る勢いであったのも、上記の通り高い成長が期待されるインド経済への関心の高まりが表れた結果でもあろうか。

何れにしても大証上場のロシアも含めて、これで所謂「BRICs」全てのETFが日本の株式市場に揃った格好になるが、ETFの多様化で選択肢も急速に広がりつつある。このようなBRICsの経済成長からコモディティー需要も当然拡大してくるわけだが、そのコモディティーにしてもリンクする投信やらETFも何度か当欄で触れたように拡大の一途。本当により身近になり便利な時代になったものだが、同時にこれらは世代交代も後押しするであろうし今後は数字が全てを物語ることになろうか。


グローカルを謳う?

さて、もう霜月も本日で終りとなるが、今月主だった業界の出来事といえば東穀取が株式会社化した事であろうか。

此処も昨年から持分の過払い処理が発覚とか、監査法人に会計監査も依頼していなかったなどが明るみになり、今年は今年で上場銘柄を板寄せからザラバに変更し、また板寄せに戻すとやってみたりとなかなかの迷走ぶりを見せてくれたものだが、目先は世の企業同様に財務基盤改善が急務か。

上記の持分返還も株式保有で対処出来たりとなるが、遅きに失した感のある数々の上場商品の廃止や低迷するその出来高からすると職員数などどう考えるのだろうか?横浜商品取引所を吸収なのか救済?なのか不透明だが、結局引き継いだ上場商品が全て無くなった今、こうして雇用面に改めて目がゆくのも当然だろう。

もう一つ、理念として「グローカル」などはもう数年前から耳にタコであるが、チマチマとミツバチなんぞを育てて一部関係者だけで盛りあがっているようなイベントで地域との融合を謳われてもどうもピンと来ない。例えば先に書いたヤマダ電機などは総本店を築いた折、周辺の飲食店や小売店でもポイントを獲得できるようにしている。そんなものこそグローカルなるものが解り易く一般に浸透しそうなものと思うが。

まあ、取引員の上場意向とはまた毛色の違ったニュアンスのファイナンスの用もあるのだろうが、まだまだ課題山積みか。


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何処も彼処もエコ仕様

さて、本日は所用で恵比寿ガーデンテラスに居を構える知人のところへお出掛け。此処の住居棟へ来るのも久し振りだが、完成当時に風景がインテリアなどのコピーと共に億ションが飛ぶように売れたのも今となっては信じられないくらいに閑散とした感が心なしか寂しい。

その辺は兎も角として、この期にやはり目立つのは恒例の世界最大級のバカラのシャンデリアが一際妖艶な光を放ってガーデンプレイスに輝く姿か。この手のイルミネーションも先月末のハロウィーンが終る頃から直ぐに彼方此方でスタートするが、先に書いた三越のツリーや銀座からは資生堂や松屋もスワロフスキーを駆使したイルミネーションが次々とスタート、部屋から見る夜景も気が付けば東京タワーや周辺のビルは既にクリスマス仕様になっている。

さて、イルミネーションといえば一昔前にクリスマス時期の風物詩とも云われた原宿・表参道のケヤキ並木のイルミネーションが、来月に11年ぶりに再会されるという話だ。交通渋滞やゴミ問題もあって一旦中止の憂き目に遭ったが、今回は時代も変わりLEDを多用し前回の反省踏まえてエコがコンセプトという。

そういえば上記の三越のツリーも電力消費の少ないLEDを多用し、電力も二酸化炭素を排出しないグリーン電力である風力発電を使用、ツリーも生木は使用しないというエコ仕様である。はや新世代でイルミネーション一つ取っても斯様に変遷、諸般の事情で休止になってしまったものも多いがこれら同様なんらかの形で復活を願いたいところ。


NT倍率と構造

本日の日経マーケット面には米国株にリンクしなくなった日経平均の重さが指摘されていたが、この辺は日曜版一面にもマネー、日本素通りとして日本株の勢いの無さが目立つとその様子が載っていた。これは何度の指摘しているように、根底にある増資ラッシュの影響も大きいだろう。実に今年のそれはバブル崩壊後最高であった06年を既に大きく上回り、5兆円規模に膨らむ可能性もあるという。

ちょっと前にも当欄にて、「ファイナンスの必要性がそれほど急務という認識もなく、需要はさておき取れる時に出来るだけ掻き集めてしまおうという風潮も一部に感じられる」と書いたが、月曜の企業面にも「日本は今増資ラッシュだがはっきりしないのは資金の使い道だ」とこちらも同様に不透明感を謳っている。

またかねてからNT倍率の拡大も指摘されているが9年ぶりの高水準である11倍台が2ヶ月続いているのも不気味、結局これもTOPIX系金融の増資による希薄化の嫌気と、その対の先週特に顕著だったような一部大手証券の225採用銘柄のレーティングアップ銘柄が沈滞市場の中を散発高していたような構図によるところも大きいだろう。

斯様に構造というかその中身を見ると冒頭の通り勢いの無さも頷けるか。TOPIXと225の相関係数の動き含めて今後両者が何れに鞘寄せしてくるかであるが、それでも民主党圧勝の8月末から政権の舵取りもまた自然に織り込んでいる点は一応機能していると評価すべきであろうか。


鶏と卵

本日のTOCOM市場ではオイルが冴えない一方で元気印であったのはやはり金、この金相場、週明けも騰勢衰えず7営業日続伸して史上最高値を更新している。大手紙などではドルの代替資産としてこの金を買う動きが加速した云々の記事が圧倒的に多いが、週末の日経紙などでは投資が主役としての金高騰が続き、それが示唆するドル不安に焦点が集まり「悪いドル売り」が進むとスパイラルなシナリオの可能性も示唆している。

