27ページ目   商品先物

需給は全てに優先する

本日の日経紙マーケット面には「プラチナ、長引く逆転相場」と題して貴金属市場の中でも金と、本来であれば割高になるプラチナが値下がりの激しさによってその値動きに差が出ている旨が載っていた。

この逆転劇といえば東日本大震災での自動車生産台数激減を囃して以降もう恒常的に取り沙汰されるようになったが、近年では外貨準備や代替通貨として買われる通貨の二面性を持った金と、あくまで素材としてのプラチナの差といったところが顕著になってきているというところだろうか。

また、同紙の冒頭にはプラチナの生産量が年間200トンで金の15分の1以下であるから、その希少性で通常はプラチナの方が価格が高いといった一文があったが、そもそも需要が供給を満たさなければこの通説自体があまり意味をなさない物になってしまうのは当たり前である。相場格言で「需給は全てに優先する」とはよく言ったものである。


ドルから金?

先週末の日経紙夕刊一面では、「金 見て飾って使って」と題して延べ棒や宝飾品イメージの強い金が、スターウォーズのキャクターをあしらった小判や、30キロの鉄アレイ工芸品としてさまざまな形で輝いている旨が載っていた。

個人的にこの手の品はどうしても重さで見てしまうので随分強気な値だなという感しかないのだがそれは兎も角、この金といえば米国景気の回復の遅れを示す指標が相次ぎ利上げ時期が遠のくとの見方が強まり、金利が付かない金の買い材料となって週明けのNY先物が3ヶ月ぶりに1トロイオンス1,230ドルを上回った旨も本日の日経紙に出ている。

原油の活況を横目に今一つの盛り上がり難が続いていた金であったが、こんな状況からかどうか連休明けから登場した東京ゴールドスポット100の出来高も上場来最多を記録するようになってきたという。更にETFなど組成品絡めて盛り上がりが継続波及してくるかどうか見守っておきたい。


間接効果

さて、今週の日経紙商品面の多面鏡の項では「連動型投資、売買押上げ」と題して、低迷が続いている商品先物市場においても近年のETFやETN絡みの影響によって、原油の1〜4月の売買高が前年同期比で約4倍に達するなど商品によっては飛躍的な伸びを見せ主役級に成長している旨が書かれていた。 

この辺に関しては既に3月の当欄でも「ETN活況」と題して野村グループの日経・TOCOM原油ダブル・ブルETNを取り上げたことがあったが、同ETNの発行口数は先月末で昨年末比36倍にも膨れ上がっている。実際に私は何度も利用した事があるが、リクイディティーも申し分なくとにかく使い勝手が良くて、保有株式のヘッジ等でも存分にその役割を果たしてくれた。

当初この手のTOCOM連動型は原油に先駆けて5年ほど前に金が登場していたが、こちらの出来高は後発組と比べてもなかなか盛り上がらなかった経緯があるが、それだけにこの原油はまさに大ヒットという感が強く、今後製品など枝葉を伸ばした物が登場し同様な商いに繋がればますます選択肢が増えてくるとの期待がいやでも膨らむ。

取引所としてもこういったETFやETNなどの金融商品は商品先物への間接投資という構図になる為に当然ながらこうした相乗効果が生まれることになるが、いずれにしても売買高が約20年ぶりの低水準に落ち込んでいる市場にとっての証券マネーの取り込みはまさに救世主的な存在と言えるだろうか。


PGM爬行色

本日の日経紙商品面では「パラジウム1割高」と題して、パラジウムのニューヨーク先物価格が直近安値の3月下旬と比べて1割高くなり2ヶ月ぶりの高値を付けてきている旨が載っていた。1日公表の米新車販売台数が4月としては10年ぶりの高水準となった事でガソリン車向けの需要増加を見込んで買われたもの。

パラジウムに関してはつい最近まで生産国である南アのスト終結やら同国通貨のランド安を追い風に供給が順調に進んでいる上に、米国の利上げ観測も燻っている事を背景に軟調相場が長引くという観測が一般的であったものだがやはり先は読み辛い。通貨に絡んでの現地の減産棚上げやもう一つの生産国ロシアの動向もあり様々な角度から推測が要求される。

一方で同じPGM系でもディーゼル車に多く使われるプラチナは消費の中心である欧州景気の先行き不透明感から買い手控えられて年初比で5%安い現状。こちらも低迷長期化が言われ長らく金に対して下鞘久しいが斯様に同族でも爬行色が出てきた。株式市場でもこの辺が顕著になってくるのかどうか併せて注視しておきたいところだ。


限日取引再び

さて、連休明けの本日から東商取では「東京ゴールドスポット100」がスタートした。所謂これは金の限日取引で対象は先物価格から算出した理論価格となるが、この取引はなんといってもFX等と同様に先物の特徴である取引期限が無いのが最大の特徴である。

かつて限日取引といえばTOCOM時代に「日経・東工取商品指数先物取引」を登場させ取引にはこの限日取引を始めて採用した事があったが、鳴り物入りで登場した割にはリクイディテイーの確保が上手くゆかず、限日を限月に移行するなどの迷走の末に試験上場中に上場廃止にしてしまった経緯がある。

あれから3年を経て再度の限日取引登場という事だが、上記の通り同取引は理論価格、「日経・東工取商品指数先物取引」ではこの理論値と約定値が乖離してしまう問題点が指摘されていたが、この辺の透明性をどう持たせるかが課題か。おりしも東商取では全体の売買に占める金のシェアが2009年5月以来の低水準にまで低下しているが、同取引がカンフル剤になるのか否か注目してゆきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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