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イナゴアプリ

昨日の日経紙夕刊にはアップルとテスラが株式分割を実施したことで両社の株を購入し易くなった個人の取引が誘発され、両者の売買急増から顧客注文処理が遅延するといったトラブルがネット証券のロビンフッドや同業のTDアメリトレードなどで起きた旨が書いてあった。

ところでこのロビンフッドといえば株式のみならず、先にゴールドと共に注目を集めたシルバーなどETFアイシェアーズ・シルバーの買いが同社のアプリを使った若者中心の個人によって急増した旨も報じられている。他に少額オプション取引も市場を席巻しており、急騰急落の何れも同社で売買を膨らませる投機筋が主導している姿が話題になっている。

所謂国内のマーケットで一頃言われたイナゴの類だが、その内容は兎も角も破壊的な無料攻勢から冒頭のTDアメリトレードを凌ぐその取引量急増でファイナンスも活発化し成長期待からその想定時価総額は100億ドルを超えるという。肥大化に伴う歪で投資家保護等の課題も多いものの、国内最大手のネット証券SBIなどの規模も上回る斯様なフィンテック界のユニコーンの存在はやはりここ何度か書いた日米の違いを再認識させられる。


新旧交代

さて、本日は知人の医師と新型コロナワクチン関連など含めいろいろと雑談をしていたのだが、仏製薬大手サノフィの話から世界最大の独立系バイオテクノロジー企業である米アムジェンの話になったが、同社といえば昨日からニューヨーク株式市場のダウ平均株価を構成する銘柄に新たに組み入れられている。

新たに組み入れられる株あれば除外される株ありという事で、同ポストではアムジェン入りの一方で製薬大手ファイザーが除外となったが、ファイザーのような重鎮から100歳以上も若いバイオのアムジェンへのバトンタッチは新鮮に映る。重鎮といえばもう一つ、石油メジャー最大手のエクソンモービルも今回外れることになったのも非常に印象的だ。

ちょうど一週間ほど前に「優勝劣敗」として米の所謂GAFAMのたった5社が東証上場全企業の時価総額を上回って以降もその差が開いている旨を書いたが、斯様に上記のような積極的な新陳代謝がなされているか否かの積み重ねがこうした背景にもなっているという事の証左だろうか。


破竹のIPO銘柄

さて先週末は安倍首相辞任報道を受け急落した日経平均も本日は現官房長出馬検討の報で現政権政策継続性に期待する買いが集まり4営業日ぶりに反発となったが、値上がり上位に新興勢がズラリと並ぶ光景はやはり先週同様。QUICK IPOインデックスが先週約4か月ぶりに8日続伸となっていた通りとりわけこの手へのホットマネー集中が著しい。

先週新規上場となったインターファクトリーなど初日から3日目にして漸く公開価格960円に対し実に約5.3倍となる5,080円で初値を形成しあとストップ高まで一直線となり本日もストップ高となっているが、ココと同じく3日目にして初値形成といえばその前のニューラルポケットもまた然りで公開価格900円に対して実に約5.7倍となる5100円での初値形成となりその後十数分でストップ高まで駆け上がるなど両者破竹の勢いだ。

これ以外でも以前5月に巣ごもり消費で取り上げたBASEなども3月安値の700円台から先週アタマには上場来高値を更新し10,000円の大台に乗せるなど、無配予定ながら実に13倍以上の大化けを演じている。これら何れもマザーズ銘柄だがこうした背景もあってマザーズ指数も2年2か月ぶりに1100ポイント台水準を回復し、年初来騰落率で見ても日経平均やジャスダックのマイナスに対してマザーズは21%高と明暗分かれている。

何れにせよ現状の売買代金の膨らみを見るに個人資金の回転は効いているのは間違いのないところで、ナスダックの騰勢を背景としながらコロナ後を見越した新興株物色はITサービスを中心としたIPOモノ中心にまだしばらくは物色の回転が効く光景が継続されるだろうか。


