世界10大リスク2026

今年も国際政治学者のイアン・ブレマー氏率いる米調査会社ユーラシア・グループが発表する年始恒例の「世界10大リスク」が先に発表されている。日本でも多くの企業がこのサービスの提供を受けているが今年で20回目となるこの10大リスク、今年はこの10のうち1番目の(米国の政治革命)と3番目の(ドンロー主義)、6番目の(米式国家資本主義)、9番目の(USMCAのゾンビ化)の4つがトランプ大統領に絡むラインナップだ。

さて、ザッと昨年を振り返ってみると1番目に挙がっていたのが(深まるGゼロ世界の混迷)、そして2番目が(トランプの支配)であったが、国連など主要な国際機関の影響力が低下するなか米が多くの機関からの脱退を続けリーダーシップのない中で世界秩序は崩壊しつつあり、自身への反対派を次々と排除し周りをイエスマンばかりで固め行政権力の監視や法の支配も弱体化しつつあるなど概ね同グループの懸念が現実化している。

今年1番目に挙がった(米政治革命)だが、トランプ氏はこれまでもFBIから労働統計局長に統合参謀本部議長など専門職の公務員たちを能力とは関係ない政治的理由で辞めさせており、直近ではFRB議長を刑事捜査の対象にするなど業務上の独立性が脅かされている。また3番目の(ドンロー主義)だが、これは言わずもがな直近のベネズエラ大統領の拘束作戦で具体化したように西半球を米の勢力圏と主張し軍事圧力や経済的強要をもって米の優位性を高めようとしており何とも危ういものを感じる。

また10のうち2番目の(電気国家中国)と7番目の(中国のデフレ)は中国に絡むものとなっているが、特に現在の日本の貿易の最大の相手国である国のデフレは今年の日本の成長見通しにとって最も重要なリスクと指摘している。この中国、連休明けに書いたレアアース問題然りで中国依存の経済からの脱却チャンスを指摘する向きもいるが、これらと併せ日本は今後安保にも絡んで如何に米を巻き込みわたり合ってゆくか真価が問われる。


FOMO?

本日は高市総理が自民党と日本維新の会幹部と会談、来週招集の通常国会の早期に衆議院を解散する意向を伝えている。詳細は来週に総理が説明するとしているが、この解散観測で「選挙は買い」のアノマリーで連休明けから“高市トレード第2弾?”が始動、本日も大幅続伸で大納会からはや4000円以上も急騰して本日は初めて54000円の大台に乗せ連日で史上最高値を更新している。

上昇は株式のみならずいつもの如く長期金利も然り、前場に指標の新発10年物国債の利回りは財政悪化懸念から上昇圧力がかかり2.180%を付け1992年2月以来およそ27年ぶりの高水準となっている。斯様に金利が急ピッチで上昇しているなかで同時に株式急騰という違和感のある光景は昨今の特徴だが、この同時急騰は「金」もまた同じで今週は4600ドルの大台を超え史上最高値を更新、国内小売価格も26000円超で史上最高値を更新してきている。

米がベネズエラに軍事作戦を実行し、反体制派による抗議デモに絡みイランにも矛先を向けなど地政学リスクが囃されたとされているが、過去の湾岸戦争やイラク戦争など記憶に残る米軍事介入のケ-スでは軍事展開後のマーケットでは株高とはなるも金は下落パターンがお決まりの光景であった。上記含めた“逆相関崩れ”がパラダイムシフトなのか、はたまたいずれもう一方から乖離することになるのか今年もマーケットは一段と興味深くなっている。


エコノミック・ステイトクラフト

高市総理の「台湾有事」を巡る発言では昨年11月の当欄で「日本に比べて切るカードが多い中国側は非難合戦で輸出規制とか次のステージに貼ってくる可能性もある」と書いておいたが、やはりというか中国商務省は軍事転用が可能な軍民両用製品の日本への輸出を全面的に禁止すると発表している。自由貿易のルールも無視するあたり中国らしく詳細を明言していないなど不透明だが、マーケットではこの辺を懸念し敏感に反応する光景もみられた。

