19ページ目   商品先物

売る人・買う国

さて昨日の日経紙の、今週の市場羅針盤の冒頭にはドラッケンミラー氏が米大統領選の投票日に保有する金を全て売却し、グローバルに債券を売り建てした旨が書いてあった。直近のインタビューで金保有の理由が全て消えつつあるように思われると発言していたが、成長加速と金利上昇の見通しに賭けたといったところか。

ところでこの金と言えばもう一つ、ちょうど一週間前に中国人民銀行が発表したところによると、中国の中央銀行が保有する金準備が今年10月末時点で5,924万オンスに拡大している。月間増加幅こそ少ないものの、5ヵ月連続の持ち高増加となり金準備の積み増しが進んでいる旨が窺える。

これまで金準備に関しては当欄では新興国を中心として積み増しが進んでいる旨を書いてきたが、この中国は以前より米国と同水準にまで金準備を引き上げると明言している。現状国別では世界5位とはいえ、外貨準備全体に占める比率は欧米諸国と比べてまだまだ極端に少ないだけに今後も同国の金準備政策の動向が注目される。


密輸熱

大注目された米大統領選に関してはまた明日触れたいが、本日はトランプ氏当確との見方ら株式急落の一方でETFはSPDR始め三菱UFJ純金やETFSまで金関連が一斉高となった。ところで金といえば先週末には財務省が今年6月までの一年間に全国の税関が金の密輸で罰金や刑事告発等の処分件数が、前年同期の1.7倍に上ったと発表している。

これに絡んでは約一年ほど前に韓国から下関に到着した活魚運搬車から密輸しようとした金が摘発された件があったが、今年も6月にマカオからプライベートジェットを使って大量の金を密輸しようと試みた事件を当欄で取り上げた事もあり、密輸に伴う脱税額は2.6倍となり上記の処分件数と共に2年連続で過去最多を更新している。

国別では上記の韓国と香港で8割近くを占めているというが、泥臭い方法ながら付加価値税と関税還付、そして消費税狙いと悪知恵は尽きず、前回の当欄で末尾に「〜今後も増税の度にこの手の密輸事件が表面化してくる気配である。」と書いたように果たしてという感じで今後も当局とのいたちごっこは続く気配が濃厚か。


電先延期

さて、今週は東電が柏崎刈羽原発の先行き不安から株価が急落し、直近で新高値を取った省電社も本日は大幅続落するなど電力系がボラタイルな展開となっている。ところで電力といえば、先に東商取は今年度内に予定していた電力先物の上場時期を17年度に先送りする旨を発表している。

電力先物に関して当欄で最後に触れたのが夏場だったが、東商取では1年物から1日物まで分割して取引でき、現物取引にも対応出来るシステムを作成して既に6月に上場企業から商社子会社等まで参加し模擬取引を実施した経緯があるものの、意見が分かれ制度設計が難航している模様だ。

4月から小売自由化がスタートし先物に対する重要性が増している現状下、ここからは市場設計や一本化運用等を鑑みた場合のJEPXとの調整等々こなしてゆかなくてはならない課題も幾つかあるものの、必要不可欠な産業インフラとして来年度の早期上場には期待がかかる。


ETN呼び水

週明け本日の日経平均はドイツ銀行を巡る金融不安が和らいだ事から反発となったが、売買代金は東証一部で1兆6,000億円程度と低調で依然として小型が舞う展開となっている。そんな中でコモディティー系のETFやETNも高値引けとなるモノがあるなど堅調なモノも目立った。

この手といえば週末29日の東京市場では、東京商品取引所で取引されるドバイ原油先物の2倍の値動きをする「NEXT NOTES 日経・TOCOM・ 原油ダブル・ブル ETN」の売買代金は58億円と前日の約3倍に増加し約5ヶ月ぶりの高水準に膨らんだ。米原油先物に連動する「WTI原油価格連動型上場投信」も売買代金が3倍に膨らむなど原油連動の売買が大賑わいとなった。

この辺はOPECが減産で合意したのを受けての事で、2008年以来約8年ぶりという事から個人等の利幅狙いが活発化したのだろうが、しかし東商取にとってこの手のETNやETFの組成はまさに救世主となった格好か。言うまでも無いが商品の設計上まさに東商取への間接効果は絶大、先月から「J-GATE」も稼働しアジア指標確立まで視野に入れる東商取としてはこれをテコに幅広い参加会社の誘致など課題だろうか。


共同J-GATE

東京商品取引所が、今年7月に導入したJPX(日本取引所グループ)の「J-GATE」を共同利用する新システムに移行してから1週間が経った。東商取はこれによって取引時間の拡大や金オプションも刷新し注文の処理速度も従来と比べて向上、高速売買を手掛ける海外のプロップハウスなどの誘致を視野に入れるとしている。

ちなみに初日の金オプション取引では売買がコールで65枚、プットで46枚と合計111枚の取引があった模様だったが、実に約9年ぶりの取引成立であった。とはいうもののご祝儀商い
の初日以降の商いがポイントになってくるのは言うまでもない。7月に始まった金現物も初日こそ14枚の商いがあったが8月以降はピンにとどまるケースが目立つと過日の日経紙にもあった。

一方で稼働から1年を迎えた「東京ゴールドスポット100」などは既に先物標準と肩を並べる水準まで伸びてきている。この新システム導入で始まった東証マザーズ先物も上場4日目以降は出来高が1,000枚の大台を上回る日がなかなか無いのが続いているが、この辺などとも併せ今後の普及の推移等を注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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