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コロナ物色

さて、ここ数日の米株式はバイオ製薬のモデルナに振り回される展開が続いている。週明けは開発中の新型コロナウイルスワクチンの治験第?で効果があったと発表、これを好感した買いからザラバで上場来高値を更新し前週末比20%高で取引を終えたが、昨晩は有効性を示す試験データが不十分と報じられた事で一転して10.4%安と急反落となっている。

週明けにゴールドマンサックスが同社の目標株価を105ドルまで引き上げる一方、1760万株を発行し13億4000万ドル相当を調達するファイナンス計画の発表もあるなど好悪材料が交錯しているが、本日の日経紙市場点描では国内ではコロナ過熱銘柄に売り戻しから失速の兆しが出ている旨が書かれていた。

緊急事態宣言の段階的解除を睨み外出自粛をテーマとした物色は一服感も出て来ようがモデルナのようなバイオものは不動の本命、同社以外でも世界中で100超の企業・機関が躍起になってその開発に取り組んでおり今後も折に触れこの手の報道による局地戦が指数へのカンフル剤となる素地は残っている。


社会的距離

コロナウイルスの感染拡大に伴いその防止目的から人との間に取る所謂「ソーシャル・ディスタンス」も彼方此方で進んでいるが、昨日の日経紙夕刊には「社会的距離 例え楽しく」と題し、このソーシャル・ディスタンスを同じサイズのもので例えるユニークな紹介方法で広がっている旨が出ていた。

この頁ではその距離を、アルバム「アビイ・ロード」で横断歩道を渡るビートルズと表現するイラストが出ていたが、ココに出ている以外にも例えば自動車メーカーではメルセデスベンツがスリーポインテッド・スターが円に接触しないよう縮小、アウディも4つの輪が接触しないよう離したりするなど世界の著名企業も続々と自社のロゴマークを使ってこれを訴えている。

今では飛沫感染防止で何所の店でもレジ等では仕切りがあるが昨晩たまたま見たTVでは居酒屋の座席にアクリル板のシールドが立てられ、料理のオーダーは自身のスマホで発注、出来上がった料理は蓋がかけられそれを客が自分で取るという仕組み紹介されていた。挙げ句にはオンライン飲み会に対応出来るようにタブレット端末と顔が明るく見えるライトまで貸し出す旨もやっていたが、これを滑稽と見るかニューノーマルと見るか。

ところで過日に北欧の知人と話した際にこのソーシャル・ディスタンスの話題になったのだが、昔から所謂パーソナルスペースを好むことで知られている彼らの間ではこれまで或る意味揶揄されていた行動様式が国際標準化されつつある事に今更感を強く感じているというが成る程いろいろ考えさせられる。


数奇な関係?

さて、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の影響が災いし企業破綻も月を追うごとに増加してきているが、先週は東証に上場しているレナウンが東京地裁から民事再生手続き開始の決定を受けとうとう国内の上場企業の破綻が出た。上場企業の破綻といえば昨年1月のJASDAQのシベール以来、16ヵ月ぶりの事か。

先の決算では2期連続の最終赤字を計上し決算短信にはGC注記を記載していた事で、最近の投げ売りのようなプライスが付いたダーバンのセール案内が増えていたのにも不穏な空気を感じていたが、そういえば今月上旬に同じく民事再生法申請した米のJクルーもかつてレナウンが販売していたのを思い出す。

ところで米でも今週決算発表を予定していたアメリカを代表する百貨店大手JCペニーが奇しくもレナウンと同じ日に破綻した報が飛び込んできたが、新型コロナウイルスの影響で破綻となった百貨店では先に破綻したハワイでもお馴染の高級百貨店ニーマン・マーカスに続いて2例目である。

このレナウンとJCペニー、上記の通り破たんした日付も同じだったが皮肉な一致で両社ともにその創業年も1902年という老舗。バブル当時まで流れていたCMソングもいまだ直ぐに浮かぶが、かつてアパレル日本一まで駆け上がった同社が近年の業界変遷から誤算の身売りの末にこのコロナ禍でとどめを刺され市場から退場する様は産業構造の転換期を如実に物語る。