このレアアース、「産業のビタミン」ともいわれているだけに身近なスマホ、テレビ、電気自動車から医療用MRIまでこれらに無くてはならないものだが、尖閣諸島問題の時にはこの輸出を一時停止にされている。この前年には中国からの輸入は約85%に上っていたが、この輸出規制の反省から2020年にはこれが約59%にまで縮小していたものの、半導体需要の高まりを受けて昨年は約72%にまで再拡大しており、これが規制されると経済損失は3か月で約6600億円になるとの試算も出ている。

とはいえ中国も自国の景気後退局面のなか、日本頼みの部分もある経済情勢下で自分の首さえ絞めかねない伝家の宝刀を抜くまで踏み切れるだろうか?またレアアースを使った日本の製品は世界中に流れており米も例外ではない。そう考えると日本への制裁がひいては米へも飛び火してしまい、現在は安定しかけている米中関係が再度危うくなってしまいかねない可能性も出てくるわけであくまで“脅し”の範囲とも取れるか。

こうした事態から昨日のG7でも中国依存低減へ向けて議論が為されているが、日本も既にEVでもレアアース不使用の高性能モーター開発に成功している企業もあり、昨日は国産レアアースの開発実験が行われる南鳥島に向けて探査船も出航している。中国は米制裁下にあってなおファーウェイが高性能スマホを作り上げてきた経緯があるが、日本も数々の局面下で技術的なイノベーションをもってこれを乗り切ってきた経緯があるだけにこれらの今後の動向には大いに注目しておきたい。 


経営者が占う2026年相場

週明けにも書いた通り昨年の株式市場は米相互関税の発動で前年比2割以上の暴落を4月に演じたものの、そこからは日本のインフレ定着と想像を超えるテック相場の牽引も相俟って5万円大台の大納会まで年間上昇率は26%となり3年連続の上昇となった。それに伴い東証プライム市場にあって株価が2倍以上になる“ダブルバガー”が実に58社と続出し一昨年の29社の2倍に増えることとなった。

そこで毎年の検証が恒例になっているが今年もまた新春の日経紙「経営者が占う」シリーズでこの株式市場を振り返ってみたい。昨年の日経平均の高値予想は平均44450円でその時期は毎年の如く11~12月との予想が多かったが、昨年もこの予想を8000円も上回る好パフォーマンスとなった、一方で安値予想は37025円であったが、こちらも4月の関税ショックで付けた安値はこの予想を6000円以上下回る30792.74円であった。

斯様に総じてボラタイルな相場となったわけだが、この上昇相場でも有望銘柄では9位に挙げられたユニ・チャームが年間約30%のマイナスパフォーマンスとなったほか4位の信越化学も年間約8%のマイナスパフォーマンスとなっていた。一方で圏外ではあったものの信越化学工業社長だけが挙げていたキオクシアなんぞは536.28%と東証プライム市場で堂々の年間上昇率1位に、4月の安値からは実に約9.5倍と“テンバガー”を射程圏に捉える暴騰劇を演じた。

さて今年はといえば日経平均の高値予想の平均は57350円と、「午尻下がり」の相場格言もどこ吹く風で更なる上昇からの最高値更新で一致している。中でも大納会間近の日経紙で全面広告を出していた大和証券の社長は12月の62000円予想と威勢がいい。個別の有望銘柄では1位が伊藤忠商事に2位は日立製作所とこれらの順位は昨年と同じ、アンダーパフォームとなった上記のユニ・チャームや信越化学も昨年から順位を下げたものの多くの経営者が再度挙げている。

週明けに書いたように今年の注視しておくべき点としては昨年から引き摺る日中関係悪化への対応、これが続けば7兆円規模のインバウンド消費の鈍化懸念がくすぶる。また対米投資の成果も求められようが、その米では春にFRB議長の交代が控え、そして秋には中間選挙が控える。TOPIX企業の予想増益率は11~14%に高まるとみる金融機関が多いが、後は各バリエーションをどの程度まで許容出来るか、この辺も相場を見るうえで注目しておきたい。


福袋も体験型に

さて、「働いて働いて働いて・・・」と連呼する人もいるが、働き方改革が浸透し元日営業を止める向きも多くなったなか、大手百貨店でも今年は3日からという向きも出てきている。百貨店といえばマグロ初競りと並んで今月の風物詩として「福袋」がある。昨年のお歳暮商戦では“お試し”など「体験価値」を提供する向きも多くこれが一つのポイントであったが、今年の限定福袋も体験型が主流となっている感がある。

