16ページ目   商品先物

一過性に非ず

本日の日経紙商品面には「金相場 見通しを聞く」と題し、ここ上昇を続けて来ている金相場の勢いが続くのかどうか二氏へのインタビューが載っていた。年末にかけて上昇するとの予測と、年末にかけて下落すると両氏の見解はきれいに分かれたが、昨日触れたように国内でも金先物価格は約2年2ヶ月ぶりの高値まで上昇し直近安値からの上昇率は5%に達している。

これまで春先の仏大統領選やその後のロシアゲート疑惑が浮上した局面で1,300ドル大台に接近する場面がある度に弾かれていたものの、直近で浮上した米利上げ観測後退も背景にこの抵抗であった大台を突破し昨晩のNY市場では一時1トロイオンス1,349ドル台に上昇し約1年ぶりの高値を付けている。

こうした背景もあって北朝鮮の有事買いも一過性に終らずなかなかしつこい粘りを見せている点は防衛関連株のなかなか終わらぬ蒸し返し相場と酷似しているが、斯様な地政学リスクに米政策情勢不透明感が今後どの程度長期化してくるのか、この辺の動向が各対象商品の高値定着のキーとなって来ようか。


異例の三度目

さて、先週末に大阪堂島商品取引所は総会を開き農林水産省にコメ先物取引の試験上場延長を申請していたが、2回目の延長期限が終了となる昨日農林水産省はこの試験上場について2年の延長を認可することとなった。

これで最後とも言えた本上場申請後の自民党プロジェクトチームの会合では、果たしてというか農林族政治家等の守旧派の反対が強く本上場認められずとの結論に至った背景があったのだが、しかし試験上場なる仮免許ともいえる期間が8年にも及ぶモノはそうそう無いがまさかの3回戦に突入である。

大阪堂島商品取引所としても市場の継続性を担保したいとの判断からの再延長申請となったのだろうが、守旧派の壁を崩せるに足る会員の顔ぶれや充分な取引高実績はやはり焦眉の急となっておりともあれ今後2年でどうそれらを積み上げてゆくかが本上場のキーとなってくるか。


本上場の審判

さて昨日は東京商品取引の限日取引が建玉増に寄与している旨を少し取り上げたが商品取引といえば昨日はもう一つ、西の大阪堂島商品取引所が約6年にわたり試験上場してきたコメ先物の本上場への移行を8月7日の期限を前に臨時総会で申請議案を全会一致で可決、同日夕に農水省に申請している。

コメ上場に関して再延期を控え東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧等の大手が大阪堂島商品取引所の会員資格を取得、最近もジャスダック上場のフジオフードシステムも入り、また銘柄も新潟コシヒカリという屈指のブランドによるテコ入れ策が奏功し売買高も増えてきている。

当欄でコメ先物について触れたのはちょうど2年前の試験上場期間延長申請の時であったが、もうその2年が経過と時の流れの早さを感じる。過去を遡ってもこれ以上の延長事例が無い事から実質的にこの商品のラストチャンスとなるが、さてその悲願の審判はどう下されるのか先ずは注目したい。


限日商品の寄与度

本日の日経紙商品面には「東商取、建玉半年で5%増」と題して、昨日の東京商品取引所の
建玉が56万7千枚と昨年比で5%増加、2014年春の比較でも約2倍に増えるなど回復傾向にある一方で、売買高が1〜6月に2割減るなど低迷している旨が載っていた。

この建玉増の背景にあるのが東京ゴールドスポットや、今年3月に上場したプラチナスポットといった限日取引の商品比率の高まりといい、この2商品とETNとも絡む原油取引含めた3商品で東商取全体に占める建玉比率は実に6割に達する。既に金の方は先行しているが、プラチナスポットも約3ヵ月で建玉が標準の8割を超えるなどその規模は拡大している。

こうした一方で冒頭の売買高低迷に関して取引所側としては「TOCOMリアルトレードコンテスト」等を通じて個人の先物取引への理解を深めてゆく方針のようだが、プラチナスポットは金に対する下鞘恒常化を背景にタイミングよく長期目的の投資資金を誘致し参加者多様化に一役買った部分は大きいといえるか。


旬な素材

さて、「金」を取り巻く事件に関しては当欄でも直近では先月の中旬に(売り子)等を取り上げているが、本日の日経紙社会面でも「金取引 現金決済が標的に」と題し相次いで起きた高額な福岡の事件や、先の銀座での強奪事件と絡めて金取引独特な現金取引原則の商慣習が書かれていた。

共通事件の連鎖性の不思議に関しては過去にも書いた事があったが、それにしても最近は金に絡む高額の事件が多い。報道の中でも腑に落ちない点は数多あるものの、その後の詳細も一切報道されないあたりがこれまた釈然としない感を一層深めているがまあいろいろと伏せたい部分もあるのだろう。

この15年で金価格は3.5倍に上昇し一昔前とはその取引量も違ってきている事でそうした素地が整ったという事もあるが、強奪以外でも密輸等はそのイグジットに至るまで特異な商慣習のあるところに芽有りの如く過去最多となった昨今とはいえ今後もまだまだ手を変え品を変えの温めている青写真があるのは想像に難くない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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