お客様情報漏洩(約2800件)のお詫びとお知らせ

コムテックスは、同社のオンライントレード口座開設申込時に入力頂いた情報約 2,800件が漏洩した可能性があることを報告。漏洩の可能性のある情報は「氏名・住所・生年月日・メールアドレス・電話番号・ご勤務先情報・銀行口座情報・パスワードなど」。

▼お客様情報漏洩のお詫びとお知らせ


2.経緯

2020年8月25日18時頃、調査の結果、第三者による不正アクセスならびに、個人情報が漏洩していることを確認しました。また、同日中に前記サーバーよりお客様の個人情報を削除したうえで、再発防止に向けた対応を実施させていただきました。

3.現状確認されている被害

現在、直接被害を受けたとの報告は受けておりません。弊社は今回の不正アクセスにつきまして、主務省庁には2020年8月26日にそれぞれ本件の発生について報告しております。また、大阪府警に2020年8月27日に被害について報告しております。

【本件に関するお問合せ窓口】
コムテックス オンライントレード課 カスタマーセンター 0120-688-217
本社 お客様相談窓口 06-6543-6598
(土日祝日を除く 9:00 〜 17:00)

SDGsに商機

さて、今年の初めに当欄では植物肉パティを使ったハンバーガーをマックがカナダで試験販売した旨を書いた事があったが、世界30ヵ国に5000店を展開している植物ミート専門店のザ・ベジタリアン・ブッチャーが、日本で初めてのプラントベースドミート専門店が併設されンバーガー全てに植物由来のパティを使用したハンバーガーショップを昨日池袋にオープンした。

この植物ミートのハンバーガーといえばモスバーガーも他に先駆けソイパティのハンバーガーメニューを既に展開させ、コンビニではローソンも先月から大豆ミートを使ったカツやメンチのハンバーガーや唐揚げを販売しており、他にフレッシュネスバーガーも10月から植物肉で作るハンバーガーを本格展開する事を決めている。

こうした植物肉の原料となる粒上大豆たんぱくの国内生産量は昨年約3.3トンであったがこの10年間で約50%増という。こうした事を背景に5割の国内シェアを持つ不二製油は植物肉関連事業を拡充する意向で、ネスレ日本も来年は植物肉を日本市場に投入と後発組?ながらその豊富な販路と資本力にモノを言わせ参入してくる。

カロリーは一般的なチーズハンバーガー比で3分の2程度という事で、欧米では健康志向の高まりなどを受けて植物肉人気が先行し株式市場でも関連株が大化けを演じている。SDGsも意識し環境保護の観点からもその注目度が増してきているが、はたして日本でも欧米のように市場拡大が加速するのか否かこの辺は今後も注目される。


価値の普遍性

さて、一昨日まで日本橋の高島屋では国内最大級の黄金展が開催されていた。同展の目玉?的存在の金箔を1,700枚使った2,200万円の金箔ダルマをはじめとして仏具から今が旬なアマビエの純金カードから将棋駒セットまで1,000点以上の金製品が並んだが、何れにせよどれもこれも金の含有量を考えるにデザインや工賃の高さを改めて感じる。

ところで金といえば今やアップルを5%保有する大株主で米企業初の2兆ドル突破となった同社株にニンマリな米投資家ウォーレンバフェット氏も、かつてはこうしたIT企業と共にゴールド嫌いを公言していたがこの4-6月期で金鉱株に新たに600億円近くを投じた旨が報じられ各所で思惑を呼んでいる。

既にマイナス圏に沈んでいる実質金利や金融緩和継続によるドルの減価観測を背景にバブルの一言で片付けるには早計との雰囲気だが、この高値圏で開催された上記の黄金展も然りアフターコロナを睨んで「もうはまだなり」か「まだはもうなりか」まだまだ無国籍通貨には思惑が交錯しそうだ。


