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クリスマスケーキ2024

気が付けばクリスマスがもう来週に迫っているが、先週あたりからホテルや百貨店などは今年のクリスマスケーキの予約を締め切るところも出てきた。クリスマスケーキといえば3年前の2021年のこの時期に当欄では「甘くない今年のケーキ」と題し、砂糖や小麦に乳製品の値上げで甘い香りも吹き飛ぶ関係者の苦悩と書いたことがあったが、以降毎年のように材料費の高騰が続き一服の気配も無い。

今年の場合よく取り上げられていたところでは、先ず卵が記録的な猛暑で卵の生産量が減った事や、鳥インフルエンザの発生件数も過去最悪であった2022年とほぼ同じペースだということもあり最高値を更新、またカカオも当欄で何度か取り上げた通り国際取引価格は昨年から3倍以上に暴騰した事で専門店の仕入れ価格もそれに則し急騰し、イチゴも記録的な残暑の影響で品薄になり争奪戦の様相という。

そういったことで各所では関係者の苦悩の表情がうかがえるが、帝国データバンクが出している一般的なクリスマスケーキの平均価格も今年は昨年比149円、率にして3.4%の値上げと発表しているが、ラグジュアリーホテルや著名なパティスリーなど幾つかは昨年を大きく上回る価格転嫁や、価格据え置きでも号数が小さくなり価格換算では数千円も値上がりしている向きも多かった。

ところで冒頭の通りここ数年各所のクリスマスケーキ価格を見ているが、ホテル系の値決めはどういった基準なのか正直なところよくわからない。某ホテルではシンボル的なタワー型ケーキ価格がここ3年で約60%も上昇したが、近年急騰しているカカオやコーヒ-で作るオペラは3年で価格は1円も値上げしていない。また別の某ホテルではケーキの値段はほぼ変わらずの推移だが、クリスマス菓子のベラベッカはここ3年で70%も値上げしている。価格転嫁も匙加減一つといった感じだが、何処まで強気な価格転嫁が進むのか来年もまた注目しておきたい。


キオクシア上場 

本日は年内最後の大型案件となる半導体メモリー大手のキオクシアHDが東証プライム市場にはれて上場のはこびとなった。注目の初値は公開価格の1455円を1.03%下回る1440円となったが、あと切り返しを見せ大引は公開価格を10%上回る1601円となった。当初は上場時の時価総額目標を1兆5000億円と想定していたものだが、大引ベースで8630億円となった。

ところでこのキオクシア、東芝メモリと呼ぶ方が馴染みがあるがこの規模だけあってプライム市場ではあるが同市場の上場維持基準の流通株式比率は35%と定められているものの大型特例により現状の比率は28%にとどまる。今後は同比率の引き上げ等も課題になってくるが、舞台がセカンダリーに移行した後は大量の新株予約券付社債を保有し昨年の米WD社のメモリー事業統合交渉で反対姿勢を示した韓国のSKハイニックスの動きも気になる。

度重なる上場延期で煮え湯を飲まされた彼らの思惑如何にというところだが、彼らが新株予約券を株式に転換すれば約14%を出資する大株主として浮上する事になり、更なる出資状況によっては経営に関与してくる可能性が出てくるのかも気になるところでもあり今後も引き続きこの辺の動向には注視しておきたい。


美容若年化

東証プライム市場に上場している無添加化粧品大手ファンケルは本日から小学生のためのスキンケアシリーズ「クリアアップ」を直営店舗や通販などで発売している。小学生向けでは初という事だが、まだ成熟しきっていない低年齢層向けの市場に参入することによって親世代と共に彼らを取り込みブルーオーシャンの市場でシェアを拡大したい狙いも見える。

こうしたスキンケア等はまだ関心の薄い向きも多いものの、美容絡みでは以前にも書いたように若年層の美容意識の高まりで最近では小・中学生世代での脱毛施術が増加しており、某クリニックではここ数年で脱毛を希望する中学生が8倍以上に増加しているほか、中には小学生どころか3歳から脱毛できる子供向け脱毛サロンの存在もある。

