漁夫の利?

昨日はアジア勢として初のJDR(日本預託証券)銘柄であるオムニ・プラス・システム・リミテッドが東証マザーズに新規上場となったが、本日の日経紙金融経済面には「東証、アジア新興の受け皿」と題し東南アジア中心にスタートアップが勃興するなか政情不安な香港を避けたい企業の受け皿として東証が選択肢に浮上するなど海外企業の東証への上場機運が高まっている旨が出ていた。

一頃は米中対立の影響でIPO企業が上場先として香港を選ぶような動きも一時見られたものだが、政治的な不安定感が日増しに増加するなか日本の事業会社との資本・戦略提携や低金利の日本で資金調達を視野に入れる企業にとって東証がより一層現実的な選択肢になってきているという構図だ。

冒頭のJDR銘柄が上場した同じ日には東京都が国際金融都市構想の改定案取りまとめに向け有識者懇談会で最終的な議論をしているが、東京が高い評価を受けつつあるとはいえ政府が掲げる米英と匹敵するような国際金融センターになるにはまだ手続き面から税制まで課題はあるものの、同構想へ弾みが付く可能性として斯様なチャンスは確実にモノにしてゆきたいところ。


対象ブランドの差

さて、ふるさと納税などこの季節多くの自治体からシャインマスカットの予約受付の案内が喧しいが、昨日はこのシャインマスカットの苗を開発者である農研機構の許可を得ずネットで出品し販売したとして、改正種苗法が施行されて以降初めて会社員の男を同法違反の疑いで逮捕した旨のニュースがあった。

ブランド農産物を巡ってはこれまで何度か取り上げてきた通りで、上記のシャインマスカットはもとより青森のブランド林檎「千雪」の苗木が中国のネット通販サイトで売られていたり、韓国ではカーリング女子のもぐもぐタイムで有名になってしまった日本独自に開発したブランド苺はじめブランドミカンがもう何十年も前からパクられ流通しているのが現状だ。

日本が数十年かけて開発してきた宝の苗がそれこそ人のパクリしか能の無い連中にわずか100円以下程度の値段で売られているのは本当に心が痛むが、これらが既に大量に生産され廉価販売の流通体制も整っているだけにオリジナルを訴求してゆく障壁にもなろう。自家増殖の絡みで生産者の逡巡もあっただろうが、遅きに失した感のなかでもやはり確実なブランド保護は喫緊の課題で今後もその監視体制が問われようか。


制度改革進展と共生感

今週は株主総会がピークとなるが、先週に行われた注目の東芝の定時株主総会では会社側が提案した取締役のうち永山取締役会議長含む2名の選任案が否決されることとなった。4月に会社を追われた?車谷前社長が上場廃止派ならこちらの永山会議長は上場維持派で知られていたが、これで両派何れもが退場の事態になってしまった。

更には株主総会で選任されたばかりの他社社外取締役も務める投資銀行出身の取締役も新任早々辞任が申し出されるなど大混乱とも言える絵図に。同氏の辞任の背景には上記の永山会議長の手腕を評価しており今回の同氏の選任案否決が大きく関係しているとの事だが、コーポレートガバナンス改革舵取りの同ポストの人材探しは困難を極めるか。

というワケで東芝は近日中に臨時株主総会を開き新しい取締役人事案を提案する見通しだが、原点となった禁断の大型増資で群がったアクティビストとのいばらの道は続く。しかし東芝はもとよりアクティビストが株式を保有する割合は日経平均採用企業で5割を越え、提案を受けた企業も1月から直近迄で20社を超えている様は一昔前のハゲタカ呼ばわりされた時代から隔世の感があり今やどう共生を図るかが意識される時代になっている。


痛し痒しの仮想通貨

さて、今週の日経紙マーケット面の銘柄診断では年初来安値を更新したオンラインゲーム大手のネクソンが出ていたが、年初来安値に沈んだ背景にはこのところ顕著になっている
ビットコインの下落など保有する暗号資産の下落から含み損を嫌気している部分がある。同じ東証一部の業界ではgumiやコロプラなどもまた暗号資産保有企業で知られるところだ。

純投資の向きもあればこうしたデジタルコンテンツ企業の特性で当欄でも取り上げた事のある最近登場してきたNFT(非代替性トークン)の絡みからこの手の扱いが自ずと増加したという背景もあろうが、海外でも今やCEO発言が仮想通貨の乱高下を誘発するテスラをはじめ米ソフトウエアのマイクロストラテジーなども仮想通貨に大きく賭けた投資で有名なところだ。

冒頭のネクソンとgumiとでは含み損と含み益と両者で明暗が分かれてしまった格好だが、冒頭の記事掲載日のビットコイン相場は一時3万ドルを割り込み4月に付けた高値から実に半値まで暴落するなど、保有にはそういった特性を抱え込む事でそこそこのキャッシュリッチ企業でない向きは財務への影響も無視出来ないか。とはいえ時代の流れで今後も暗号資産に絡む企業が増加してくるのは想像に難くないが、上記含め自ずとステークホルダーへの説明責任も不可欠となろうか。


双子パンダ

さて、周知の通り今月の4日に妊娠の可能性があることが発表され展示が中止になっていた上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」が、日付が変った深夜に無事に2頭を出産した。この上野動物園では4年ぶりとなるパンダの誕生で、双子というのは初めてのことであり前回のシャンシャンに続いてまたも6月の誕生となった。

早くも何時一般公開になるのか気になるところだが、29年ぶりの子パンダ公開となった前回は両親が中国から貸与された直後の11年度から6年ぶりに450万人を超えたものだったが今回はどうか。しかし思えば両親のシンシンとリーリーの返還期限は今年2月だったものが令和8年まで延長されているが、従来の返還期限の翌月のおめでたであったから実にラッキーであった。

ところでパンダ出産といえば関係者が気になるのは所謂「パンダ銘柄」ということになるが、やはりというか双璧の精養軒と東天紅はいずれも買い気配でスタートしたものの、あと東天紅は寄り天の格好で両銘柄共に大引けは安値引けとなっている。この辺は妊娠報道の際に一度相場を作ってしまったので止む無しという感もあるが、何れにしてもこのコロナ禍の沈滞ムードのなかで光る嬉しい報であったのは間違いない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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