コロナ禍のハイブランド

さて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から観光客の減少に加え自粛ムードで店舗休業などからハイブランド犇めく銀座などゴーストタウンの様相を見せているが、斯様な影響で仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンや、同じく仏のケリングの2020年1-3月期が前年同期に比べて2桁の減収となるなど高級ブランドの業績に影を落としている旨が直近で報じられている。

ところで上記の仏LVMH傘下のブルガリもこの新型コロナの影響で銀座タワーなどの旗艦店が休業の憂き目に遭っているが、外出自粛となるや同社のクリエーションを「癒し効果」があるという塗り絵で送ってきたり、希望を共有する事を目的とした社会貢献の為のオンライン・トークセッションを開催したりとこの手のサービスでは他に一つ抜きん出ている感がした。

また同社では展開する星付きのレストランも休業を決定したが、シェフの先導で東京の感染指定医療機関の医療従事者に同店のイタリア料理を無償で届ける「お弁当プロジェクト」なる提供を開始し既に都立駒込病院や国立国際医療研究センター等の医療機関が無償提供を受けている。

これまでも同社はセーブ・ザ・チルドレンへの多額の寄付など慈善活動に取り組んで来たが、本拠地イタリアへも最先端顕微鏡の提供や消毒ハンドジェルの提供を医療施設に施している。過日の日経紙にて「公共より自社の利益を優先する企業は永遠に信頼しない」との問いに71%がそう思うとの米エデルマン調査結果が出ていたが、当欄でもちょうど1週間前に書いたように今後もCSRという観点から企業を見る目もより厳しくなりそうだ。


半減期のアノマリー

昨日の日経紙金融経済面には「ビットコイン供給8分の1」と題し、ビットコインの市場への供給量が当初の8分の1まで減少するのに伴いその需給思惑もあり価格は今年の3月中旬の安値から先週には1万ドルを付け約2倍化した旨が出ていたが、これで急落するほぼ1ヵ月前の水準を再度回復と依然ボラタイルな動きを演じている。

今回は2012年以来3回目となる半減期だが、上記に加え緩和マネーの膨張も背景にして倍化した事でまたもアノマリー再来といった感もある。ただ今年の場合は約6割もの急落の憂き目に遭った背景にはコロナウイルスの感染拡大でマイニング作業への影響への過度な懸念も災いした部分もある面あろうか。

ところで、同頁ではヘッジファンド創業者の「ビットコインは70年代の金」との投資家向けリポートコメントがあったが、ETF残高が過去最高を更新し続けているこの金もまたキャッシュが最優先されるパニックの中で一緒くたに売られた後に再浮上の軌跡を辿っている。緩和マネー溢れるなか今後も或る意味対極ともいえる両者が同時物色される場面を目にする機会も多くなろうか。


評価其々

さて、昨日の日経紙一面には同紙とテレビ東京が実施した世論調査で新型コロナウイルスの政府の取り組みについて「評価しない」との回答が55%と前回調査から11ポイント上昇した旨が載っていたが、二転三転の特別定額給付金に始まり未だ全てに届かないアベノマスク、緊急事態宣言の際には東京都知事と経済財政再生相の間で軋みも見られるなどこういった時こそ諸々目に付くもの。

また直近でザワついているのが厚生労働大臣による新型コロナウイルスのPCR検査に向けたセンターへの相談の目安を巡る「誤解」発言だが、そもそもが知事権限を飛び越え政府が僭越な通達を出していた事で権限と責任が斯様な言葉遊びで曖昧にされてしまうところが関係者側や我々としては憤懣やるかたない思いというところだろう。

知事といえば次頁に知事のコロナ対応評価で大阪の吉村知事がトップになっている旨も出ていたが、目先の休業要請解除一つ取っても命を取るのか経済を取るのか各自治体知事にとって重い決断だが諸外国でも采配が冴える知事が俄かに人気を博している通り有事下にこそリーダーの真の資質というものが見えてくるもの。


農水も苦悩

さて、昨日は母親に日頃の感謝を伝える「母の日」であったが、街のフローリストやパティスリーなど先週あたりから定番のカーネーション等を中心としたディスプレイ一色となり、このコロナ禍のなか外の列もソーシャルディスタンスを守り皆思い思いに品定めをしていた光景が見られた。

