2ページ目

使途明確化

さて、この時期になるとふるさと納税も枠を使い切ろうと年末に向けて各自治体の誘致合戦も喧しく駆け込みの動きも強まって来るというものだが、仲介サイト大手のトラストバンクによれば今年のガバメントクラウドファンディングの活用数ランキングで事業数首位は東京の27件であった。

今年は何といっても新型コロナウイルスの対策費をふるさと納税の仕組みを使って調達する動きが広がり、同ランキングで3位にランクされた北海道など医療従事者らへの支援などで実施したGCFが総額として最も多かったが、斯様に全体の約4割程度は新型コロナウイルス対策で寄付を集めていた動きが明らかになっている。

GCFに関しては当欄では昨年のちょうど今頃もあの沖縄の首里城再建目的で募ったふるさと納税を挙げて触れていたが、この時にマザーズへ上場したクラウドファンディング事業のマクアケはその初値2,710円から先月の上場来高値13,770円まで1年足らずで株価は5倍と大化けするなどその将来性を買う動きが続いているがプロジェクト数など実態が伴っているだけに今後も各所の活動が注目される。


物言う株主と言わぬ株主

本日の日経紙金融経済面には「生保「物言う株主」に一歩」と題し、今年の4〜6月の株主総会で第一生命保険の会社議案に対する反対票が前年同期比4ポイント増の17%に達するなど、これまで企業に忖度し会社側の議案に反対する事の少ない「物言わぬ株主」といわれた大手生保の企業との対話が変りはじめた旨が出ていた。

上記の第一生命保険以外でも住友生命保険や明治安田生命等々これまで反対票の公表など行ってきているが、斯様に大手生保各社は今やどこも自社のHPに「スチュワードシップ活動の取組方針」としてその対応ならびに報告書を掲げ、その対話数など大きく伸びている生保も出てきた。

ところでこうなるとETFの吸い上げで同じく多くの上場企業の大株主に名を連ねる日銀の存在にも自ずとスポットが当てられるというものだが、その議決権を持たない上場企業の隠れ安定大株主的存在?でガバナンス後退論まで一部指摘されているもののスチュワードシップコードの再改定絡め今後も対話を通じた企業側の変化に注目したいところ。


思惑の乱高下

昨日の日経紙総合面には先週末に上場したユニコーンの民泊仲介エアビーアンドビーの時価総額が10兆円に達し話題な旨の記事があったが、米IPO市場の活況は今がまさに旬?でこれ以外にもこの前日の9日に上場した米料理宅配大手ドアダッシュも初日は公開価格を9割近く上回る水準で引け好スタートを切っている。

ところでこのドアダッシュに傘下ファンドが出資している事でその含み益思惑から翌日のソフトバンクG株は急騰し年初来高値を更新、この日の日経平均の上げ幅の実に4分の1は同社が寄与するという格好になった。もう一つ、この急騰の背景にはドアダッシュ以上に材料視されているものに依然として燻るMBOの思惑もある。

創業者の持ち分が他株主の締め出し可能になるまで少しずつ発行済み株式を買い戻すという所謂スローモーションMBOなるもので、自身の買い増しでなく他株主が買戻しに応じる事によって保有比率が上昇、ゆくゆくは他株主から未保有株を買い取る権利が発生しプレミアムを支払わずに済むとブルームバーグは具体的なスキームを報じている。

直近でも先週末にロボット開発の米子会社を600億円で売却合意との発表が為されるなど粛々と資産売却を進める同社と沈黙を続ける創業者に様々な思惑が募るが、何れにせよ10日の年初来高値更新で3月の安値からは実に3.4倍にも化けた同社株、上記の通り日経平均への寄与度が高いガリバー的存在になっているだけに今後も同社の動向からは目が離せない。


今年の一皿2020

さて、一昨日にはぐるなび総研が今年の世相を反映し象徴する食を選ぶという毎年この時期に恒例で行っている「今年の一皿」が発表され、今年は「テークアウトグルメ」に決まった。先のユーキャン新語・流行語大賞も「3蜜」が年間大賞に選ばれたが、果たしてというかこちらもやはり新型コロナウイルスを反映したモノとなった格好。

当欄でもたしか5月くらいに貴重な期間限定と題し、ステイホーム等で外食需要が激減するなかこれまでテイクアウトを逡巡していた高級店や名店などが挙ってこれを始めた旨を書いた事があったが、そのあたりから何となく今年はもしやというコンセンサスめいたものもあった。

また他には代替肉などもノミネートされていたがこちらの方も既に昨年あたりから老舗企業からスタートアップまで喧しい動きで、これまた地球温暖化への影響を睨んだESGを意識したここ近年の世相を反映しているモノで、そういった意味では焦点がボケてしまい易い食材や料理より今年はそれらをより色濃く反映していたような気がした。


積極的意思 

さて、約一ヵ月くらい前に「トップの嫌疑」として取り上げたところのドン・キホーテHDがファミリーマートにTOBを仕掛けた際に当時の社長が知人に自社株の購入を不正に推奨した疑いで東京地検特捜部が動いていた件だが、今月に入ってから同特捜部はドン・キホーテHD前社長を金融商品取引法違反の疑いで逮捕するに至った。

所謂(取引推奨)の部分が焦点となった事例で、前回この件を取り上げた時の末尾には「〜思えば前社長の突然の退任も謎だっただけにこの辺が絡んでいたのか否か何れも注目される。」と書いておいたが、以前も述べた通り上場企業の元トップが在任中に自社株の取引を巡る不正に関与した疑いで逮捕されるという異例の事態となった。

一店員からトップにまで上り詰め社長在任中に売上げを倍増させた功労者であった前社長だが好事魔多し、同じようなパターンでもっと大きなところでは日産のカルロス・ゴーン氏などまた然りだがコンプライアンスも形骸化しつつある昨今あらためて更なる整備強化が求められようか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2020

12

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31