業界の地を想う
何時だったか当欄で以前、「銀座は変遷著しく経済を肌で感じ易い街である。」と書いたことがあったがこんなマクロでなく、商品業界を如実に表していたのが日本橋の蛎殻町界隈か?商品取引所トップは言わずもがなTOCOMであるが、業界のロケーションとしてはやはり蛎殻町にあった東穀取周辺が中心地だろうか。
同取引所を取り囲むようにして上場組から地場まで多くの取引員がこの地に長年拠を構えていたものだが、直ぐ隣にあったカネツ商事は移転し今や更地を経て真新しいビルがテナントを募集中、取引所真ん前にあった明治物産は受託業務廃止から減資措置を経て事務所が無くなり、ココも現在は更地になってしまった。そして隣にあった同じくアサヒトラストは岡安商事へ事業譲渡。また今は無きフジチューが入っていたビルもいまだテナントが入らずに寂しい佇まいを晒し、志半ばで撤退していったSBIFの跡には歯科医院が入居、歯科医院といえばオンラインがあったところの小林洋行2号館も最近になって歯科医院に変わっている。
斯様に周辺取引員がポツリポツリと撤退し、その中心に位置していた東穀取は一部取引員と共にポツンと残された格好になっていたが、今年はとうとう自社ビル本館を三菱地所に売却し6月中旬から緑色の屋上が徐々に取り壊され、今は更地を経て「ザ・パークハウス日本橋蛎殻町」の建設真っ最中、ちなみにココでチマチマ育てていたミツバチは頼み込んで近所の高層マンションのアネックスに引越しとなった。これで視覚的にはとうとう本丸も無くなってしまったわけで、周辺の跡地含めてこの地区一帯の風景が一気に変わるのを想像するに一寸寂しい思いになる。
さてこうした風景の変遷と共に業界も新時代の幕開けになるかどうか、この辺を来年も引続き注視してゆきたい。
皆様、本年もご愛読ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。