40ページ目   商品先物

東京商品取引所発足

周知の通り先週末で東京穀物商品取引所は全ての上場商品の取引を終えその約60年の幕を下ろした。この東穀の4商品を引き継いで誕生する格好から本日付けで「東京商品取引所」が発足の運びとなった。外のプレートもきれいに差し替えられメタル等の主力商品と共に穀物等が相場表に並んでいる姿は感慨深い思いもあるが、これで国内商品では99%を占める取引所となる。

縦割り行政が一歩改善されたとする向きもあるが、鳴り物入りで登場したコメ先物に関してはこれまた名称が変わった「大阪堂島商品取引所」へネジ込む等の抵抗を最後まで見せ、総合取引所構想への下地作りとしては未だ道半ばでお世辞にも足場が固まったとは言えない状況か。

ところで国内99%のシェアといえども現況で世界の主要商品取引所ランキングで同所は12位という状況、アジアでは大連商品取引所が2位に躍進し、上海先物取引所が4位につけているが、東穀商品を移管しても売買高はこの4位の上海先物取引所の10分の1以下というのが現状。

そんな訳で実需家を誘致し世界規模への取引所という悲願は関係者のみならず誰しも抱いている事だが、やはり政府の牽引も要になってこようか。既に政府はLNG先物創設案を出しているが、今回のアベノミクスであらゆる時価総額があれよあれよという間に急増している様を見るにつけ今後の引き出しに一縷の望みも感じてしまう。


輝き戻るか

週明けの本日は一服となった貴金属だが、国内は円安効果がやはり大きくTOCOMの金先現は先週に上場来の高値を更新している。他もプラチナのそれが約1年9ヶ月ぶりの高値、銀も約11ヶ月ぶりと全面高となっていたが、この貴金属といえば同じく先週にはプラチナの国際価格が約10ヶ月ぶりに金を上回る事となった。

この辺はもちろん国内も約9ヶ月ぶりに逆転現象が解消されることとなったワケだが、アノマリーに賭けて逆転直後に裁定組んだ向きは今回はけっこう苦戦が長引いた様子であったが漸くというか状況が多少改善しヤレヤレということになるか。

ここまでプラチナが回復したのは英アングロアメリカンの新CEO決定の報で鉱山閉鎖の思惑が出た事もあるが、やはり世界的な株価回復と自動車産業復活期待に因るところも大きいだろうか。そういった事を考慮すると、トヨタなどリーマンショック後の戻り高値を早々と更新しているなかコモディティの感応度はなんとも鈍かった感がある。

先物も年が明けて漸くこうした現象となったが、ETF等も株価が政権交代を好感しいちはやく8,000円台から10,000円の大台に乗せてくる過程でもプラチナ系のそれはその半分以下の上昇率にとどまっていたものだ。まあそういったタイムラグがあるからこそ裁定機会もあるといえるが、こうしたタイムラグというかプライヤーに懐疑心が植え付けられたのも前政権罪過の一つともいえるか。


在庫豊富の調達難?

政権交代を囃してこのところ円安・ドル高が進んでいることもあって、国内の商品先物全体の値動きを示す日経・東工取商品指数は昨日には4月中旬以来約8ヶ月ぶりの高水準となった。本日も続騰となっており商品高の好感から商社株や別子こと住友鉱も高いがこれを含む非鉄系もこのところ堅調が目立つポスト。

この非鉄といえばLMEで決める地金価格にメーカーなどが運賃や手数料を加味するプレミアムが高水準になっている旨を日経産業紙で見掛けた。アルミ地金等の国際在庫は過去最高水準ながらLME指定倉庫からの引出予定量昨年末の10倍以上に増加し、地金を取り出しの煩雑さと相俟って出回りが品不足になっているという。

LMEといえば当欄でも度々取り上げた通りけっこう驚きな値で香港取引所が買収手続きを終えたところであるが、参加する多くの金融機関は地金購入と併せ先物に絡めて利鞘を稼ぎ系列の所有倉庫に保管というパターンが定番、彼ら主力勢は買収前の大株主であった向きが多く買収後も尚影響力があるところなど先ずは円滑さを狙う香港側の目先の試練となってくるか。


City of Gold

さて、昨日の日経CNBCでは「知られざる黄金の都 ドバイ・中東から2013年金市場を展望する」として中東の金融センターとして、様々な分野でその存在感を増しているドバイの金を絡めた金融事情が放映されていた。

冒頭では私の知人もCAをしている「エミレーツ航空」などの紹介と共に、今のところ世界一の超高層ビルであのアルマーニホテルが入る「ブルイジュハリーファ」等が出てきたが、思わず昨年の映画、ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコルなどが思い出される映像である。

その辺は兎も角も中盤、中東で金が売れる理由としてイスラム金融は金利を禁止とか、豊島氏談では嫌米債なる商品まで存在するという伝統的な米国嫌いというのがあったが、そういえば上記のような理由で、かつてトヨタが発行したスクーク等も思い出される。またもう一つ、女性に認められるアセットは宝飾品のみというのもあったが、この宝飾といえば年に一度開催されるという「ドバイ・インターナショナル・ジュエリーウィーク」の様子も初めて見たが、さしずめ「バーゼルワールド」の中東版といったところか。

他にもドバイ商品取引所やDMCC系のドバイ金商品取引所なども出てきたが、あのドバイ・ショックからはや3年、こうした金や原油のようなコモディティー始め今後も金融センターとしてその存在感がどの程度影響してくるのか目が離せない。


アグリの金融化

週明けの日経電子、注目投信ランキングではコモディティーで運用する投信のランキングが出ていたが、それによると過去3年の騰落率首位投信は農産物に特化した指数に連動するユーロ円債に投資するものであった。総じて食料間連モノが上位を占め、逆に原油関連指数に連動するタイプはマイナスということであった。

この辺は今年の9月に当欄でも、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む−関連ファンドの多様化に付いて触れたことがあったが、伝統的資産の投資リターンが間誤付くなかを近年脚光を浴びてきているコモディティーもの、とりわけアグリものへの選好を表している。

この手の農産物系はETFも近年続々上場しているが、リクイディティが確保されていないものなど板がまだスカスカなだけに突如として突飛高したりするモノが時折目立つが、こちらのETFも順調に新手のものが増加している。今月に出たものではiシェアーズのフロンティアマーケットものが3つあったが、iPath系もリクイディティが出てくれば更なる選択肢が広がるのではないだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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