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増税後初の密輸

さて、10/24付ゴールドニュースでは福岡空港を経由して韓国・仁川から金塊計9.5キロをカートのフレームの中に隠すなどで密輸しようとしたとして、福岡県警や門司税関は関税法違反の疑いで韓国人を逮捕した旨が載っていたが、利鞘狙いのこの手のケースでは消費税10%になった増税後では初の事例となった。

金密輸に関して前回触れたのは昨年5月の約32億円を荒稼ぎした金密輸団の事件であったが、これもたしか韓国人グループであった。約32億円の稼ぎといえばその売却額は実に約400億円にものぼる計算だが、近年はLCCのアジア便が増加し運搬コストも下がり摘発されても消費税罰金相当の納付で済む緩さが日本を主戦場にしている。

全国の税関ではこの増税を前に金密輸への警戒を強めていたのは想像に難くないが、昨年の罰則強化で引き上げられた罰金も上記の韓国では10倍で金塊没収という現状を考えればまだまだ旨みのある市場という位置付けは不変で財務省など関係各所の対策は急務だろうか。


全てが高い

先週末の日経紙夕刊マーケット面には「全部高相場 勝者は株式か」と題し、米市場で原油先物と金先物価格、通常では逆の動きをする株価指数や債券指数がFRBの利上げから利下げ方針への転換を背景としていずれもが揃って大きく上昇する全部高相場が起きている旨が書かれていた。

教科書的に株式などのリスク資産と逆相関とされる金の同時上昇現象に絡んでは当欄でも先月上旬に一度取り上げているが、この時は基軸通貨ドルとも逆相関を覆す同時並走現象も珍事として取り上げていた。

今回はこれに加え好不況時において逆相関の関係になる株式と債券の同時上昇もケースとして挙げられていたが、緊張が続く米中両国関係やFRBの金融政策方針の転換等を背景に中央銀行の動き等も睨んで、近年では斯様に教科書的相関関係が崩れつつあるだけにパラダイムシフトがより一層進行しようか。


サンマ>鯛

さて、台風19号の影響で先週など心なしか品揃えが少ないようにも感じたスーパー等の鮮魚売り場でも辛うじて痩せ気味の生サンマが売られていたが、台風如何に関らず先週末の日経紙春秋でサンマが不漁で天災級の事態といった旨が書かれていた通りとりわけ今年のサンマは品薄だという。

この辺は先に水産庁が今年のサンマの漁獲量が海水温の上昇や海流の変化など海洋環境の変化等を背景に、前年同期の13%にとどまる7060トンと過去最低を記録したと纏めている。そんなワケで豊洲ではキロ当たり実に1400円前後となり1000円前後のマダイを上回る高値で売られるという珍現象が起きている。

当欄でサンマが異常な高値になったを書いたのは猛暑の異常気象が影響し水揚げが極端に減少した9年前が最初であったが、その後もアジア周辺諸国の漁獲量急増が言われだし高騰した4年前もこれを取り上げている。漁業情報サービスセンターでは中旬以降日本近海でサンマが近づくと予想していたが、はてどうなっている事やら慣れ親しんできた大衆魚がまたも遠のくか。


ゼロコストの波

一昨日の日経夕刊一面には世界経済の先行き不透明感が高まるなかで、株式の短期的下落に備えたい投資家の需要を背景にデリバティブを活用した投資信託が増えている旨が載っていたが、投信といえば投資家が運用手数料を払わずに済むゼロコストの投資商品が世界で広がっている旨もその前の同紙に載っていた。

この辺に絡んでは当欄では先に主な運用会社10社の2019年3月期において実に7社が最終減益となった旨を書いていたが、その背景には上記のような世界で広がるゼロコストによる運用会社の低コストの逆風の影響が大きい。この時はパッシブ型運用の手数料が大幅に低い旨を書いたがこれも近い将来年0.12%まで低下するという。

こうした傾向はアクティブ型も然りでETF等のライバルの台頭が脅威となってくる。或る意味証券において対面分野はガラパゴス状態であった本邦も委託手数料完全自由化から20年、投資家の恩恵の裏で斯様な投資コスト急低下の波が今後業界の合従連衡を活発化させるトリガーとなり得る可能性が無いとも限らない。


試金石のW杯

周知の通り昨日はラグビーのワールドカップ日本大会の準々決勝だったが、ここまで全勝で1次リーグを首位通過してきた日本は南アに惜しくも敗れた。初対戦で勝利した前回大会のようにはならなかったが、8強入りは史上初めての快挙でなによりその不屈の精神に勇気をもらった向きは多かったのではないか。