しかし花卉といえば新型コロナウイルスの影響から自粛ムードで冠婚葬祭規模が縮小、卒業式等の学校行事や歓送迎会の中止も災いし最需要期が総崩れとなった旨を3月頃に当欄でも取り上げたが、この定番のカーネーションや薔薇などの花もその相場は先月末時点で出荷価格が前年同期比で4割から6割近くも下落している模様だ。

先のホワイトデーにも農林水産相が花の消費を喚起していたが、農水といえば今年は突然の休校や飲食店営業縮小等を受けて牛乳もまた過度な余剰感が出ている。花卉や牛乳いずれも日持ちがしないという商品の特性は同じで後者など簡単に生産調整も出来ないだけにまだ暫くは同省の苦渋も続こうか。


ワンチーム

さて、連休中の日経新聞一面・コロナと資本主義の中には「企業、公益担ってこそ」と題し、先の世界経済フォーラムの年次総会で取り上げられ多くの企業が賛同したところの行き過ぎた株主至上経営からステークホルダー資本主義に移行すべきだとの議論に対する決意がこのコロナ禍の下で試されている旨の記事があった。

ちょうど1ヵ月前に当欄では米ではテスラやGE、フォードモーター等々による人工呼吸器を急ピッチで増産し世界の病院へ無償配布したり、英ダイソンも同パンデミックに対する取り組みに寄付したりと欧米の主力勢がまさに先頭に立って公益を担っている一方で本邦勢との温度差を感じる旨を書いていた。

その末尾では「かつて松下幸之助氏が言った企業は社会の公器という言葉がこんな時にこそ思い出されるもの」と書いておいたが、あれから出遅れていた感の本邦勢も政府の後押しもあってトヨタやソニーが人工呼吸器で医療機器メーカーを支援したり、帝人の医療用ガウンの生産や花王の消毒液の大幅増産等々大企業勢が続々と後に続いている。

今や医療機関と共にこうした大手企業もそれぞれの得意技を持ち寄って前例無き提携など従来の組織の壁や慣習を超え、また彼らのみならず大学や自治体まで一丸となった連携プレーとなっているが、政府の後押しという点では未だ欧米比で依然として温度差は否めず未曾有の敵にどう抗するかまさにこの辺が揃って初めてワンチームの底力が試されるか。


色のあった街

さて、本日は4月30日だがちょうど21年前のこの4月30日を最後に東京証券取引所の「場立」が居た立会場が閉鎖した旨が一昨日の日経夕刊(ニュースなこの日)に出ていた。元々この場立の手振りサインは古くは大阪堂島のコメの先物取引まで遡る歴史のあるものだが、かつての株式取引所から約120年もの間場立は投資家の注文を取り次いできた。

上記の背景もありこの世代でも、証券営業マンより商品営業の方が実際に同じ場立のサインで場中に注文を出していた経緯がある事からむしろ馴染はあるのでは?更には今どきの証券マンに銘柄を表すサインを見せても何の事やらサッパリわからないだろうが、それは兎も角も当時の怒号飛び交う笛吹き交えた仕手株などの活気が今更ながら鮮明に思い出される。

そういえばちょうど1年前の当欄では「時代と対面需要」と題してその末尾では「〜笛吹で場立が殺気立つ光景が消えた後はアローヘッドが稼働する無機質な光景に変り、兜町も東証から続く中小証券が犇めき合っていたその街並みもガラリと変わり果てたものだ。」と書いていたが、今年に入りK5などリノベーションを経て誕生した複合施設がオープンしている。

最近では蔵前などこの手の試みで東京のブルックリンなどとも呼ばれ人の流れも変化しているが、以前も書いた近所の浜町も再開発が進んでいるおり所謂賑わいという観点でこれが減ってしまったこちらも上記のように活気のあった時代よろしく再び街全体の「色」が戻ってくるのかどうか今後も注目してゆきたい。


