27ページ目   商品先物

吐き出し

さて、本日の全市場値下がり率上位には先駆した仕手系に交じって、商品指数連動型ETFが上位に出ていたのも目に付いた。昨日の日経紙夕刊一面も「国際商品下げ加速」と題して原油や金などの主力級の値下がりが顕著になっている旨が出ていたが、切り返し急であった株式相場とは値動きを異にしている。

先月に当欄では需給は全てに優先するとして金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、上鞘の金も中心限月が8日続落し時間外で約5年5ヶ月ぶりの安値に沈み東京金も8ヶ月ぶりの安値、プラチナに至っては節目である1,000ドルを6年半ぶりに割り込んでいる。

節目の大台割れと言えば貴金属以外でも原油が4日続落しザラバで50ドルを割れ約3か月半ぶりの安値を付けるなどドル高による割高感が直撃する格好になっている。こうした過程で金のETF残高は代表格のSPDRで700トン割れとリーマン・ショック前の水準にまで落ち込み、同ショック後の安全資産として買われた分が手放された格好になった。

各アセットが組んでいる国内連動型のETFやETNなども、間接効果があるだけに2倍型など吐いた分がどの程度原資産に影響してくるのかこの辺も今後注意深く見守りたいところ。


動く金

さて、約二週間前には「需給は全てに優先する」と題して金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、「金銀比価」でも一年前の63倍から今年になって2009年以来となる70倍超えの水準が続いており割安感が恒常的になってきている。

何れにしろギリシャ債務問題は混迷を極め共通の財政政策を持たないユーロの弱点がまたぞろ表面化しつつある昨今、あらためて安全資産とされる金の底堅さが顕著になっているというところだが、この辺は本日の日経紙商品面にも「ドイツで増す金需要」と題し金の公的保有含めた記事が出ていた。

公的保有と言えばこのドイツは米国やフランスに保管してあった保有金を自国の連銀金庫に移送云々も書いてあったが、先月にはオーストリア中銀も英国から持ち帰る以降を表明しており、またスイスも国外保有の金をスイスへ移す等を問うた国民投票を昨年実施したばかり。ユーロへの不信感払拭はそう簡単な問題ではないようだ。


需給は全てに優先する

本日の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く逆転相場」と題して貴金属市場の中でも金と、本来であれば割高になるプラチナが値下がりの激しさによってその値動きに差が出ている旨が載っていた。

この逆転劇といえば東日本大震災での自動車生産台数激減を囃して以降もう恒常的に取り沙汰されるようになったが、近年では外貨準備や代替通貨として買われる通貨の二面性を持った金と、あくまで素材としてのプラチナの差といったところが顕著になってきているというところだろうか。

また、同紙の冒頭にはプラチナの生産量が年間200トンで金の15分の1以下であるから、その希少性で通常はプラチナの方が価格が高いといった一文があったが、そもそも需要が供給を満たさなければこの通説自体があまり意味をなさない物になってしまうのは当たり前である。相場格言で「需給は全てに優先する」とはよく言ったものである。


ドルから金?

先週末の日経紙夕刊一面では、「金 見て飾って使って」と題して延べ棒や宝飾品イメージの強い金が、スターウォーズのキャクターをあしらった小判や、30キロの鉄アレイ工芸品としてさまざまな形で輝いている旨が載っていた。

個人的にこの手の品はどうしても重さで見てしまうので随分強気な値だなという感しかないのだがそれは兎も角、この金といえば米国景気の回復の遅れを示す指標が相次ぎ利上げ時期が遠のくとの見方が強まり、金利が付かない金の買い材料となって週明けのNY先物が3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,230ドルを上回った旨も本日の日経紙に出ている。

原油の活況を横目に今一つの盛り上がり難が続いていた金であったが、こんな状況からかどうか連休明けから登場した東京ゴールドスポット100の出来高も上場来最多を記録するようになってきたという。更にETFなど組成品絡めて盛り上がりが継続波及してくるかどうか見守っておきたい。


間接効果

さて、今週の日経紙商品面の多面鏡の項では「連動型投資、売買押上げ」と題して、低迷が続いている商品先物市場においても近年のETFやETN絡みの影響によって、原油の1〜4月の売買高が前年同期比で約4倍に達するなど商品によっては飛躍的な伸びを見せ主役級に成長している旨が書かれていた。 

この辺に関しては既に3月の当欄でも「ETN活況」と題して野村グループの日経・TOCOM原油ダブル・ブルETNを取り上げたことがあったが、同ETNの発行口数は先月末で昨年末比36倍にも膨れ上がっている。実際に私は何度も利用した事があるが、リクイディティーも申し分なくとにかく使い勝手が良くて、保有株式のヘッジ等でも存分にその役割を果たしてくれた。

当初この手のTOCOM連動型は原油に先駆けて5年ほど前に金が登場していたが、こちらの出来高は後発組と比べてもなかなか盛り上がらなかった経緯があるが、それだけにこの原油はまさに大ヒットという感が強く、今後製品など枝葉を伸ばした物が登場し同様な商いに繋がればますます選択肢が増えてくるとの期待がいやでも膨らむ。

取引所としてもこういったETFやETNなどの金融商品は商品先物への間接投資という構図になる為に当然ながらこうした相乗効果が生まれることになるが、いずれにしても売買高が約20年ぶりの低水準に落ち込んでいる市場にとっての証券マネーの取り込みはまさに救世主的な存在と言えるだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2025

9

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30