映画とかTOBとか

さて、「前田建設ファンタジー営業部」が月末に全国の劇場での映画公開を控え予告動画などもTVでは頻繁に目にするようになったが、こんな娯楽映画とは裏腹に当の前田建設工業が持ち株比率で約25%を保有する道路舗装大手の前田道路に対してのTOB実施に前田道路側が反対表明と穏やかでない。

一見親子喧嘩にも見えなくもないが、大塚家具の親子喧嘩等とは毛色が違ってこちらは同じ前田の名が付き資本関係があるも元は他人同士で独立を保ってきた経緯がある。それは兎も角もこれまで日本企業ではタブー視されてきた大手企業間の敵対的TOBも、つい最近のニューフレアテクノロジー社を巡る東芝とHOYAによるTOB合戦などに見られるようにごく普通の光景に変りつつある。

今回のケースは上記のHOYAとは若干違って両社株を其々保有するアクティビストの存在が大きいところ。アクティビスト間でもどういったシナリオでイグジットを成功させるか腹の探り合いというところだが、コーポレートガバナンスへの意識の高まりを背景にこうした株主圧力がかかる案件は今後も増加するのは想像に難くない。

いずれにせよ目先は直近で触れた旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンズによる東芝機械へのTOBと、この前田建設工業による前田道路へのTOBがそれぞれどういった決着となるのかその辺の動向には注目しておきたい。


ごはんと植物肉のマック

昨日マクドナルドは午後5時から閉店までのディナー時間帯に販売する「夜マック」の新商品として、人気メニューをご飯のバンズでサンドした「ごはんバーガー」なる商品を来月から販売する事を発表しているが、同じマックでもカナダでは昨年末に28店舗で植物肉をパティに使ったハンバーガーを試験販売した旨を先週の日経紙連載で書いてあった。

マクドナルドといえば同紙にも書いてあったように肉食文化の象徴の一つであったが、嗜好の変化は植物肉を主に提供しているビヨンドミートが同社以外にもドーナツのダンキン運営会社と提携を結び、最近では中国本土でも製品を販売し始めるなど世界中の外食チェーンやスーパーに製品が供給され如実に表れている。

代替肉ベンチャーの同社は株式市場でも人気を沸騰させているが、シリコンバレーに本拠を置くスタートアップ企業のインポッシブル・フーズも双璧の存在で同社もまた中国市場を魅力あるマーケットとして狙いを定めている。日経紙には「マックから肉が消える日」と題してあったが今後ますますこのタイトルが現実味を帯びてこようか。


急先鋒

さて新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による世界経済の減速懸念から投資家のリスク選好姿勢が後退、世界の主要株価指数が連日大幅続落となっており日経平均も今年最大の下げ幅を演じた昨日から本日も続落となった。そんななか個別で目を惹くのはやはり新型肺炎関連株の局地戦か。

圧巻は関連筆頭格の医療用衛生材料最大手の川本産業で、本日で実に7日連続のストップ高の離れ業を演じ破竹の勢いで年初来高値を更新していた。他にも前日にストップ高を演じた防塵マスクの重松製作所も本日は続伸し年初来高値を更新、ほか引けこそダレたがシキボウも本日は年初来高値を更新している。

確かに先週末ビックカメラに立ち寄った際に中国人が殆ど狂気ともいえる量のマスクを持参のバッグに入れ店員と揉めていた光景を目にしたが、国内大手各社も急遽増産の対応を迫られている模様。こうした銘柄の局地戦はこれまでも見られたが斯様に先取りされたパンデミックの恐怖も何所で終焉を迎えるのか今しばらく注視しておきたい。


魅せる割高感

さて、先週は米電気自動車メーカーのテスラが市場予想に反した黒字発表以来株価上昇が加速、年初から約4割上昇して上場来高値を更新しその時価総額が1,000億ドルを超えて独のフォルクスワーゲンを抜いて自動車メーカーではトヨタ自動車に次ぐ2位に躍り出たのが関係者の話題になっていた。

テスラといえば一昨年だったか空売り勢が挙って同社株に攻勢を仕掛けたところへMBO計画の大風呂敷を広げたのが記憶に新しいが、結局このMBO劇は幻に終わったものの当時買い付けるとした金額が1株あたり420ドル、それが冒頭のフォルクスワーゲン超となった先週22日の終値が569ドルだから当時踏まされた売り方もヤレヤレといったところか。

とはいえ通期黒字化も未達な上に20年度の市場予測ベースでの予想PERは77倍台と、独フォルクスワーゲンの6倍台やゼネラルモーターズの5倍台にフォード・モーターズの7倍台、更には我らがトヨタ自動車の9倍台と比較しても割高感は否めず依然として同社株のカラ売り人気も根強い。

先週の日経産業紙でも「グーグルとテスラ、大義の有無」と題し、学生達の人気を二分しているグーグルとテスラという両極端な企業は何が魅力なのかという点についてスイスのビジネススクール教授の視察談が書いていたが、先ずは今週の19年10〜12月期の決算発表が注目される。


技術進歩と本質

さて、先週から話題になっているニュースといえばオリンピックの選考を間近に控えるなか、次々と世界記録を打ち出しているナイキの厚底シューズを近く世界陸連が使用禁止にする可能性があるという件か。何しろ日本記録を相次いで更新した2人の選手や、昨年の東京オリンピック選考レースでは代表内定の男女4人のうち3人がこのシューズを使用。直近の箱根駅伝では選手の84%がこれを使用していたというからその影響は計り知れない。

この報で先ず直ぐに思い出したのが競泳の英スピード社が開発した無縫製水着レーザー・レーサー問題か。既にマイケルフェルプスが席巻していた2008年北京オリンピックで登場し世界記録を樹立した金メダリストの94%がこれを着用、北島康介選手もこれを着用し平泳ぎで世界記録を更新し2大会連続の2冠を達成したものだったが、2010年にFINA(国際水泳連盟)がこれを使用禁止にして高速水着時代は終焉を迎えた経緯がある。

この報を受けた先週はアシックス社の株価がザラバで7.9%高まで急騰する場面があったが、同社も1960年代にはマメが出来難いエアーベントシステムを取り入れたシューズのマジック・ランナーを開発、魔法の靴として絶賛され実際に国際大会のマラソンでこれを履いた日本人選手は銀メダルを獲得した経緯もある。

この手では他にゴルフも2008年より施行された世界共通SLEルールによって試合でスプリング効果を持つ高反発ドライバーの使用が禁止になるなど高性能モノに待ったが掛かった例はいろいろあるが、各々の禁止ラインが個別で測れずその線引きはじめメーカーが絡んだ圧力や忖度思惑など一般には不透明極まりないのは否めないところ。

何れにせよ世界陸連側は今月末に調査結果を発表する見通しというが、ただでさえコースがコロコロ変わったり今回のようにオリンピック選考を間近に控えたところで突然厚底がダメ云々、それに合わせた選手の調整変更やモチベーションの問題はもとより開発に鎬を削っている企業の為にも早急な結論が急がれるところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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