余りモノに値なし

さて、本日の日経平均は日銀の追加金融緩和策や新型コロナウイルスを巡る外部環境の悪化に一先ず歯止めがかかっている事を支えに急反発となったが、この地合いで全般がカバーで戻りを入れるなか目立っていたのがベア型を除く原油系ETFの弱さでシンプレクスのWTI価格連動型にETFSECのWTI原油や野村のTOCOM原油ダブルブル等々何れも本日は年初来安値に沈んでいた。

このうち野村のTOCOM原油ダブルブルなどは逆に動いた分だけその特性が災いし価格は実に年初来高値から11分の一まで暴落の憂き目に遭っているが、先週末の日経紙マーケット面で「原油ETFに個人群がる」と題して文中に挙がっていた野村の原油インデックス連動型ETFも年初来高値から約7分の一近くまで急落し引けは年初来安値まで一文と迫っている。

同ETFに関してはその値頃感や腐っても多用途の原油?なだけに先行きの反発期待の買いも舞い込み売買高ランキングが東京市場全体でトップに躍り出る場面が先週あったようだが、ロールオーバーするも鞘自体が大幅なコンタンゴなうえ貸借倍率も80倍近くは手垢が付き過ぎている感は否めない。

NYMEXのWTIは「余りモノに値なし」の典型で期近が前代未聞のマイナス圏に沈んだワケだったが、そうなると連想ゲームで貯蔵先保有思惑から先週揃ってストップ高となったのは明治海運や共栄タンカーなどで、特に共栄タンカーなど23日まで3日連続のストップ高と破竹の勢いを演じた。とはいえダブついた原油の為の貸し出し余地が彼らにあるとは考え辛く今後はカラ売りをどの程度誘えるかETF共々投機の土俵に場所が移る事になるか。


IPO受難

さて、今週は週明けまでJASDAQ平均が11連騰、マザーズ指数は6日続伸となるなど疑心暗鬼なマーケットにおいても新興市場の堅調が特に目立っていたが、背景にはこれらの市場に上場を予定していた新規企業が相次いで上場の延期や中止を表明した事で直近IPO銘柄への見直し買いが増加した事も一因という。

この新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた相次ぐ上場延期や中止に関しては先の日曜日の日経紙一面にも「新規株式公開急減83件」と題し、2020年3月の上場件数は過去5年平均に比べて3割少ない83件と13年3月以来7年ぶりの低水準となり、今月に至っては東証に上場を予定していた9割の企業が中止するなど04年以降の最高を更新した旨が出ていた。

新型コロナウイルスが資金計画に影響を及ぼした例は他に自社株買いの中止等も出ているが、ベンチャーキャピタル等が未上場企業に出資した後にイグジットとしてIPOに伴う売り出しで資金回収、それを別に再投資という構図が市場を支えていたが先のソフトバンクGのファンド事業損失等を見るにベンチャー投資にブレーキがかかる状況の長期化が危惧される。

斯様な状況になれば上記のサイクルも滞る恐れもあるというものだが、兎にも角にも新型コロナウイルスが一服ないし収束しない限りは投資家へのロードショーもままならず対象各社としては別のファイナンスで活路を見出せるのか否かという感じだが、モメンタムの上昇もいずれにせよこの終息まで望めないというところか。


未曾有の未定

さて3月期決算企業の決算発表スタートといったところだが本日の日経紙投資情報面にも出ている通り、東証は上場企業に対し決算発表の時期が後ずれした場合でも業績予想修正や決算発表日の延期公表等に合せ現時点で把握している情報を可能な範囲で投資家に周知するように求めている。

先に発表延期企業が続々と出て来ている旨を書いていたが、2021年3月期の配当に関してもまた未定とする企業が少なくない事も投資家としては気になるところか。特に高配当モノなど株価下落でもその配当利回りが魅力的水準に映った事で当初は物色する向きもあったものだが、コロナ禍の深刻化と共にリーマン後に準える動きから低迷が恒常化しつつある。

欧州でも「ユーロストックス50配当指数」の先物が急落し、2020年中に支払われる配当を予想して取引する20年12月物が2月末から6割近く下落する異常事態となっている旨が過日の日経紙で書かれていたが、近年は投信やETFでも高配当を絡めたモノが増殖しており斯様にディスクロも手探りの未曾有の投資環境だけに投資家も減配リスク等に身構えておきたいところ。