変わりゆく渋谷

本日をもって渋谷の東急百貨店本店が閉店した。東急といえば先に東急東横店も閉店していたが、これで1967年の開業から55年あまりの歴史に幕を閉じるということになる。最後に行ったのはもう数年前になると思うが、文化村通りの突き当りに位置したこの店は渋谷にあって渋谷らしからぬ?ある種落ち着いた雰囲気が醸し出されていたものだ。

100年に一度の再開発と喧しい渋谷だが、同所の跡地には商業施設のほかザ・ハウス・コレクティブが展開するホテルや賃貸住宅などを備えた地上36階建ての複合施設が27年度の完成を目指して建設される予定になっている。ちなみにバブル期に此処に隣接したBunkamuraもオープンしたが、こちらもオーチャードホールを除き同27年度まで休館するという。

斯様に渋谷は現在都市再生計画が進行中で、上記の東急百貨店跡地はもとより宮益坂周辺地区もアーバン・コアの整備で数年後にはまた景色が一変する予定だ。学生時代に毎日見慣れた東急文化会館が消え渋谷ヒカリエに、そして今度は東急百貨店も無くなる。当たり前にあったいつもの光景が無くなるというのはそれを見慣れた向きには実に寂しい事だが、次の新しいカルチャー発信地の登場に期待したい。


2023年IPOの幕開け

先週末に2023年の第1号IPOとしてITソリューション事業のテクノロジ-ズが東証グロース市場に新規上場をはたしたが、注目の初値は初日は終日買い気配値を切り上げたものの寄らず。上場2日目の翌日になって公開価格1000円の役3.65倍の3650円で初値を付け、ザラバでは4000円の大台を付ける場面も見られた。

同株は他のIPO案件との申し込み期間被りは1社として無い事や、大株主のロックアップ等の需給環境の良さからロケットスタートとなったが、過去1年間に上場した銘柄の値動きを指数化したIPOインデックスも先週末は22年末日で13%高く、2022年1月5日以来、約1年ぶりの水準まで上昇している旨が先週末の日経紙に出ていた。

2017年以来となる1月IPOの同社株だが、規模的には公開規模も10億に満たない小型の部類に入る。小型といえば昨年は東証中心に国内での上場件数は90社超と高水準を保っていたが、世界経済の不透明さや地政学リスク等を背景に大型案件が慎重になったこともあって1社あたりの市場調達額は前年より4割減る見通しという。

世界レベルで見てもIPOは米での中止件数がITバブル崩壊以来の高水準になるなどで、昨年のIPOの調達額は1400億ドルと前年より65%も減少している。各国中銀の金融引き締めで景気後退懸念が高まったことで投資家のリスクマネーが減少している証左だが、今後の金融政策は引き締めのペースダウンが期待されるなかでこの構図が変化するか否か海外の機関投資家などの需要動向に注目したい。


恵方巻彼是

クリスマスやおせち、福袋など年末年始の商戦が一巡すると今度は節分そしてバレンタインの商戦一色となり、今日たまたま立ち寄った街の百貨店やスーパーなどこれらの売り込みが喧しい。物価高が言われて久しいなか、今年は節約と高額消費が二極化する所謂メリハリに対応すべく恵方巻など下記の通り売り手もラインナップを揃えている。

一寸前まで恵方巻は売れ残り廃棄等で食費ロスの先頭を走っていた時期があったが、今やローソンでは余った食材を使った恵方巻を安価で展開、既に販売数量に達し予約受け付けを停止しているという。一方で一部百貨店は昨年沸いたトレンドに肖りW杯日本代表のベスト16進出にちなみ16種類の海鮮を巻いた「ブラボ-!!海鮮16強巻き」や、紫雲丹や蟹など具材の頭文字で「むら・か・み・さ・ま恵方巻」を13800円で販売するなど高額路線を展開している。

これらを見るに恵方巻も関西だけのモノではなく、各社の啓蒙が奏功したのか最近では関東でも市民権を得たような感がする。クリスマスケーキ並みにラグジュアリーホテル勢も参戦し今年は帝国ホテルも初めてこの恵方巻を展開し始めた。スーパーフードのソルガムを使い黒毛和牛をフレンチ仕立てに巻いたモノやスイーツ恵方ロールケーキ等だが、恵方巻もおせち同様に世相を映すだけあって興味深い。


マスクが外せる日?

周知の通り先週末に政府は新型コロナの感染症法上の分類を今春に5類に変更する方針を示している。これによって行動制限措置は無くなり医療体制も段階的に通常対応にむかうなど、暮らしに身近な制約を無くし正常化に踏み出すことで3年以上続いた新型コロナウイルスへの危機対応も転換点を迎えることになる。

斯様に経済活動の更なる正常化で観光やビジネス客による利用が回復するとの期待も重なり株式市場では空運株へ物色の矛先が向かう場面も見られたが、マスク着用なども屋内での着用を原則不要とするなど着用ルールの見直しが検討されている。このマスクも暫く前からTV等での海外中継では街中の光景やエキスポなどを見るに、マスクをしている人を探すほうが難しいくらいになっているが日本は依然として真逆の光景である。

思うに我々は罰則規定も無いのに行動制限がかけられればこれまで殆どの向きがしっかりとそれを遵守して来た。マスクも義務化されているワケでは無いが、専門家が警告を続けるなか空気を読むとか忖度がある種マナーになっているような中で形成された同調圧力のようなモノが蔓延しているところで果たしてマスクが外せる日が来るのか否か?

今週は通常国会が召集され、施政方針演説に臨んだ首相はわざわざ?マスクを外し新型コロナの5類引き下げにあわせマスク着用についても考え方を整理する旨なども述べていたが、上記のような背景で街を歩く人の半数以上がノーマスクにでもならない限りこれまで同様の政府の通知措置で果たして海外と同じ光景が訪れるのか甚だ疑問だ。


大量保有から見える多角化

さて、先に株式分割促進の件を書いた際に任天堂の10株分割についても触れたが、同社株といえばサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンドが買い増したことが関東財務局に提出された変更報告書で明らかになっている。保有目的は純投資としているが、今回の買い増しでその保有比率は6.07%になった。

ところで同ファンドといえばこれ以外でもモンスターハンターで有名なカプコンを6.09%、ネクソンを9.14%、コーエーテクモは5.03%など多数のゲーム関連会社の株式も保有し、一昨年は日本と共同制作したアニメなど公開しているが、このアニメ絡みでは東映の株式もまた5%保有している。

サウジといえば言わずもがな石油産業ということになるが、原油価格に大きく左右される面が大きいこともあり原油依存からの脱却を狙いこうしたエンタメの育成にも力を入れ始めたとの指摘もある。国興しも多角化というところだろうが、今後のエンタメ市場の動向と併せ関連株の保有状況も引き続き注視したいところだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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