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IPO2018

本日の日経平均は景気減速懸念が強まり急反落となったが、そんな中でマザーズに新規上場となったテクノデータサイエンス・エンジニアリングは公開価格の3200円を98.4%上回る6350円で初値を付けた後も高値引けと好調なスタートとなった。一方でジャスダックに新規上場となった田中建設工業は公開価格を7.1%上回る初値形成後に一転して売り物となり引けは公開価格を下回った。

マザーズ、ジャスダック両市場共に3日続落となるなか明暗分かれた格好になったが、IPOといえば本日の日経紙総合面には「株式公開活況91社に」と題し、今年の国内市場のIPOは活況が続き上場企業数が91社と過去10年で2番目の多さとなってその資金調達額は約2100億円と前年の2.3倍に拡大する旨が出ていた。

反面一頃は上場ゴールなる言葉も流行った時期があったが、今年既に上場した78社のうち8割弱にあたる60社の株価が実質ベースで初値比マイナスと冴えない展開になっている。知名度がダントツのメルカリも今日は上場来安値を付けはや株価はそろそろ三分の一というところだが何れにしてもこれで年内の上場予定は残り11社、とりわけ明日のソフトバンクはいろいろな意味で注目されるところである。


キャッシュレスの伸びしろ

さて、ちょうど一週間飴に当欄では「現代インフラの盲点」と題しソフトバンクの大規模な通信障害の影響でQR決済のPayPayでの決済が出来なくなった旨を書いたが、そのペイペイ決済サービスが今月4日から実施していた大規模還元キャンペーンが利用者の殺到によってわずか10日間という短期間で先週キャンペーンが終了した。

このキャンペーン、利用客獲得の為に買い物で20%のキャッシュバック、更に抽選で全額のキャッシュバックなど100億円を用意する大盤振る舞いであったが、サービス終了の情報が漏れた事で平日にもかかわらず各店舗では異常な混雑を来した事で話題になってしまった。

中には割引対象には通常絶対ならない高額商品を大量購入し利鞘を乗せ転売を試みる向きや、全額キャッシュバックが当たるまで購入と返品を繰り返すツワモノまで現れる始末であったが、何れにしてもこれで短期のうちに推定190万人の利用者を獲得、総額約500億円の買い物に加え来年の約100億円のキャッシュバックで再度購入の機会を生ませる経済効果は確かにあった。

現在キャッシュレスに関しては世界中で急速にサービスが普及しているが、先の日経紙によれば日本ではQRコードを使ったキャッシュレス決済を知らない人は全体の8割に達するという。来年の消費税増税に併せ政府もキャッシュレス決済で還元する優遇策など検討しているが、クレカが普及している土壌でここからどう浸透させられるか今後も各社の戦略が試されそうだ。


今年の一皿2018

さて、食を巡る調査・研究を行っている「ぐるなび総研」がちょうど一週間前に2018年の世相を最も反映したという今年の一皿を選んでいるが、今年は「サバ」が選ばれる事となった。個人的には先の当欄でも取り上げた高級食パンあたりが選ばれると思ったが、こちらは一応ノミネートという結果となった。

この一皿、昨年は社会の高齢化や健康志向の高まりを背景に鶏むね肉が選ばれたが、今年も血流などに良い栄養素を豊富に含んだ健康食品としての位置付けが高いサバが選ばれたのも自然な流れで、こうした事を背景にこれまで首位だったツナ缶の生産量を去年はサバ缶が遂に追い抜くこととなった。

街の飲食店も近所ではサバ専門店にリニューアルしたさば銀又佐はじめ、銀座のSABAR鯖街道はサバファンドを運用中、ラーメンもサバ6製麺所等が大賑わいとサバ様様といった様相だ。こうしたブームの弊害?でサバの平均卸価格は5年前の相場から今年は40%も上昇し、末端も2倍近い値段が付いているところもあるというが健康志向の継続から来年もまた脇役が主役に躍り出る展開となるのかどうか注目される。


初の6兆円乗せ

本日の日経紙総合面には「日銀ETF購入6兆円」と題し、日銀が金融緩和の一環として購入しているETFの買い入れ額が昨日に初めて年間6兆円に達した旨が出ていた。周知の通り秋口からの株価下落に伴い、10月などは8700億円と月間ベースで過去最高額を買い入れるなどそのペースが速まった事が背景。

前日の記事でも買い入れアノマリーから逸脱した状況でもTOPIX連動モノを買い入れていた旨が購入基準変更などの思惑を誘っていたが、NT倍率は先月末には1998年3月以来、約20年ぶりの高水準にまでなっておりロング・ショートのヘッジファンドも苦しくなるなどの弊害懸念もここ最近ではいわれている。

同紙の末尾には銀行保有株の10倍以上あるETF残高を減らすには時間がかかる可能性もと書いてあったが、ロング・ショートのヘッジファンドが苦しくなるなどの目先の弊害懸念もさることながら、ここからはステルス・テーパリングの思惑が台頭するなかGPIF絡めた移管論や信託銀行交えたクロスなどさまざまなイグジットの観測も出てこようか。


投資家が選んだ漢字

さて、ちょうど一週間前にはユーキャン新語・流行語大賞を取り上げたが、その後にこれから発表になる「今年の漢字」の前にスパークス・アセット・マネジメントが個人投資家対象に平成最後の日本株相場を表す今年の漢字を聞いたところトップに選ばれたのは「乱」
であった旨が先週末の日経紙に出ていた。

ちなみに相場の上昇傾向が続いた昨年のトップに選ばれた「昇」は今年は圏外に去ることとなったが、「乱」といえば確か一昨年に選ばれたのは同じくこの「乱」だったのではないだろうか?以下2位は「変」、3位には「迷」と続く結果となったがこれらから腕に覚えのある向きも取り辛い相場であったような感も受ける。

確かに今年はリスク・パリティ型運用など見られるようにVIX指数に振り回される展開が昨年以上に顕著となったような気もするが、同じく同社のアンケートで来年の日経平均の年末予想を聞いたところ平均値は21,832円となった模様。年始の経営者予想よろしくこの辺は誰にも分らないがさて来年の漢字トップはいったい何になっているだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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