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IPOも暖冬

本日も日中はコート要らずの暖かさであったが、予てより暖冬といわれているだけに師走とは思えない暖かい日が多い。この辺に絡んでは本日の日経紙市場点描でも「暖冬予報 お寒い冬関連株」と題し、日経平均に対して冬消費関連株群は軒並みアンダーパフォームとなっている旨が書いてあった。

そんなワケで個人のホットマネーは自ずとIPOなどに向うこととなるが、昨日公開の株主管理プラットフォーム事業のウイルズは初日が買い気配のまま値付かず、上場2日目の本日に公開価格960に対し実に5倍近い4535円で初値を付けている。また同じ日に上場した中小企業向けクラウド会計ソフトのフリーも赤字新興企業ながら公開価格を25%上回る初値を付けるなどそれらを裏付けている。

生き馬の目を抜くソフトバンクが煮え湯を飲まされた米ウィーカンパニーの例もあって赤字新興企業への評価の厳しさは増す一方だが、カネ余りの環境もあってユニコーンも玉石混交の様相となっている。上記のフリーもその規模は今年のIPO市場で2番目の規模となるが、旺盛だった海外投資家需要が今後奏功するのか否かいろいろな側面で試金石となろうか。


逆行と大義名分

昨日取り上げた通りニューフレアテクノロジー社を巡ってHOYAと争奪戦を繰り広げているのが同社親会社の東芝だが、この東芝といえば2020年の2月から東証が2部から1部への移行基準を緩和するのを背景に、現在の2部ポストから東証1部への復帰に向けた社内組織を立ち上げ準備を進める模様だ。

世には今なお数十年前の法が旧態依然のまま罷り通っているモノは何も株式に限ったことでは無く数多あるが、この2部市場も1部移行に必要な監査法人の適正意見が付いた有報が5年分と50年前から変っておらず現行の新興市場の2年分と比較し乖離しているところが大義名分としてその背景にある模様だ。

当の東芝にとってはこの基準緩和の機にまさに渡りに船の構図だが、もともと諸々の不祥事が次々と露呈されたにもかかわらず日興コーディアルやオリンパス同様に上場廃止を免れた事も西武やカネボウのそれとは何が違ったのか?とかつて物議を醸し出したものだが、今回の件も大義名分があるものの其れなりの物議を醸し出しそうだ。


同意無き買収

さて、先週末の日経紙には「HOYA、東芝と買収合戦」と題し、東芝が5割の株式を持ち現在完全子会社化に向けて株式の買い増し手続き中の半導体製造装置子会社であるニューフレアテクノロジーに対しHOYAがTOBの実施を発表、大手企業同士が公開市場でTOBを仕掛ける異例の展開となった旨が出ていた。

TOBに絡んで直近で取り上げたのは先に書いたぺんてる株を巡るコクヨとホワイトナイト的存在の同業プラスであったが、こちらは公表されているところでコクヨは売買契約が済んでいない0.6%を加えても目標の過半数に達しない事が判明しているが、プラス側と双方で拒否権を持つ長期戦入りが囁かれている。

その辺は兎も角も上場企業同士の争奪戦といえば、この記事に出ていたオリジン東秀を巡るイオンとドンキのTOB合戦の他に記憶に残るモノに北越製紙を巡る王子製紙と日本製紙等のTOB合戦か。この時もまたホワイトナイト的存在の三菱商事が事を収める事となったが、いずれのケースも今後が注目される。

当欄で前回ぺんてる株を巡るTOBに触れた際の末尾では、「〜水面下で敵対的買収案として噂に挙がっているところが複数耳に入って来ており〜」と書いておいたが先ずは早速冒頭の案件が出た。相手側の同意の有無如何に拘ることなく実施が躊躇無く行えるようになったのはコーポレートガバナンス改革等の環境変化に因るところが大きいがさて次は・・


今年の一皿2019

さて、今年も食を巡る調査・研究を行っている「ぐるなび総研」が2019年の世相を最も反映したという今年の一皿を選んでいるが、今年は「タピオカ」が選出されることとなった。去年は選ばれたサバ以外にいろいろと競る候補があったが、今年はそういったモノも思いつかず果たしてといった感じであった。

ここ数年は少子高齢化や健康志向の高まりを背景に一昨年の「鶏ムネ肉」、そして上記の通り昨年は「サバ」という流れが続いていたが今年は一転して高カロリーの炭水化物と不健康?路線になったものだが、準大賞には「発酵食メニュー」が選ばれ曲がりなりにも健康志向のトレンドはカバーされた格好か。

いずれにしても今年で6回目を迎えた今年の一皿、タピ活やタピる等の造語を多用しているSNS世代には第一次タピオカブームなど知る由も無かろうが、日本の食文化の歴史に次も何かのブーム再来があるや否や、ブームを超えて社会現象化する可能性のあるモノの発掘が今も各所で血眼になって行われている。


バイプロ下剋上

さて、本日の日経紙商品面には「パラジウム増産合戦」と題し南アやロシアの主要鉱山会社が、インドや中国で一段と排ガス規制が強化される事などを背景に自動車の排ガス用触媒に使用されるパラジウム需要の伸びに対応すべく他社の買収や新鉱区の開発等で生産能力の増強に動いている旨が書かれていた。

これらの効果が出て供給が増えるのは20年代中盤になるともいわれ当面高値が続く見通しとされるが、国内のETFなども前回触れたのが2月でこの時は三菱UFJ信託の純パラジウム上場信託が50,000円大台に乗せ年初来高値を更新した旨を書いていたが、今月に入ってから同ETFは60,000円大台の乗せての推移となり本日も年初来高値を更新している。

ここ数年のPGM系の推移はまさにバイプロものの下剋上と言っても過言ではない状況であり、スポット市場とは真逆な様相を呈する宝飾市場などはさながらトコロ相場?のような感覚を覚えるものだが、特有の供給制約等も背景に各鉱山会社も生き残りを賭けるなか各々の舵取りが今後も注目されようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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