ここまで勝ち進むにつれてニワカファンも増殖しそのラグビー熱も稀に見る盛り上がりを見せた事でその経済波及効果も気になるところで昨日の日経紙でも関連消費が快調な旨が載っていたが、他に比べて開催期間が長く会場も広範囲にわたる特性から組織委員会の事前分析では約4372億円と試算されている。

何れにしてもそういった事で最終的な数字にも関心が向くところだが上記のような特性をテコにこの機会を業界から自治体までどう活かしてゆくのか、組織委員会は大会後の継続的経済効果を創出する機会にも言及しているが今回のラグビーワールドカップ日本大会は来年の東京オリンピックを睨んでの一つの試金石とも成り得るのではないか。


フードロス官民対応

本日の日経紙商品面には台風19号による浸水の影響で各地の青果市場では災害や混乱が生じ廃棄処分が相次いでいる旨が載っていたが、今朝のTVでも埼玉の青果市場の様子を放映し廃棄しなければならない物の中にはまだ新鮮そうなモノもあるとナレーションが入っていたが、斯様な映像を見るにこんなものもフードロス問題の一角に括られるだろうか。

食品廃棄法で先駆している仏では食べられる食品廃棄を禁じているが、廃棄されてしまう食材に絡んでは神奈川県の一部JA直売所で売れ残った野菜を有効利用出来ないものかと考え子ども食堂を含む13団体に寄付、こうした0円食堂など地区の予算が無いなかで廃棄食材を有効利用出来ている。

日本でも消費税増税と共に今月から食品ロス削減推進法が施行、上記の取り組みなどに見られるように地方自治体には具体的な推進計画を作る努力義務が課されているが、ネットでも賞味期限に絡む食品を安価で提供したり、余剰食材を使ったメニューを格安で提供するアプリなど消費者と結びつける動きが日進月歩で進んでおりこれらスタートアップ企業等には今後も注目して行きたい。


ポスト探り

さて、最近では某回転寿司チェーンも台湾企業とコラボしてインスタ映え?するタピオカドリンクをメニューに載せてきているが、先週末の日経紙夕刊には「ポストタピオカを探せ」と題してこの手のドリンク人気も形を変え、ポストタピオカをうかがうレモネードやバナナジュース専門店が新勢力として台頭してきた旨が載っていた。

タピオカに関しては当欄でも8月にその輸入量が前年同期比で4.3倍、輸入額は約5.7倍といずれも過去最高となった旨を書いたが、そんな人気から神戸物産などPBブランドとして投入したのが奏功し先月に発表された連結決算は純利益が前年同期比17%増の92億円とこの期間として過去最高となり、今年の株価上昇率も57%とこちらも大きく伸びている。

冒頭の通りポスト台頭の動きもあるものの今なおベトナムや台湾から続々と新しい店が上陸しこれまでと差別化を図るなどその人気は健在だが、最初のタピオカブームは既にバブル期に訪れていたようにこの手はある一定のサイクルで繰り返されてきている。誰がババを掴むのか急騰する仕手株に乗るが如く今なお新規出店喧しいその後にも注目しておきたい。


防災対策再考

さて今更ながら台風19号が各地に残した爪痕が刻々と明らかになっており、これを書いている時点では12都県で亡くなった方は計74人に上り行方不明者も6県で12人に上っている。浸水により多くの犠牲者が出る要因となったこれまでにない河川等の堤防決壊等を見るに改めて100年に1度を超える確率の降水量の脅威を感じる。

首都圏なども近年住みたい街で人気だったタワマン等も停電や断水被害で続出し多くの住民が今なお不便な暮らしを強いられているが、タワマンの孤立といえば昨年の今頃に震度7を記録した北海道胆振東武地震が思い出されこの時は証取までBCPが機能せず終日取引停止になったのも記憶に新しいところ。

かつての阪神大震災や東日本大震災も絡め昨年くらいから言われ始めた猛暑の後には必ず大きな天災がやってくるという実しやかな説もいよいよアノマリーの一言で片づけられない感もしてくるが、いずれにせよ改めて防災対策の再考はじめ先ずは一刻も早い各所の復旧が望まれる。


ノーベル賞2019

さて今週は何と言っても2019年のノーベル賞受賞に関心が向かうところだが、皮切りの生理学・医学賞は米英3氏に先ずは決定。昨年の本庶教授に続き2年連続を期待し株式市場は恒例イベントで有力候補が絡むタカラバイオやブライトパス・バイオなどが物色されていたが、今や法廷で争う仲になってしまった本庶教授の時の小野薬品物色が記憶に新しいところ。