TOB二例

さて本日の日経紙企業面にも「ファミマTOB成立へ」と出ていた通り、伊藤忠商事による子会社のファミリーマートへのTOBが期限をむかえ成立する事となった。株価が1000円台後半だった時にこの話が出て以降香港のオアシスマネジメントなどが買い付け価格引き上げを要求するなか、その株価はTOB価格を上回る状況がつい先週まで続いていただけに同成立が危ぶまれたものだったが取り敢えず一安心といったところか。

TOBといえばもう一つ、ファミリーマートと共に結果が注目されていた外食大手コロワイドによる大戸屋HDへのTOBは、その条件が変更され成立に必要な応募数が引き下げられその最終期限も9月8日まで延長される事となった。こちらの方は直近で大戸屋側がオイシックスとの業務提携を発表するなど反発が続いておりどういった結末となるのか今しばらく注目される。

しかし伊藤忠商事のTOBといえば昨年のデサントが直ぐに思い出されるが今回も下馬評を撥ね退け予定通りにTOBを成功させた格好で、快進撃の同社はその時価総額も資源価格急落に苦しむ三菱商事を上回り初の総合商社トップに躍り出ている。何れにせよコロナ禍で消費が落ち込むなかこの手で基盤強化を狙う向きが今後も増加傾向になってゆくのは想像に難くないか。


優勝劣敗

さて、先週は米アップルの時価総額が米国企業で初めて2兆ドルを突破したのが話題になっていた。今年に入ってからの同社の上昇率も実に5割以上に達し同社を1兆円保有する巨鯨GPIFもニンマリといったところだろうが、その辺は兎も角もこのアップルに限らずIT大手へマネーが集中する構図がここ顕著だ。

この辺に絡んでは先週の日経紙総合面でも「IT好調 米株二極化」と題して取り上げており、同文中にはS&P500の時価総額のうちこのアップル含めた所謂GAFAMで24%を占めると書いてあったが、その時価総額合計はこの5社だけで約740兆円と実に東証上場の全企業の時価総額合計の約640兆円を5月に逆転してから3ヵ月ほどで既に約100兆円も上回っている計算になる。

また先月にテスラを取り上げた時にこの1社で日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産の時価総額合計を上回ると書いたが、これとて今や既にトップスリーどころか自動車9社をも上回っている。上記と併せコロナ禍での成長が期待出来る点が囃されている構図だが、同じコロナ下での成長を囃されている一部上場大手が日本の場合はニトリや西松屋等という現状を見るに、コロナ・ショック暴落から往って来い以上の過程で二極化が鮮明になった米との構図の違いを改めて感じる。


消えた密プール

さて、大人も子どもも短い夏休みが終わり今週からそれぞれヤレヤレの始動という感じであるが、今年は都外への移動自粛が求められる雰囲気のなか都内のホテルではプールやレストランなどで旅行気分を楽しんで自粛疲れを癒してもらおうという都民囲い込みのプラン等が目立っていた。

例年のこの時期は年々派手さを増して来たホテルのナイトプールなど一番の書入れ時なのだろうが、毎年人気のところは今年の場合は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から殆どが宿泊者限定とする旨の通知が多く届いていた。ホテルメンバーなど会員特典が無くなってしまう分お得感も薄れるというものだが、冒頭の通り全国各地のご当地グルメのビュッフェなど企画は盛り沢山だ。

またこれらの案内と共に今年新しいところでは所謂ワーケーションプランの案内も目立って来た。星のや東京など先駆けてワンフロア全6室貸し切りプランと称し通常より18万円以上お得というプランを販売していたが、ニューオータニも今月末まで高級ホテルの静かな環境をオフィスのように使えるというフレコミで39万円からの30日連泊プランなど注目を集めている。