高島屋では今年の干支である馬に絡めて競走馬デビュー前の育成馬の1口馬主として牧場見学や馬主席での観戦ができる馬主気分が味わえる福袋を抽選販売、今年で開店100周年を迎える松屋銀座では、銀座と浅草に居を構えていることから銀座でスーツの仕立てに浅草観光など6つの複数体験が出来る福袋や、銀座の老舗和菓子店で和菓子作りができる体験福袋を販売、また東武でも今年の干支にちなみ乗馬体験ができる乗馬体験&記念撮影の福袋を販売した。

しかし福袋と言えば一昔前はファッション系が花形でそれも中身に何が入っているか分からないものが多く、それでもそんな不透明さ?が楽しみの一つでもあったわけだが、消費喚起のスタイルが変遷した今、何とも多彩な内容に変わったものだ。令和に変る境目くらいからコト消費モノも進化してきた感があるが、今後も体験価値やお得感を明確にする戦略で各社が鎬を削る動きが継続しようか。


初競り史上最高額

昨日記の通り東証は景気の良い大発会となったが、日を同じくして年初の風物詩として「マグロの初競り」が行われた。昨年は過去2番目の高値落札となったが、今年はこれを大きく上回るなんと5億1030万円で競り落とされた。これを見事に落札したのがかつてのコロナ禍前まで常連であったすしざんまいの「喜代村」、コロナ禍を境にONODERAフードサービスの後塵を拝していたが、6年ぶりに表舞台に返り咲いた。

満を持しての返り咲きといった感じだが、それにしても5億超とは凄い。そのまま価格転嫁したら一体一貫幾らになるかだが、すしざんまいでは通常価格での大盤振る舞いを実施。ちなみにだがこの配分、荷受けの東都水産が6.5%、地元漁協力に5%、青森漁連に1.5%が払われこれらを差し引いて約4億4千万がこのマグロを釣ったところに行く計算、ガッツリと税金が徴収されるもののまあそういった感じでなんとも景気のいい話だ。

さてマグロほど注目を浴びないものの、この日はサクランボの初競りも行われておりこちらも「佐藤錦」が1箱155万円と史上最高額の落札となった。史上最高額同士で比較してみるとマグロの方は1グラム約2100円だが、こちらは約3100円とマグロより高額な計算に。そんなことは兎も角も1番マグロが1億円を超えた年の日経平均上昇率は二桁を超えるパフォーマンスのアノマリーもあり「午尻下がり」を撥ね退けるのか注目したい。


大発会2026

皆様、あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願いいたします

本年最初の取引となる東証の大発会は米による軍事行動が懸念されたものの蓋を開けてみれば4年ぶりの急反発スタート、とりわけ大発会の上げ幅としては過去最大を記録している。昨年を振り返れば4月には関税ショックで急落し前年比で2割以上もの暴落を演じるも、その後のテック相場でV字回復から11月には52636.87円と史上最高値を更新、大納会を迎えてみれば年間では26%高と3年連続の上昇と、まさに「辰巳天井」後半戦を地で行く相場であった。

さて今年は丙午(ひのえうま)で相場格言では「午尻下がり」。前回の午年は「アベノミクス」効果で株高となったものの、1990年の午年は総量規制の影響で日経平均は約4割も下落、また2002年の午年にはITバブルの余波から日経平均は約2割下げるなど巳年から午年に移るタイミングで分岐を迎えてきたヒストリーがある。総じて戦後の成績は3勝3敗、年平均ではマイナス5%と小幅安といった形になっている。

世界的なAI期待とインフレ定着が潤沢な投資マネーを呼び込んだ昨年の環境であったが、高市政権はこのAI・半導体など17の重点分野への官民による戦略的な投資を掲げている。このインフレ局面での財政拡張も今年はどう転ぶかだが、この新政権は昨年から引き摺る日中関係の悪化対応に対米投資の成果も求められる。その米では春にFRB議長の交代、秋には中間選挙も控えており今年も材料には事欠かない。

というわけで相場格言通り昨年までの「辰巳天井」の楽観ムードから今年は警戒感も出てきそうな気配もするが、株式市場はもとより商品市場まで個人投資家の資金フローが急増してきたのが昨今の市場の構造的変化でもあるだけに今年も各市場から目が離せない展開になりそうだ。


