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空売り界の文春?

本日の日経平均は参院選での与党勝利で600円高と、空売り筋の踏みを誘うような急反発となったが、空売りといえば先週末の日経紙マーケット面で企業の不正を見極めて空売りする米グラウカス・リサーチ・グループが日本市場に参入する旨の記事があった。昨今のコーポレートガバナンスの重要性から、これまで以上に外部から問題を指摘する必要性を感じたという。

しかし監査法人が決算を了承している限りオリンパスのような内部告発やらインサイダーでもない限りディスクロ済みの有価証券報告書やら決算短信等の資料だけで不正を見つけるのは困難かと思われるものの、それ自体がデキレースで東芝の不適切会計問題や自動車メーカーの不正が続々と出てきたあたりに商機を見出したというところか。

これまで11年に設立来の実績としては株式中心に22銘柄を仕掛けうち7銘柄は3月末時点で価格が90%超下落、5銘柄は経営者が告訴されているというからまさに文春?なみの破壊力といった感もするが、数か月前から日本企業株の調査を始め、既に時価総額の大きな企業3〜4銘柄を対象に絞ったという。

ちなみに日本市場でも最低でも50%の株価下落が見込めるモノを狙うというが、果たして「見えざる手による妨害」に屈せずこれまで通りの成果が得られるや否や、先ずはお手並み拝見といきたいところだ。


ブランドの光と影

さて一寸の無沙汰で光景移り変わり激しい銀座だが、先週末の日経紙・企業消費面には「銀座旗艦店、相次ぎ改装」と題して、伊ジョルジオ・アルマーニや同サルヴァトーレ・フェラガモ等の海外高級ブランドが2020年の東京五輪開催に向けて観光客が増えると見込み東京銀座の旗艦店への投資を拡大、相次いで改装に着手する旨が書いてあった。

海外の高級ブランドといえば銀座を有望市場と位置付けて、一度は本邦から撤退したヴェルサーチが昨年はホームも交えた立派なフラッグシップストアをオープンするなど再度イタリア勢の進出著しいが、先駆けて建てた同形態のアルマーニタワーも来年ではや10年が経過であるから時の流れは早いものだ。

ところで伊ハイブランドといえば、以前に見た未来世紀ジパングで「激変するイタリア」と題し、現在の食やファッションを取り巻く環境が放映されていた中でメイドインイタリーと銘打った高級ブランドのバッグが、実は安い工賃でほとんど中国人が作成しているとのドキュメント番組が告発者と共に取り上げられていたのが記憶に新しい。

この番組中ではそのブランド名は伏せてあったが、けっこう有名になった話なので知っている向きも多いだろう。(念の為、上記ブランドではないが・・)銀座に出向いた折など当該ブランド店に並ぶ品を見る度に劣悪環境で作業する中国人労働者の姿が思い出されるが、またそれを挙って狂ったように爆買いしている中国人の姿も滑稽というか複雑な気持ちになるのは否めない。


逃げ場

本日の円相場は世界経済への先行き不安の強まりから大きく買われ、前場で一時1ドル100円台と6月24日以来となる円高水準を示現した。そんなワケで日経平均も大幅続落となったが、債券市場も新発20年物国債利回りが初のマイナスをつけるなど投資家のリスク回避姿勢が鮮明になった。

ところで最近の行き場を失った投機マネーの流入先は何も円だけでなく、その矛先は一部インターネット上の仮想通貨であるビットコインにも向かっている模様。先月末の日経紙では人民元安が進む中国経済への不安を映して中国からの資金が大部分を占めているとの記事もあったが、パイが小さいだけに動きが投機的なのは否めない。

とはいえ5月には仮想通貨取引所を登録制とする改正資金決済法が成立し、個人のみならず法人までその範囲を広げてビジネスとしての伸びしろを指摘する向きは多い。上記の通りまだ時価総額という部分のネックはあるものの、様々な商機の機会は今後も加速してこようか。


物言い

本日の日経紙社会面では「株強制取得価格は適正」と題して、数年前に実施した住友商事とKDDIのJCOMへのTOBに関して最高裁が、買い付けに応じない株主から強制的に株を買い取る際の価格が低すぎると申し立てた投資ファンドなど海外投資家らの主張を退ける決定をした旨が載っていた。

TOBで不当に買い取り価格が低いとザワついた例としては、先月まで日経紙「私の履歴書」で会長が執筆を続けていた東宝も数年前に東宝不動産をTOBする際の価格に外国人株主の物言いがついて東京地裁が価格引き上げの決定を下したケースが思い出されるが、その前には西の大阪地裁ではTOBでないが、サンスターがMBOする際に不当に低価格として元株主側が公正な価格を求めた裁判が為され株主側が逆転勝訴したケースもあった。

同じMBOでは他にレックスホールディングスのケース、またカネボウのTOBなど形態は違えどこれまで斯様に多数なケースがあり、どれも比較的ファンド系に軍配が上がったケースが記憶に残っているだけに今回のケースも注目されたものだが、司法判断のニュアンスがこれを機に変わって来るのかどうか今後が注目される。


今年の総会

上場企業の3月期決算の株主総会も先週で漸くピークが過ぎたといったところだが、今年はコーポレートガバナンス・コード導入2年目となり各社も其れなりに体制整備が進展してきた。株主の要求レベルもこれによって変わってきているだけにやはりROEなどに視点が向かうパターンが増えてきている。

実際のところ総会では不祥事企業を起こした企業へは当然の厳しい声が今年もまた相次いだが、その様はやはりシャンシャン総会全盛の頃の所謂厳しい追及とは光景も可也違ったものになってきた感がする。そういった一昔前の茶番が消えた分、いい意味で反対票も急増という流れなどは自然なところだろうか。

当欄ではちょうど一年前の総会の時期に「今年のコーポレートガバナンス元年が、双方の距離を縮め好循環の起点となるのかどうか大いに期待したいところである。」と書いていたが、徐々にその効果は浸透してきているだろう。今後も改善途上のROE絡め手元資金の有効活用など対話の重要性が試されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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