55ページ目   商品先物

決算とその先

さて、直近のディスクロを基に「一刀両断」「一目瞭然」など既に更新されているが、金曜日の日経紙商品面にも上場組の出揃った4-6月期決算が載っていた。ここでは三社が黒字に浮上となったものの、先行きの不透明感はやはり拭えない旨が認めてあった。

「商取各社、収益多様化急ぐ」との見出しであったが、このタイトルはもう何年も前から業界紙始め彼方此方で言い尽くされてきたことであり、一部躍進している取引員を除き個別では時間の経過と共に時折出て来る苦肉の策?が都度追加されるといった具合の繰り返しが為されているようにも見えなくはない。

これらポストの株価は既に底練りの程度を過ぎており、一頃は万年低PBRが言われていたが消去法的な散発物色の時期を経て、今ではもうほぼその織り込みが理に適っているのは明らかであろうと思われる。

ここ近年の商品高で商機のみならずその株価も見せ場を作った商社ポストなどを引き合いにすれば本来は何れも相関あって然りなのだが、そんな波に乗り切れないというか一部逆行してしまっている環境は実に歯痒いというか残念なところである。


自立路線も何時まで

昨日は農業の規制緩和を受けて野村ホールディングスが農業ビジネスに参入する旨を書いたが、もう一つ、農政の重点転換から認可を得られる環境が整ったとの判断から東穀取が来春にも農林水産省にコメ先物の上場を再申請する方針を決めた模様との報もあった。

悲願の認可が下りれば72年ぶりの上場となるが、上記の通り農業政策転換でコメの流通価格の変動幅が大きくなる可能性がある為、価格変動リスクを抑えたい生産者や流通業者を市場に呼び込み低迷する売買の底上げを狙うという目論みらしい。

はたしてその来春の環境がどうなっているか想像するのも怖いがそれは兎も角、これに先駆けて先月から研究会を発足させるなどしていたワケだが、最近は業界団体の日本商品先物振興協会などが抜本的な再編策を突き付けるなど他取引所との統合を視野に入れた行動が焦点となる中、依然として粛々と自立路線を貫いているようにしか見えない。

この辺が先に「〜問題は東穀などに見られるように外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に〜」とコメントする所以でもあるが、カンパニー制などという中途半端な提唱をする同所の自立路線を何時まで環境が容認してくれるかその成り行きを見たい。


1%の立場

昨日は証取低迷に触れたが、そういえば昨日の日経紙商品面には「商取再編、待ったなし」として、経営難の取引所がいつの日か米国や中国の市場に飲み込まれ、消滅しても不思議ではないとした旨の特集が載っていた。

商取を危惧するこの手の記事は今に始まったことではなく、ここ近年は各紙において同様なものが見受けられるが、問題は東穀などに見られる様に外野には形式的な振る舞いで済ます一方で内側からは一向に自浄?作用の行動を取る気配が見えないところだろうとも感じる。

迷走の上に解散路線を取った中部大阪などもあるが、昨年の5/20付け当欄でその収益形態を「〜不動産収入に依存し仮にポスト割りしたら実質は8000番台の仲間?に入る類ではないか。」とコメントした関西商取などは、やはり同紙にも「実体は不動産賃貸業に近い」と書かれていた。

しかし、国内で見るとこの関西商品取引所は全国4商品取引所の売買高に占める割合が1%にも満たない。また証券も地方証取の株式売買代金を合計してもやはり1%に満たない等の現状を見ると、02年に世界の三分の一のシェアを占めた日本市場のシェアがわずか1%台にまで急低下している状況からして全体をコレに置き換えて考えると可也怖い。個別ではライバル減って玉の輿というウルトラCも選択肢として無いわけではないが、さて・・。


高騰第二弾

さて、先週の日経紙夕刊には「異常気象 食卓に影」として世界的な異常気象が国際価格高騰を招き末端への影響が避けられない懸念の旨が出ていたが、此処に載っている通り世界有数の穀物地帯であるロシア各地では猛暑に因る干ばつ被害が広がり、小麦価格がここ急騰を演じているのが一寸した話題であった。

5日にはこのロシアが穀物輸出一時禁止との報道を受けストップ高まで買われたが、翌日は一転ストップ安の急落と先物も乱高下、日本はこの小麦の8〜9割近くを輸入に頼っており頭の痛い問題だが、この猛暑被害は足元の国内でも緑黄色野菜中心に直撃し、これらは軒並み5割前後の上昇で、外から内から彼方此方急騰劇である。

野菜などたしか春先も三寒四温の影響で高騰していた記憶があるが、こう頻繁になるとつくづくヘッジの必要性が問われる。さて、前回の小麦暴騰時にはオプション取引等でもパンクする向きが続出し、また多くの食品会社が価格転嫁に回ったが、このデフレ期にまた転嫁が相次ぐのかどうか思惑なものの、前回とは構図も違うのでそこまでの影響はないだろうか。

そうそう、直近ではもうじき迫る秋の味覚の代表格でもあるサンマも高値になる懸念が出ているとか。先月は三越で「新サンマ」として1匹1,500円と笑える札が付いていたサンマを見たが、なんでも北半球の猛暑の異常気象が影響し水揚げが極端に減少、築地市場の卸値は前年同期比で4割程度高値に上昇しているという。先に書いたスクイズで暴騰してしまっているココア等はまだ嗜好品の範疇(と言っても困るが・・)だが、普段の食品群の乱高下も困った問題だ。


50億個分のチョコ菓子?

さて、一昨日の日経紙夕刊にはファンド資金流入でコーヒーの国際価格が高値圏で推移している模様が載っていたが、同じソフトもので最近話題になっているのがココアか。

なんでもココアの価格は過去二年間で倍以上にまで暴騰しここ30年で最高値を記録しているが、その背景にはロンドンのヘッジファンド、アルマジャロの共同創業者の一人アンソニー・ウォード氏が先物7月限をスクイズし約24万トンものカカオ豆を購入した事があり、その量は世界の年間生産量の7%に相当するという。

同ファンドといえば商品専門で近年は新興国における原油や金採掘、農業関連から肥料会社まで関心を向けていた模様だが、ヘッジファンドの買占めというのはたまに派手なモノが出て来るから面白い。と外野はそんな感じであるが、リーマンショック以降は過剰流動性の相場介入にピリピリしている昨今、色々な意味で物議を醸し出す。

ちなみにココアなど個別の部分では今を時めくベルギーあたりの有名パティシエが食指を伸ばすと、途端に大化けするといった話を関係者から聞いたことがあったが、こんな大掛かりなものからすれば可愛いもの。ただその動向によっては製菓会社はレシピ変更や代替品使用に切り替えるとしており、そんな部分で末端へも影響が出てくるのは困った問題である。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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