2025 Flight to Quality 

師走の恒例行事の日本漢字能力検定協会による今年1年の世相を1字で表す「今年の漢字」だが、過日に「熊」と発表されている。この字の選出は初めてらしいが、冬眠の時期が過ぎてなお各地での出没とそれに伴う被害が相次いだことやパンダ(熊猫)の中国への返還が相次いだことなどが選定理由とか。ちなみに2位は「米」、3位は「高」ということだったが、個人的には今年こそが昨年に続いて最多選出の「金」とも思っていた。

その「金」だが昨年の国際相場の上昇率は約3割、国内も円安効果と相俟って年間上昇率は約4割となった事で選出されたわけだが、今年の金の上昇率は約70%となっており過去比較でも突出した上昇なっている。なので2年連続の資格は十分にあると思うのだが、それを言うなら同じ貴金属の「プラチナ」は金をも上回る上昇を見せ、さらには「銀」も140%超の上昇率だからむしろ軍配が上がるのはこちらのほうか。

いずれにせよ今年はトランプ大統領就任から始まってその後に相互関税を発表、国内では大阪・関西万博がありコメの急騰で備蓄米の大量放出、後半では初の女性総理誕生、また日経平均が初の5万円台大台超え、それから冒頭の通り熊の相次ぐ出没などが印象に残った出来事ではあった。ある種様々なことが矢継ぎ早に出てくるまるでトランプ氏の政策のような一年であったような気がしないでもないがさて来年はどうなるか?

昨年末の当欄では地政学リスクも新たな拡大を見せ混迷を極める様相となっており、一段と輝きを増した金にはある意味こうした“影”の部分が反映された部分も大きいと書いていたが、昨年の倍以上のペースで貴金属御三家が挙って漁られた今年は昨年にも増して通貨不信含めたこの“影”が増幅した証左とも云えようか。世相を反映する各種相場だが、来年もまた少しでも今年より明るい世になるよう願いを込めて筆を擱きたい。

本年もご愛読ありがとうございました。どうか来年が皆様にとってよい年でありますように。


クリスマス2025

街を彩るイルミネーションの煌びやかさが増すなか今年もはやクリスマスであるが、インテージの調査によればクリスマスの予定が無いと答えた向きは昨年より増加し54%に上った模様。そういった中でも上記のイルミネーションと並んで近年新たな風物詩となっているものの一つに昨日も書いたドイツ発祥のクリスマスマーケットがある。メジャーなところでは都内では先月から神宮外苑や各所のヒルズ、横浜では赤レンガ倉庫あたりが賑わいを見せている。

確かに今週は街のレストランもクリスマスメニューに変わりテーマパークなどと併せ混んでいる上に料金も高めに設定されているところが多く、上記インテージの調査でも物価高など経済的な要因も影響しお金をかけたくない・節約したいとの回答も見える。そういったところで無料で楽しめるエリアもあり、気軽にクリスマスの雰囲気が楽しめるこうした場はトレンドなのかもしれない。

さてクリスマスといえばケーキだが、過日の日経紙商品面には「Xマスケーキ甘くない原料高」と題し、今年もケーキに使うほぼすべての材料が前年より軒並み値上がりしている旨が出ていた。ザッと挙げても先ず鶏卵のプラス15%、生クリームのプラス11%、イチゴのプラス21%、そしてチョコレートのプラス29%等々、他に粉や砂糖から乗せる装飾品まで軒並み高となっている。

たしか4年前も当欄では「甘くない今年のケーキ」と題して原材料高によるケーキの値上がりを書いているがこうした状態がかれこれ4年目、洋菓子店の破綻は過去20年で最多という。冒頭の調査会社によれば2025年のクリスマス市場規模はかつてのスタイル離れが浮き彫りとなり前年比6%減の7274億円となるというが、今後は各所の価格転嫁と併せ何処まで消費者が付いて来られるかこの辺が焦点になろうか。


東京再評価

昨年の9月に当欄では森記念財団都市戦略研究所が発表している「都市特性評価」を取り上げたが、同じく森記念財団が2008年から毎年発表している都市の力を6つの分野からなる72の指標で総合的に評価したところの「世界の都市総合力ランキング」が本日の日経紙の全面広告に出ていた。今回は16年以来9年ぶりに上位5都市の変動があり、東京が3位から2位へとランクを上げている。