一方こうした動きの裏で直近ではアリシアの破綻にみられるように帝国データバンクによればこのような脱毛サロン倒産件数は今年14件と昨年を抜いて過去最高を更新、この2年間で少なくとも27万人がこうした倒産の被害を受けたと分析している。代金前払いを原資にした大量広告や大幅値引きなどで顧客を獲得するビジネスモデルの在り方も問われているが、判断能力に乏しい若年層のリテラシー不足も懸念されるところである。


身近になる各種原資産

本日の日経平均は日米中銀のイベント控えで様子見姿勢が強まるなか小幅に続落となったが、先週はETF市場にみずほフィナンシャルグループの資産運用会社アセットマネジメントOneの「One ETF FTSE・サウジアラビア・インデックス」が上場している。既にサウジ株ETFではSBIアセットマネジメントが昨年10月に「SBIサウジアラビア株式上場投信」を上場させているが、サウジビジョン2030を見据え外国からの投資を誘致する動きが活発化している。

新規上場したETFは任天堂などIPビジネスを手掛ける多くの日本企業の大株主にもなっているサウジ政府系ファンドのPIFと手を組んでいるが、これまで日本の個人が投資し難かった市場への選択肢が増える。しかし近年のETFといえば斯様に直接投資するのが難しい原資産へのアクセスがますます容易になってきている感があるが、今年ビットコインETFが承認された米ではそのラインナップも多彩だ。

上記のビットコインに見られる通り今年は株式以外のコモディティなどの資産の動きでも目を惹くモノがあったが、2023年末比で上昇率トップ10に入ってきているものでも変わり種ではウラン等がある。AIデータセンター増設によって電力需要が拡大するなかクリーンで安定的な燃料源である同価格の上昇は顕著だが、このウランもETF(URA)があり代替投資として注目されている。

この手では他にも当欄で昨年10月に取り上げた期限が1日のゼロデーオプションなどを組み入れたカバード・コール型のETFや、リクイディティーの低い数百の融資債権に分散投資するETFなども高い利回りを求め資金流入が加速している模様だが、こうした新商品が続々投入されるのを見るに返す返すも資産運用立国実現を謳いながらも腰の重さが目立つ日本のラインナップがもどかしく感じるというものだ。


コーヒーもチョコも

さて、本日よりドトールコーヒーが全国の店舗でコーヒー飲料等を値上げしている。背景には恒常的な物流な人件費の影響もあるが、世界的な2大産地での干ばつや暴風雨の影響による収穫減少懸念によるコーヒー豆の高騰が大きい。特にアラビカ種は国際指標の米ICEのNY先物価格が先月から上昇が加速し、先月末には1ポンドあたり3.35ドル超えとデータが遡れる1977年以来で最高値を付けてきている。

このコーヒーでは当欄でも今年9月にベトナムの異常気象でロブスタ種が指標のロンドン市場で初の5000ドル台を示現した旨を書いていたが、双方への代替を経て急騰が相互に波及している状況だ。USDAも先月のレポートで24~25年度のブラジルコーヒー豆の生産量を下方修正しているが、更にそれ以降の収穫量にも懸念が燻っている事もあり輸出好調で在庫が減少しているなか生産者が24~25年度モノを売り渋る可能性もあるとの見方も出ている。

そういった事で冒頭のドトールに先駆け既にスタバやタリーズも値上げに踏み切っているが、味の素AGFも来年3月から商品の値上げや内容量変更があり、ネスレも来年2月納品分からネスカフェエクセラなど内容量減に加え値段も300円以上値上がりする。そういえば“豆”といえば春先の狂乱相場から一服していたカカオ豆も先月は再度の供給不足懸念を囃し4か月ぶりの高値を付けてきており、これら共に来年も悩ましい価格転嫁が続きそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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