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陰極まれば・・

さて、昨日のETF市場でコモディティーセクターでは純プラチナETFが終値ベースで3,000円の大台を超えて年初来高値を更新していたが、世界の供給量の半分を占める南アフリカ共和国の電力不足が深刻化、電力を大量に消費する白金鉱山が停止する懸念を背景にTOCOMでも約5ヵ月ぶりの高値水準となっている。

プラチナについては先月末にもそのETF残高も価値の裏付けとして保有する現物が直近の合計で約73トンと年初からの増加率が16%に達している旨を当欄で書いたが、今月上旬時点でその残高は78トンと過去最高を記録しており南アフリカのファンドがこのETF買いを主導している可能性がある旨も先週の日経紙に出ていた。

TOCOMでも先のプラチナ地金の受け渡しが数量にして1,543キログラムと27年ぶりの高水準になっている旨を書いたが、先に史上最高値から急落したパラジウムと対照的なETF残高増加を見るに陰極まればの如くやはりフィジカルを絡めた動きはボディーブローのように後々作用してくるか。


機能性を謳う

さて、一寸立ち寄ったドラッグストアでは機能性表示を示すドリンク類がズラリと陳列されているのを見たが、この機能性表示といえば先週の日経紙夕刊一面で「フルーツも機能性売る」と題して、みかんや林檎、ブドウなどで機能性表示を目指しこれを届け出たり認められたりする動きのある旨が載っていた。

冒頭のドリンク類はこの制度が始まった直後からいち早くこれを届け出る動きがみられ、時同じくして野菜等もモヤシなどの一部が初めてこれを受理される動きがあったのを思い出したが、上記のリンゴなども抗酸化作用や内臓脂肪の蓄積を抑える効果のあるポリフェノールを推し昨年初めからこれを謳って販売し始めている。

特にフルーツの場合はドリンク類や野菜に比べ価格帯が高額になるだけにその付加価値を付ける意味合いは大きく、政府もこうした国産モノのフルーツや野菜の消費量が拡大し農家の収入増加につながるとみて届け出を増やそうとしている。一方で生鮮品はその特性から品質にばらつきが出る可能性がある点や届出受理までの時間等の問題が今後は課題となるか。


新元号特需

さて、今週は周知の通り新年度入りと共に政府が「平成」に代わる新たな元号を「令和」と発表した。最初の元号とされる「大化」から数えて248番目となるこの新元号だが、これまで元号の殆どは中国の古典から選ばれていたものを今回は「万葉集」から選び初めて日本の古典から選ばれることとなった。

新元号に関するツイートはわずか2時間で450万件以上と平成へと元号が変わった時のそれとは世間のムードも違えば環境も様変わりとなったが、去りゆく平成を惜しみクリヤファイルなどの所謂平成グッズが何所も完売するなどの一方で「令和」も早速あらゆる業界で便乗組の機敏な行動が目立った。

他にいよいよの5月1日に向けてのプランやイベントとしてはグランドプリンス高輪など一部のホテルで5月1日へのカウントダウンとして午前0時から結婚式を挙げるプランや、JTBでは新元号の日から伊勢神宮等への参詣・新元号入りの御朱印を貰うツアー、サンシャイン60では新元号のご来光を拝めるイベントを開催するなど各所でのコト消費による経済効果もこれからまた気になるところ。


規制と育成

さて、今年に入って静かな値動きで推移していたビットコインだが、昨日の後場に突如として急騰し18年11月以来の高値を示現したのが話題になっていた。これに連れて他のアルトコインも買われたほか、株式市場でも仮想通貨関連銘柄が数銘柄物色されるなどこの急騰が波及していた。

ところで仮想通貨といえば政府は先月中旬に仮想通貨の交換業者や取引に関する規制強策を盛った資金決済法と金融商品取引法の改正案を閣議決定している。規制の網の広がりで金融庁は現物以外の交換業者に別途金商法上の登録制を始めるなど、仮想通貨取引に新たな規制導入の運びとなる。

あの過去最大の流出事件から1年が経過したが、こうした流出リスクやら投機対象としての側面が独り歩きし、警察庁が先に発表したマネーロンダリング疑いのうち届け出が義務付けられた仮想通貨交換業者からの届け出は前年の10倍以上になった旨の報告も為されているなど本来は決済手段としての普及が期待されたテクノロジーの進化もSNS同様に負のバイプロは避けられない

斯様に投資家保護の必要性が焦眉の急となっている事も背景にあろうが、これで大手中小を問わずに業者側としては登録を通過出来るだけの対応が求められることになる。何れにせよ規制と育成のバランスをどう図ってゆくのか腐心するさまは想像に難くないがまさに黎明期の生みの苦しみともいえる。


去りゆく

さて、昨日は新年度という事で平成最後となる新入社員の入社式が各所で執り行われ平成元年入社組は去りゆく平成を名残惜しむなど新時代の到来を前にいろいろな想いが交錯、本日は小反落となった株式市場もまた新年度入りによる資金流入への期待や新元号発表のご祝儀ムードで昨日は大幅続伸となっていた。

去りゆくといえばこの株式市場でも先週は昨日出光興産と経営統合した昭和シェル石油株が最後となる取引を終えたのちに上場廃止となった。もう一つ、上場廃止といえばこの日は老舗音響機器メーカーでカーナビも有名だったパイオニアも上場廃止となりその80年の歴史に幕を下ろしている。

しかし日経平均の構成銘柄に長らく君臨し我が世の春を謳歌していた90年当時に7000円に肉薄する株価を誇った同社も最後の株価はわずかに65円と百分の一に、今後の再建が期待されるが昭和シェル・出光両社も2015年の協議開始から4年、漸く統合実現の運びとなったが三強体制となった業界の行方や今後の他業界の再編も含め目の離せない年度となる。


池坊展2019

本日から新年度となったが、政府が「平成」に代わる新たな元号を「令和」と発表するなど例年になく今年は感慨深い幕開けとなった。新元号に絡んではまた後述するが、出典が万葉集の梅や蘭の花から取ったものとされている。さて梅や蘭といえば過日はこの期恒例の池坊展に行って来た。

例年より早く桜が満開になった事で会場の東京都美術館へ向かう道は人々でごった返していたが、美術館もちょうど伊藤若冲などの作品を集めた奇想の系譜展を開催しているとあってこれまた結構な混雑具合だっただけに地下へ降りる途中で漂ってくる作品の花の香の清涼感が際立つ。

今年も華督の方々を中心とした立花正風体の多くがどれも圧巻の作品であったが、一方で奇をてらった?組合せというより桜と松と椿などの王道のコンビ、また彼岸桜、ぼけ、ツツジなどの一品でシンプルに真正面から勝負した作品も多く見られ改めてその技量には脱帽といった感じであった。

池坊展といえば一昨年の「花戦さ」とのコラボで観た見事な昇竜松の大砂物の作品等の印象が強烈で昨年も会場のわりに薄めの印象だったが、桜を愛でる外の喧騒と対照的な静寂空間で上記の通り難易度の高い一品勝負を見事に魅せた今年は原点回帰の感もあり次回にまた期待が膨らむ素晴らしい展であった。