テレワークから更に進化?しこれを活用しつつ上記のラグジュアリーホテルやリゾート地などで仕事をするという政府も肝煎りのこの新たなスタイル、個々ではいろいろとハードルが高い課題もありそうな気もするが、新型コロナウイルスの感染拡大が依然高水準な中はたして新たな形として浸透するのか否かこちらも今後に注目したい。


デジタルゴールドの位置付け

本日の日経紙国際面では「投資対象、定着なるか」と題しインドで最高裁の判決によって暗号資産取引が再開し、暗号資産の直接取引仲介サービスを手掛ける欧米大手2社が仲介したインドルピー対ビットコインの月間取引高が先月は3月の2倍弱に上るなど暗号資産ビジネスがにわかに活気づいている旨が出ていた。

インドといえば貯蓄資産として銀行預金等より金を選好する傾向が高い国民性で知られるが、コロナ禍で財政赤字が膨らみ自国通貨価値が不安定になるなか再開された暗号資産取引が活況になるなどを見るに、史上最高値を更新している金に代わる貯蓄資産の位置付けで一定の人気がある事が窺える。

このビットコインも昨日は昨年8月以来の130万円台奪回と年初来高値を更新しており、新型コロナウイルスの感染拡大であらゆる資産の総投げに巻き込まれ50万円台にまで売られていた事を考えると話題の金どころではない上昇率だ。これまでその特性から何かと金と比較対象となってきたビットコインだが、このコロナ禍を背景に投機対象から徐々にその位置付けに変化が出て来ている感もある。


実施促進

さて、今年の株主総会では新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から招集書類にもかかわらず当日のご来場はお控えいただきますようお願い申し上げます等の一文が印字されているものが目立ったが、昨日の日経紙夕刊一面には「スマホ投票導入6割増」と題し株主総会でスマートフォンを使って株主総会で議決権を行使できる仕組みを導入する上場企業が337社と今年は19年より61%増加した旨が出ていた。

もう一つ、7月アタマの当欄では総会もバーチャルへと題しインターネットによる議決権行使が推奨されている旨も書いたが、作業が簡素化になるとはいえ普段からデジタルに疎い一部高齢の株主層に浸透するかどうかの課題云々の問題はあるものの今後も総会等のオンライン化は拡大こそすれ総会土産と共に従前へと回帰の方向に向う事は考え辛い。

これまで働き方改革絡めリモートワークやオンライン授業など予てよりこうしたモノを活用しなければならないというコンセンサスは一致していたとはいうものの、なかなか踏み切れなかった事が皮肉にもこの新型コロナウイルスによって否応なしに実施しなければならなくなって来た事例の一つでもあるが各々上手く生かして行ければと思う。


山高ければ谷深し

さて、約一週間前には米ドル信任が問われるなか中東の地政学リスクも加わりあっという間に2000ドル超えまで駆け上がった金を取り上げたが、それからわずか二日後の日経紙マーケット面には「金急落、一時1900ドル割れ」と題し、過去最高値圏で推移していたなか終値ベースで3月中旬に金を含む主要金融商品に換金売りが強まったコロナショック時の下げ幅に並ぶ急落を演じた旨が出ていた。

過剰流動性に乗ったモメンタム系の鬩ぎ合いもあって時間外取引では一時1900ドル割れの場面があるなど山高ければナントカを地で行く相場を呈しているが、直近のこの下げは米財政赤字拡大で国債発行増加による長期金利上昇が直撃したといったところで金利が付かないデメリット面が久し振りに突かれた感か。

ところで外貨準備の一つとしてこれまで積極的に金を積み上げてきたロシアに代わって最近では米との関係悪化を背景にトルコ中銀の購入が目立つ報道があったが、今や金ETFの代表銘柄SPDRゴールドシェアを扱うステート・ストリートのETF保有残高は日本が外貨準備で保有するそれをも上回っている模様。これまでの同資金流入ペースを見るに日銀のETF買い入れの如く、今回のように空中戦で押した要所では確実に買い手も存在する証左といえ趨勢変化と捉えるのは早計か。