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引き下げ圧力彼是

本日の日経紙金融経済面には「運用会社、手数料下げ競争」と題し、公募投資信託の残高が大きい主な運用会社10社の2019年3月期は7社が最終減益となったが、その収益を圧迫している背景には投資信託の手数料引き下げ競争が激しく資産運用会社が低コスト化の逆風に直面している旨が書かれていた。

パッシブ型運用の手数料は大幅に低いところへ長期的に高い運用成績を見込み難くなるなかアクティブ型も引き下げ圧力が及んでいるというが、金融商品の手数料といえば株式売買においてもスマホアプリで顧客にサービスを提供する新興証券会社の一部で手数料をゼロにしたり、大手ネット証券では米国株式の最低売買手数料をゼロにする動きもまた広がっている。

1999年に株式売買委託手数料が完全に自由化されてからこの20年、手数料率の変遷を見るに隔世の感は否めないが、この期に及んでも旧来型営業の回転売買で手数料稼ぎが問題視された証券会社が立ち入り検査強化等の指導を受けている報を聞くに一部の旧来型対面営業に荒涼とした環境を禁じ得ないが、少子高齢化に業界の合従連衡の波と今後も環境変化が注目される。


その先の消却

先週末の日経紙投資情報面には「自社株の消却 倍増」と題して、同社調べで自社株を消滅させる消却額の合計が約5兆3000億円と前年度の2倍に増えて自社株買いの金額を上回るなど、自社株買いから更に踏み込んだ消却が相次ぎ斯様な動きは今年も継続しそうとの旨が書かれていた。

ところで当欄では先月に政策保有株を圧縮する動きを取り上げたが、先週は時価総額が上場時の3倍強になったリクルートホールディングス株に政策保有株として保有する幅広い取引先からの売り圧力が俄かに高まっているなか、この受け皿として自社株買いを検討している旨も報じられていた。

背景には国内外の投資家が資本効率の改善を要求しROEを重視する波に乗る動きがあるが、これが意識されるばかりに資金が刹那的にこれらに振り向けられているパターンも一部見られた。上記のリクルートも資金の使い道のプライオリティとしてはM&Aを軸とする成長投資としているが、今後其の先の余力の部分をどう生かしてゆくかこの辺が各社共に課題となりそうだ。


梅雨寒模様

さて、昨日は21日ぶりに日照時間が4時間を超えた模様だが、一昨日など東京都心の日照時間はわずか10分にとどまるなど先月27日から一昨日16日まで20日連続で日照時間が3時間未満と観測史上最長を記録している。ちなみにこれまでは関東や東北で低温による農業被害が出た88年の17日間が最長記録。

今月上旬にはCanCamがプロデュースする恒例のナイトプールが公開され今年のテーマは動画映えする「ムビジェニ」という触れ込みであったが、この梅雨寒で心なしかプレスも取材陣も盛り上がりに欠ける感じで既にプール開きとなっている都内各所の序盤戦の客足が早くも大幅減と一部報じられている。

こうした裏で対照的に屋内型施設は堅調を維持している様子だが、斯様なレジャー施設以外でも百貨店など年末年始に次ぐ季節モノ商戦となる大事な時期にもかかわらず低調懸念が台頭し、またナスやキュウリ、トマトなど野菜相場も当然ながら影響が出て価格上昇や出荷量減少が出てきた模様。

こんな光景を見ると40年ぶりとなる記録的な長雨を記録しレジャー関連等が大打撃となったちょうど2年前が思い出されるが、当時も書いた通り企業の対策もさることながら年々予測不能な天候事情に備えるべくデリバティブ関連商品等の商機でラインナップの充実が益々求められるところか。


代替通貨

さて、ちょうど1ヵ月前の当欄では最大の金ETFであるSPDRゴールド・シェアの金保有高が先月2016年7月以来約3年で最大の伸びを記録した旨を書いたが、WGCでは金価格連動の世界のETF が価値の裏付けとして保有する現物残高が6月末時点で2548トンと、2013年3月末以来の高水準となり、1か月間の増加額としても7年ぶりの高水準になった旨を発表している。

この6月といえば中旬に米利下げ観測に加え中東の地政学リスクも背景に急騰した後に一時下落を見せた価格であったが、今月に入ってから今度は米中貿易摩擦による世界景気の減速懸念などから安全資産としての需要を背景に再度上昇し3日には1,420.9ドルと2013年5月以来、約6年ぶりの高値を付けている。

最近の金は株と同時並行で上昇している部分も注目されつつあるが、国内では金関連投信の純資産残高トップが三菱UFJのファインゴールドとなり金の採掘や精錬等を手掛ける企業の株式に投資するものも上位にランクインしてきている。今月に入って1,400ドル割れがあってもすかさず切り返し1,400ドル台に回復する動きが続くが、ETF残高と併せ中央銀行の動き等今後も目が離せない。


普及と壁

さて先週は「ノルマの亡霊」と題し、かんぽ生命の保険業法に抵触する恐れのある不正販売の広がりを取り上げたが、これを嫌気した同社株への売り物は連休明けの本日も止まらずに年初来安値更新から時価総額は先週から上場来初の1兆円割れとなっている。今秋にも政府は日本郵政株の追加売却を予定しているだけになんともなタイミングというほか無い。

もう一つ時価総額が先月末からはや半減しようかという勢いのモノとして、先週末にストップ安まで叩かれ今日もなお大量の売り物を残し2日連続ストップ安の比例配分で引けているリミックスポイントがあるが、周知の通りこれは先週末に子会社のビットポイントジャパンが不正アクセスにより約35億円相当の仮想通貨が流出した旨の発表を受けた事に因るもの。

仮想通貨流出といえば記憶に新しいものに昨年9月にテックビューロ運営の交換所から約70億円が流出した件が記憶に新しく、その前の1月のコインチェックからは約580億円が流出した経緯がありその度にセキュリティ対策関連が物色される不気味な光景が市場で見られたが、いずれの仮想通貨交換所も金融庁から業務改善命令を受けてきた経緯がある。

同交換所に関しては金融庁が直近で業務改善命令が解除していただけに別な意味で冒頭のかんぽ生命同様になんともタイミングが悪いというほか無いが、直近ではフェイスブックのリブラなども話題になり決済手段としての普及の可能性が日進月歩で囃されている一方で、法改正成立直後に斯様な流出事件が繰り返されるなど行政の難しさが浮き彫りになっている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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