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世論の顔色

さて東京五輪も酣だが、日本選手が金メダルラッシュで沸くなかで先にも書いたようにスケートボードの表彰式で東証一部の水産物竜会社ホウスイが度々映り込んだ事で、五輪のスポンサーでもない同社のホームページにアクセスが殺到し、株価も急騰し年初来高値を更新するなど俄かに話題になってしまった一件があった。

こんな珍事があった一方で、正式スポンサーの最高位とそれに次ぐ「ゴールドパートナー」といわれる錚々たる面子はこの度の五輪開会の是非を巡る世論が割れた挙げ句に無観客開催という事もあり、トヨタ筆頭としたトップが開会式への出席を欠席するなど世論にも配慮し自ずとPRも影を潜めざるを得ない旨が先週の日経紙に出ていた。

対照的に表面感覚では全アスリートに贈呈されたサムスンのスマホなどは選手が挙ってSNSにアップし国際規模でPRが奏功している感もあるが、費用対効果どころかすっかりアテが外れてしまったとの指摘喧しい国内勢も、例えば聖火や燃料電池車へは再生可能エネルギー由来の水素をENEOSが提供、またその車はトヨタが提供などSDGsのテーマにも乗り五輪を通じた発信に工夫を凝らしており軸足を変えた戦略もまた注目すべきであろう。


金融民主化の騰勢

さて、昨年から個人投資家中心にして様々な話題を振り撒いて米市場を席巻してきた証券アプリを提供する米スマートフォン証券専業ロビンフッドが、創業8年ではれて先週末にナスダック市場への上場を果たした。注目の初値は38ドルと公開価格と同値であったが、終値は同価格比8%安で初日の取引を終えている。

同社といえば言わずもがなSNS等で連携したイナゴ勢の共闘買いでわずか1ヵ月そこそこの間に株価が約20倍まで大化けしたゲームストップ株から果てはシルバーETFまで大化けさせるなどコモディティーに至るまでこれまで何度も話題を提供してきたが、その裏では誤解を招く情報提供など投資家保護の不備も指摘され1回の罰金として過去最高額の約7000万ドルの制裁金を支払うなどこちらの話題でも事欠かない。

コロナ禍による巣ごもり生活に投資ブームを後押ししその稼働口座数もコロナ感染拡大前から4倍錠になり業績も順調に拡大しているが、その収益源についても例えば1-3月期の売上高のうち実に8割以上がマーケットメーカーからユーザーの売買注文を回送した報酬体系所謂PFOFで得るなどこの辺にも賛否が分かれるところだ。

いずれにしてもこのIPOでその時価総額は3兆1,700億円と、アルケゴス問題で火傷を負った老舗の野村證券の実に2倍近い価値が生まれた。投資の民主化を謳い今回も最大3割以上の株式を自社アプリユーザーに割り当てたが、上記の通り諸々の規制強化の懸念があるなかでも彼らの支持を継続させられるかこのIPOは色々な意味で試金石となろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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