3ページ目

日経平均株価60周年

今週のアタマには日経平均株価構成銘柄の定期見直しにより三菱レイヨンとクラリオンが外れ、新たに日本電気硝子と東京建物が新規採用となる入れ替えがあったが、この日経平均株価といえば昨日は算出開始から丁度60周年であった。

そんなことから日経紙始めとして各所で取引高ランキングの変遷やら大きな出来事などを載せていたが、こうしてみると当時がその時に流行ったほかのものと一緒に思い出され、ある意味ノルタルジックな気分にもなるもの。

60年代の証券不況などはさすがにわからないが、ブラックマンデー以降のバブル期含めた時期などは本当にいろいろな出来事があった。証券会社もまだ仕切り、それに大量推奨販売等なんでもアリだったが、それもまだ受け皿となって回せる銘柄がゴロゴロしていたという素地もあったからだ。

先物を創設してからほどなく日経平均株価は史上最高値を更新したが、平均株価採用銘柄やそれらの出来高変遷と同様に投資家の層や嗜好も時代と共に変わってきている。それはそれでまた面白いのだが、一方では上記のバブル時代の規制が甘かったボラタイルな市場が時折懐かしく思えるのも否めないところか。


流出先は何処に?

本日の日経紙経済面には、SBI証券の顧客がFX取引をする度に現金を還元するサービスを始める旨が載っていた。先月導入のレバレッジ規制による売買減少の歯止めになればと手数料無料化どころか、今後は期間限定ながら顧客に手数料を支払うという。

このレバレッジ規制、予想以上に各社影響が大きかった模様だが、証券各社はネット系を始めとし再度手数料を引下げるなどして零れるマネーの取り込みに余念が無い。夏場に大手の大和がマル信手数料を小口で150円にしたのには正直驚いたが、逆にそうした覚悟がこうした現象を以ってして感じられたものだ。

FXにしろマル信にしろこうした措置を講じて網を張ったところで果たしての流入先は何処にヒットするかはいまだ不透明、昨今の市況というかマーケットを見ていると個別というよりデリバティブ系が益々活況を呈してくるのではと個人的に感じる部分があるが、そうした段階で個々ではまた新たな競争も出て来るのだろうか。

そんな中で当然こうした動きに採算性を見出せず撤退する向きもあるが、FXの市場拡大に活路を見出し続々と参入してきた大手勢のうち日興コーディアルなどは7年間続けてきたFX事業からの撤退を先月発表している。大手勢は身の引き方も鮮やかだが、つい最近は商品業界からも既報の通り三菱商事Fがサプライズな撤退表明をしたばかり、胴元のスタンスが垣間見られる昨今だ。


体重こそ違うが・・

さて、本日の日経平均は米景気減速に対する悲観が若干後退した事もあり4日続伸となった。個別では先週全般急反発の中でも冴えなかった主力のトヨタなど自動車株も続伸歩調となっていたが、このトヨタといえば先週には大引で初めてホンダに株価を抜かれたことが一寸話題になっていた。

この逆転現象、今年の2月にもあったがそれはザラバの話。今迄書いてきたように様々なシーンでこうした現象が起こるが、今回はホンダの新興国での二輪車販売好調とトヨタの販売苦戦という素地があった中、その貸借倍率の違いという構造もこれらの主因になっていたと思われる。

また、設定している想定レートは違うが、1円の円高でトヨタが300億円の営業利益減に対してホンダのそれは170億円となっているあたり為替相場の影響は周知の通り。株式相場に左右される証券ポスト、コモディティーのそれは商社ポストなど相場株は多いが、同様に輸送用機器ポストの名とは云っても結局この手も相場モノのカテゴリーなのは間違いない。

ところで逆転といえば、その地盤沈下から取引所など中国に次々と逆転されてきたが、先にはGDPも日中の逆転が報じられている。話題になった上記の両社株価逆転も一日天下で従前に戻ったが、はてこちらの方は従前に戻る日ははたして来るのであろうか?


融合する伝統工芸

さて長月に入っているが、先月は三越で恒例のワールドウォッチフェアが開催されていた。各ブランドが威信をかけて最新鋭モデルを発表する場は「バーゼルワールド」や「ジュネーブサロン」等があるが、特別なバイヤーや顧客が参加者層というこれらと違って此処は気軽に目の保養?が出来る点がいい。

今年楽しみにしていたのが、以前当欄で柴田是真の蒔絵の技術に触れた時にコメントした「ショパール」の漆と蒔絵シリーズの新作。今年は創業150周年ということを記念して、昨年の「五行説」シリーズに加えて「空・土・水」を象徴する3タイプが追加となっている。この中では唯一「土」がトロピックな雰囲気を醸し出しており、「和」のテイスト満載なほかの物とは違った個性を放っていたのがとても印象的であった。

そういえば今年の「ジュネーブサロン」では、「ヴァンクリーフ&アーペル」が新作モデルとして日本の漆作家が手掛けた蒔絵をダイアルに用いる「ミッドナイトエクストラオーディナリージャパニーズラッカー」を計5モデル出しているが、どうみてもこれらのモデルにインスパイアされている感がする。

一方日本からは、水晶時計開発に成功したとの当時の新聞記事をそのまま文字盤に再現した「SEIKO」のモデルが展示されてあったが、何れにしても様々な形でこうした一流ブランドに融合している日本技術の誇りのようなものも感じられこうした点は今後も顕著になってくるだろうか。


空港も市場も

さて当欄で6月に一度触れている通り、シンガポールでは昨日から、金やエネルギー関連品目などを扱うSMX(シンガポールマーカンタイル取引所)が取引開始となっている。

同所は、インド最大の商品取引所を運営するファイナンシャル・テクノロジーズの傘下だが、アジアの主要な金融・商業センターとしてのシンガポール特有の地位を最大限活用しようとする中で、SMX解説は正しい方向への段階の一つとCEOは述べている。

ところで、シンガポールといえば一方でこのSMX始動の前日の30日には、日本政府観光局が羽田空港の10月末の本格国際化を東南アジア諸国の旅行業界に売り込む座談会と商談会をこのシンガポーツにて開催した模様。また、今週月曜付け日経紙夕刊「あすへの話題」にはソウル仁川空港がハブ空港となっている現状で羽田ハブ化を打ち出した今後に注目したいとしているが、この羽田も成田ももう何年も前からハブ空港としての地位確立は悲願とはなっているもののいまだ叶わず。

今のこうした他のアジア諸国の勢いを見るに付け国内商品市場縮小の様子も鑑みると、昨年日経紙にて前に地銀総裁の福井氏が「日本に国際ハブ空港が育たない構図と似ている」とした一文を思い出さざるを得ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2010

9

1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30