65ページ目   商品先物

必要性は?

本日は、中部大阪商品取引所では低迷する鶏卵市場の活性化を目的とした委員会を設置し初会合が開かれている模様。中部といえば今年春先からたしかアルミニウムやTSR20、そして軽油を順次休止していた筈だが、失礼ながらこの類の鶏卵も一括りにイメージしていた部分があったので未だ相場が立っていたかと改めて認識した。

しかし、活性化と簡単に言うもののはたして建設的な展望はあるのだろうか?そもそも前回の中部大阪商品取引所研究会報告書では「流動性が低下し発展が見込めない市場について、ニーズのある新規商品への集約を図る方向でその上場を廃止する」とする提言があったが、現状で一日の出来高がゼロ、全体の取組がたったの2枚という商品はこれらに合致しないのか。

さてもう一つ上記のニーズのある新規商品になるのかどうか此処は既報の通り今秋に金先物上場を狙っている。TOCOMとまた商品が被るものの取引単位は標準とミニとの間を取り、取引手法は板寄せにするとかだが、はて指定倉庫も同じでもう一つ金市場を作る絶対的な必要性はあるのだろうか?

この辺はまた後述したいが、此処も上場企業含めて取引員や一般会員の脱退も相次いでいる折、先に発表された決算は3億900万円の赤字を計上。取引拡大で財務基盤強化との目論みだろうが、新規上場含めてその成功の是非が注目されるところ。


迷走と杜撰体質

さて、今週業界関係で目に付いた記事といえば昨日の日経紙商品面に載っていた東京穀物商品取引所がザラバ取引商品を全て板寄せに戻すという件であろうか。

新聞にはさすがに体よく取引手法を転換としているが、はてザラバから板寄せといえば最近では年末にザラバにしたら上手くいかなかったから板寄せに戻すという粗糖の話があったし、未遂?に終った件ではトウモロコシもザラバにすると発表した後やっぱりヤメましたとかのドタバタは記憶に新しい。

これをして「続く逆行」とタイトルした事もあったが、要は順次板寄せからザラバに切り替えていった作業を、トラブル続出な上にカネも喰うという事でまた順次ザラバから板寄せに戻すというなんとも労力と資金を無駄に垂れ流しただけという愚行にはまた呆れるばかり。垂れ流しといえば他にも此処は会員脱退の際の持分を資本余剰金から取り崩し過払い処理を繰り返しをしていたり、よくある官の杜撰さが随所に感じられる。

そんなわけで内側では既に法定準備金や積み立て金やらの取り崩しやら過払い持分も回収出来なかったりで、別な意味からも株式会社化は急務とも言えるがしかしどんな会社になることやら。公という事でこれまた幾つか蓋もされるのだろうが、しかし散々な目に遭った被害者の一つとも言えるのは、これらドタバタに此処まで付き合わされてただでさえ苦しい中を更に応分のカネも無駄にした取引員だろうか。


角を矯めて牛を殺す、か

最近何処の紙面にもFX規制の文言が登場する頻度が高くなったが、本日の日経紙には株・債券版?FX取引??としてCFD取引についても金融庁が規制強化に乗り出す旨が出ていた。

FX取引に則する形で来年6月までに信託保全の義務付けのほか、同様に倍率規制も検討するというが、もともとこれらの規制案はFXと並行して行われ早々に次はCFDとのコンセンサスがあっただけに成る程という感じだろうか。

ところで先月に矢野経済研究所が当社FOREX PRESSを通じて実施したFX取引規制に関するアンケート調査では、やはりというか投資家の反応は取引をやめるが2割以上にものぼり反発色が強い。100倍程度までが標準といわれる中でFXにしろCFDにしろ相対モノを絞めたいという独自の事情が見え隠れしないでもないが、商品選択肢や時間的なアクセスのよさを犠牲にし既定路線の上に日本だけ絞めがキツくなればこれまた取引海外流出を誘発するのではないか?

この辺はまた触れたいが、しかし最近の矢継ぎ早且つ強制色の強い動きはきれいに当局の既定路線に則している感もある。こうした内部管轄含めたグレーゾーンを巡るカオス?を度々繰り返しているうちに、所管の立場も次の総合市場へ向けて整備されてゆくようなイメージなのだろうか。


後ろ向きなEXIT

本日の日経紙商品欄には、東京穀物商品取引所と関西商品取引所が経営統合も視野に協力策を検討すると昨日発表した旨が出ていた。

先月も共同研究会設置の提案書で触れたと思うが、今や関西商取は全国4取引所の売買高に占める割合が1%を切っている。しかしこの1%以下などという数字で記憶にあるのはもう最後の頃の横浜商取や福岡商取くらいだが、そういえばこの福岡商取は関西商取に吸収されていたな。横浜商取も東穀取に吸収されたが引き継いだ商品も辛うじて面影を残しているのは生糸先物のみとなってしまったが、最後に残ったこれもとうとう上場廃止の方向へ向かっている。

斯様に考えると単独で現存している事自体が不思議だがそこはまあいろいろ事情あっての事か。しかし吸収?されるにしても重複商品もあり、同紙では東穀取とは現物と指数ですみ分けの可能性を探ると出ているが、上記のような横浜商取の道を辿るハメになるか去就が注目される。

ただ、マクロで見れば巨大取引所の再編などの足元というか、踝以下のところで国内諸事情に因る障壁を抱えているなどは何ともローカルな域を出ない。漸く重い腰を上げ何時の日かマトリョーシカ?の如く整備されるまでのモラトリアムはさてどのくらいあるのだろうか。


埋まらない温度差と営業力

本日の東工取は主力の金が僅かに数円、また石油製品にしても寄り後はレンジ内での相場でロックされなんとも凪のような相場であったが、東工取といえば今週の日経紙には昨日そして今日と「東工取改革 多難な船出」としてここ新システム切り替え前後を絡めての記事が載っていた。

本日の?では同システム導入前から引き摺る東工取と取引員との温度差が指摘されていたが、例えば上場銘柄の問題一つ取っても別段東工取に限った事でなく他の取引所も意思疎通に疑問を感じる事は非常に多い。この辺は数年前からある取引所の統合論のあたりから既に醸造されているが、この手の規模どころか先の模擬売買のようなところの段階でさえリクイディティを提供する向きの意見が無視されるというのが現状である。

反面プロであるところの企業や投資家から吸い上げた意見は色濃く反映させ上層部としては自己満足一杯だろうが、主力層を一新したければカネを投入するだけでなくそれなりの営業力も要求されよう。

05年以降の勧誘規制強化などというのは一つのトリガーに過ぎず、カウボーイも常々指摘しているように、まあやはり今までの各種数値自体が常識的に他から見れば異常であったというのは否めまい。今後斯様にマトモであればというところへの数値回帰が粛々と進むであろうが、ただ諸外国との生い立ちの違いという部分を認識しなければいつまで経っても理想像には近づけないだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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