16年から9年間にわたって3位に甘んじていた東京だったが、文化・交流における外国人訪問者数、環境における企業のサステナビリティ評価等がスコアを押し上げたかっこうだ。円安の恩恵が大きいと思われるが、観光地も充実し飲食店の豊富さやナイトタイムエコノミーへの取り組みも奏功しインバウンド客増加が寄与し、冒頭の都市特性評価で4年連続1位だった大阪は万博効果が寄与し大きく躍進した。

ところで森記念財団といえば森ビルだが、上記のサステナビリティに絡んではこの時期開催されている同社が手掛けた麻布台ヒルズのクリスマスマーケットでは、廃棄予定だった昨年の各所ヒルズでクリスマスを彩った広告宣伝用バナーフラッグをバッグに再利用し販売している。資源循環の活動の一環という取り組みだが、大手企業も循環の輪を日常の暮らしの中に広げて行く活動が増加傾向にあり今後も各社の取り組みには注目しておきたい。


金利上昇でも逆行高

2026年度の与党税制改正大綱が決定したのと日を同じくして日銀は金融政策決定会合で政策金利を30年ぶりの高さとなる0.75%に引き上げると決めた。この利上げや現政権下で財政悪化が進むとの懸念から債券売りが加速しているが、昨日の長期金利は一時2.1%に上昇し1999年2月来、約27年ぶりの高水準を付けている。

そういった中で日経平均の強さが目立つが、順当にこういった金利上昇局面で本命なのはなんといってもその恩恵が直接及ぶメガバンクなど銀行株で三菱UFJは15日に上場来高値を更新、三井住友FGも連日で上場来高値を更新している。一方で分が悪いとされる有利子負債の多い不動産ポスト等も堅調を保っている。丸の内の大家こと三菱地所は上記の三菱UFJが上場来高値を更新した日に年初来高値を更新、住友不動産に至っては先週末に上場来高値を更新してきている。

支払利息の増加云々より保有資産価値向上や今後の賃料上昇が収益改善に寄与するとの見方が勝り、何より実物資産を保有するインフレ耐性が買われているか。こうなると何でも理由が付きそうだが、実質金利がマイナスに沈む状況が続き緩和的な金融環境が続くとの見方が株価の追い風になる一方で利上げペースは遅いとの観測でダラダラとした円安が続いている。市場によって利上げに対する反応が其々だが、既に日銀離れし一人歩きの様相を見せている長期金利の不気味さが増す。


税制大綱の金融彼是

先週末に2026年度の与党税制改正大綱が決定した。物価高対策や経済成長に向けた企業支援を意識した内容と謳われているが、ザッと我々に関係のあるところではNISAの「つみたて投資枠」を18歳未満も利用できるように広げる点や、暗号資産(仮想通貨)取引で得た所得については金額に関係なく現状の総合課税から分離課税で一律で20%と株式や投信と同等の扱いになる点などか。

この暗号資産もこれまで総合課税で最高税率55%だったことで、売却し難い点を付いてこれを売却することなく資金需要に対応するべく暗号資産担保ローンビジネスなど登場したものだったが、これが叶えばまたビジネスの景色も変わってくるか。この辺は富裕層において暗号資産投資の裾野が広がっているのが背景にあったが、富裕層といえば27年の寄付からふるさと納税も上限無しだった控除額に193万円の上限を設けるという。

一方で中所得層には国民民主党の悲願であった年収の壁の178万円引き上げが叶う見込みだが、試算してみると年収665万円とそこから1万円多い666万円とでは控除額急減の壁があり手取りが逆転してしまう歪な構造も指摘されている。またこの税制大綱では税収が集中する東京都がターゲットにもされているが、企業や人の集中という特異な構造上この辺は致し方ない部分もありまだ課題が残るか。

ただ28年にも分離課税開始が叶うかどうかという冒頭の暗号資産だが、諸外国をみれば既に金融資産としての地位が高まっておりその税制も米国が最大20%(1年以上の保有)、英国が20%、ドイツに至っては非課税(1年以上の保有)となっている。斯様に国際比較をしてみると金融課税扱いしていないのは先進国で日本くらいであったわけで、こうした部分においては国際標準に漸く一歩近づいた感もあるか。