とりわけ昨日の化学賞はその候補者が多く、こちらもその有力候補に絡んでリチウムイオン関連株やPCP素材開発関連株などの物色が目立ったが、果たして通算27人目の快挙で旭化成名誉フェローの吉野氏がこの化学賞に選ばれ、今月に入ってから先回り買いが入っていた本命の旭化成が本日も続伸となっていた。

そして今晩は毎度定番化して盛り上がる文学賞の発表があるが、今年は2年分が発表されることもあり引き続き村上春樹氏が有力候補として挙がり、これまた株式市場では定番の文教堂ホールディングスが今年もまた週明けから値を飛ばしていたが、丸善HDや三洋堂は動意付かずハルキストの熱ほどの持続力は無いようだが化学賞に続く快挙となるかさて結果は如何に。


PGM系のジレンマ

本日の日経紙商品面には「触媒用貴金属が急伸」と題し、世界的な環境規制の強化で1台あたりの自動車用触媒への使用量が増えるとの観測を背景に工業用貴金属のパラジウム先物相場が上場来高値を更新、ロジウム相場も11年ぶりの高値圏と急伸している旨が載っていた。

このパラジウムといえば春先までの半年間で約6割もの上昇率を記録した際に、英アングロ・アメリカのCEOがスイスで開催されたサミットの場で同相場を「バブル」と発言したのを切っ掛けに急反落したのが記憶に新しいが、これが丁度良い篩い落としとなった格好で早くも再度の高値更新と衰えを見せない。

PGM系といえば長引く米中貿易摩擦による景気減速やディーゼル用自動車の販売不振からのプラチナなどは金との価格差が過去最高水準まで拡大したが、米国による対中制裁の次なる発動表明に戦々恐々とするなかその需給から増産意欲の高い鉱山会社等は生産を絞れない事情とも相俟ってしばらくPGM相場も振り回される事になろうか。


増税1週間

さて、消費税増税からはや1週間が経過した。日経MJ紙の消費者調査では約4割の人が駆け込み消費をせず今後も予定していない事が解ったが、ここに載っていた高島屋など先月段階でまだ駆け込み需要と認識出来るものはないとしていたものの、時計等は最後の10日間で急伸し2.8倍増になった模様。

時計等の高額品では昨日のWBSでも東武池袋店では宝飾・時計の売り上げが増税前9月は前年同期比2倍以上と駆け込み需要が目立った旨を伝えており、他に家電等ではビックカメラ旗艦店では同9月は売り上げが前年同期比2倍になった旨が放映されていたが、増税後は一転して前者が前年同期比2割減少、家電も冷蔵庫やテレビ等で3割から4割の減少と落ち込んだという。

ところで作家の幸田真音氏が日経・明日への話題で企業のM&Aに絡めて買う難しさを書き、増税前と煽られて高価な買い物をした人が夢から醒めていない事を祈ると締めていたが、例えば時計等は増税後販売する新モデルでもお披露目は増税前に為されるモノが多く2%分などは顧客層にもよるが店員の裁量で如何様にも出来るし、家電も5~10%の値下げで攻める構えを見せるなど冷静に対処した向きの恩恵も小さくはないか。


寄付文化醸成

さて、先週末には今月から受付を開始したふるさと納税の返礼品紹介の案内が来ていたが、この日の日経夕刊一面を飾っていたのは「ふるさと納税農家支援の輪」と題し、自然災害や天候不順で被害を受けた農家をふるさと納税により支援する動きが広がって来た旨の記事であった。

この手の被災地の救済を目的としたものは地震やら豪雨などで被災していない自治体による代理寄付などが近年では既に彼方此方で始まっているが、冒頭の試みと併せて復興支援の手法も多彩になってきているなどESGが高らかに謳われるなか今後も更にこうした動きが広がってゆくのは想像に難くないか。

ところでふるさと納税といえば周知の通り総務省と泉佐野市のバトルが記憶に新しいところだが、本日の日経紙社説にも「勧告に向き合わない総務省」と題し書かれていた通り国地方係争処理委員会が同自治体除外の根拠が不適切だとして再検討の勧告をしていたにも関わらず、総務省は今月に入ってこの新制度からの除外継続を決めた件は法廷に場所が移る可能性を仄めかせた。

かつてTVのバラエティー番組等では挙ってふるさと納税を取り上げ評論家と称する富裕層の豪華な返礼品生活を映し競争を煽った結果上記のような禍根も残ったが、斯様に各所ではこうした本来の趣旨である寄付文化へ回帰する動きが活発化しており、今後それをどう醸成させ根付かせてゆくかこの辺が焦点になろうか。