鶏と卵の話よろしくこの辺は尽きないものの、CTAがドル売り・金買いを進めたことが秋口から進んだドル安・金高騰の一因といわれているらしいが、これらも含めてつまるところは一部で指摘される原点回帰の動きか。

そんなわけでFRBも監視強化の動きと直近の記事で見掛けたが、一方では週末にはブルームバーグであのジョン・ポールソン氏が鉱山会社と金関連デリバティブに投資するファンドを立ち上げたというニュースも目にした。同氏といえばG・Sよろしくサブプライム関連のショートでガッツリ儲けたのが記憶に新しいところだが、なんでもファンドでは金価格のアウトパフォームを目指すという事。

アウトパフォームという言葉を聞くと一寸思い出すのがTOPIXや225を軸としこれらどれだけアウトパフォーム出来るかの掛け声と共にソフトバンクや光通信を数十万円まで買い煽った一昔前だが、まあそれはさておき確かに産金株なんぞはコスト低下で利鞘拡大から安値からの立ち上がりでは金相場を上回る上昇をするのは事実、原資産に限らず投資手法も飛躍的な広がりをみせる昨今この辺をチェックしてみるのも一考か。


2009年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月9日(月)から11月20日(金)の期間で実施する「2009年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果は日々こちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については9日(月)9:30までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):11/20現在 19社】

オムニコ、エース交易、岡地、大起産業、アサヒトラスト、フジトミ、セントラル商事、インヴァスト証券、北辰物産、岡藤商事、小林洋行、エイチ・エス・フューチャーズ、オリオン交易、ドットコモディティ、フジフューチャーズ、日本ユニコム、三菱商事フューチャーズ、岡安商事、コムテックス


【アンケート未返答企業一覧(返答順):11/20現在 1社】
カネツ商事


取引員決算

昨日はオリエンタルランドの決算など一寸触れてみたりしたが、業界ではFUTURES PRESSでも既報の通り上場商品取引員7社の09年4-9月期決算も先週末に出揃っている。果たして全社が減収となり、うち5社で最終損益が赤字に転落か赤字幅が拡大という結果になっていた。

日経紙では自己資金による運用益は伸び悩み、FX事業も手数料の引き下げ競争が激化としているが、これらも委託から次のこうしたステージを経てつい最近がピークであったかのようなネット系証券の如く今後はそうしたものから別のステージに移行する構図となってゆくのだろうか。

同紙にはまた個人投資家を仲介し手数料を得る事業モデルからの転換も図っているが、成果は十分に挙がっていないとしているが、先週「双方に旨み?」で書いたようにプライマリービジネスの類一つ取っても証券とはその規模が雲泥の差なのは明らかで、こうした部分で限界があるのは否めないところ。

そうした事で上記のネット系証券よろしくパイの奪い合いから今後としてはJCCHの絡みからみてもシステム関連費用等の増加懸念もあり、互いに利害一致な向きの合従連衡も次のステージへ移行しないとも限らないが、或る意味それが出来るのはまだ前向きな方で水面下は不透明感漂う向きも依然多いのが現状か。


12/1より金ミニ・白金ミニ手数料を改定(引上げ)

三菱商事フューチャーズは、2009年12月1日取引分(11月30日夜間立会)より、金ミニ、白金ミニ取引手数料を改定(引き上げ)。

[改定前] 片道49円(税込)→[改定後] 片道189円(税込)

▼金ミニ、白金ミニ取引手数料改定のお知らせ


【手数料改定の背景について】

この1年の間で、取引に係る直接費用(東京工業品取引所、日本商品清算機構、日本商品先物取引協会などから取引1枚ごとに課される諸会費など)が段階的に 引き上げられてきました。この間、当社は特に金ミニ、白金ミニ取引の採算性の確保を度外視し普及を重視するスタンスを貫き、当社でカバーできるよう、努力を行って参りました。
しかしながら、本年10月1日より東京工業品取引所の定率会費が現行より更に約20%値上げされることに伴いまして、上記のスタンスを長期間維持することが困難になってきたため、金ミニ、白金ミニ取引手数料の改定(引き上げ)を実施することといたしました。なお通常取引、ロスカット取引およびV割等についてはこれまでと同様の金額にてお取引いただけます。

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上海ディズニーは杞憂か

さて、昨日バリサファリなどに触れたが斯様にバリ島では次々に新しいテーマパークがオープンし楽しみの幅も広がってきているが、一方で日本のテーマパークの雄、オリエンタルランドが直近で発表した9月中間連結決算はアニバーサリーの反動もあって4期ぶりの減収減益となっていた。

ところでディズニーランドといえば、今度はいよいよ上海ディズニーランドが中国政府から正式認可されている。アジアでは日本、香港に次いで三箇所目となるわけだがアトラクションの少なさなどそのショボさが喧伝される香港ディズニーランドの関係者は戦々恐々、もう一つ、入堺許可やパスポートも不要ということで大半を中国国内からの観光客が占める構図では関係者の懸念も自然なところだろうか。

そう考えるとTDLも外国人入園者のうち中国人が占める割合が相当数なだけにちょっと気になるところだが、余談ながら同じ構図のマカオのカジノも中国の渡航規制強化で不透明感が強く、香港上場のマカオのカジノ関連株は軒並み調整を強いられているとか。そんなわけで盛り上がっている建設地周辺とは対照的にこれらは暗雲漂うが、ホスピタリティー面などで課題もあり、そうした観点からはTDLはまだ強みがあるか。

一方で経済的な視点からすればこれも内需拡大に大きく寄与して来よう、不動産や関連株のバブル化から始まって、空港もある意味ハブ空港としてクローズアップされてくるのは想像に難くない。この辺は逆にハブ空港が育つ環境にない日本としても重要な問題として捉えるべきではないかとも思うが。